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元司書による読書備忘録ブログ。思ったことは全部書き、何様気取りの感想だったり平気でネタバレしたりします。
『母さんがどんなに僕を嫌いでも』  歌川 たいじ
2019-05-10 Fri 09:56
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 美しく、人格者で周囲の人から絶大な人気を受けていた母は、家では「僕」にひどい暴力を振るう人だった。父が経営する工場の従業員達、とりわけ「ばあちゃん」に助けられながら育った「僕」は、両親の離婚で姉と共に母に引き取られる。
 離婚が成立してからも母の暴力は続き、母の取り巻きや恋人達にも罵られ、17歳で家出した「僕」。年齢をごまかしながら食肉工場働いて周囲に認められながらも、過去は付いて回って「僕」を苦しめる。
 一念発起して働きながら大学の通信教育を受けることにした「僕」は、学生ミュージカルに入る。美形で人当りの良く人気者の青年・キミツに出会った。母を教訓にキミツの裏の顔に気付いた「僕」だったが、お互い罵り合い、殴り合いながらも仲良くなる。
 その後入社した会社で遮二無二に働き努力の成果が実ったけど、周囲が見えなくなりつつあった。ある日キミツに誘われて飲み歩いていると、同僚のかなちゃんと彼氏・大将を紹介に会って一緒に飲むことになった。「僕」はかなちゃんと大将に毎週誘われて遊び歩くうちに、暗い十代にはなかった青春を感じていた。
 

 たまたま読み始めた歌川さんのブログ。最初から読んでみると、なかなな人生で驚いた。ゲイであることをカミングアウトして生きてる以上それなりに壮絶だとは思ってたけど、虐待やいじめを経験して来たなんて普段のブログからは想像つかない。
 歌川さんは否定しそうだけど、強くて賢い人だなと思う。人に恵まれたと言うより、歌川さんの努力や知性に人が集まって来てる気がする。壮絶な経験をした人がこんなに強く逞しく生きてるのを目の当たりにすると、たかだか無関心や躾けレベルの暴力・暴言がトラウマになって動きを止めたっきり動けなくなった自分が情けなく思う。
 ブログの中でもキミツが一番好きなキャラだけど、この本を読んでもっと好きになった。「親や自分を恨んだりしているうたちゃんが、本当のうたちゃんなの?(中略)もっとその奥に、本当の本当のうたちゃんがいるような気がしてならない」と言う言葉。資産家の息子らしいから、きっと色んな人を見てきたんだろうな。
 歌川さんの体の傷を知ったかなちゃんの「うちの子になりなよ」と言う言葉も、もうね、顔面が滂沱ですよ。
 少しずつ過去と向き合えるようになってきて、とうとう母親と連絡を取り合えるようになった歌川さん。他人から見たら最後の母親のセリフでこれまでのことが帳消しになるはずもない。でも、歌川さんは母と子の時間を過ごす事ができたことを幸せだと言う。正直、そんな簡単に幸せ感じちゃうの?って思わなくもないけど、やっぱタイトル通り「母さんがどんなに・・・」なんだろう。
 マンガ版と手記版どっちを読むか迷ったけど、どっちも歌川さんが書いてるならどっちも読まないと理解は深まらないと思って両方読んだ。マンガはコミカルに描いてるし、手記版も穏やかな敬体で書いてあって、内容とちぐはぐだ。そこにキミツが言ってた「恨み節じゃない本当の歌ちゃん」があると、勝手に思ってる。両方読んで良かったと思う。
 去年だったかな?私が住んでる県に歌川さんが講演に来た。1500円くらいのかなりリーズナブル設定だったにも関わらず、ちょうどマジ金欠だった私。当選連絡が来たのに行かないことにしてしまった。貯金くらいあるんだから、行っておけば良かった。
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