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2008-06-12 Thu 21:59
本屋の謎は本屋が解く、成風堂書店シリーズ3作目。 「取り寄せトラップ」 ある本に4件の取り寄せ依頼が来た。品切れ重版未定の本だったので断りの電話をかけたところ、4人ともそんな本を頼んだ覚えはないと言う。その後同じ人達から別の本の取り寄せ依頼が来た。電話で確認を取ったところ、またしても頼んだ覚えはないとのこと。 数日後、岡本詩織と名乗る若い女性がその事件のことで訪ねてきた。この事件には1年前に彼女の祖父が崖から落ちて死んだことが関係しているのではないかと言う。 「君と語る永遠」 成風堂に小学生グループが社会科の見学学習に来た。その中の一人、千葉広希という少年が上段の棚から広辞苑を抜こうとして頭に落ちそうになったところを杏子が助ける。広希はそれ以来ちょこちょこ成風堂に来ては些細な質問を繰り返すようになる。 そのころ巷では少年が幼児を連れ去って置き去りにする事件が相次いでいた。広希はなぜ本屋に興味を持ったのか?幼児連れ去り事件の犯人は・・・?って、犯人出てこないんかい。まあ、この目先の問題だけに着目するのがこのシリーズの読みやすくていいところなんだけど。 「バイト金森くんの告白」 宴会で失敗談披露会になってバイトの金森君に話を振ったところ、本屋で出会った女の子に恋をしたと言い出した。何度か縁があった彼女だったが、ある日雑誌の付録のフォトファイルをくれた。そのフォトファイルが付いていた号の特集は「ストーカーの心理」だったことで、彼女が自分の気持ちに気付いて気味悪がってたと知りショックを受けた、という話だった。翌日、ここでも多絵の推理が炸裂する。 金森君は最初、恋した少女を「美少女ってわけじゃない。十人並みだけど・・・」と言っていたのに話が進むにつれて作中で美少女扱いされていくことに疑問。 「サイン会はいかが?」 影平紀真という若手の人気ミステリー作家が「サイン会はある熱心なファンの正体を解き明かしてくれる店員がいる書店でしたい」と言っているらしい。多絵を頼りに名乗りを挙げた成風堂。そのファンからのヒントとなる暗号を多絵が解いたところによると、脅迫的な内容が書かれていた。 影平本人から詳しく話を聞くと、熱心なファンの正体を知りたいと言うのは公向けの理由。執拗に嫌がらせをしてくる「レッドリーフ」と名乗る人物を探したいのだと言う。 私、ポーの「黄金虫」大好きなんだよ!つまりこういう暗号解き、結構好き。謎解きそのものも面白かったけど、サイン会の様子がまた面白い。以前勤めていた図書館で作家のサイン会をやったことあるけど、本屋とあちこち違う。サイン会においての注意点なんか、興味深く読んだ。 杏子や多絵の、作家よりもお客さん第一の姿勢がいいな。杏子は特に作中全体を通して、本が好きだから本を好きな人も好きっていう感じがいい。図書館ももうちょい見習うべきっていうか、そういう人を採用するべきだと思う。・・・非常に難しいよね。 「ヤギさんの忘れもの」 常連客の蔵本がパートの名取に自分が撮った写真を見せに来たが、名取は都合でパートを辞めていた。蔵本はショックで、名取に見せる予定だった写真を紛失してしまう。半ば諦めかけていたところ、多絵が推理を働かせる。 この話に出てきていた絵本、私は知らなかった。しかけ絵本の一種だから私が前勤めてた図書館では入れなかったんだろうな。面白そうな絵本だ。 前作は殺人事件を絡めた長編を著者が書ききれてない感じがしたけど、今回はまた短編。舞台も成風堂に戻っている。でもって面白い。本屋さんってやっぱ図書館とは違うもんだなぁ。図書館より大変だろうとは思ってたけど、やっぱそうだよなぁ。公立学校と塾くらい違うよなぁ。って、よくわからない例えかもしれないけど。 事件そのものは小さいけど、その人の日常の中では大きい。そこに本が絡み、本屋が絡み、それを多絵が解く。杏子は仕事しかしてない気がしなくもないんだけど。助手ですらなさそうだしなぁ・・・。でも本やお客さんへの愛情は大きい。このシリーズはこういう日常の延長に起こる事件がいいな。 表題作はちょっと物々しかったけど、犯人とその動機に納得いくものがあって面白かった。 シリーズ前作『晩夏に捧ぐ』の感想でも書いたけど、司書による等身大司書小説を誰か書いてくれるのを待ってます。有川浩の描く司書像はツッコミどころ満載なんでパスで。 |
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