元司書による読書備忘録ブログ。思ったことは全部書き、何様気取りの感想だったり平気でネタバレしたりします。
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『狐火ノ杜―居眠り磐音江戸双紙7』 
2008-08-19 Tue 00:46
狐火ノ杜―居眠り磐音江戸双紙 (双葉文庫)狐火ノ杜―居眠り磐音江戸双紙 (双葉文庫)
佐伯 泰英

双葉社 2003-11
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 磐音は品川柳次郎、中川淳庵、おこん、幸吉、おそめの6人で紅葉狩りに行くことになった。お艶のことで磐音とおこんに礼をしようとするも断られた今津屋・吉右衛門からの心遣いだ。船で海晏寺に行き、紅葉を楽しみ、今津屋のコネで流行りの店で食事をする。それだけなのに、相変わらず磐音は揉め事に巻き込まれる。店から金を取ろうと直参旗本の愚息共が料理にあたったと騒いでおり、診察を申し出た淳庵を威嚇する。深川育ちのおこん、貧乏御家人の柳次郎の啖呵で逆上した輩達に磐音が灸を据えるも、帰り道でも襲われた。さらに彼らは今津屋にまで乗り込んで来たが、いつも通り磐音が切り捨てる。
 冬になり、竹村武左衛門が石垣工事の仕事中に怪我をしたと聞いて見舞いに行った磐音と柳次郎。しかし武左衛門は給料のことでもめていた。当初の予定の日数を働いていないために日当を下げられた武左衛門だったが、危険な工事にも関わらず酒を飲んでいたことが判明する。武左衛門の妻・勢津と子供達に同情した柳次郎は、残りの日数は自分が働くと言い出した。工事現場の親分はなぜか磐音も一緒に働くことを条件に、武左衛門の給料の件を承知する。
 寒い場所で水に浸かりながらの作業もあり、仕事はつらかった。そんな折、磐音は奈緒を追って旅をしていた時に世話になった鶴吉と再会する。用件を言わないまま宿に戻った鶴吉が気になって地蔵の竹蔵に調べてもらったところによると、鶴吉は江戸の三味線職人の次男で、長男の富太郎を凌ぐ腕の良さが評判の職人だった。兄弟は2人共お銀という娘に惚れていたが、彼女はどうやら鶴吉の方を憎からず思っていたらしい。父親の芳造が跡継ぎに悩む際、富太郎が後継ぎは鶴吉に譲るからお銀を娶りたいと言い出した。まずは本人の気持ちが大切と、芳造の友人の息子・長太郎という青年が確かめに行く。しかし実は長太郎もお銀に惚れていた。鶴吉の名前で呼びだしてお銀に乱暴をしようとしたところに鶴吉が駆けつけて刃傷沙汰になり、彼は江戸を出ていたそうだ。
 富太郎はお銀を娶り、父親の跡を継いだ。しかし夫婦は上手くいかず、お銀は長太郎の愛人になった。芳造が長太郎の所へ話をつけに行ったが、死体になって発見されたという。鶴吉はそれを知って江戸に戻って来ていた。
 磐音は鶴吉に、事情を調べたことを正直に話してから手を貸すことを約束した。長太郎は船を賭博場に改造しているため、笹塚に訳を話してから2人は賭博船に乗り込む。結果、富太郎、お銀、長太郎が命を落とし、笹塚の配慮で鶴吉は旅に出ることにした。この件で奉行所から褒賞として200両をもらった磐音だったが、鶴吉が江戸に戻った時にすぐに職人として働けるようにと全額今津屋に預けて由蔵に呆れられる。
 褒賞金を受け取った際に笹塚から、中川淳庵と共に「ターヘル・アナトミア」を訳した前野良沢が襲われたと聞いた磐音。淳庵を心配して訪ねると彼は無事であり、前野良沢も命に別条はないらしい。カピタンが出府するという噂に、血覚上人を頭とした一派の活動が再び活発になっているようだ。隠居した上役元用人・岩村籐右衛門の痛風を診に行きたいが外出ができないと愚痴る淳庵に、磐音が同行を申し出る。
 磐音には因縁がある血覚上人一派が岩村宅を襲って火を点けるも、賊は磐音が倒し、火も消し止められた。さらに今回の件では、血覚上人の裏に「鐘ヶ淵のお屋形様」と呼ばれる人物が存在することがわかった。
 江戸に戻った磐音は、今度は今津屋の老分・由蔵から能登湯という湯屋の用心棒の仕事を紹介される。能登湯2階の休憩所で度々会合を開いている浪人達がいるが湯屋が面倒に巻き込まれては困ると、主の加兵衛からの依頼だった。
 会合を近くで聞いていた磐音は、聞こえてきた情報から野々村仁斎という男に行き着く。彼は佳代という御家人の妻の愛人であり、佳代は品川柳次郎と古い知り合いであった。佳代は夫の通夜の席で、家を守るために義弟と結婚してはどうかと親戚から言われる。しかし病気の夫に代わって家を支えるために体を売っていたことで非難されて、結局は家を出ていた。
 能登湯での会合は磐音の説得で場所を変えてもらったが、柳次郎は姉のように思って佳代が気になる。義弟が佳代を慕っていたと彼女の体を買いに来ていたが、そこに踏み込んだ野々村仁斎に斬られ、佳代も彼に殺された。柳次郎が何とか仇を討とうとした時に磐音が駆け付け、「代わろう」と声を掛ける。
