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元司書による読書備忘録ブログ。思ったことは全部書き、何様気取りの感想だったり平気でネタバレしたりします。
『宇喜多の楽土』  木下 昌輝
2019-11-27 Wed 12:57

 前国岡山城城主・宇喜多秀家の物語。病死した父に代わって11歳で当主になった秀家は、明智光秀を討った直後の羽柴秀吉に会うために上洛した。山崎城で謁見が叶い人質として山崎城に長期滞在することになり、隣国・毛利との国分けを有利にするためにどうあるべきか模索する。
 秀吉に認められ、前田利家の娘であり秀吉の養女でもある豪と祝言を揚げて秀吉との関係を強固にすることができた。天下人となった秀吉は、朝鮮出兵や側近・千利休切腹命令、甥で義父でもある秀次の追放・切腹命令と、愚行が目立っていった。その秀吉も病死し、秀家は諸大名と組んで家康の牽制を試みる。一方で、宇喜多家領内は検地を拒みお家騒動が起こっていた。
 時代は急速に、関ケ原の戦いに向かう。


 戦国時代の話で難しいかと思ったけど、とてもわかりやすかった。本当はもっと政治的にも人間関係的にも入り組んでるんだろうけど、わかりやすい流れが作ってあって読みやすい。わかってくると、戦国時代って物語としてはとても面白いと思う。大半が史実だと思うと、とても恐ろしい。わずか11歳の秀家に備前の命運がかかってきて、最初からハラハラする。
 正直戦国時代をあまり知らないし、歴史の授業で習ったこともほとんど忘れてる私。途中までは秀吉という絶対権力の前に平伏差ざるを得ない秀家の運の良さと賢さを面白く読んでいたけど、さすがに関ケ原の戦いや小早川が寝返ったことくらいは知ってるから、途中から胸が痛くなった。歴史小説ってとんでもないネタバレ小説だな・・・。それにしても、凄まじい時代があったんだなぁ。
 小早川秀秋の裏切りから崩れ、追われる身になって逃げ、辛うじて逃げ延び、匿われ・・・ああ、こんなことが本当に起こった事なんだと思うと、本当に平和な時代に生まれてよかったと思う。
 備前で流民を使って海を干拓し、出来た土地を与えて住ませようとしていた宇喜多直家。その行いに感銘を受けて受け継いだ秀家。流刑された八丈島で釣りをしたり田畑を耕す。理想の楽土ではないけど、秀家の小さな楽土が完成したようで感慨深かった。
 この本では優しく聡く憂いのある青年という感じで描かれていて、これが裏切り者で有名な宇喜多直家の息子!?と思った。面白かったなぁ。大河ドラマにならないかな。
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