元司書による読書備忘録ブログ。思ったことは全部書き、何様気取りの感想だったり平気でネタバレしたりします。
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『半落ち』  横山 秀夫
2003-07-02 Wed 23:00
半落ち半落ち
横山 秀夫

講談社 2002-09
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 現役の警察官・梶警部が妻を殺したと自首してきた。アルツハイマー症に蝕まれつつあった妻自身から懇願されての嘱託殺人だった。自首は犯行の2日後だったが、その2日間にどこで何をしていたかについては一切口を閉ざしたまま。自宅には「人生五十年」という、書かれて間もない書があった。犯行を全面的に認めた梶が隠していることとは?その謎を、この事件に関わる機関の担当者それぞれの視点で追及していくストーリー。
 「半落ち」とは警察用語。自供することを意味する「落ちる」は昔から刑事ドラマとかでも使われてたけど、「半落ち」とは一部しか自供しないことだそうだ。
 取調官、検事、新聞記者、弁護士、裁判官、刑務官と、梶の身柄が移動されるごとに語り手もその組織内の担当者へと変わっていくが、梶は犯行は全面的に認めつつも事件後2日間の行動については絶対に口を割らない。
 担当者達は梶の空白の2日間に興味を持つけど、所属する組織のしがらみを捨てきれないままタイムオーバーになり事件は次の組織の手に委ねられる。それを繰り返しつつ担当者達の人生ドラマを垣間見ていくんだけど、空白の2日間についてはほとんど進展しない。あまりの進展のなさにちょっとダルくなってきたなと思った頃、謎がぱっと晴れた。
 もうね、この展開が見事。担当者達の人生はそれなりに濃厚だし、事件にはモヤモヤ感がずっと漂ってるんだけど、それが一瞬で霧散した。あとはもう滂沱だ。特に「お父さん」には、やられた。
 私はこの本、泣きながら何度も読んでしまった。2回目は1回目より泣いたし、3回目は2回目より泣いてしまう。そんな話だ。
 担当者達の話も良かった。短い中に、彼らそのものが詰まってる。私が特に印象的だったのは、検事が検察内の軋轢にぶつかって部下に責められたシーンで声には出さなかった言葉。正義感の強い息子のことを、「息子が正義の味方でな。俺の血を引いてるからだ。そう思っていたいんだ――。」という思い。何というか・・・ボキャブラリーが貧困で申し訳ないんだけど、かっこいいなって思った。平たく言うと男のプライドというか、そういうやつ。私には一生縁がない思いだろうから、何かいいなって思った。
 こういう「男のドラマ」って感じの話は、結構好きだ。
別窓 | [や行の作家]横山 秀夫 | コメント:0 | トラックバック:0 |
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