元司書による読書備忘録ブログ。思ったことは全部書き、何様気取りの感想だったり平気でネタバレしたりします。
スポンサーサイト
-------- -- --:--
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

別窓 | スポンサー広告 |
『サクリファイス』  近藤 史恵
2008-06-19 Thu 00:57
サクリファイスサクリファイス
近藤 史恵

新潮社 2007-08
売り上げランキング : 3499
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


 高校時代は中距離走でインハイ1位を獲りオリンピックを狙えるとまで言われていた白石誓(チカ)は、走ることに苦痛を感じていた時にたまたまTVで見たロードレースに魅了された。自転車部のある大学に行き、卒業後した今はチーム・オッジに所属する。
 ロードレースは見かけは個人競技だが実際はエースとアシストという役割分担があり、アシストの選手は自分の順位が下がってもエースを勝たせるために走る。エースの空気抵抗を軽減させるためにエースの前を走ったり、エースの自転車が故障すればホイールを差し出すのがアシストだ。チーム・オッジにはベテランエースの石尾や期待の新人伊庭がいる。大学時代はエースを務めた誓だが、アシストこそ自分向きであり、一番にゴールすることよりアシストでいることが好きだとその役割に徹していた。
 5月半ばの大会、ツール・ド・ジャポン。トラブルで、序盤にアタックをかけたのはアシストとしてだったはずの誓が1位になる。そのことで誓は、チームの先輩から石尾に気をつけるように言われた。彼は自分以外のエースを認めない、以前強い新人・袴田を事故いに見せかけて下半身不随に追いやったのだと言う。

 本屋大賞2位受賞作品。
 この著者ってスポーツやらない人なのかな?競技のシーンでそう思った。くどくど語るし、影響は小さいけどあり得ないミスがあったり。水を飲み忘れるとか、下りが得意って同期に言われるまで気付いてないとか、プロ選手にはないと思う。でも私の持論では、スポーツ小説は語りすぎるよりちょい深く齧った素人がいい。このかなりマイナーな競技が深すぎることなく基本を押さえた形で描かれていて、とてもよくわかった。ロードレースって競技は存在程度しか知らなかったんだけど、実に奥深い。
 私は野球が好きなんだけど、好きな投手はストッパーだ。バッターとしてなら川相のように異様にバントが上手い人とか、要するに地味だけど際立った特技を持ってチームを補佐する人が好きなんだよね。ゲームを引っ張るんじゃなくて、あくまで補佐。そんな私にとってアシストってポジションはものすごくヒットだった。
 アシストが天職だと思う誓が偶然獲得した勝利。石尾が袴田を潰したという噂の真相は、ベルギーでの大会で彼がクラッシュして死んだことで闇に葬られたもんだと私は思ってた。しかしそこで誓は真実に気付く。と書くとミステリーみたいだよなぁ。実際ジャンルはミステリーにされてるみたいだけど、ミステリーとして読むと薄い。そういや人物描写も薄いな。石尾の堅物エースっぷりも、伊庭の天狗っぷりも、登場した元カノも、袴田の悪役っぷりも。ただ、薄いけど浅くなくて、そこがレースを引き立ててる感じもする。主役はあくまでロードレースで、それ以外は全部脇役、みたいな。いや、私の読み違いかもしれないけど。
 でも香乃存在はやっぱ疑問。こんな書き方じゃ惚れっぽい尻軽女にしか思えないし、最後には自分のせいで誓が陸上を止めたのが心の爪痕ときたもんだ。どんだけヒロイン思考なんだ。まあ、美人らしいからいいか。私は基本的に、美人なら大抵のことは許されると思ってるから。
 最後に誓がたどり着いた真相は、あっさりしてる上に中途半端だ。石尾を描ききれてなかったぶん、動機がちょっと物足りない。それを置いといて、その後もロードレースを堂々と走り続けられる誓は強い。最後の「あとは好きに走れ。で、できるだけテレビに映れ」には笑ってしまった。
 「サクリファイス」の意味がわからなくてざっと調べたら、「いけにえ。犠牲。」だそうだ。アシストのこととしたら、勝利の「いけにえ」や「犠牲」になる。それだとアシストに誇りを持ってる選手に失礼だし、この小説の意味がちょっと違う気がする。石尾のことなのかな?
別窓 | [か行の作家]か行その他の作家 | コメント:0 | トラックバック:0 |
<<『片耳うさぎ』  大崎 梢 | よむよむ記 | 『私が語りはじめた彼は』  三浦 しをん>>
この記事のコメント
コメントの投稿
 

管理者だけに閲覧
 

この記事のトラックバック


| よむよむ記 |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。