元司書による読書備忘録ブログ。思ったことは全部書き、何様気取りの感想だったり平気でネタバレしたりします。
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『カシオペアの丘で 上』  重松 清
2008-10-10 Fri 14:25
カシオペアの丘で(上)カシオペアの丘で(上)
重松 清

講談社 2007-05-31
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 炭鉱の町、北海道の北都。アメリカが打ち上げた衛星ボイジャーを見るために家を抜け出して、炭鉱跡地で星空を見上げる小学4年生の仲良し4人組トシ、シュン、ユウちゃん、ミッチョ。ここが将来遊園地になるといいねと話し、そこを「カシオペアの丘」と名付けた。
 それから30年が経ち、炭鉱跡地は本当に遊園地ができた。市役所職員だったトシが園長になり、ミッチョは彼と結婚していた。遊園地の名前はミッチョが応募した「カシオペアの丘」。夢が叶ったように見えたが、どんどん廃れていく現実は厳しかった。
 その遊園地に遊びに来た川原夫妻が巻き込まれた事件で、「カシオペアの丘」での思い出の写真がテレビで流される。そこから4人の友情は、再び「カシオペアの丘」に向かった。
 40歳を目前にして肺に悪性の腫瘍が見付かったシュンは、ワイドショーで「カシオペアの丘」の写真を見かけて衝撃を受けた。炭鉱の町を取り仕切っていた「倉田」家の次男だったシュンは、炭鉱で起こった事故で生存が絶望視されていたとはいえ、消防団員のトシの父親他7人の救出を諦めた祖父を嫌悪している。小学校の時の喧嘩以来車椅子生活になったトシに罪悪感を抱いている。大学時代に交際していたミッチョにも罪悪感を感じている。故郷を捨てて暮らす東京で、帰りたい、謝りたいと思いながらも帰ることができないでいた。

 トシとミッチョの夫婦愛、炭鉱王だった倉田千太郎のこと、シュンの病気と家族のこと、川原真由ちゃんの事件でボロボロになっていく川原さん。ユウちゃんと取材に来て以来、妙に北都のことを知りたがるミウさん。これだけのことを1つの話に収めるなんて、なんて欲張りなんだろうか。皆色々抱え過ぎ!でも内容は重すぎるのに、全体的に優しさを感じる不思議な物語。やっぱ重松清だからだろうか。
 でもやっぱり冒頭ののどかな始まりから一変して、次の章の幼女殺人事件で顔をしかめてしまう。最近本当に子供を狙った殺人が多い。少し読み進めたところで捕まる犯人にはさらに衝撃を受ける。それでも生きていくことを選択した以上は、冷静になっていくしかないのがまた辛い。殺人事件で子供の葬式を挙げるなんて、人が経験し得る中でも上位の不幸だろう。
 真由ちゃん殺しの犯人が獄中から書いた友人宛ての手紙が出てくるんだけど、この手紙がかなり引っかかる。実在するある少年犯罪者が、獄中からあんな感じで虚勢を張ったような手紙を書いているのを知ってる。縁もゆかりもないながら個人的に注目してる事件だけに、この手紙には憤慨してしまった。物語の中ではいちキーパーソンでしかない川原さんを何でこんなに苦しめるのかなぁ。要るのかな、こんなシーン。体がどんどん癌に侵されていくシュンのすぐ近くに、こんなにも精神的に痛めつけられる川原さんの存在があることが読んでてきつい。不幸の比較をしてしまうじゃないか。
 うさぎの着ぐるみを着たミッチョが川原さんと再会し、思わず泣いてしまったミッチョがシュンとも再会を果たしたところで上巻は終わる。
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