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元司書による読書備忘録ブログ。思ったことは全部書き、何様気取りの感想だったり平気でネタバレしたりします。
『君の名は』  加納 新太  原作:新海 誠
2019-01-09 Wed 00:24
小説 君の名は。 (角川文庫)
新海 誠
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 映画『君の名は。』のアナザーサイドストーリー。


「ブラジャーに関する一考察」
 東京に住んでいる男子高生・立花瀧は、時々朝起きると岐阜県の山奥に住む女子高生・宮水三つ葉と体が入れ替わる。女子の体に戸惑いつつ次第に1日をやり過ごすことに慣れていくが、女子として、または堅苦しい宮水家長女としては不自然極まりなく、携帯のメモ機能でやり取りする三葉を怒らせてばかりいた。


「スクラップ・アンド・ビルド」
 元の土建屋「勅使河原建設」の跡取り息子である勅使河原克彦は、町長である三葉の父と癒着している。その事に嫌気がさしつつも、責任や恩義で跡を継がざるを得ない状況を受け入れていた。勅使河原は、幼馴染の三葉と早耶香が町を出たいと愚痴る様子を静かに見守っていたが、オシャレなカフェがないなら作ればいいと提案する。


「アースバウンド」
 最近時々様子がおかしい姉を、不審に思う小学生の四葉。特に自分のおっぱいを揉んでいるのが疑問だった。
 ある日、ふとした拍子に自分と姉が作った口噛み酒は本当に酒になっているのか疑問に思い、自分が作った方の口噛み酒をこっそり味見してみた。
 その日のお神楽の稽古の時、四葉は突然意識が遠くなり、気が付いた時には知らない大人の女性の体に入っていた。目の前の女性にお神酒に悪戯をしたことを諭される。


「あなたが結んだもの」
 映画の舞台より20年前。歴史文化学を研究していた溝口俊樹は、宮水神社を訪ねた。宮司の娘・宮水二葉によると、宮水神社には竜退治の伝説が残っていると言う。俊樹は糸守町にある隕石湖から、竜とは隕石のことではないかと推測した。
 研究のためと何度か二葉と会ううちに、惹かれ合った二人は結婚し、二人の娘が生まれた2年後、二葉が病死した。二葉の死の悲しみが怒りとなり、二葉が入院も大病院への転院も拒んだのは宮水がムスビと呼ぶ人々の関係性を恨んだ。この町を根底から変える決意をし町長に立候補、当選した。
 20年後、隕石が糸守町落ちようとした時、三葉の姿をした別の人間が俊樹を訪ねてきた。


 散々話題になり尽くしてから映画を観て、浅く観ると面白い、深く考えると行き詰ってつまらない映画だと思った。何かもうちょっと深いとこがわかるかなぁと思ってアナザーサイドとやらを読んでみたんだけど、これまた浅い。あくまで別視点の話なだけで、そこに深みとか映画に描かれなかった設定とか疑問の答えとかは書いてなくてがっかり。
 そもそも読み物としてもいまいち面白くない。映画『君の名は。』のテンポあるストーリー運びが好きで、そこに主題歌の『前前前世』の疾走感がマッチしてて良かったんだったけど、この小説の作家さんは思考描写が堂々巡りしてるタイプ。うだうだダラダラと続くモノローグがつまらない。映画にはない点を描こうとしすぎてるせいなのか?この作家の特徴なのか?とにかく読んでてつまらなかった。
 結局『君の名は。』って、タイムスリップなのかパラレルワールドなのか。宮水家の女性に起こる体の入れ替わりは何なのか。何のために忘れていくのか。記憶だけじゃなく記録も消えていくのはなぜか。三葉と瀧に2年のタイムラグが起こったのはなぜか。 そして私的一番の疑問、平成生まれの若者が相手に名前を尋ねる時に「君の名は」なんて聞くか?「名は」って!
 ていうこの辺の疑問が宙ぶらりん過ぎる。不思議な力が謎のままなのは、まあいい。忘却の設定がやけに悲しく感じるのも、きっと原作者の思う壺なんだろう。でもタイムスリップなのかパラレルワールドなのかはかなり重要じゃない?まあ、パラレルっぽいかなと薄々思ってはいるんだけど、それだと別の並行世界では三葉達は死んでることになる。そう思いたくなくて、私はタイムスリップであって欲しいと思ってる。
 あれ?最終的に映画の感想になっちゃった。
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