元司書による読書備忘録ブログ。思ったことは全部書き、何様気取りの感想だったり平気でネタバレしたりします。
『明日の記憶』  萩原 浩
2007-09-18 Tue 12:38
明日の記憶明日の記憶
荻原 浩

光文社 2004-10-20
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 映画化された時にちょっと気になって読んだ本。随分前だけど。
 主人公の雅行は広告代理店に勤める50代の男性。最近物忘れががひどくなってきたのは年齢のせいだと思っていた。しかし彼は病院で、若年性アルツハイマーだと診断される。
 日記をつけ、ポケットにメモをたくさん入れ、アルコールを断ち、食生活に気をつけても症状はどんどん進行していく。中には雅行の病気に付け入る人も出てきて、悲劇に拍車が掛かる。必死で支える妻の枝美子も追い詰められていき、どんどん暗く重い物語になっていった。唯一、娘の結婚式の様子だけが和む。
 著者の筆力にぐいぐい引っ張っていかれたけど、扱うテーマがこれだからハッピーエンドになるはずがない。若い頃だけを鮮明に思い出して行動し、最後はきれいにまとめてあってもやっぱり悲劇だった。
 アルツハイマー症の研究はどんどん少しずつ進んでいるようだけど、まだまだ明確な治療法はない。しかも誰にでも起こりうる。私もなるかもとか、配偶者がなったら、とか考えずにはいられない本だと思う。
 ただ、日記の様子は『アルジャーノンに花束を』、身の回りがメモだらけになっていく様子は『博士の愛した数式』と丸かぶりなのが残念だった。
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