元司書による読書備忘録ブログ。思ったことは全部書き、何様気取りの感想だったり平気でネタバレしたりします。
『その日のまえに』  重松 清
2006-04-13 Thu 00:06
その日のまえにその日のまえに
重松 清

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 もっとヘビーな話を書く作家だと思ってたけど、わりとさらっと読めたのは短編だったからかな。

「ひこうき雲」はクラスメイトが難病にかかったことを知った小学生の話。
「朝日のあたる家」は、10年前に夫を亡くした女性教師がかつての教え子に再会する話。
「潮騒」は癌を告知された中年男性が、小学生の頃に行方不明になった友人を回想する話。
「ヒア・カムズ・ザ・サン」は母が癌を問いただせない高校生の話。
「その日のまえに」「その日」「その日のあとで」の最後の3連作は、妻の癌を告知された夫婦の回顧、死ぬ当日、残された夫と息子達の3ヵ月後の話。

 「病死」をテーマにしたオムニバスだったけど、登場人物たちの受け止め方が重過ぎないのに妙にリアルだった。「その日」で義父が言った「丈夫に生んでやれなくてごめんな」にはやられたよ・・・。
 ほとんどの話が、小説の中の現在進行形では人は死なない。きれい事だけ集めたみたいで、途中まではもやもやしながら読んでいた。これが「その日のあとで」でつながり、きれいな連鎖になる。浅くも深くもないつながりの匙加減が絶妙。すごいな清。
 大作家に対して自分でも何様のつもりと言いたいけど、ちょっと不満だった点がある。「朝日のあたる家」はなくてよかったんじゃないかな。唯一つながりのない話だったから、ちょっと浮いてる。それから、迎え火の話が一番感動したから、最後の花火大会、もうちょい盛り立てて欲しかった。
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