元司書による読書備忘録ブログ。思ったことは全部書き、何様気取りの感想だったり平気でネタバレしたりします。
『キング誕生―池袋ウエストゲートパーク青春篇」 石田 衣良
2015-12-14 Mon 11:53
キング誕生 池袋ウエストゲートパーク青春篇 (文春文庫)
石田 衣良
文藝春秋 (2014-09-02)
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 池袋で絶対的なカリスマを持つキング・タカシの高校時代を、その頃からの親友であるマコトの目を通して描いた物語。
 タカシの家族は、皆から慕われる池袋のボスでありボクシングでインハイ準優勝の実力を持つ兄・タケルと、病弱で入退院を繰り返す母・華英がいた。兄とは一線置いた付き合いをしようとしていたタカシだったが、自分とマコトの不手際からタケルに怪我を負わせた事をきっかけにGボーイズの幹部となる。
 カラーギャング団同士の対立が激化する中、母の華英が病死。その日の夜、何者かによってタケルも刺殺された。一時的にボーイズのボスになると宣言したタカシは、タケルの復讐のブレーンにマコトを指名する。

 以前に出た外伝「赤(ルージュ)・黒(ノワール)」がかなり面白かったから期待して読んだんだけど、何だかイマイチだったなぁ。この設定、いつ考えられたんだろう?少なくとも最初から考えていたものではないと思うし、あちこちツッコミどころが多い。
 いつだったか、前のキングが存在だけ出てこなかったっけ?もちろんご存命設定。前のキングから言われたみたいな感じで。
 それから、カラーギャングが流行ったのは、IWGPシリーズが始まった頃で間違いない。でも、そうすると現在のマコト達の年齢が30代半ば~40代になっちゃうんだけど・・・。私の中で彼らは永遠の20代前半だったんだけど、もしかして意外と・・・?いや、そんなわけないよね・・・。
 でもって、で、オレオレ詐欺ってもっと後じゃない?いや、まだオレオレ詐欺のパイオニアの話だと思えばいいのか?でも少なくともキラキラネームは随分後のはず。もちろん当時からその手の変な名前はあったけど、「キラキラネーム」って名前が付いたのは少なくともここ10年内。というか、私の上の子が生まれる時はなかったように思うから、正確に言うと7年以内かな。私がその言葉を知らなかっただけと言われればそれまでだけど、だったら不良生活してる彼らがワイドショーや雑誌を読むとは思えないから、やっぱ正味5年以内ってとこか。まあ、私の不確かな記憶による年代確認はどうでもいい。
 オレオレ詐欺、ノックアウト強盗、カラーギャングの池袋乗っ取り、病弱な母親がいる不良少年、どれもIWGPでいかにも出てきそうな出来事だけど、どれも長編小説で扱うにはパンチ不足っていうのが一番の不満。いかにも出てきそうな出来事を複数出したところで、ストーリーに一体感がなくなるだけ。そこにきて、華英さんが病死からの脈絡ないタケルの死。精神的にも弱ってたって?何かピンとこないんだよなぁ。カラーギャング抗争でまだ戦ってもないのにいきなり殺すとか、ちょっと唐突過ぎ。うーん、誕生のいきさつは、何かドラマ性が足りない・・・。同人誌読んでるみたいな、コレジャナイ感だった。
 あと、私の記憶違いだったら申し訳ないんだけど、シリーズの序盤で「マコトの母親はタカシが嫌い」みたいな描写がなかったっけ?あのお母さんらしい設定だと思ったけど、いつだったか突然母親がタカシと親し気に話し始めて「?」ってなった。で、今回は嫌いとか親しいってレベルじゃない。タカシの恩人じゃないか。だったらタカシ、マコトに会いに来た時くらいフルーツ大量買いしなよって話で。いや、それだとお母さんが売らないであげちゃうかな?だったら、たまに力仕事を手伝う程度でもね。そういう前ふり一切なしで、実は昔めっちゃ世話になってたって言われても納得いかない。
 吉岡さんがマコトの母親の事好きってのもなかなか唐突。さらに、高校時代のマコトって結構ワルで吉岡さんにお世話になったんじゃなかったっけ?このマコト、全然大した事ない。もっとカツアゲのシーンとか、思春期パワーを持て余して夜の校舎窓ガラス壊して回るシーンとかあるかと思った。
 まあ、パラレルワールドだと思えばいいのかな?『シティーハンター』と『エンジェルハート』くらいの、割り切ったパラレル。それならそれで、もうちょっと面白くしてくれてもいいと思うんだけど。昔から密かに考えてた裏設定を練り直し、やっと書き上げましたみたいな話が読みたかった。
 さて、本編10巻まで出ておいて、この外伝。10巻最後のタカシのちょっと疲れた様子からして、最終回を連想してしまった私。調べたら普通に11巻が出てて、勝手にズコーッて状態。11巻目は面白く読める事を期待してる。
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