元司書による読書備忘録ブログ。思ったことは全部書き、何様気取りの感想だったり平気でネタバレしたりします。
スポンサーサイト
-------- -- --:--
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

別窓 | スポンサー広告 |
『さまよう刃』  東野 圭吾
2009-04-30 Thu 12:33
さまよう刃さまよう刃
東野 圭吾

朝日新聞社 2004-12
売り上げランキング : 190512
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

 高校生の一人娘を殺されて呆然としていた長峰に、スガノカイジとトモザキアツヤという2人が犯人だと告げる謎の電話があった。教えられた住所のアパートの侵入した長峰は、娘が凌辱されているところを撮影したビデオを見付ける。彼は帰ってきた男を衝動的に殺して逃走し、もう1人の男も殺す決意をした。

 身勝手な犯行と逃亡、親の責任放棄、遺族を喰い物にするマスコミなど、読んでいるだけなのに悲しみと憎悪が押し寄せるように伝わってくる本だった。東野さんの文章は、相変わらず凄い説得力を持って迫って来る。トントンと進んでいく話とは裏腹に、読めば読むほどずっしり重い。でも単なる読者でしかない私達は、本当に家族を殺された経験を持つ人の気持ちの何百分の一も理解できてないんだろう。
 犯罪を犯す若者だけじゃなく、その親達が揃って無責任であることがまた腹立たしい。やはり彼らを育てた環境そのものから歪んでいるんだろうか。だとしたら、最近の残忍な少年犯罪を語る前にその上の世代から見直さないといけないんだろうか。
 重く苦しいけど、目を背けることができない話だった。ここ数年、少年による自己中心的な犯罪を本当に頻繁に目にする。何の落ち度もなく事件に巻き込まれた被害者の遺族は、加害者が少年だからと庇う法律によって何度も絶望しているだろう。そう思っている人って多いんだろう。復讐を決意する長峰を支える人、声に出して言うことは許されないけど長峰の復讐を願う人もいる。まさに現代の少年犯罪を描く作品だった。
 唯一の不満と言えば、カイジとトモヤにレイプされた揚句自殺した少女の父親・鮎村が刃物を持ってカイジに向かって行く際に声をあげたこと。何で「うおおおお」なんて言っちゃうんだよ、相手は若いから気付かれたら避けれるじゃないか。作中にどっぷり浸かりながら読んでいたんで、闇雲に突進する鮎村が歯がゆくもあった。
 ラストは、フィクションとしてこれで良かったのかは悩む。カイジをもっともっと苦しめて欲しかったとも思うし、長峰には復讐を遂げて欲しいと願いながらも読み続けていた。でも反面、長峰がこれ以上苦しむことはないということにほっとしている。生きて罪を償っても、長峰の苦しみは絶対に終わらないうえにカイジの方が社会復帰が早い可能性だってあるんだから。未成年であることと、傷害致死であること、悪質なレイプ事件常習犯でも現行の法律は罪が軽いこと、麻薬の使用が初めてであることなんかを考えると、カイジが後悔するほどの罪には決してならないだろう。
 裁判員制度が始まって、凶悪犯罪に対して世の中の人々が思っている罪が科せられるようになればいいと思う。
別窓 | [は行の作家]東野 圭吾 | コメント:0 | トラックバック:0 |
<<2009年4月に読んだ本 | よむよむ記 | 『QED 神器封殺』  高田 崇史>>
この記事のコメント
コメントの投稿
 

管理者だけに閲覧
 

この記事のトラックバック


| よむよむ記 |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。