元司書による読書備忘録ブログ。思ったことは全部書き、何様気取りの感想だったり平気でネタバレしたりします。
『吉原手引草』  松井 今朝子
2009-05-29 Fri 16:49
吉原手引草吉原手引草
松井 今朝子

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 ある男が吉原の大見世舞鶴屋で起こった事件について、葛城を知る人に話を聞き歩いていく。吉原のしきたりなどを聞かされながら、次第に葛城自身と事件の真相に迫っていく話。
 第137回直木賞受賞作。

 話を聞き歩いてる人物は見目のいい男であり、葛城という花魁が関わった事件について話を聞きたがっているということ以外、何もわからない。ただ、章ごとの話者がぺらぺらと自分の仕事のことやら吉原のことを話しているだけという、読んだ事ない新しい手法の小説だった。1章目の一番最初からいきなり一人語りのように話がどんどん進んでいく。
 事件そのものも何のことだかわからない。聞き手らしき男は面と向かって事件について聞きたいとは言わない。舞鶴屋に関わる色んな人達に吉原についてや彼らの仕事内容を聞く中で、さり気なく葛城という花魁の名前を出していくだけだ。
 事件の存在感があまりにも薄いため、吉原内の様子や作法の描写の細かさに感心しながら読んでたらいつの間にか葛城の人柄がわかっていった。事件のことがわかったのは、かなりラスト近く。こんな構成、見たことない。ただ、面白いかどうかというと、ちょっと悩む。事件の存在は早いうちに書かれてるけど、ほとんど流されて吉原の話ばかり。最後の最後にやっとどんな事件だったかがわかり、そのすぐ後にハイ解決みたいな。
 新しいし、凄い。それだけだった。揺さぶられる感覚や深い共感みたいなのはなかったく、ただ、新しい手法だなっていうのと吉原ってそういうとこなんだ~ってだけ。インタビューがつらつら書いてあるようなもんだから起承転結もなく、「展開」みたいなのがあまり感じられなかったから先が気になるっていう感覚もなかったし。
 全く面白くないわけでもなかったけど、斬新な書き方だけが評価されて直木賞受賞になった気がしなくもないのが残念。だってこれ、普通の小説形式で書いてあったらどうだ?面白いか?普通でしょ。
 話を聞いて回ってた男の正体も、正直がっかりだったかな。何者がどういう理由で調べてるんだろうと思ってたら、ただの上司命令かよって。だから読み終わった後、手法の斬新さしか印象に残らなかった。
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