元司書による読書備忘録ブログ。思ったことは全部書き、何様気取りの感想だったり平気でネタバレしたりします。
『淳』  土師 守
2007-05-13 Sun 02:04
淳
土師 守

新潮社 1998-09
売り上げランキング : 588173
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

 先日『心にナイフをしのばせて』を読んで、こっちも読んでみることにした。1997年の酒鬼薔薇事件の被害者・土師淳君の父親が事件後1年経って書いた手記。今気付いたけど、あの事件から今年で10年経つんだな。
 事件そのものにはあまり触れてない。淳君が行方不明になって3日間必死に探した事、警察から事件を知らされた時の事、マスコミからの遠慮ないプライバシー侵害などが生々しい。
 ほとんどの人を実名で書いてる中、一際目立つ「Aさん」という言葉はやっぱり異質だった。「Aさん」とは、少年Aの母親のこと。ご近所として淳君の捜索にも協力してたそうだ。連絡があった時のための留守番係として土師さんの家で待機している時、たまごっちを数個取り出して飼育を始めたとか。その後は息子の自慢話を始めるとか。遺体がどういう状態で見付かったか知ってるのに葬式の席で「最後だから顔くらい見てやれ」と淳君の母親に言うとか。かなりイタイ人だったようだ。
 私は酒鬼薔薇の本名は知ってるから、どうしてもAさんと読めずに○○さんと読んでしまった。そういう悪意ある読み方になっちゃうよな、この辺の話は。
 事件直後からは、押し寄せるマスコミからのプライバシーの侵害に悩まされる。マスコミの厚顔無恥ぶりは凄い。報道の自由を履き違えてるなぁ。読者はそこまで知る権利を振りかざすつもりはないと思うけど。
 それから少年法について、何度もその理不尽さを書いてあった。公表しなくても、せめて遺族にくらい事件の真相を知らせてほしいと何度も言葉を重ねている。
 少年犯罪が凶悪化した上に増えてるから、最近は改正の声が少しずつ大きくなってるっぽい。有名な少年凶悪犯罪に長崎は2件も名を連ねててることもあってか、少年犯罪がそう遠い存在には感じない。やっぱ改正してほしいなぁ。
 サレジオ事件の少年は、少年法によって前科は付いていない。弁護士になっていて、とても事件を反省してるとは思えない生活をしている。酒鬼薔薇の○○君は去年出所したけど、特別扱いのようなプログラムでどう「更正」したんだろうか。それすら遺族は知る事ができない。本当、報われない。


 余談だけど、アマゾンで評価してる人全員が5つ星っていう本は初めて見た。
別窓 | [は行の作家]は行その他の作家 | コメント:0 | トラックバック:0 |
<<『第三の時効』  横山 秀夫 | よむよむ記 | 『あらすじで読む日本の名著-近代日本文学の古典が2時間でわかる!』  小川 義男>>
この記事のコメント
コメントの投稿
 

管理者だけに閲覧
 

この記事のトラックバック


| よむよむ記 |