 この一件を聞いて、由蔵は能登湯に必要経費を請求せずに赤字になった磐音に腹を立てる。のんびりした磐音に代わって請求してくれた由蔵は、近年になく早い時期から狐火がよくでると評判の王子稲荷参りの付き添いを依頼した。途中の茶店で代金を強請ろうとしていた浪人を成敗した磐音。その後狐火を見物していると、おこんがいなくなっていた。
 茶店で追い払った連中に違いないと捜し回るが見つからない。狐火の探索に来ていた同心木下一郎太と偶然出会い、農家が貸している小屋に女を連れ込んだという浪人達がいるという情報を入手した。小屋の外で様子を伺うと、嫌がる女に手をかけたという話が漏れ聞こえる。耳を塞ぎたくなるのを堪えて踏み込むも、女はおこんではなかった。
 一旦番屋に戻ると、稲荷社へ向かう山道に侍の黒焦げ死体があるとの知らせが入る。死体は茶店で磐音が追い払った浪人であり、雷に打たれて死んでいた。さらに首筋には奇妙な歯形がある。おこんは稲荷社の中で発見されたが、童女のように歌いながらぼんやりしていた。磐音が振るった入魂の一閃がおこんの脳天直前でぴたりと止まると、光が抜け出ておこんは正気に戻った。
 その後江戸では、金兵衛とおこんが稲荷様を信仰していると面白おかしく取り上げられていた。

 今回は比較的のどかな話の中に揉め事が盛り込まれている。あちこちで諍いフラグを立てまくる磐音がかわいそうになってきた。だらしなさ全開の武左衛門も、ちょっとイラッとする。要するに、すこ~し飽きてきたなと思ってきた。ワンパターンの中にも楽しいことや悲しいことが盛り込まれてるんだけど、今回の話はすべて“あーなってこーなって解決するんだろうな”と容易に想像つくものばかりだ。私はスタンダードやワンパターンはある程度歓迎するけど、ここまでくるとなぁ。
 しかしそんな中で一番の見せ場はおこんの告白。「居眠り磐音さん、もし刀を捨てて町人になるというのなら、おこんが嫁に行ってあげるわ」と、別れ際にさらりと言う。今までは所々で磐音を想ってるような素振りを見せていたけど、磐音の心には奈緒しかいないこともちゃんと理解して出しゃばらなかったおこん。しかも磐音は豊後関前藩のため、武士の身分を捨てることはないってこともわかってるはず。その上での逆プロポーズに、おおおおお!!!となる。
 私は恋愛モノが嫌いな理由は、しょうもない事でうだうだ悩んでる話が嫌いだから。何事も結論を急ぐのは、数ある私の短所のひとつだ。でもこんなふうに、自分の気持ちを整理して理解し、相手のことも理解し、どうあるのがベストか最善の状況をわかった上で、それでも好きだから想ってるっていう現状維持は健気でいい。とてもいい。しかしまあ、その後は何事もなかったように接してる2人なんだが。
 それでいて、同じように相思相愛の人を諦めざるを得なかった鶴吉と語り合うシーンでは磐音の気持ちもわからされて、しんみりとくる。奈緒と再び会えることはあるのかなぁ。まだ7巻までしか読んでないけど、先日26巻が出てたなぁ。佐伯さん、筆早すぎ。
 豊後関前藩でより良い海産物を作らなければいけないが、領民から思いのほか反発を受けているという中居からの手紙も気になる。
 ワンパターンと書いておきながら、やっぱり登場人物は皆好きなんでどうなっていくのか見て行きたい。
別窓 | [さ行の作家]佐伯 泰英 | コメント:2 | トラックバック:0 |
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この記事のコメント
コメント&トラックバックありがとうございます。
おこんの告白、うわぁと思いました。
最後の稲荷が取り憑いたような書き方にはリアリティはありませんが、そこだけ取り立ててエンタメだと言うのもちょっと違う気がします。
柳と幽霊の関係みたいな物を書いただけなんじゃないでしょうか。私はそう思って読み終えましたが。
2008-12-01 Mon 13:30 | URL | 管理人 #-[ 内容変更] | top↑
ようやく読みました。
第7巻を、ようやく読みました。最後が駄洒落で終わるところが、思わず唖然としてしまいましたが、「おこん、ついに告白!」という小見出しが躍りそうな巻で、面白く読みました。作者は、リアリティくそくらえで、エンターテインメントに徹しているんだろうと思います。トラックバックいたします。
2008-11-15 Sat 09:37 | URL | narkejp #flFdlPW.[ 内容変更] | top↑
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