元司書による読書備忘録ブログ。思ったことは全部書き、何様気取りの感想だったり平気でネタバレしたりします。
『一瞬の風になれ 第三部 ドン』  佐藤 多佳子
2008-12-12 Fri 23:26
一瞬の風になれ 第三部 -ドン-一瞬の風になれ 第三部 -ドン-
佐藤 多佳子

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 充電期間である冬が終わり、「俺」は3年生になった。たくさんの新入部員が入ってきたが、中でも鍵山は根岸や桃山よりも足が速い。400mリレーのオーダーは鍵山、連、桃内、「俺」となった。しかし鍵山は癖のある性格で、尊敬する連にはべたべたと付きまとうが2年の桃内とはほとんど口をきかないでいた。
 その鍵山が、県記録会で肉離れを起こす。根岸が代走して県大会を通過したところで鍵山は復帰できたが、今度はバトンワークがなかなか上手くいかない。オーバーハンドからアンダーハンドに変わったバトンパスになかなか慣れることができず、そんな鍵山で南関東大会、総体と進めるにはリスクが高いと思ったメンバーは1走を根岸で走ることを希望する。その「俺」たちに根岸は「走らない」と宣言した。

 3年生になった新二は緊張で腹を下すこともなくなり、部長としての目配り気配りをする先輩になっていた。地道な努力によってどんどん速くなり、大会上位で上に進んでいく。髪も黒に染め、何となくバカっぽさがなくなっていったように思う。
 才能だけで走っていた連も地道なトレーニングを重ね、着実に体力をつけていった。
 新二は部長として様々な部員に視線を向ける。皆でインハイを目指すけど、通過できる人とできない人は当然出てくるわけで。自分の出番を控えながらも失敗した部員の精神フォローまで引き受けようとする新二はきっと、守屋さんを超えるいい部長になってると思う。
 若菜ちゃんとの恋の話は、序盤に急接近したかと思ったらそれっきりだった。インハイ予選を勝ち抜け、思わず新二に抱きついて喜ぶ若菜ちゃん。気を使って2人っきりにする部員達。結局皆には双方の気持ちはバレバレだったみたいで、後日鳥沢さんが「若菜も鈍いけど、あんたも鈍い」と言ったんで安心した。やっぱ若菜ちゃんも遠い存在の仙波より、不器用だけど努力家でいいヤツでどんどん速くなっていってる新二のほうがいいよね。新二は総体終わったら気持ちを伝えるって言ってたけど、南関東大会のシーンで終わったんで結局2人の恋はそれ以上見ることができずに残念だった。
 この巻ではてっきりインハイ行くのかと思っていたら、南関東大会2日目にリレーで鷲谷を破って優勝した日で物語が終わる。でもクライマックスは爽快すぎて、あの問題児の鍵山が新二に抱きついて喜んだシーンで読んでてこっちも嬉しさが爆発した。
 表現が過剰すぎないのに人物達の気持が色々伝わってきて、新二も連も成長していってて、本当に読んでて楽しい本だった。3巻は競技シーンが多くて、正直誰が何者なのかわからなくなってたりもしたけど十分楽しかった。
 新二たちはインハイで何位になったんだろうな。大学でも陸上やるのかな。新二と若菜はやっぱり付き合うんだろうな。クライマックスの試合には健ちゃんにも来てて欲しかったけど、インハイには来たのかな。終わった後にも広がっていくこの読後感、いいね。
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