元司書による読書備忘録ブログ。思ったことは全部書き、何様気取りの感想だったり平気でネタバレしたりします。
『双頭の悪魔』  有栖川 有栖
2016-05-17 Tue 13:41
双頭の悪魔 (黄金の13)
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有栖川 有栖
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 前作『孤島パズル』で親戚達が殺し殺される場に居合わせた有馬麻里亜は、傷心のまま旅に出た。あちこちを旅をしてふらりと四国に行き、芸術家達が外界との交流をほとんど絶ってにひっそりと暮らす山奥の村・木更村を訪れる。
 部外者の立ち入りを禁止するその村から出ようとしないマリアを連れて帰ってくれるよう、マリアの父親から依頼された英都大学推理小説研究会(EMC)のメンバーのアリス、江神、織田、望月の4人は、織田の運転する車で木更村の手前の夏森村までやってきた。しかし木更村の入り口で1人の村民とカメラマンとの諍いに巻き込まれて誤解される。4人は夜の雨に乗じて木更村に潜入する事にしたが、見付かって村民達と大乱闘になった。
 一方村民のせいで脚に怪我を負い木更村に滞在する事を特別に許されたマリアは、ほぼ自給自足の村民と共に生活したり、画家の鈴木冴子のモデルになったりして過ごしていた。穏やかに過ごしていたある夜、村の当主・木更菊乃が村民で画家の小野博樹と結婚すると発表した。小野は木更村を開放して観光地にしようと提案していたため、村民達に動揺が走る。
 作曲家の八木沢や、造形作家の前田哲子から外部の者がマリアの知人を騙って村と接触を図ろうとしていると聞かされて何となくEMCの仲間達を思い出していたマリアだったが、夜に図書室で過ごしていると窓から江神が訪ねてきた。他の3人は夏森村に強制送還されたものの江神だけ木更村に留まることが許され、翌日にはマリアと他のEMCのメンバーが再会する予定だった。ところが翌朝、小野の死体が村の奥にある鍾乳洞で死体となって発見される。死体は岩棚の上で逆さ状態になり、調香家・香西琴絵が作った香りに包まれて死んでいた。しかも振り続けた雨のせいで起こった鉄砲水で唯一の橋が流されてしまい、停電まで起こってしまう。、警察が村中を捜査するのを嫌がる菊乃が通報するのは2日間自分達で捜査をしてからと決めていた。2日目の夜に犯人は作曲家の八木沢だと推理していた江神だったが、八木沢がピアノ演奏中に背後から刺殺されて琴絵が作った香りが振りかけられているのを発見しされた。
 夏森村では、橋が流れてマリア達と接触できなくなったEMCの3人が、木更村に閉じ籠る過食症の元アイドルの千原由衣を執拗に探していたカメラマン・相原直樹の死体を発見した。
 

 前作『孤島パズル』から2ヶ月後の11月を舞台に、アリスとマリア2人の視点から描かれる。前半の、EMCの4人がなかなかマリアに会えない辺りはもどかしいけど、江神がマリアと合流してからは急に頼もしくなった。でも逆に、夏森村組のアリス、織田、望月が何だか頼りない。でも、3人で論争を繰り返すうちにアリスが犯人を突き止めるんだけど。
 分断された場所で2ヶ所で起こったから連続殺人事件って感じはしない。でも江神の推理っで2ヶ所の殺人事件が突然交わり、1本に繋がる。ただ今回の謎解きの部分がいつも以上に長く感じた。琴絵がずーっと反論し続けたからかな?時系列順に憶測状態の部分から先に話すから、琴絵の嫌味ったらしい返答が繰り返されるのにイラッとする。謎解きは20ページ分くらいあるんだけど、確たる状況証拠であるラスト3ページくらいを先に説明してから交換殺人の解決に入った方がわかりやすくない?そもそも、交換殺人って題材にリアリティ持たせるのって難しいよね。どちらから見ても相手が本当に殺すかどうか当てにならないから、先に犯罪を犯すのは嫌だと思う。片思いの相手のために相原に殺意を抱いて、木更村開放反対だったから一緒に生活してきた仲だけど小野を殺しましたって感じになるのかな。どうなんだ、それ。
 トリック自体は回を重ねる毎に面白くなっていくシリーズと思う。でも、最後に犯人が死ぬのはいただけない。たまにはアリかもしれないけど、あんまり良い終わり方じゃない分毎回だとちょっと飽きる。
 今回はアリスとマリアはほとんど・・・いや、全く交流しなかった。織田と望月さえ電話で話したのに、アリスとマリアが再会する直前で、物語は終わる。そんなーって思ったけど、今回2人が離れてる分、江神さんを加えた三角関係になってきたように思う。アリスは単純にマリアが好きなんだと思う。ただ、マリアが好きなのがアリスなのか江神さんなのかわからなくなってきた。でもって江神さんがジェントルマン過ぎて、マリアに対してラブなのかライクなのかわからない。
 マリアの回想の中でチラッと出てきた「臨床犯罪学者」の話。学生アリスと作家アリスは別シリーズだとネットで見て知ってたけど、学生アリスが書く小説が作家アリスみたい。そういう世界が作ってある事に、なんだかワクワクする。
別窓 | [あ行の作家]有栖川 有栖 | コメント:0 | トラックバック:0 |
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