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元司書による読書備忘録ブログ。思ったことは全部書き、何様気取りの感想だったり平気でネタバレしたりします。
『王国 その3 ひみつの花園』  よしもと ばなな
2006-03-13 Mon 00:20
王国〈その3〉ひみつの花園王国〈その3〉ひみつの花園
よしもと ばなな

新潮社 2005-11
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 雫石と真一郎くんが一緒に暮らすために、前向きに動き始める。ところが、真一郎くんの初恋の人、親友の義母との再会で雫石の気持ちが大きく揺れる。結局別れてしまう二人だけど、そんな雫石を見守る楓や片岡さんやおばあさんが暖かかった。
 3巻に来て急に話が展開しだした。いっそ2巻はいらなかったんじゃないだろうか。2巻の、ストーリーがないのに言葉が連なるあの退屈感はつらかった。作者のメッセージを雫石が代弁してるのか、ストーリーが崩壊しちゃってたもんなぁ。え?読者に説教してんの?みたいな。よしもとばななって観念的すぎるのかもしれない。ふんわりと抽象的で、ストレートに決め付けるものがない。そこなのか?そこがいいのか、よしもとばなな!?白黒はっきりした話が好きな私にはわからない・・・。
 でもこの作品は、雫石がしっかりしなきゃ!的な目覚め方を始めてわかりやすかった。よしもとばなな特有の「渡る世間に鬼はなし」から飛び出して、雫石の嫉妬や親友の義母の打算なんかも描かれていて、いつになく人間臭い話になってたように思う。
 本の紹介には「長篇最大のクライマックスへ」と書いてあったけど、これで終わりじゃないよね?ものすごく中途半端なところで終わってるけど・・・。どうなんだろうか。
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『王国 その2 痛み、失われたものの影、そして魔法』  よしもと ばなな
2006-02-21 Tue 21:55
王国 その2 痛み、失われたものの影、そして魔法王国 その2 痛み、失われたものの影、そして魔法
よしもとばなな

新潮社 2004-01-30
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 読み始めた本は面白くなくても最後まで読み通す主義。主義って言うか意地かな。評価の高い作家さんなら、なおさら。よしもとばななは私にとって、その代表的存在だと思う。いつか私にも理解できるかもしれないと、がんばって読み通している。
 というわけで、『王国』の2巻目を読んだ。以前一緒に暮らしていた祖母と似た存在だった楓がいなくなり、突然ホームシックになって生活が乱れてしまう主人公が描かれている。
 主人公がその感性を持って色んなことを丁寧に語り、言い方を変えて何度も表現する。感性で描かれたような小説であり、大きな事件もなければ人間同士の衝突もない。退屈な小説だとしか思えない。でも何でか人気なんだよなぁ。私って感受性弱いのかな?
 この巻はこれといったストーリーもなく、雫石の毎日だけ。大きな出来事はなく、小さな出来事ばかり。その小さな出来事を大きく扱う点がよしもとばななの才能でもあり、私がつまらないと感じるところでもある。
 1巻では雫石は、既婚者の真一郎くんと不倫関係になる。2巻では真一郎くんは離婚するけど、だからといって雫石と結婚したいと言うこともなく、これまで通りの関係が続く。でも2人は深く愛し合っている。どこにも向かわない関係のままなんだろうか?浮世離れしている2人とはいえ、時々会うだけで満足するというのは恋愛なのかな?生活の基盤を同じにしたいと思わないんだろうか。その辺りは書かれていない。
 次巻に続くそうだから、勝手に色々想像するのは控えたい。あくまで「小説」なんだから、思ったとおりの幸せ街道を行くとは考え難い。フィクションであり、そう好きじゃない話であっても、やっぱり最後は幸せに終わってほしいと思う。
 ところで、よしもとばななの会話文って不自然に感じる。何というか、正しい日本語って感じ。正しい日本語で話す人がそう多くいるはずもなく、実際はそれぞれの環境や個性が滲み出るもんだと思うんだけどな。トーンが上がる様子もなく、淡々と正しい日本語を話す人物達はちょっと不気味。
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『王国 その1 アンドロメダ・ハイツ』  よしもと ばなな
2006-02-20 Mon 23:50
王国―その1 アンドロメダ・ハイツ―王国―その1 アンドロメダ・ハイツ―
よしもと ばなな

新潮社 2002-08-22
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 山で祖母と2人、野草を使ったお茶を売って暮らしていた女性が都会で1人暮らしをすることになる。まずその主人公の名前「雫石(しずくいし)」でかなり引いた。
 彼女が山から下りて働くことになった所は、物に触れたら持ち主のことがわかるという弱視の超能力者。『サイコメトラーエイジ』を思い出さずにはいられない。超能力者のパトロンはホモの恋人。おばあちゃんは偉大な人。他にも「とてもいい人」がわんさか出てきて、よしもとワールド全開だった。
 でもこれは、これまで私が読んだ初期の代表作よりは面白かったかな。話がだらだらせずに展開していったからだと思う。
 よしもとばななは表現を大切にする作家で、ひとつの事柄を色んな言葉を使って丁寧に表現する。私は完結に適切に表現した密度ある文章が好きだから、よしもとばななのように淡い文章は疲れるんだよね。
 それと、よしもとばななのキャラクターに魅力を感じないのは私だけ?「素朴」という魅力はある。ただ、なぜ彼女達に好意を寄せる男性がいるのか。そこらへんを書かずに恋愛を描くから、どうも根拠の薄いロマンスだらけの恋愛に見える。彼女達は常にナチュラル。ナチュラルも20越すとダサいだけだと思うんだけどなぁ。自然体な主人公に惹かれる男性という状況に、読者は食いつくんだろうか?そういえば、よしもとばななが好きな知人が「悪い人が出てこないのがいい」と言っていた。『GOTH』読んで喜んでるような私には、美しすぎて理解できない世界なのかもしれない。
 女性から大きな支持を得ているよしもとばななだけど、改めて読んでもやっぱ私は嫌いだな。何を言ってるかわからない。以前読んだ雑誌で、同じくよしもとばななが苦手な人が「女性のとりとめない話をだらだらと聞いた感じの読後感」と表現してたけど、的を射てるなぁと思った。色々あって久々に読んだけど、印象は相変わらず。
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『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?身近な疑問からはじめる会計学』  山田 真哉
2005-10-13 Thu 10:35
さおだけ屋はなぜ潰れないのか? 身近な疑問からはじめる会計学 (光文社新書)さおだけ屋はなぜ潰れないのか? 身近な疑問からはじめる会計学 (光文社新書)
山田 真哉

