元司書による読書備忘録ブログ。思ったことは全部書き、何様気取りの感想だったり平気でネタバレしたりします。
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『夜は短し歩けよ乙女』  森見 登美彦
2008-12-01 Mon 13:18
夜は短し歩けよ乙女夜は短し歩けよ乙女
森見 登美彦

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 後輩の女の子に恋をしたヘタレ大学生の「私」は、なるべく彼女の目に留まる作戦・題して「ナカメ作戦」なるものを決行する。乙女を巻き込む奇怪な出来事たちにもへこたれず、ボロボロになりながらも偶然を装って彼女の前に姿を現そうとしていく。そんなことに全く気付かない天然乙女は、ひたすら興味の赴くままに歩き続ける。


1章「夜は短し歩けよ乙女」
 OBの結婚お祝いの後にお酒を飲みたくなってバーに入ったことをきっかけに、乙女はたくさんの不思議な人達に出会う。育てた錦鯉が竜巻に攫われたと嘆くおじさん・東堂。男前な女性、羽貫さん。自称天狗の樋口という若者。
 高利貸しの李白という翁の存在を知った乙女は、「偽電気ブラン」飲み比べ勝負に挑むために李白に会いに行く。「私」は乙女を追う道々で次々にハプニングに見舞われていく。

2章「深海魚たち」
 乙女が古本市に行くと知り、「私」もナカメ作戦のために古本市に出掛ける。『ラタタタム』という絵本を探している乙女と、同じ本に偶然同時に手を出すという古典的なシチュエイションを夢見て歩きまわる「私」だったが、やたらと物知りな少年との出会いで乙女を見失ってしまった。
 そんな折、李白が主催する我慢大会の話を聞いた。勝った者は翁の持つ本の中から好きな本を1冊手にする事が出来るという。「私」は乙女のために、真夏に火鍋を囲むという我慢大会を乗り切る。
 一方乙女は『ラタタタム』を探しつつも物知りな少年との会話を楽しみ、羽貫さんと再会し、古本市を思いっきり堪能していた。

 本に携わる仕事をする者として、このラストは好きだ。やっぱり1冊の本で人が喜んでくれるとほっとするのは職業癖なのかな。このラストには「探していた本が見つかった」以上の喜びがあって、なんだか嬉しくなった。


3章「御都合主義者かく語りき」
 「私」や乙女が通う大学での学園祭。何にでも興味を示す乙女は様々な催しを回った結果、大きな緋鯉のぬいぐるみを背負い、たくさんの小さな達磨で作った首飾りをし、林檎飴やプラカードを持って歩くという目立つ格好になっていく。しかし「私」はなかなか乙女に追いつけない。
 乙女も「私」も色んな人に出会う。コタツなのに韋駄天という矛盾した存在の「韋駄天コタツ」に入っている樋口と羽貫、一目惚れした相手に会うまではパンツを履き替えないと誓っている「パンツ総番長」、象の尻そっくりの触感を持つ「象の尻」を展示する須田紀子。「私」の友人であり、女装が趣味の「学園祭事務局長」など。
 学園祭事務局長は至るところで突然開演されるゲリラ演劇を追っていた。乙女が偶然にもその演劇『偏屈王』のヒロインになってしまったことを知り、ヒロインと恋仲の「岩窟王」役になるために奔走する。

 「私」のトラブルの呼び込みっぷりが、もはや笑うしかないレベル。でも、最後にはハッピーエンドなんだなぁ。しかしまあ、色々とあり得ない。いいなぁ、こんな大学。末端に在籍してるだけで楽しそう。
「パンツ総番長」と須田紀子さんもめでたしめでたしで、良かった。でも、須田さんはずっとパンツ履き替えてないような男でいいんだろうか。


4章「魔風邪恋風邪」
 冬になり、京都ではひどい風邪が流行っていた。羽貫も樋口も事務局長も須田も、その他登場人物たちも次々と風邪に伏していく。「私」も例外なく寝込み、夢なのか妄想なのか判別不能の世界で乙女が見舞いに来てくれる幻を見続ける。
 そんな中、乙女は「私は風邪の神に嫌われているのです」としょげかえりつつも大切な友人たちをお見舞いのために訪ね歩く。そのうちに、人舐めするだけで即座に風邪が治る「ジュンパイロ」という薬の存在を知った。2章で出てきた博識の少年から「ジュンパイロ」をもらい、この流行り風邪の発信源が李白翁であると知った乙女は、風邪菌が竜巻となって襲いかかる李白翁の屋敷にお見舞いに行った。


 こういうのも純愛っていうんだろうか。大学生なのに中学生のような恋をしている先輩の滑稽な姿は何だか笑えない。むしろ懐かしい。中高生時代に恋をしている周囲の友人たちってみんなこんなんだった気がするな。「ナカメ」作戦やるほど暇人じゃなかったけど、待ち伏せして偶然を装ったり、好きな人の趣味を調べて話が合うように勉強したり。みんな努力家だったなぁ。私は恋愛に疎かったんでやったことないけど、例えば今好きな人ができたらやっちゃうかもしれない。既婚者なんで問題あるかもしれないが。
 「私」と乙女の語りが交互に書かれているけど、乙女が何ともかわいい。お友達パンチも、むんと胸を張る姿も、二足歩行ロボットダンスも(どんな物か、いまいち想像できてない気はするけど)、「なむなむ」も。こんなかわいい乙女と、何となく地味そうな「私」がどうなっていくのかと思ったら、やっぱり何だか微笑んでしまうようなエンディングで。
 森見さんの表現力に笑わされながら、楽しく読ませていただきました。 
 私はこの『夜は短し~』より後に書かれた『有頂天家族』を先に読んだから、樋口君や李白翁の天狗っぷりに感動した。赤玉先生がダメすぎただけで、天狗ってやっぱ立派な存在なんだよ!李白が天狗だとは書いてなかったけど、どう読んでも天狗だと思う。
 『有頂天家族』では赤玉ポートワインを飲みたくなって、翌日買って飲んでみた。ぶどうジュースみたいな味だったんでぐいぐい飲んでみたら、そう強くないんであっさりダウン。そして今回は電気ブランが飲みたくなった。偽電気ブランは多分森見さんの創作だろう。だから本物の方の電気ブランの方を飲みたい。諸事情で禁酒しないといけないんだけど、いつか必ず!
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