元司書による読書備忘録ブログ。思ったことは全部書き、何様気取りの感想だったり平気でネタバレしたりします。
『双生児』  江戸川 乱歩
2009-04-20 Mon 23:30
双生児 (角川ホラー文庫)双生児 (角川ホラー文庫)
江戸川 乱歩

角川書店 1999-08
売り上げランキング : 638328
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

「双生児(ある死刑囚が教誨師にうちあけた話)」
 強盗殺人の罪で死刑が確定している男が、過去に犯した別の罪を教誨師に告白する、その独白。
 その男には双子の兄がいたが、親の財産のほとんどを兄が継いだことを妬んでいた。男は兄と瓜二つであることを利用して、兄を殺して自分が兄に成り変わることを思い付く。企みは成功し、兄嫁にも知れることなく彼は兄として生活していた。
 ある日男は、兄の日記帳の中に自分のものとは微妙に異なる指紋を見付けた。兄の指紋だと確信した男は、その指紋を使って新たな犯罪を計画した。

「一人二役」
 語り部「僕」の知人、Tが退屈凌ぎに妻にいたずらを仕掛ける話。変装したTは、夜ふけに帰宅して床に入った。付け髭に一瞬だけ触れさせて妻を不審がらせた後は狸寝入りをし、妻が気のせいかと寝入った後に自分とは違うイニシャルが入ったシガレットケースを残して出掛ける。その後Tとして帰宅しても知らないふりをした。このいたずらを何度か繰り返すうちに、どうやら妻は夫がいない夜に夫とは別の男が通っていると確信し始めた様子で、さらにその謎の男に心を寄せるようになっていっているようだった。
 やがてTは、自分自身が化けた男に嫉妬するようになる。

「ぺてん師と空気男」
 「わたし」は電車の中で、何も書いてない本を読み、口に紐を加えた奇妙な男を見掛けて思わず声を掛けた後に彼の後を尾行した。尾行はあっさりと看破されて、伊東と名乗るその男の家に招待される。彼はプラクティカル・ジョークの名人で、「わたし」と伊東は親しく往き来をするようになった。
 伊東の家で開かれる同好会にも出席するようになった「わたし」は、次第に伊東の妻に心惹かれるようになっていった。どうやら妻も自分を憎からず想っていると確信した「わたし」は、伊東がいない日に一線を越えてしまった。

「百面相役者」
 知り合いのRを訪ねた「僕」は、彼に連れられて芝居を観に行く。その芝居に登場した百面相の役者にすっかり感心した「僕」だったが、Rの家でかつての新聞記事を見せられた。墓を掘り起こして死体の首を盗んで行く犯人が未だに捕まらないという記事だったが、盗まれた死体の顔の一人が百面相役者の変装の中の一人にそっくりだったことに驚く。
 Rはその百面相役者が、死体から盗んだ首を使って面を作っているのではないかと言う。

「一寸法師」
 酔って公園を歩く小林紋三は、一寸法師(たぶん小人症の人のこと)を見かけた。何となく気になってこっそり観察していると、その一寸法師が人間の腕を捨てている所を目撃した。そのまま小さな寺に入っていくところまで見届けた紋三は翌日その寺を訪ねると、そのような人間はいないと言われた。
 不思議に思いつつ乗った電車の中で、彼は山野夫人と出会った。山野夫人は彼に、知り合いの明智探偵を紹介してほしいと頼んできた。娘の三千子が行方不明になっており、その相談に行きたいのだと言う。
 山野夫人を連れて明智小五郎を訪れた紋三は、共に話を聞き、3人で山野宅へ行くことになった。

 
 高校の時にエドガー・アラン・ポーの小説を塾の先生から借りて読んで感銘を受け、地元の図書館でポーの他の小説を借りようとした。司書さんに「エドガー・アラン・ポーの小説はどこですか?」と聞くと、江戸川乱歩の書架に案内されたというしょっぱい思い出がある。その司書さんはさっさとカウンターに戻って行ったし、当時知らない人に物を尋ねるのが苦手だったんで、結局何も借りないで帰ったんだが。
 そんな思い出があって、長いこと江戸川乱歩は読んでなかった。子供向けの少年探偵を数冊読んだってくらい。この本は、何か1冊くらい大人向けを・・・と思って適当に選んだ本。
 語りのシーンがポーに似てると思うのは気のせいだろうか。ポーも長いこと読んでないし、和訳しか読んでないから気のせいかもしれないけど。
 短編集ながらどの話も最後のトリックで驚かされたけど、「一寸法師」はあまり面白く感じられなかった。昔の小説だからだと思うけど、情景を上手く思い浮かべることができないまま話が進んでいって読みにくい。小人症の人を“一寸法師”だの“かたわ”だの堂々と書いてある所に時代を感じるなぁ。
別窓 | [あ行の作家]あ行その他の作家 | コメント:0 | トラックバック:0 |
<<『きみはポラリス』  三浦 しをん | よむよむ記 | 『東京DOLL』  石田 衣良>>
この記事のコメント
コメントの投稿
 

管理者だけに閲覧
 

この記事のトラックバック


| よむよむ記 |