元司書による読書備忘録ブログ。思ったことは全部書き、何様気取りの感想だったり平気でネタバレしたりします。
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『マジックミラー』  有栖川 有栖
2016-07-24 Sun 01:22
マジックミラー (講談社ノベルス)
有栖川 有栖
講談社   1990.04
売り上げランキング: 1,754,293

 古美術商・柚木新一の別荘で、一人で過ごしていた妻の恵が殺された。真っ先に疑われた夫の新一と、双子の弟・健一はそれぞれ福岡と山形に出張しており、目撃情報も切符の指紋もあり疑いようもない。
 天涯孤独となった恵の妹・ゆかりは姉の元恋人で推理小説家の空知雅也と前日に偶然再会しており、恵死亡の連絡を受けて駆け付けてくれた彼を心の頼りにしていった。
 捜査が全く進展しないまま数ヶ月後が過ぎたある日、双子片方が首と手を切断された状態で発見される。双子のもう片方は行方不明になっており、一卵性双子である彼らのどちらの死体なのかわからない。捜査線上には健一の内縁の妻の戸籍上の夫が疑われて別件で逮捕されたが、ゆかりに頼まれた空知が無実を証明してみせた。

 有栖川さん初の単発物。
 冒頭の「ダイアローグ」で双子らしき人物2人が殺害計画を話していたから、犯人は登場人物一覧を見れば既にわかる状態。推理展開だけを楽しみに読み続けていると、いきなり容疑者双子が死んだ。死体は1つしかないけど、もう片方は行方不明だからどこかで殺されてる可能性も高い。登場人物はかなり限られてるから・・・えーっと、この人しかいないじゃん!という衝撃。この二重構造が面白かった。ラストの小桑双子には、ちょっとジョークを感じたけれども。ジョークじゃなければご都合主義だよ、これ。うん、ジョークなんだろう。
 あとがきで「アンチ鉄道ミステリ」と書いてあったけど、鉄道ミステリーじゃないのか・・・うーん、飛行機使うし、双子トリックの要素も大きいからかな?いやでも、地名で既にわけわかんなくなって、出発時刻やら到着時刻やらで目が滑って、双子だから2人分の行動だし、もう何かよくわかんないけど出来るんですね、ハイって状態で結局トリックの大半はどうでもよくなって流し読みしちゃった私にとっては、鉄道ミステリーだと思うんだけど。巻頭に地図が3つもあった時点で、読む前から心は折れてたのかもしれない・・・。
 視点がかなり変わっていくから誰が主人公ってわけじゃない俯瞰って感じの小説だった。若干ガチャついてたり、もうちょっとこの視点から読みたかったなーって事もあったけど、この書き方だったからラストが映えたと思う。その後どうなったのかなぁって思わずにはいられない。私だったら・・・惚れ直すかなぁ、とかね。恵さん、何であの時柚木なんか選んだんだよ、空知の方が良かったじゃん!見る目ないなぁ、とか。空知さんやっぱベタに自首するのかな、いやゆかりさんと幸せにおなりよ、大体推理小説家がトリック殺人とか前代未聞過ぎるからからさー、とか。後半、おばちゃんお節介みたいになってしまってるけど、やっぱ自首して実刑下って、彼の小説は逆に大きな話題にって展開もアリかなぁ・・・。うーん、妄想が膨らむ。
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別窓 | [あ行の作家]有栖川 有栖 | コメント:0 | トラックバック:0 |
『夢をかなえるゾウ』  水野 敬也
2016-07-17 Sun 01:13
夢をかなえるゾウ
夢をかなえるゾウ
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水野 敬也
飛鳥新社   2007.08.11
売り上げランキング: 31,914

 主人公の「僕」は、自分を変えたいと思いつつ三日坊主を繰り返すサラリーマン。ある翌朝目が覚めると、ガネーシャと名乗る大阪弁の像が居座っていた。本当に自分を変えたいと思っているなら、今日から自分が1日1つ出す課題を実行するように言う。
 ガネーシャに振り回され、半ば強引に課題をクリアさせられていった「僕」は、自分を変える事がいかに些細な事の積み重ねであり、その事自体がとても難しい事であるかを知っていく。

