元司書による読書備忘録ブログ。思ったことは全部書き、何様気取りの感想だったり平気でネタバレしたりします。
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『一瞬の風になれ 第二部 ヨウイ』  佐藤 多佳子
2008-12-07 Sun 23:26
一瞬の風になれ 第二部一瞬の風になれ 第二部
佐藤 多佳子

講談社 2006-09-22
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 健ちゃんはJリーガーになり、谷口若菜が短距離から中距離に転向し、連は夏に練習と試合をすっぽかしたペナルティに真面目に取り組んでいる。そんなシーズンオフを経て春になり、後輩が入り、そしてインターハイを迎える。
 インターハイ予選のリレーで連が肉離れを起こし、関東高等学校陸上競技大会には進出したものの、その大会では5着。それ以上先には進めないまま、3年生が引退する時期になった。部長の守屋に呼ばれた「俺」は、そこで次期部長に任命される。
 若菜は次第に打ち解けてきて、メールのやり取りや会話も増えた。健ちゃんの試合に誘ってみたらあっさりとOKをもらい、デートが実現する。この日のことを思い出すと「俺」は甘苦しい気分になり、どんどん若菜のことが気になっていく。
 サッカー馬鹿の家に生まれながらサッカーを辞めた「俺」は、家族が自分の走りを見に来る事をずっと拒んでいた。しかしやっと、両親に秋の新人戦関東選抜に来てもらうことになった。リレーでは全員が調子良く、4位で予選通過。しかしその日、大好きな健ちゃんが交通事故で大怪我をする。
 大会から病院に駆け付けた「俺」に、健ちゃんは「そんな格好で病院に来るな」と怒鳴りつける。手術が必要でリハビリを含めて1年以上かかる怪我で、復帰は不明。そんな状態の健ちゃんの元にチーム・ジャージで駆け付けたことをひどく後悔した「俺」は、その日から部活に行けなくなってしまう。

 主人公の新二は、自分の実力を未だに過小評価しつつも着実に力を付けている。大人しい若菜とも親密さが増して若い恋の予感。後輩もたくさん入り、特にサプリメントやスポーツ小物オタクの桃内が愉快だ。みっちゃんっていい先生だなって何度も思わされたりとかして、これはキャラ読みだけでも絶対楽しいはず。
 第一部よりワクワクして読んでいったけど、後半は一転して健ちゃんの試練にどう向かい合えばいいのかわからずにいる「俺」が痛々しい。怒鳴った健ちゃんではなくて自分を責める新二を、親も連もどうすることもできなかった。けど、きっかけを作ってくれたのは若菜ちゃんだった。
 きっかけはきっかけに過ぎない。でも、そこから新二を捕まえた連の「かけっこ」という言葉に拍子抜けすると同時に、新二を魅了する連には新二が必要なんだという事実には泣かされる。
 そして、神谷家のことも。1巻では母親は健ちゃんのおっかけやってて、新二も大切だけど健ちゃん優先って感じだった。けど、健ちゃんの怪我で初めて母親は決してそれだけじゃないことがわかった。息子のどちらかが体調を崩すと自分まで具合悪くなり、怪我した健ちゃんがつい怒鳴ったことはちゃんと叱る。新二は「うちは兄弟で母親を取り合うのではなく、俺と母親で健ちゃんを取り合っていた」みたいなこと言ってるけど、やっぱ母親は新二の母親でもあることには変わくて、ちゃんと愛されてるんだなって思った。
 新二があんまり思慮深い子じゃないんで、新二目線の書かれ方はどうしても全体的に軽い。でも書かれていることは意外に深く、気付いたら感動させられている。次は3巻だ。とても楽しみで、「ドン」の言葉が私を煽ってるようにも感じてしまう。
 競技シーンのリアル感のなさは相変わらずで、これはもうこういう人だと割り切ろう。

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