元司書による読書備忘録ブログ。思ったことは全部書き、何様気取りの感想だったり平気でネタバレしたりします。
『配達あかずきん』  大崎 梢
2007-09-17 Mon 22:57
配達あかずきん (ミステリ・フロンティア)配達あかずきん (ミステリ・フロンティア)
大崎 梢

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 書店で起こるちょっとした事件を、しっかり者の店員杏子と勘のいいアルバイト店員多絵のコンビが解いていく短編集。古書店程度が出てくるのは読んだことあるけど、こういう明るいイメージの書店を舞台にした本って私は初めて読んだ。書店の日常やお客さんとのやり取りがふんだんに盛り込まれてつつ、ストーリーが軽快に進んでいくのが楽しい。

1話目:「パンダは囁く」
 寝たきりになった老人が友人を介して本を注文してきた。しかし彼はタイトルとも著者名ともつかない意味不明な言葉しか言うだけ。その友人は主人公の杏子が働く「成風堂」に相談するが、謎は解けないまま。しかし後日また、老人は本を注文したがる。
 いくつかのレビュー読んだけど、予想外だったって思った人多かった。私はわかったよ(自慢)。司書はあまり重視してない部分だけど、「あのじゅうさにーち いいよんさんわん ・・・」で、これって文庫のアレじゃね?って思ってたら次のキーワードは「パンダ」。間違いないと思って読み進めたらビンゴ。
 基本的にミステリーの暗号とか最後まで解けない私としては、何だか嬉しかった。だから何だと言われればそれまでだけど。

2話目:「標野にて 君が袖振る」
 「成風堂」の常連の女性が、『あさきゆめみし』を手にした途端に失踪したらしい。何か手がかりはないかと、娘さんが「成風堂」にやってくる。
 この事件は、ちと強引な展開とか真相がメロドラマっぽいなぁ。でも『あさきゆめみし』が出てくる意外さが面白かった。

3話目:「配達あかずきん」
 美容院に届けられた雑誌に盗撮写真が挟まっていた。写されていたのは、その美容院で威張り散らす中年女性の客。その雑誌を配達したのは、「成風堂」の天然キャラ、ヒロちゃんだった。事件に巻き込まれていることに気づいてないヒロちゃんのため、杏子達が真相を探る。
 中年女性客がなかなか本気でむかついた。多分リアルでモデルがいるんだろうなぁ。著者は書店で働いてたことがあったらしいし。

4話目:「六冊目のメッセージ」
 入院中に母親が差し入れで持ってきた本がとても気に入り、選んでくれた店員さんを探しに「成風堂」来た女性。しかし選んだ店員がわからない。選書の傾向はどの店員にも当てはまらなかった。
 本が繋ぐ出会いって何かいいね。本に携わる仕事をする者として、自分が選んだ本がそこまで喜んでもらえるなんて憧れるわ~。私が選書傾向を褒められて気に入ってくれた常連利用者は、92歳のおじいさんだったなぁ・・・。

5話目:「ディスプレイ・リプレイ」
 ある人気漫画のディスプレイ・コンテストに参加することになった「成風堂」。お客さんにも好評だったけど、ある日そのディスプレイがぐちゃぐちゃに荒らされていた。
 これの真相は、私的にはなかなか好きだったな。勝手ながら、その人気漫画が私の中で『ワンピース」に置き換わってた。なので最後に登場したのは尾田栄一郎だった。

 かなり個人的な感想になったけど、こんな感じで楽しんで読めた。まあ実際には書店の仕事ってこんなもんじゃなくて、もっともっと大変なんだろうけど。
 知らないうちにシリーズとしてもう2冊出てることに驚き。今度読もう。いつかわかんないけど。
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