元司書による読書備忘録ブログ。思ったことは全部書き、何様気取りの感想だったり平気でネタバレしたりします。
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『夜明けの街で』  東野 圭吾
2008-10-06 Mon 10:55
夜明けの街で夜明けの街で
東野 圭吾

角川書店 2007-07
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 不倫する奴なんて馬鹿だと思っていた――とモノローグで語る妻子持ちの主人公・渡部の課に、派遣社員として仲西秋葉が入った。派遣社員が来るのはよくある事だと全く興味を持つこともなかったが、ひょんなことから個人的に何度か会うことになる。意地っ張りな秋葉を次第に放っておけなくなっていた渡部を、秋葉が誰もいない実家に誘ったことから不倫が始まっていく。
 渡部は妻を誤魔化しながら何度も関係を重ねるうちに、次第に秋葉に本気になっていく。クリスマスもバレンタインも何とかして秋葉に会い、とうとう妻と別れることも考え始めた矢先、秋葉が時効目前の殺人事件の容疑者であることを知る。
 秋葉の実家で父の不倫相手だった秘書が殺された事件があったが、第一発見者である秋葉が容疑を掛けられていた。秋葉の両親は1年ほど別居した後に離婚したが、2日後に母親が自殺。その3ヶ月後に起きた殺人だったために、母親の自殺の原因となった不倫相手を秋葉が殺したという動機もあった。

 本っ当に幅広い人だな東野さんは。ミステリー作家と思いきやブラックユーモアの利いた作品も出すし、読後に奈落の底に落とされるような物もあれば号泣させられる物もある。そして今回は不倫もの。以前読んだ『レイクサイド』も不倫は絡んでたけど、今回は殺人より不倫がメイン。
 渡部が少しずつ秋葉を気にするようになり、関係が始まってからはどんどんのめり込んでいく様子がリアルに思えてならない。私に不倫経験はないけど、人はこうやって不倫に陥っていくんだな~とか思いながら読んでしまった。戸惑いつつも浮かれた気分っていうのは、きっととても魅力的な状態だろう。そこに殺人容疑というドキドキが絡んでくるけど、普通に結婚生活を起こっている私としては秋葉が真犯人であることを願ってしまう。こんな女、殺人罪で捕まってしまえばいいのに・・・なんて思ったり。
 ミステリーの真実はわりと肩透かしだったけど、秋葉がどんどん独占欲を出していく様子が不気味でゾクゾクしてくる。その裏にまた真意が隠されているとは。
 東野さんに時々あるボディーブローのような結末ではなく、かなりライト。だからちょっと物足りない気はする。けど、そつがない。
 それにしても、いい奥さんと可愛い娘がいながら不倫かぁ。妻は女じゃない、自分は男じゃない、だから女として愛せる人に出会って男を取り戻させてくれたことで離れられなくなる・・・って、夫婦ってそうなっちゃっていくものなのかなぁ。ラストで渡部の妻・有美子が不倫に気付いてたっていう結末には、ちょっとゾクッとした。子育てに専念してパート程度しかやっていない有美子は、今後養育費をもらったとしても困窮に陥るだろう。だから責めずに耐えていた。女って怖いっていうか母は強しというか。
 ラストの新谷の話は、物語としては蛇足って気がしなくもない。渡部の不倫を散々引き止めていた友人の話が最後にポンとあるのを見た時にはやや興醒めだと思った。でもなかなか凄味のある話で、これはこれで非常に面白かった。
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