元司書による読書備忘録ブログ。思ったことは全部書き、何様気取りの感想だったり平気でネタバレしたりします。
スポンサーサイト
-------- -- --:--
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

別窓 | スポンサー広告 |
『図書館内乱』  有川 浩
2007-05-20 Sun 07:25
図書館内乱図書館内乱
有川 浩

メディアワークス 2006-09-11
売り上げランキング : 374
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

 この日本が出版検閲を義務化された世界になってしまったが、図書館は独立した機関として国家と戦うという『図書館戦争』の第2弾。いくら法律で独立した機関として守られているとはいえ、全図書館が民営化でもしてない限りありえない世界だという現実は置いといて読むと面白い。
 この本は前作の続きから始まる。図書館が危険な職場になってしまったこの世界で、両親から司書の仕事を反対されている主人公の郁。戦闘部隊にいることは秘密にしていたが、その両親が仕事の様子を見に来る事になったところから始まる。
 その他5章から成り、今回はそれぞれの登場人物にしっかりスポットが当ててあるし、「メディア良家法」と「図書館」という対立がしっかりと織り込まれていて物語としては面白さを増していた。
 書き方はライトで読みやすいけど、図書館のことをある程度勉強して書かれてるようで専門的なことも砕いて書いてあってわかりやすいと思う。
 でも今回は恋愛要素をかなり盛り込んであり、恋愛物が苦手な私はちょっとうんざり。登場人物が美形だらけというラノベ張りに不自然な設定がさらに苦手。この業界にはそんなに出会いはゴロゴロ転がってません。
 でも、面白かったと思う。

 以下余談だけど。
 郁の動機の手塚君とやら、この本で日本図書館協会の会長の息子であることが判明した。物語とは無関係だけど、私は現実の日本図書館協会の会長の常世田さんの講演会に4回くらい行った事がある。浦安図書館の元館長で、とても頭が良くて、話が上手で、堅いお役所仕事の連中を説得できるという素晴らしい人だ。読んでると、手塚君がその人の息子に思えて仕方なかった。

 あと、前作の時にも書いたツッコミというか揚げ足取りだけど。
 主人公が父親から探して欲しい本のジャンルを言われて書架に行くシーンがある。主人公が書架に行くと、その分野の本がごっそりなかった。上司に聞くとそのジャンルは今、展示コーナーでテーマとして扱ってるからそちらに置いてあるとのこと。そういえば、ミーティングでそんな事言ってたと思い出す主人公。
 ここのシーンは、図書館としてどうかと思う。表示しろ、表示。本を動かしたり特別に別置したら、自分達の仕事のためじゃなく利用者のために表示を作るべき。常連の利用者は、他の場所なんか見ないで自分が見たい本のジャンルに直行する人が多い。そして、どんなに人気がないジャンルでも利用している人はいると考えて図書館運営すべきだ。
 「このジャンルの本は展示コーナーに置いています」とプリントした簡易な物でもいいから、本を動かしたら利用者に対して断りをしないといけない。
 あと、少年犯罪者の実名報道をした雑誌の利用規制をするかどうかというミーティングについて。勝手に「閲覧不可」と決めた新しい上司(副館長だっけ?)がワンマンすぎるし、誰も彼を説得できないのは不自然。これまでの歴史を無視するのは、公的機関としてどうよ?図書館は「知る権利」を保障しているし、既刊された物を制限するのはそれこそ越権行為。税金を払ってる市民の同意なしに閲覧できないようにするのは、図書館本来の役割を履き違えてる。上司を誰も説得できなかったのは、図書館の理念を理解した司書が少ない図書館だと思う。
 それから、図書館のリンクに個人の書籍評価HPを貼るのも明らかにこの上司の越権行為。ダメな理由は主人公が言った通りだし、それを理解できない司書は勉強し直せ。私だってわかる理論を、この世界の優秀であるべき司書が理解してないのはおかしい。
 専門分野じゃなかったら(読んだ時はまだ私は現職だった)普通に物語そのものを楽しめただろうに、生来の性格のせいもあって粗が気になってしまった。
別窓 | [あ行の作家]有川 浩 | コメント:0 | トラックバック:0 |
<<『淳 それから』  土師 守  本田 信一郎 | よむよむ記 | 『アヒルと鴨のコインロッカー』  伊坂 幸太郎>>
この記事のコメント
コメントの投稿
 

管理者だけに閲覧
 

この記事のトラックバック


| よむよむ記 |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。