元司書による読書備忘録ブログ。思ったことは全部書き、何様気取りの感想だったり平気でネタバレしたりします。
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『Xの悲劇』  エラリー・クイーン
2017-01-19 Thu 01:43
Xの悲劇 (創元推理文庫)
エラリー・クイーン
東京創元社   1970.10
売り上げランキング: 79,610

 仲間内に婚約を発表した株式仲介人ハリー・ロングストリートは、移動中のバスの中で毒殺された。すぐにバスを停めて締め切り警察を呼んだが、手掛かりはない。捜査に行き詰った警部のサムと検事のブルーノは、元役者のドルリー・レーンを訪ねた。彼はかつて難事件を新聞報道を読むだけで解決の糸口を見出し、警察に助言したことがあった。
 レーンに相談した翌日、ブルーノのもとに「犯人について知っている」という匿名の手紙が届いた。指定の場所では、ロングストリート殺害のバスの車掌チャールズ・ウッドが何者かに突き落とされて墜死する。現場近くにはロングストリートの共同経営者のジョン・デウィットがいた。彼は、自分は犯人ではなく人と待ち合わせをしていただけだが、誰と待ち合わせをしていたかは言えないと言う。
 裁判にかけられたデウィットを、レーンが犯行は不可能だったことを指摘する。救ってくれたレーンに全てを話すと言ったデウィットは、無罪放免のお祝いの帰りに銃殺された。


 本格推理小説は、やっぱ感情が乏しくて苦手だわ・・・と、世界的に超絶人気推理小説家でも思ってしまうダメ頭の私です。淡々と事実だけをつらつら書かれてると、何だかボーッとしてきて目が滑っちゃう。でも犯人逮捕の時の、畳み掛け方は胸が高鳴ったし、トリックが大胆なところは面白かった。
 情けないことに冒頭から若干引きずり続けた、海外文学あるある「ここはどこ、あなたは誰」状態で頭がついていかなかった点は本当にどうしようもない。あと、ラストのレーンによる解説は、ちょっと長すぎたかな?仮の名前が多過ぎて、全然理解してないまま読んだ。あー、やっとラストだと思ってたところに、タイトル「X」の真の意味がピリッと一行ちょっとで書かれていて、そこはいい余韻。犯人のXさんって意味じゃなかったんだ!と感動。でもさ、タイトルとのリンクは素敵なんだけど、デウィットのダイイングメッセージとしてはちょっと無理がある気がする。死ぬ間際に無理やり作ったダイイングメッセージだからって?指を絡めて「Xに見える」って、ちょっと厳しいわー。
 地名人名が覚えられないのはさておき、かなり読みやすかった。何より訳が良い。読みやすさと小難しさのバランスが良くて、誰かと思ったら鮎川信夫氏でした。さすがに名前くらいは知ってるけど、やっぱ詩人さんは言葉のまとめ方が上手い。よくもまあ、こんな熟語できれいにまとめたもんだと感心すること多々。
 それにしても、探偵役の元俳優ドルリー・レーンがなかなかチートだった。有名人で美男子で背が高くて逞しくて大金持ちで頭が良くて美声、だけど耳が完全に聞こえない。かと思いきや、完璧な読唇術でほぼ不自由はない。ロマンスグレー好きな私としては、まずメロメロ寸前だった。
 ところで、この作品から始まる「悲劇シリーズ」4作は、エラリー・クイーンがバーナビー・ロスという別名義で出版し、完全に別人物だと世間に思わせていたらしい。元々覆面作家で二人一役でやってきてたから、クイーンVS.ロスで討論もやったらしい。公表した時、どうだったんだろう。凄い!それは面白すぎる!当時のアメリカの人達、どういう反応だったんだろう。現代日本で例えるのもおかしいけど、舞城王太郎が実は西尾維新でした、みたいな?あれ?ちょっと違う?とにかく、冒頭にその件が書いてあるのを読んで、当時の推理小説文学界の盛り上がりを想像するとちょっと楽しかった。
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