元司書による読書備忘録ブログ。思ったことは全部書き、何様気取りの感想だったり平気でネタバレしたりします。
『心霊探偵探偵八雲6 失意の果てに』  神永 学
2009-01-07 Wed 00:30
心霊探偵八雲 (6)心霊探偵八雲 (6)
神永 学

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 八雲は一心から、知り合いの病院で出る幽霊について調査依頼を受けた。晴香にせっつかれて病院に行きはしたものの、いつも通り面倒そうに一通り見ただけで帰ってしまう。
 一方後藤と石井は、拘置所にいる七瀬美雪から「拘置所にいながらにして斉藤一心を殺す」と話した。2人が一心にその事を伝えた矢先、お堂で一心が何者かに刺される。犯行現場には美雪の指紋が付いた凶器が落ちていたが、彼女は間違いなく拘置所にいたはずだった。

 ミステリーとしてはいまいちで、美雪の指紋を付けたナイフで第三者が一心を刺したのは当然のことのはず。しかも美雪の性格からして明らかに彼女の指示で事は動いたはずなのに、なぜ身元洗い出しという基本でありつつ地味な作業ばかりピックアップしてるんだろうか。
 まあでも今回の話はミステリー部分はおまけみたいなもんだと思う。八雲の父親が実は死んでいて実態を持たない存在だったこと、奈緒を預かった後藤が得た妻との充足感、晴香によって精神的に助けられる八雲、何だか接近しつつある若い2人などなど、このシリーズを読んできたからこそ楽しめるシーンが満載だった。1巻目から八雲と晴香がいい仲になっていくだろうことは当然の流れだとは思ってたけど、何かもう進展がスローすぎて笑っちゃう。もちろんいい笑いだ。八雲の指が晴香の首筋に触れただの、ベンチシーンで手を重ねるだの、「晴香」と呼び捨てだの、いい年してニヤニヤしてしまった。そっかー、晴香は八雲を「八雲君」って呼ぶけど、八雲は呼び捨てなんだ~、ニヤニヤ・・・みたいな。
 ニヤニヤの一方で、一命を取り留めた一心に脳死の疑いがあるという。ドナー登録している一心は、八雲の同意で臓器が提供されることになる。というわけで今回の事件は結果的に臓器提供が動機となっていて、犯人はなかなか影の薄い人だったんで序盤に「トリックがわかりやすすぎる」と思ってたにも関わらず驚いたんだが。なかなかとって付けたような真犯人だった。美雪が得意の“他人の殺意を誘導して殺させる”を使ったんだろうけど、そういやちょろちょろ登場してたなってくらいにしか印象がない。
 ただ、八雲は最終的には一心が望んだとおりに臓器提供に同意する。その瞬間が苦しい。適合は?とかいうツッコミを心の隅に追いやってしまうには十分だった。読む前から一心の死は知ってたけど、何か一心らしい死に方だったなぁ。八雲が一心の霊を見送るシーンは切ない。
 美雪の護送車が炎上したという新聞記事で物語は終わってるけど、次の巻は外伝らしい。融通が利かない性格なもんで、7巻が気になりつつも出た順で読むことを自分に課しております。
 各巻の出版間隔を見ると、8巻がわりと長いこと出てないことになる。頑張れば追いつけるかもしれない・・・。
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