 自分はこの方法で成功しましたって本は多いけど、自分はこの本読んで成功しましたって話はほとんど聞かない。ごく稀にテレビとかで聞かなくもないけど、それはアナタのポテンシャルが凄かったのよと思ってしまう。
 ただ、未だに読書リハビリ中の私にとってある程度面白くて読みやすければ何でもいいやって具合で読み始めた。
 期待してなかったけど、思った通り大して面白くなかった・・・。やっぱ自己啓発系は合わないわー。物語の形式を取ってあるけど、物語そのものも大して面白くない。ま、会話文中心で読みやすくはあるけど。でもちょっと単調で飽きる。「僕」とガネーシャのじゃれ合いがもう、退屈で仕方ない。
 自己啓発系って、基本的に対象がサラリーマンなんだろうね。専業主婦の現在はもちろん、社会人の頃でさえ専門職の私には実行しづらい物が多かった。最初の課題が「靴を磨く」だった時点でもうダメ。社会人時代はスニーカー履いて出勤し、美脚サンダルに履き替えて仕事してた私には合わない。現在は、外出は幼稚園の送り迎えと買い物がほとんどだし。
 その他の課題は現在でも実行可能だと思うけど、しょっぱなからズコーッときた私はもう他の課題は流し読み。うーん、言いたい事はわかるけど、多分私はしないなコレ・・・という物ばかり。
 ガネーシャは偉人の行動や名言を紹介しながら「僕」を説教する。偉人の事だけあって、全てどこかで聞いたような事柄ばかりなんだけど、それは後半でガネーシャ自身も、自分が言った事は全て「僕」の部屋の本棚にある本に既に書いてある内容だと言っていた。ただ、それを実行する事が難しい事。その難しさの理由は納得かなぁ。現状に「足りない」と思うほど、そこを満たすのが難しいという矛盾。でも継続しないと変われない。結局、変わる事って難しいんだよね。
 単なる私事になるんだけど、現在ニートのような専業主婦をしている。「専業主婦だって忙しいのよ!」と胸張って言えるタイプじゃなくて、「今日もこれだけしか家事してません、ごめんなさい」と配偶者に謝って宥められるようなタイプ。こんな自分を変えたいと思うけど、そもそもがだらしないから自分を奮い立てられるだけの気力が出ない。ガネーシャ、あんたの言う通り。
 それぞれの課題に付随する物語はつまらなかったけど、でもラストのガネーシャの言葉は重みがあったと思う。
 この本を読み終わって、さて感想ブログ書くか、とパソコンデスクに向かったら親戚からもらったバリ土産のガネーシャ像が置いてあってちょっとビビった。
別窓 | [ま行の作家]ま行その他の作家 | コメント:0 | トラックバック:0 |
『ビブリア古書堂の事件手帖4-栞子さんと二つの顔―』  三上 延
2016-07-14 Thu 12:24
ビブリア古書堂の事件手帖4 ~栞子さんと二つの顔~ (メディアワークス文庫)
三上 延
アスキー・メディアワークス (2013-02-22)
売り上げランキング: 38,818

