元司書による読書備忘録ブログ。思ったことは全部書き、何様気取りの感想だったり平気でネタバレしたりします。
『朔風ノ岸―居眠り磐音江戸双紙8』
2008-10-27 Mon 11:30
朔風ノ岸―居眠り磐音江戸双紙 (双葉文庫)朔風ノ岸―居眠り磐音江戸双紙 (双葉文庫)
佐伯 泰英

双葉社 2004-03
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 大晦日の夜、磐音は草履商備後屋の番頭・佐平と名乗る男が掏摸にあったと騒いでいるのを見かけた。何となくその男を見送ってから長屋に帰り中居半蔵からの手紙を読むと、妹の伊代が家中の御旗奉公井筒洸之進の嫡男・源太郎と祝言を挙げると書かれていた。
 年が明けて今津屋に挨拶に行った折、おこんに伊代へのお祝いを見立ててくれるよう頼むと初売りに連れて行かれた磐音。磐音からは加賀友禅の着物を、今津屋からとして象牙の櫛と簪を買い、甘い物でも食べて帰ろうとしたところで南町奉行所の木下一郎太と会った。聞けば草履商備後屋で一家毒殺事件が起こったとのこと。大晦日のことを思い出した磐音は、おこんと別れて一郎太に同行した。
 備後屋では番頭の佐平が屠蘇に石見銀山を混ぜて一家を殺害し、その後井戸に身投げしていた。さらに通いの番頭の話によると、二、三千両あるはずの金子が三百両少ししかないそうだ。また、佐平が掏摸にあったような事実はないという。
 しかし笹塚の調べで、二番番頭の陽太郎が若い頃に産ませた子供であり、伯父である寄合近藤供継の御用人・竹垣九郎平とで仕組んだことだった。松の内に近藤家で行われる賭場に踏み込む際に磐音も同行させられ、竹垣の居合いを叩き伏せた。
 
 乾物問屋の若狭屋を訪ねると、関前からの品物が届いていた。番頭の義三郎によると、若狭屋でも上の部類に入るがまだまだ改良すべき点も多いと言う。
 磐音は関前藩の江戸藩邸にいる伝之丈と秦之助を若狭屋に紹介し、その後佐々木道場に連れて行った。さらに今津屋の由蔵にも紹介した。
 今津屋でくつろいでいると笹塚から呼び出しがかかった。蘭医の中川淳庵らを狙っていた血覚上人一派の上に立つ人物と思われる「鐘ヶ淵のお屋形様」の正体が遠江横須賀藩譜代大名西尾家の隠居・西尾幻楽という人物らしい。

 品川柳次郎が父親からの紹介で、旗本大久保家の仕事を持ってきた。大久保家の知行所で不穏な動きがあるらしく、見回りに行く御用人の馬場儀一郎の用心棒の仕事だ。竹村武左衛門と3人で請け負うことになった。
 知行所では弘法大師ゆかりの温泉があり、客の遊び程度に賭場をやっていた。ところがこれに渡世人・唐次郎が目を付けてきた。さらに下田湊の網元・蓑掛の幸助も手を出してきて、二派が争っている。取り立てて策もないままに来てしまった一向だったが、3人の機転と磐音の腕で解決。

 中川淳庵が何者かに攫われた。どうやら「鐘ヶ淵のお屋形様」の仕業のようだ。笹塚らと協力して、西尾幻庵宅を見張っている時に会った尼僧にも協力してもらい、無事淳庵を救い出し、一派をお縄にすることができた。

 白鶴太夫を描いて一躍名を挙げた北尾重政が、おこんを描きたいとしつこく今津屋に通っているらしい。おこんが頑なに断り続けるのは、磐音が原因だと由蔵が言う。その北尾が命を狙われていると、一郎太が磐音の元にやってきた。
 吉原では今、途絶えていた太夫の位を作るために客に選ばせる、という催しを行おうとしていた。抱えの花魁を人気絵師に描かせようと北尾のもとには注文が殺到したらしいが、好みではない花魁は全て断ったために反感を抱かれているのではないか、ということらしい。
 磐音が長屋に戻ると、父親から手紙が来ていた。奈緒の祝言のこと、磐音を呼べない事情を詫びる言葉などが書かれていた。そこへ幸吉とおそめが相談があるとやってきた。聞くと幸吉に奉公の話が来ているという。幸吉の父親の知り合いが薬種屋の住み込み奉公の話を持ってきたが、幸吉は鉄五郎のような鰻屋になりたいと思っている。鉄五郎との話はあっさり済み、あとは父親を説得するだけとなった。
 その折、一郎太の使いの者が呼びに来た。絵師川流一伯が殺され右手首が無くなっているという事件が起こった。かつて江戸に出没した辻斬り「小手斬り佐平次」という人物のようだ。数日間の張り込みで小手斬り佐平次をおびき出した磐音は、これまた見事に仕留める。
 また、幸吉の方向の件も一件落着し、長屋に戻ると伊代から祝いの品に対するお礼の手紙が来ていた。


 以前磐音が軽くこらしめた福坂利高が再び通りかかるけど、腹立つおっさんになっていた。その日暮らしをしている磐音に、汚い恰好で藩邸前をうろつくなとか言ったり。脱藩したんだから藩主の福坂実高の周りをうろつくなとか。それら全てに納得する磐音が歯がゆい。実高は立派な藩主なのに。利高、今後失脚しないかな。
 今回は関前藩の海産物がそれなりに評価されたけど、まだまだ今後が大変そうだということ以外、物語に進展らしきものはなかった。幸吉が奉公に出る年齢になって、ちょっと大人になったとかこの程度か。こりゃシリーズが長くなるはずだわ・・・。まだ半分も読んでないのにどんどん続編が出やがるし。
 面白くないわけじゃないけど、もうちょっと全体の話のどこかしらに進展があるといいのに。
別窓 | [さ行の作家]佐伯 泰英 | コメント:3 | トラックバック:0 |
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この記事のコメント
>narkjp様
書きこみ&トラックバックありがとうございます。
確かにこのシリーズ、長いですよね。まだ1/3くらいしか読んでないんですよね・・・。長編小説は苦手というか根気が続かないんで、いつかふっと途切れてしまいそうな気がしてますi-229
関前藩の貿易、私も気になっています。そろそろあちらで何かしらの揉め事がありそうですが。深読みでしょうか。
2008-12-01 Mon 13:33 | URL | 管理人 #-[ 内容変更] | top↑
読みました。
第8巻を読みました。このシリーズ、長いですね。第4巻でやめようかと思いましたが、中居半蔵さんの関前藩物産プロジェクトの成果やいかに、と興味をひかれて、です。トラックバックしました。
2008-11-26 Wed 07:07 | URL | narkejp #flFdlPW.[ 内容変更] | top↑
自著の小説のご紹介
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2008-11-16 Sun 17:03 | URL | 森永洋一 #-[ 内容変更] | top↑
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