元司書による読書備忘録ブログ。思ったことは全部書き、何様気取りの感想だったり平気でネタバレしたりします。
『インペリアル』 赤川 次郎
2012-04-20 Fri 15:58
インペリアル (カドカワノベルズ)
赤川 次郎
角川書店  1992.12
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 有名ピアニストの影崎多美子は、3年ぶりに開いた演奏会で演奏中に倒れてしまう。彼女はステージに駆け付けたスタッフに、「インペリアル」と呟いて意識を失って病院に運ばれた。命は取り留めたけど、原因は心臓の持病で予断は許されない。
 多美子の2人の娘のうち、気質も才能も母に似た姉のそのみは高いプライドを持つピアニストになり、穏やかな性格ながら音楽家としての才能には恵まれなかった妹の由利は普通のOLとして生活していた。母の入院で先立つ物が必要になり、由利は偶然を重ねながら芸能界に入っていく。
 特殊な世界をディープに突っ込むことなく、ごく浅いけど妙にリアルに描いてあるからわかりやすい。プロの音楽家の激情あり、芸能界の薄汚さあり、不倫を含む男女のドロドロあり。サスペンスと書いてあるけど、ヒューマンドラマって感じ。わかりやすいからサラララ~と読んじゃうけど、終わってから「で?」って思った。
 多美子はどうして「インペリアル」と呟いたのか。音楽用語での「インペリアル」とは普通のグランドピアノより鍵盤が多いピアノの事らしいけど、その謎は最後の最後まで引っ張る。で、ラストに病院から抜け出した多美子の口から聞かされた事実が、もの凄くつまらない。もうちょっと意味ある事だと思ったよー。
 小中学生の頃にやたら赤川次郎を読んでたけど、実家に帰省して暇つぶしに読み返したコレ。当時も、何これつまんないって思ったのを思い出した。そして当時は、あんまり意味わかってなかった事も理解した。芸能界や音楽家の世界って本当にドロドロしてるらしいとか、大人の男女はそう簡単に関係を持つもんじゃないとか。
 読み終えた感想が「つまらない」でも、どんどん読んじゃうのはさすが赤川次郎。何かが起こるんじゃないかって気がしながら読んでしまって、読み終えるまでつまらない事に気付かなかった。そういう意味では、つまらないじゃなくて面白いのかな。
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