元司書による読書備忘録ブログ。思ったことは全部書き、何様気取りの感想だったり平気でネタバレしたりします。
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『片耳うさぎ』  大崎 梢
2008-06-23 Mon 10:37
片耳うさぎ片耳うさぎ
大崎 梢

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 小学6年生の蔵波奈都は父の事業の失敗で父の実家に母と共に身を寄せている。父は職探しで留守がちだったが、そのうえ母も祖母の体調不良で奈都を残して自分の実家に行ってしまった。古くて広大な敷地を持つ格式高い「蔵波屋敷」は奈都にとっては恐怖であり、一緒に住む親戚達のほとんどと馴染めてない。学校で暗く沈んでいると、隣の席の一色祐太が古い建物が大好きな「ねえちゃん」のさゆりを紹介してくれ、彼女が泊まりに来てくれることになった。
 夜になってさゆりの誘いで屋敷内を探検した2人は、隠し扉から入った暗い屋根裏部屋で誰かに出くわす。慌てて逃げる際にカーディガンを忘れてしまった奈都だったが、翌日そのカーディガンが片耳が切られたうさぎのぬいぐるみと共に部屋に置かれていた。蔵波家にとってうさぎは不吉な存在、片耳ならなおさらだと言う。誰がこんなことをしたのか?屋根裏には何があるのか?奈都は好奇心旺盛なさゆりに引っ張られる形で、蔵波家の謎を探る。

 大崎梢が初めて出した「成風堂」シリーズ外の本。大きな屋敷に隠し部屋、言い伝えに出生の謎・・・ってまるで毒のない横山正史。謎の答えを知りたくてどんどん読むような本ではないけど、昔それなりに好きだった青い鳥文庫のミステリー本のような軽いドキドキ感がある。謎自体は緩いけど最後にはほんわかくるエンディングが待っていて、ほのぼの系のミステリーも悪くないかなって思ってしまった。『晩夏に捧ぐ』で長編はコケたと思ってたけど、いけるじゃないか。ちょっと中だるみあったけど、面白かったよ。
 冒頭で奈都の心中が延々と書かれている辺りは、子供らしくない文章で子供らしいこと考えてて違和感があった。対象読者はあくまで大人ってことなんだろうけど、何か馴染めなかった。私の大好きな作家・乙一もそんな手法を使っててその違和感がスパイスになってるんだけど、この本だとイマイチに感じてしまったのはどうしてだろうか。乙一はホラーだったからスパイスとなり得たのかな?この本は小6と中3の女の子が活躍するから、大人っぽい文章がマイナス印象に思えたのかもしれない。まあ、読んでくうちに慣れたけど。
 最後には潔の雪子に対する態度には切なくなり、さゆりの正体にもちょっと驚いた。でもさゆりの正体がずっとバレなかったのは不自然じゃね?祐太の紹介の仕方が悪く、さゆり自身も祐太の姉ってことにしてた方が動きやすかったから黙ってたとかいうつもり?だとしたら祐太アホすぎる。小6男子は確かにアホだけど、隣のねえちゃん紹介するのに名前しか言わないほどアホじゃないよ。それに中学生の制服なら普通名札付いてない?しかも公立。私の地元だけかな?とりあえず出身地の違う私の配偶者に聞いてみたけど、あるよね、名札。さらに、奈都とさゆりの母親同士って電話で挨拶交わしたことになってたよね。噛み合ったのか?それとも、そんなにバタバタした挨拶だったのか?ある意味謎が謎を呼ぶ衝撃に事実だった。些細だけど。もういっそ、祐太は実の弟だったってんで良かったんじゃねーの、と適当感漂わせたことを思う。
 また、雪子の出生の真実を記した手紙が選挙妨害のネタとして狙われていたというのは、どうにも取って付けたような動機だ。本当に、心温まる謎は上手いのに、エゴが絡んだ謎は苦手な人だよなぁ。面白いほどにわかりやすい。
 まあでも円満解決で良かった。今後、雪子は父親違いの妹に会うことができるだろう。良彦はさゆりに恋でもしたか。さゆりが応えれば過去が巡って結ばれたことになるんだろうけど、どうだろうか。奈都とさゆりは今後ずっと仲良しなんだろうな。こうやって、物語のその後が幸せな感じで広がるエンディングっていいよね。
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