元司書による読書備忘録ブログ。思ったことは全部書き、何様気取りの感想だったり平気でネタバレしたりします。
スポンサーサイト
-------- -- --:--
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

別窓 | スポンサー広告 |
『きみはポラリス』  三浦 しをん
2009-04-25 Sat 14:40
きみはポラリスきみはポラリス
三浦 しをん

新潮社 2007-05
売り上げランキング : 90180
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

 「恋愛」をテーマに書かれた短編集。

「永遠に完成しない二通の手紙」 (お題「ラブレター」)
 岡田勘太郎のアパートに寺島良介が訪ねてきた。合コンで出会った内村洋子という女性にラブレターを書くのを手伝ってほしいと言う彼を、岡田は文句を言いながらもそれを手伝う。

「裏切らないこと」 (自分お題「禁忌」)
 まだ赤ん坊の息子・勇人をお風呂に入れるためにと急いで帰った「俺」は、妻の恵理花が勇人のペニスを口に含んでいるところを窓から見てしまう。以前から女性が身内の男性に向ける親しさが理解できずにいた「俺」は、その疑問をますます深くしていた。
 その不可解さから、「俺」は子供時代にお世話になった老夫婦のことを思い出す。

「私たちがしたこと」 (自分お題「王道」)
 喫茶店で料理を作っている「私」は、友人の美紀子のウェディングドレス作りを手伝っている。その最中に、美紀子は「私」が恋をしない理由と「あの日」起こったことを聞いてきた。ずっと気に掛けていた様子の美紀子に、「私」は忘れられない彼と「私」との出来事を話すことにした。
 高校時代、付きあっていた俊介の家に行った帰り道に「私」は何者かに河原で犯されそうになった。そこに俊介が駆けつけ、棒のようなもので男を殴り殺した。2人で穴を掘って埋めたが、俊介は後悔してないから警察に言うつもりはないと言う。しかし「私」は犯した罪に怯えるようになっていった。
 
「夜にあふれるもの」 「自分お題「信仰」)
 ミッション系の高校に通っていた時の友人・真理子は人間を超越した存在を体感し、ミサの最中に感極まってて失神するような子だった。
 その真理子の夫・木村芳夫から電話を受け、彼と会って話すことになった「私」ことエルザ。夫によると、真理子は妊娠してから「家に悪霊がいる」と言うなどおかしな言動が目立つようになってきたらしい。その日の夜、真理子が夫と共に「私」のアパートにやってきた。行きたい所があるから付き合ってほしいと言う。「私」と恋人の有坂は、青森のキリストの墓まで連れて行かれる。

「骨片」 (お題「あのころの宝物」)
 「私」こと蒔田朱鷺子は、大学卒業後は実家のあんこ屋を手伝ったり寝たきりの祖母の世話をしたりしている。ある日「私」のもとに、敬愛する恩師が亡くなったという連絡が入った。火葬場で「私」は、恩師の骨片をこっそり持ち帰る。

「ペーパークラフト」 (自分お題「三角関係」)
 夫・始と共に二歳の息子・太郎を連れて行った水族館で、夫の高校時代の友人・熊谷勇人と知り合った里子。ペーパークラフト作家をしているという彼は、時々家に来るようになった。
 ある日始の出張中にやってきた熊谷は、始が女性と写っている写真を見せた。始との再会は、彼の素行調査をするためだったようだ。

「森を歩く」 (お題「結婚して私は貧乏になった」)
 捨松と同棲し、未提出とはいえ婚姻届に判を押している「私」ことうはねは、彼が何の仕事をしているのか知らない。時々長期間いなくなり、年に1~2度50万か100万のお金を渡されるだけだった。捨松と暮らすようになって充足感を覚えてはいるが、「私」は彼の仕事を知るために後をつけることにした。 

「優雅な生活」 (自分お題「共同作業」)
 自分以外の女子事務員達が実践しているロハス生活に興味を持ち、手始めに玄米を買って帰った。貧乏で結婚もできないから2人で何か共同作業をしたかったと言うさよりの言葉で、最初は大反対していた俊明もロハスに拘るようになっていく。

「春太の毎日」 (お題「最後の恋」)
 麻子に拾われた「俺」こと春太は麻子が大好きだけど、麻子は「俺」がいてもしょっちゅう米倉健吾を家に上げていちゃついている。しかし麻子にとって「俺」が一番だとわかっているから、黙認していた。

「冬の一等星」 (自分お題「年齢差」)
 「私」こと映子は文蔵と過ごした時のことを思い出して時々車の後部座席で寝る。
 「私」が八歳の冬のことだった。母親の車の後部座席に忍び込んで寝ていたら、いつの間にか知らない男の人が運転をしていた。文蔵と名乗るその男は、「私」がいることを知らずに車を盗んだようだった。

「永遠につづく手紙の最後の一文」 (自分お題「初恋」)
 岡田勘太郎と寺島良介は体育倉庫に閉じ込められた。閉じ込められた状態でも馬鹿な寺島に、岡田はこれまでの付き合いを思い返す。

 巻末に書いてあったんだけど、三浦さんは恋愛をテーマにした短編を依頼されることが多いそうだ。依頼者から指示されたテーマを「お題」、自分勝手に設定したテーマを「自分お題」として載せてあったんで、各タイトルに括弧書きして付けた。
 大して厚くもない本に11編も入っているから、1話がとても短い。それなのに妙に深みがある。でもその深さは尋常じゃない感じで、フィクションとして扱わないと私の常識を大きく逸脱しすぎて嫌悪しそうになる物もあるくらいだ。
 例えば1話目と11話目は時間軸は違うけど同じ登場人物で、最後に同性愛だったことが明確になる。三浦さんが好きらしいホモネタは、私は基本的に大嫌いだ。友情に紛れ込ませたホモネタとか、特に嫌い。
 それからやたらと出てくるダメ男。「ペーパークラフト」の始、「森を歩く」の捨松、「優雅な生活」の俊明なんかがそうで、普通に見たら付き合ってる主人公達は不幸だ。彼女達はそのダメ男らと別れるつもりは全くなさそうという点も普通に考えたら理解できないけど、主題はそこではなくて別のところにあって別のことを伝えようとしてくる。
 どうしても受け入れがたかったのは、「裏切らないこと」の恵理花。これはちょっと、私の中の常識をシャットダウンしても受け入れ難い。先日の日記に書いたように、私は今妊娠中だ。腹の子は女の子らしいから、この行動を公平に受け取ることもできない。でも逆の立場で考えて、配偶者が娘の股間にそんなことしてたら殺人もんだと思う。老夫婦の話は良かったんだけど、どうも冒頭がね・・・。
 全体的に精度の高い作品だとは思うけど、好きか嫌いかというとやっぱ嫌いかなぁ。きれいすぎて昼ドラみたいとも感じるし、きれいだけどこんな恋愛は経験しなくて結構だとも思うし、あんま共感もできないし。
 あと、とても個人的なことだけど最近適当に借りる本が短編集ってことが多い。短編集は嫌いじゃないけど長編の方が好きだし、短編ばっか読んでると飽きてくる。久々に、ハラハラドキドキの長編小説を読みたいなぁ。
別窓 | [ま行の作家]三浦 しをん | コメント:0 | トラックバック:0 |
<<『非正規レジスタンス―池袋ウエストゲートパーク8』  石田 衣良 | よむよむ記 | 『双生児』  江戸川 乱歩>>
この記事のコメント
コメントの投稿
 

管理者だけに閲覧
 

この記事のトラックバック


| よむよむ記 |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。