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元司書による読書備忘録ブログ。思ったことは全部書き、何様気取りの感想だったり平気でネタバレしたりします。
『赤い指』  東野 圭吾
2007-02-14 Wed 01:50
赤い指赤い指
東野 圭吾

講談社 2006-07-25
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 東野圭吾の最新作。作品を出すと必ず上位にランクインする作家だ。しかし私にとって、この人の作品は読む前に構えずにはいられない。油断すると登場人物の不幸さにガツンとやられる。でもやっぱり、筆力は圧倒的だ。面白い面白くないの問題じゃなくて、読み進まずにはいられない。今回の作品も、重いこと重いこと。でもどんどん読んでしまう。
 この作品は二つの視点から書かれている。一人目の主人公は、息子が幼女を家に連れ込んだ末に殺してしまったことを隠そうとする中年の男。もう一人は、従兄弟と組まされることになった警視庁刑事の松宮。
 中年男の家族には終始イライラさせられる。姑いじめをし、息子に執着するエゴイスティックな妻。いじめられた経験からか荒んだ息子。妻に逆らえず威厳のない中年男。特に妻には、相当腹が立った。東野圭吾は、人の不幸を描くのが上手いよね。まだ何作かしか読んだことないけど、不幸で人格が歪んだ登場人物とか、醜さに気持ちが悪くなるくらいだ。
 松宮刑事の方は、捜査一課でも有名な敏腕刑事であり、松宮にとっては従兄弟でもある加賀とコンビを組まされる。伯父を慕い尊敬している松宮は、病床に伏した父親を見舞おうとしない従兄弟をずっと良からず思っていた。でも敏腕の噂は本当で、加賀はどんどん事件の核心に迫る。
 そんな敏腕刑事に追い詰められた中年男は、犯行を痴呆症の母親の仕業に見せかけることにした。その辺のエゴが実にリアルで、恐ろしく醜い。でも親心なんだよなぁ。歪んでるけど。
 行くとこまで行ったけど、最後は辛うじてほっとした。なぜ従兄弟が父親を見舞わなかったのかも判明した。
 東野圭吾だからこそ、最後がどうなるか気になって仕方なかった。エゴの部分が剥き出しのまま終わっても不思議じゃない作家だし。後味悪い事件ながら、きちんと解決して良かった。
 ミステリとしてはいまいちだったけど、それがどうでも良くなるくらい引き込まれた。
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『容疑者Xの献身』  東野 圭吾
2006-03-12 Sun 00:28
容疑者Xの献身容疑者Xの献身
東野 圭吾

文藝春秋 2005-08-25
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 やっとここまでたどり着きいた。この本を読むために『探偵ガリレオ』と『予知夢』を読んだ。その2冊を読んで、正直微妙だと思ってたこのシリーズ。『容疑者X~』でガツーンとやられてしまった。前2作はプロローグに過ぎなかったと思う。これでこそ東野圭吾。
 衝動的に殺人を犯してしまった母娘を、隣の部屋に住む天才数学者が完全犯罪に仕立てようとする話。全部読んで初めて、計画の緻密さがわかるという代物だった。「献身」の意味もやっとわかった。
 最後に湯川さんが取った行動は正しかったんだろうか。石神さんが何をしてでも守ろうとした母娘なのに、話さずにいられなかったのは善なんだろうか。湯川さんとの友情を壊してでも逮捕すると言い切った草薙さんの人間性は?でも、そうせずにはいられないのが2人それぞれの「正義」で、人間臭さを捨てきろうとしている姿がいい。
 石神さんはただ母娘の幸せを願って、別の男と幸せな結婚をすることまで望んだのに、すべてが破綻した。この東野圭吾の厳しさ、重量感、嫌いじゃない。でも立て続けに読むと自分の心が破綻しそうだわ。
 ちなみに今回、ちゃんと草薙さんを頭いい人として描写してあった。今までがひどすぎたんだよね・・・。マヌケなとこだけ際立たせてた。警視庁捜査一課の刑事があんな抜け作なはずないのに、そういとこばっか書いてたんだもんなぁ。
 それから、警察の捜査のいい加減さは相変わらずかな。日本の警察はもうちょい優秀だと思うよ。なんで検死解剖してないの?指紋照合だけで被害者を決め付けていいの?草薙さん、単独行動多すぎでいいの?こんなツッコミしてたらこの小説は楽しめないの?このシリーズの中の警察は無能だという設定を前2作で学んでた。着眼しちゃいけないところは深く考えなかったから楽しめたんだろうな。いきなりこれから入ってたら、そこら辺が気になって集中できなかっただろう。
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『予知夢』  東野 圭吾
2006-03-06 Mon 21:35
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東野 圭吾

