元司書による読書備忘録ブログ。思ったことは全部書き、何様気取りの感想だったり平気でネタバレしたりします。
『魔術師のおい―ナルニア国ものがたり6』  C.S.ルイス
2009-05-24 Sun 04:01
魔術師のおい (ナルニア国物語)魔術師のおい (ナルニア国物語)
ポーリン・ベインズ 瀬田 貞次

岩波書店 2005-11-11
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 病気の母と共に、おじ・おばの家に住むことになった少年ディゴリーは、隣に住む少女ポリーと中良くなる。ある日彼らは自分達が住む棟続きのタウンハウスの屋根裏を冒険しようとし、ディゴリーの叔父・アンドルーから「立ち入り禁止」と言われていた部屋に入ってしまう。
 アンドルーに騙されて黄色の指輪で別世界へ行ってしまったポリーを助けるため、自分も指輪を嵌めたディゴリー。「世界と世界のあいだの林」で合流できた2人は、また別の世界・チャ―ンから女王ジェイディスをロンドンに連れ帰ってしまった。あちこちで騒動を起こした女王を元の場所に連れ帰ろうとしたディゴリーとポリーは、誤って女王だけでなくアンドルー、馬車屋までも連れてきた挙句、ライオンのアスランが作ったばかりのナルニアに来てしまった。
 こうして、できたばかりのナルニアに悪が持ち込まれた。

 これまでの「ナルニア国ものがたり」シリーズと違い、ルーシー達がナルニアに行く何十年も前の話になる。ということは、ナルニアにとっては何百年か何千年か前になるんだろうか。ディゴリーとポリーが連れてきてしまったジェイディスが白い魔女であり、ジェイディスがロンドンで折ってそのまま持ってきてしまった街灯がアスランの歌の魔法で成長してあの街灯になったり、ディゴリーが後のカーク教授だったり、持ち帰ったりんごから生えた木をたんすにしたのが例のたんすだったりとかして、『ライオンと魔女』の長いプロローグのような感じがした。ナルニアの最初の王って、こっちの世界の人だったんだ~とかいうのも何だか感慨深い。
 しかしこの巻はやけに宗教色が強くなったかな。アスランによるナルニア創造もそうだけど、ジェイディスがりんごを持ち帰るように誘惑するところとかは聖書そのまま。私は聖書にあまり詳しくはないけど、アスランがディゴリーの罪を償うチャンスをくれて、成し遂げたディゴリーに赦しを与える辺りもキリスト教っぽい感じが漂ってくる。ただこれはキリスト教に限ったことではなくて、純粋に子供のための物語として読んでも充分すぎるくらい楽しめるようにできている。
 ところで私は、読みとったのではなく調べてアスラン=キリストを知っている。何でキリストが世界を作ってんの?と思うんですが。キリストは神の子であって、世界を作ったのは父親ってことになる。だからキリストにもその力があるっていうことなんだろうか?日本でも西洋でも欧米でも、神話で「神」と「神の子」って結構隔たりがあるイメージなんだけど、まああくまで私のイメージなんだし、これは宗教本ではなくて宗教をモチーフにした物語なんだから、あんまり深く考えるもんじゃないんだろう。
 ちょっと古い児童書なんで、書き方とか訳し方なんかが古くて読みづらいところはある。特に今回は結構気になった。それがあっても、物語そのものは面白い。全7巻中6巻まできたけど、臨月どころか出産予定日を昨日に通り越してる私にはもうこれ以上は当分読めそうにない。もたもた読んでるからこういうことになったんだけど。ただ、自分の子供には文庫版でもいいから、買ってあげたいなぁ。
 
 1955年刊。アマゾンの画像は新装版。

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