 東日本大震災から間もないある日、大輔がビブリア古書堂で一人店番をしている時に篠原姉妹の母親・篠原智恵子から電話が掛かってきた。店のすぐ外から掛けてきた篠川智恵子からの電話は、また来ると言って切れた。
 その翌日、かつてビブリア古書堂を利用していた来城慶子という女性から、江戸川乱歩の古書に関することで相談があるという依頼を受けた。喉頭癌で声帯を取って上手く話せないために妹の田辺邦代を介して聞いたところによると、来城慶子は資産家・鹿山明の愛人をしており、彼の死後江戸川乱歩に関する古書や物品のコレクションを置いた別荘を譲り受けたそうだ。
 依頼は江戸川乱歩に縁のある珍しい物が入っているという三重鍵の金庫のパスワードを解いて欲しいという物。鍵、ダイヤル、暗証文字によるこの金庫を開けることができたら鹿山明の江戸川乱歩コレクションをビブリア古書堂に売るという報酬に、栞子さんは張り切って依頼を受けた。
 さらに田辺邦代は、鹿山家にあるという鍵を取り返して欲しいという依頼も追加した。鹿山家にあると聞かされていたが、鹿山明の息子・義彦はない言っているそうだ。鹿山義彦に嫌われている自分達ではまともに話も聞いてもらえないので、この件もお願いしたいという。
 鹿山義彦を訪ねると、あからさまに苦々しい態度ながら応じてくれた。離婚して出戻っている妹の鹿山直美は、現在は「ヒトリ書房」でパートをしていると言う。厳しく育てられた子供時代ながら『少年探偵団』だけは買い与えられていた義彦は、直美、近所に住んでいた「ヒトリ書房」の井上太一郎と少年探偵団ごっこをする間柄だった。
 「ヒトリ書房」に行くと、直美が留守番していた。話を聞くことはできたが、父親を嫌っているという彼女から最終的に追い返されてしまう。
 翌日、途中から立ち聞きしていた井上が訪ねてきた。彼は、鹿山明は自分の恩人だった事、鹿山明が自分の趣味や愛人の存在を知っていながら鹿山兄妹に黙って接していた事、鹿山明の秘密や井上と直美との関係を鹿山家にばらされたくなければ彼を紹介しろと脅迫してきた篠川智恵子の事を話した。井上は、恩人である鹿山明が本当は家族を大切に思っている気持ちも持っていたことを、直美に証明してほしいと依頼する。

 人間関係が複雑ながらあまりにも滑らかに話が進んでいくから、シリーズ初の長編だった事に全然気づかなかった。「エピローグ」という文字を見て初めて気付いたくらい、とめどなく読んでいったように思う。せいぜい時々、ドラマを思い出すくらい。ドラマではこの話は最終話だったと思う。安田成美が剛力彩芽に「もし『押絵』の第一稿だったら、どんなことをしても読んでみたいと思わない?」というシーンがとても印象的でよく覚えてる。狂気さえ感じられる笑顔がド迫力でそりゃもう美しくて、原作で「篠川智恵子」という名前が出てくるたびにそのシーンを思い出してたんだけど、この巻でようやくそのシーンが出て「キターーーーッ」状態に。
 いきなり超どうでもいい感想から始まってしまったけど、面白かった。登場人物達の江戸川乱歩への情熱と共に、「ヒトリ書房」の店主・井上との和解、篠川智恵子の影がちらほらあると思ったら後半でバーンと登場したり、この人必要だった?とずっと思ってた田代邦代こそが中心人物だったり、栞子がずっと大輔に対していい感じ!いい感じ過ぎる!と思ってたら大輔がとうとう!とうとう告白しちゃったり!あと、篠川智恵子が出て行った理由を志田さんが教えてくれたんだけど「正気じゃ手に入らねえような、とんでもねえ古書」の存在がめっちゃ気になる!・・・という感じで色々と良かった。
 今回、大輔はやけに賢く感じた。力仕事とアッシー以外はうどの大木って思ってたんだけど、結構記憶力いいじゃないか。活字が読めない体質だというハンデを持ちながらも大卒という学歴を持っているだけの事はある。普通の人間だけど単なる怠け者な私とは大違いなわけか。
 今まで少しずつ距離を縮めて行ってた大輔と栞さんの関係の展開は次回に期待するとして、井上さんと直美さんのプラトニックな恋模様も結構良かった。中年の恋って結構いいね。このシリーズの今までの流れからして、こちらの関係も次回以降にまた出てくれるんじゃないかなって思う。智恵子が娘達には全く連絡をせず、志田さんとは連絡を取り合っていた謎も解けるのかな。
 余談だけど、「ヒトリ書房」の店主を栞子さんは登場以来この巻まで「ヒトリさん」って呼んでたけど、脳内に劇団ひとりが出てきてたのは私だけ?
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