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元司書による読書備忘録ブログ。思ったことは全部書き、何様気取りの感想だったり平気でネタバレしたりします。
『流星の絆』  東野 圭吾
2018-07-27 Fri 13:35
流星の絆
流星の絆
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東野 圭吾
講談社   2008.03
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 小6の功一、小4の泰輔、小1の静奈の3兄妹は、夜中に流星群を見るために窓から家を抜け出した。天気に恵まれず流星群は見られないまま帰って来た3人だったが、家で両親が殺されているところを功一が発見する。外で待っていた泰輔は、裏口から出る見知らぬ男を目撃していた。
 3人は施設に引き取られ、犯人が見付からないまま月日は過ぎて14年後の時効間もない頃。3兄妹は功一の頭脳、泰輔の演技力、静奈の美貌を武器に詐欺グループとして助け合いながら生きていた。
 稼業が上手くいっているうちに手を引こうと、功一は有名洋食店「とがみ亭」の跡取り息子・戸神行成を最後の標的に選ぶ。計画はいつも通り順調だったが、偶然行成の父親・政行を見た泰輔は14年前の事件直後に家の裏口出て来た男だったと言い出した。また、静奈も創業者オリジナルのハヤシライスが父親の洋食店「アリアケ」の物と酷似していることに気付いて動揺する。
 何とか証拠を掴んで時効前に警察に逮捕させようと画策する中、功一と泰輔は静奈が行成に本気で惹かれ始めていることに気が付いた。


 しっかり者で頼もしい功一、兄を尊敬しつつも少し弱いところのある泰輔、兄達に可愛がられている静奈。3兄妹の微笑ましい冒険が終わった直後の惨劇が衝撃的で、一気に引き込まれた。特に功一の、しっかり者長男であるが故にこんな時でもしっかりせざるを得ない様子に胸が痛む。と同時に、自分自身も折れそうになりながらも弟妹の事を心配している功一を、状況説明だけで感じさせている東野さんの文章力が凄い。
 時効廃止制度が施行される前に書かれた本で、時効成立直前の焦燥感や絶望はそう多く書いていないのに感じさせられる。静奈の恋心も密かに静かに忍び寄って来るし、時々起こるトラブルにはしっかりヒヤッとさせられ、政行は殺人犯らしからぬ泰然自若とした人格者だと思ってたらやっぱり犯人じゃないし、偽ダイヤを買って「僕もあなた達と絆で繋がれていたい」には、ただただ感動。やっぱりベストセラー作家って凄いなって改めて思った。
  でも、真犯人はちょっと唐突過ぎたかなぁ。思い返せば伏線は随所にありはしたけど、え?そっち?お前が出しゃばるんかい!みたいな。真犯人がいたおかげで、静奈は幸せになれそうなんだけどね。とは言え詐欺犯罪者だからコソコソ生きて行かないといけない・・・かと思いきやそこんとこも、きれいに解決。円満な幸福に、安堵した。願わくば、功一と泰輔にもいつか幸せになって欲しい。
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