文藝春秋 2000-06
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 『探偵ガリレオ』の続編。続編って言っても話は一話完結の短編集。草薙刑事が不思議な事件に遭遇するたびに物理学者の湯川助教授に相談し、というパターンは前回と同じだった。前回よりも事件の不思議さが増したかな?というかオカルト的。それを科学的に解明するところが面白い。
 今回は、
16歳の少女を17年前から知っていたと言う男がストーカーする「夢想る(ゆめみる)」。
殺された女性が殺害時刻に、別の場所にいた恋人に姿を見せた「霊視る(みえる)」。
主婦が失踪した夫を探しすうちに、毎日同じ時間に振動する家にたどり着いた「騒霊ぐ(さわぐ)」。
父親が殺害される前夜、父親の側で火の玉を見た「絞殺る(しめる)」。
自殺した女性の向かいのマンションに住み、前日に自殺した姿を見たと言う「予知る(しる)」
の5編。
 相変わらず湯川さんはさくっと解決し、そのぶんさらっと読める。面白いんだけど、東野圭吾さんの作品だと思うとイマイチだなぁ。彼ならもっと、ぐいぐい読ませる作品を書いてくれそうなイメージがあるんだけど。事件のトリックは面白いんだけど、そっちに力を注ぎすぎたような感じがする本だった。
 ずっとそう重いながら読み進めたけど、5話目の「予知る(しる)」の最後のシーンが良かった。結局どうなったんだろうなーっと。
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『探偵ガリレオ』  東野 圭吾
2006-02-27 Mon 21:17
探偵ガリレオ探偵ガリレオ
東野 圭吾

文藝春秋 1998-05
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 今年の直木賞受賞作『容疑者Xへの献身』と同じシリーズの第1巻目。シリーズと言っても一話完結だからこれを先に読む必要はないらしい。でも図書館の『容疑者X~』は予約がたくさん入ってるから待ってる間に読もうかと。
 かなり期待して読んだんだけど、事件の状況説明がちょっとわかりづらかったかな。人の立ち位置、地理的なことなんかがちょっと。私はまさに「地図が読めない女」的な感じで、何度か読み返しても結局わからないことがいくつかあった。集中力に問題があるのか。
 警視捜査一課の刑事・草薙と物理学者・湯川のコンビが事件を解決する5編の短編集。後頭部が突然発火したり、海で火柱が上がったり、心臓だけが腐った死体、どうやって作ったかわからないデスマスク、幽体離脱した際の目撃証言など、事件そのものの発想が面白い。
 湯川サンの知識と分析力と閃きはさすが。一方、草薙サンは困ったらすぐにガリレオさんこと湯川サンに助けを求める。「もっと仕事しろよ」と思わず突っ込みたくなる。まあその辺は文章として書いてないだけで、きっと読者に見えないところでは努力してると思いたい。
 事件そのものに着目して人間性はあまり重視してないからか、内容は薄い。ひとつの事件をさらっと読める感じ。『黒笑小説』読んだ時も思ったけど、この作家さん、あんだけ重苦しい長編小説を書いているのにこんな軽快な短編もどんどん書く。まあどちらにしてもライトな話じゃないのは確かなんだが。
 さて、次は『予知夢』か。
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『黒笑小説』  東野 圭吾
2005-08-11 Thu 18:32
黒笑小説黒笑小説
東野 圭吾

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 東野圭吾って、シリアスオンリーの人だと思ってたけど、これは何だかリアルにブラックジョークな短編集だった。テーマがバラバラだったから内容は一言じゃ言えないけど、目についたのは短編シリーズで、作家VS編集者みたいな感じで腹の探り合いするヤツ。そりゃあ作家の世界は厳しいだろうけど、何か笑えないし、醜い世界だなぁと思った。まあ半分冗談だろうけどさ。
 面白いかどうかは別問題として、全体的にさすがは東野圭吾だと思った。
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