光文社 2005-02-16
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 会計学の本だけど、普通に読み物として面白い。さおだけ屋、住宅街にある高級フランス料理店、在庫だらけの自然食品店、年中在庫処分セールをしている店など、これらがなぜ潰れないで店としてやっていけるのかという話に会計学の話をちょこっとくっつけたもの。会計学の本としては役に立たないだろうけど、雑学的な感じで読めば面白い。
 この本が人気が出た一番の理由は、やっぱ著者の書き方が上手いからだろうなぁ。エッセイとかのつもりで読んでも差し支えないくらい、気軽な本だと思う。
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『親指さがし』  山田 悠介
2003-10-28 Tue 09:26
親指さがし親指さがし
山田 悠介

幻冬舎 2003-09
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 かつてある場所で女性が殺されてバラバラにされたという事件があったが、左手の親指だけはどうしても見つからなかったという。
 由美の提案で、その女性の親指を探してあげる「親指さがし」というゲームをすることにした小学生の仲良し5人組み。やり方を聞いて半信半疑でやってみたが、5人は実際に見知らぬ部屋に移動していた。手元のロウソクを消すと現実に戻れる。このゲームに夢中になって何度も繰り返していた5人は、ある日ゲームの最中に由美の悲鳴を聞いた。慌てて現実に戻った4人だったが、由美の姿は消えている。それから大変な騒動になるが、4人は大人に「親指さがし」のことを言い出せずに「かくれんぼをしていたらいなくなった」と嘘を言っていた。
 それから7年経って間もなく成人を迎えようとする頃、由美が消えた日に集まった4人。由美のことは忘れようと言い出した信久だったが、武は過去を清算するために「親指さがし」がどうやって始まったのかを調べた。すると20年前に箕輪スズという女性が殺されてバラバラにされ、左手親指だけが見つからないままという事件が本当にあったことを知る。
 
 何となく山田悠介を読もうと決めて3作目。ていうか、3作目までしか出てないんで、とりあえず全制覇になる。読み終えてまず、文章ちょっとだけ上手くなりましたね。アホ中学生の作文から普通の中学生の作文程度にはなってたんで驚き。でも作話能力自体はやっぱ凄い。あらすじ読んだだけだったら、結構読みたくなるストーリーしてる。それだけに、やっぱ文章がなぁ・・・。残念すぎる。
 本当にありそうな「親指さがし」というゲーム。このルールが結構怖かった。でも確かに子供ってこういうホラーなゲーム好きだよね。「こっくりさん」とか、その自己催眠性がわりと問題になってたような記憶もあるし。
 スズの呪いが迫り・・・と恐ろしいはずなんだけど、やっぱ文章が着になる。多少上手くなったところで、まだまだ全然凡人以下レベル。赤ペンで訂正しながら読みたい気分に、何度も現実に引き戻されて没頭できない。新聞記事で「警察も困惑しているのが現状である。」という文章には吹き出した。この本の面白文章MVPだと思う。
 武の調査で箕輪スズが不思議な力を持っていたことや、11年前に「親指さがし」で行方不明になった少女が箕輪スズに取り憑かれてゲームのメンバーを次々に殺したこともわかっていく。そんな不思議な力があるんだったら、どうして殺される前にそのパワーを使わないのか?突然襲われたとかいう事情があったんだっけ?覚えてないや。2回読む気にはなれないで、もう図書館返しちゃったからその辺の設定がわからない。
 最終的には解決しないままモヤッとした物を残して終わる手法は、『リアル鬼ごっこ』『@ベイビーメール』に続くお約束。全く続きが気にならないのは不思議だな。話自体は面白いのに、文章力ってこんなにも読みたい意欲に影響するもんなんだな。
 それにしても、タイトルと装丁とストーリーは相変わらず秀逸だ。興味をそそられるタイトル。装丁で女の子が1人だけ振り返ってるとことか、すごくいい。短くまとめられたあらすじを読んでみると、凄くそそられる。でも読んでみると、文章が・・・とどうしてもここに戻ってしまう。話が面白ければ多少の文章力は気にならないもんだと思う。昔の翻訳小説とか結構ひどいけど、やっぱり面白いもん。だけどここまで破綻してると、頭痛すらしてくる。作者は大学生だっけ?きっとまだ伸び盛りと信じたい。小説家並みの文章力を身に付けたら(既に小説家だということは置いといて)、かなりビッグなホラー小説家になりそう。
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