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元司書による読書備忘録ブログ。思ったことは全部書き、何様気取りの感想だったり平気でネタバレしたりします。
『デルトラ・クエスト1』  エミリー・ロッダ
2019-11-21 Thu 13:37
デルトラ・クエストI (1) 沈黙の森
エミリー ロッダ
岩崎書店
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 デルトラ国の王が死に、息子のエンドンが王位を継承した。エンドンと一緒に育った親友のジャードは、戴冠式でふとデルトラのベルトの歴史が気になった。図書室で見付けた本でデルトラ国とデルトラのベルトの成り立ちを読み、首席顧問菅のプランディンがかつてデルトラの地に攻め入った影の王の手下だと知る。急いでエンドンに知らせたが信用してもらえず、逆にプランディンから裏切り者として衛兵に追われる身になった。城の外に逃げたジャードは、鍛冶屋に助けられて匿われる。
 7年後、ジャードは鍛冶屋の娘・アンナと結婚した。もうすぐ子供が生まれようとする頃、エンドンから助けを求める合図を受けて城に駆け付ける。エンドンは城が襲撃されることを知り、ジャードの助けを受けて妻のシャーンと共に城から逃げ出した。
 その16年後、影の王が支配する暗黒時代。ジャードの息子・リーフは父親の出生と目的を知らされて唖然とした。リーフは不慮の事故で足が不自由になった父に代わり、7つの宝石を探す旅に出ることにした。エンドンの乳母の息子で城の衛兵だったバルダと共に旅立ち、途中の近道でウェンに食べられそうなところを助けてくれた少女・ジャスミンも仲間に、宝石の一つがあると思われる「沈黙の森」に向かった。
 、

 キラキラした表紙やら程よい薄さといった見た目の軽薄さに相反する、とにかくめちゃくちゃ面白いファンタジー。冒頭はちょっと退屈だし、プランディンの正体に気付いた辺りも既視感あるし、リーフが門限守らなくて影の憲兵団から逃げる辺りも大して面白くないんだけど、リーフの冒険が始まった途端に息を呑む面白さに巻き込まれていく。前半は退屈だったけど、あれがこの旅の重要性をしっかりと裏付けていることに気付かされる。
 リーフは決して強くはないけど、命を掛けて宝石を探しに行く。最初は好奇心やバルダへの強がりで行動しているかのように見えたし、バルダもリーフを多少厄介に思っている気がする。ジャスミンは宝石を求めて最も危険な場所に行くことを責める。だけど最後には、3人でいたからこそ宝石を取り返せたことに感動する。自分より強大な力を持った敵を前に絶体絶命に陥りつつも、どうにか助かって目的を遂げる。これこれ、ファンタジーはこのお約束こそが面白い。
 日本で発売されてすぐの頃に一気に読んだけど、あの頃はジャードやリーフに感情移入して読んだ。今回読んでみて、シャーンやアンナの気持ちを思うとつらくて悲しくて仕方ない。
 十数年前に読んだ時の印象そのまま、余白多め文字サイズ中程度の300ページ未満って信じられないくらい内容にボリュームがある。本好きに育った10歳の我が子に「めっちゃ面白いから!」と言ってに読ませてハードル上げておいたにも関わらず、あっという間にはまった。いつかは読ませたいと思ってたんだよね。読書には慣れてたし、振り仮名がある低学年でも読めたと思うけど、面白さを真に理解してもらうために十分に成長を待った。ほんと、その甲斐あった。
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