元司書による読書備忘録ブログ。思ったことは全部書き、何様気取りの感想だったり平気でネタバレしたりします。
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『有頂天家族 二代目の帰朝』  森美 登美彦
2016-09-08 Thu 12:37
有頂天家族 二代目の帰朝
森見 登美彦
幻冬舎   2015.02.26
売り上げランキング: 4,825

 シリーズ2作目。かつて赤玉先生が自分の息子として育て、一人の女性を巡って大喧嘩した「二代目」が英国から帰って来た。二代目は恋敵となった父を恨み、受けて立った赤玉先生、訪ねてきた挙句高慢に振る舞う弁天と対立する事となった。
 ツチノコ探しがマイブームの下鴨矢三郎は相変わらず「面白きことは良きことなり!」をモットーに、天狗や人間に良い顔をしつつ生きている。
 下鴨家とは犬猿の仲である矢三郎の叔父・夷川早雲は金曜倶楽部の布袋の座を希望していたが、ひょんな事から矢三郎が布袋にされてしまう。人間の前で化けた早雲は寿老人の手下である天満屋から銃殺されてしまい、居合わせた矢三郎は狸界で早雲殺害の噂を立てられた。そんな中で執り行われた早雲の葬式だったが、旅に出ていた夷川家の長男・呉一郎が帰還する。
 彼は下鴨家へ和解を申し出ただけでなく、矢三郎の早雲謀殺論を一掃し、狸界の頭領「偽右衛門」選挙に立候補した矢一郎を応援した。総選挙の立会人は赤玉先生に頼んだが、赤玉先生は弁天を後任にすると言い出す。弁天を招くのが嫌だった狸達は、矢三郎の提案で二代目に立会人の依頼する事にした。弁天の怒りを買った矢三郎は琵琶湖に潜伏したが、家出して来た海星と共に天満屋に捕まって金曜倶楽部に献上されてしまった。


 待ってました、第二弾。三部作だと知って以来、出版されてないか時々調べては落胆する日々だった。一巻から約十年の時を経て出版。やっぱ好きだなぁ、厳かなのかふざけてるのかわからない文章と雰囲気。独特な擬音も好きだし、妙に古典めいたところも好き。普通ならきっと「阿呆の血がそうさせるのだ」とでもするところを、「阿呆の血のしからしむところだ」と書かれてるとことか超好きだ。でもってやっぱり私は家族物に弱いと思う。普段から家族仲のいい下鴨一家だけど、矢三郎の危機での矢一郎の暴れぶりには今回も感動。
 一章から六章まではプラプラ愉快に暮らす矢三郎だったけど、その分若干退屈だったのは否めないかな。新しくて捻りあるキャラ達は楽しいけど、エピソード自体は比較的穏やかで矢三郎が調子良く生きてるだけに見える。矢一郎と玉瀾の恋とか、距離感もくっつき方も可愛いんだけど盛り上がりには掛ける。火花を散らす天狗達も、赤玉先生にも二代目にもいい顔をする矢三郎も、愉快だけど物足りない。それが七章で、ガツンと1作目の面白さを超えた。玉瀾も加わったファミリーの更なる団結に、狸って本当に素晴らしいですね、って某映画評論家みたいな状態になってる。
 ところで矢三郎は、結局海星ちゃんに惚れちゃったんだろうか。てっきり今でも弁天が好きなんだと思ってた。まさか、姿を見れば化けの皮が剥がれるほど海星ちゃんが好きだとは。それでいて、ラストにはやっぱり弁天。弁天も何だかんだ言って矢三郎は特別っぽいし。まあでも、矢三郎は狸なんだしね。
 矢一郎は偉大な父と同じ「偽右衛門」になり玉瀾と結婚、矢二郎は薬さえ飲めば蛙から戻れるようになったけど旅立ち、矢三郎はお調子者に磨きが掛かり、矢四郎は・・・矢四郎は・・・研究家になってる?まあまだ幼いから置いといて、でも全員大なり小なり1作目より成長してるのが、読んでて嬉しかった。
 次はいつ出るのかなぁ。また10年近く掛かる?今回は赤玉先生は情けないのか偉大なんだかわからなくなってきたんだけど、次回で実は凄かったとかならないかなぁ。結構好きなんだよ、赤玉先生。弁天と二代目の戦いで、髪を燃やしながら堕ちていった弁天より、燃える邸宅に天狗風を吹かせて捨て鉢にも見える二代目の方に来るとは。彼の威厳は、ただの過去の栄光なのか、本物なのか気になる。
 この話を読むと、赤玉ポートを飲みたくなる。できれば電気ブランも飲みたいところなんだけど、行動範囲の狭い私が口にする日はあるんだろうか。
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