元司書による読書備忘録ブログ。思ったことは全部書き、何様気取りの感想だったり平気でネタバレしたりします。
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2009年4月に読んだ本
2009-04-30 Thu 12:42
『さまよう刃』  東野 圭吾 (4/30)
『QED 神器封殺』  高田 崇史 (4/28)
『非正規レジスタンス―池袋ウエストゲートパーク8』  石田 衣良 (4/26)
『きみはポラリス』  三浦 しをん (4/25)
『双生児』  江戸川 乱歩 (4/20)
『東京DOLL』  石田 衣良 (4/19)
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『さまよう刃』  東野 圭吾
2009-04-30 Thu 12:33
さまよう刃さまよう刃
東野 圭吾

朝日新聞社 2004-12
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 高校生の一人娘を殺されて呆然としていた長峰に、スガノカイジとトモザキアツヤという2人が犯人だと告げる謎の電話があった。教えられた住所のアパートの侵入した長峰は、娘が凌辱されているところを撮影したビデオを見付ける。彼は帰ってきた男を衝動的に殺して逃走し、もう1人の男も殺す決意をした。

 身勝手な犯行と逃亡、親の責任放棄、遺族を喰い物にするマスコミなど、読んでいるだけなのに悲しみと憎悪が押し寄せるように伝わってくる本だった。東野さんの文章は、相変わらず凄い説得力を持って迫って来る。トントンと進んでいく話とは裏腹に、読めば読むほどずっしり重い。でも単なる読者でしかない私達は、本当に家族を殺された経験を持つ人の気持ちの何百分の一も理解できてないんだろう。
 犯罪を犯す若者だけじゃなく、その親達が揃って無責任であることがまた腹立たしい。やはり彼らを育てた環境そのものから歪んでいるんだろうか。だとしたら、最近の残忍な少年犯罪を語る前にその上の世代から見直さないといけないんだろうか。
 重く苦しいけど、目を背けることができない話だった。ここ数年、少年による自己中心的な犯罪を本当に頻繁に目にする。何の落ち度もなく事件に巻き込まれた被害者の遺族は、加害者が少年だからと庇う法律によって何度も絶望しているだろう。そう思っている人って多いんだろう。復讐を決意する長峰を支える人、声に出して言うことは許されないけど長峰の復讐を願う人もいる。まさに現代の少年犯罪を描く作品だった。
 唯一の不満と言えば、カイジとトモヤにレイプされた揚句自殺した少女の父親・鮎村が刃物を持ってカイジに向かって行く際に声をあげたこと。何で「うおおおお」なんて言っちゃうんだよ、相手は若いから気付かれたら避けれるじゃないか。作中にどっぷり浸かりながら読んでいたんで、闇雲に突進する鮎村が歯がゆくもあった。
 ラストは、フィクションとしてこれで良かったのかは悩む。カイジをもっともっと苦しめて欲しかったとも思うし、長峰には復讐を遂げて欲しいと願いながらも読み続けていた。でも反面、長峰がこれ以上苦しむことはないということにほっとしている。生きて罪を償っても、長峰の苦しみは絶対に終わらないうえにカイジの方が社会復帰が早い可能性だってあるんだから。未成年であることと、傷害致死であること、悪質なレイプ事件常習犯でも現行の法律は罪が軽いこと、麻薬の使用が初めてであることなんかを考えると、カイジが後悔するほどの罪には決してならないだろう。
 裁判員制度が始まって、凶悪犯罪に対して世の中の人々が思っている罪が科せられるようになればいいと思う。
別窓 | [は行の作家]東野 圭吾 | コメント:0 | トラックバック:0 |
『QED 神器封殺』  高田 崇史
2009-04-28 Tue 14:08
QED 神器封殺 (講談社ノベルス)QED 神器封殺 (講談社ノベルス)
高田 崇史

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 シリーズ11冊目。結構続くな・・・。
 前作『QED ~ventus~熊野の残照』で、学薬旅行で熊野に来た奈々とタタル。タタルは寄りたい所があるから学校薬剤師会とは別行動をすると言い出し、事件の取材で沙織と小松崎が和歌山に来ることになったために、奈々も和歌山に残ることにした。学薬旅行中行動を共にしてきた禮子も、奈々たちと一緒にもう1泊したい言う。
 5人は合流し、いつも通りお酒を飲みながら語り合った。地酒「八咫烏」からタタルは、三種の神器(八咫鏡、天叢雲剣=草薙剣、八尺瓊勾玉)の話をする。その話を途中で遮り、小松崎と沙織は和歌山市の熱田病院事件の話をした。
 熱田病院のオーナー・熱田光明(こうめい)は殺害されて首と右手首を切断された状態で、毎朝彼の様子を見に来る看護師の石橋由紀子と管理人によって発見された。首と右手首はすぐに外の植え込みで見付かり、犯人が何のためにそれらを切り取ったかは全く謎だと言う。
 翌日、奈々はタタルの神社巡りについて行き、沙織と小松崎は取材に行き、禮子は1那智に行くことになった。禮子は1人で那智に向かう途中、昔の知り合いである御名形史紋(みなかたしもん)に会った。この旅行中にタタルから聞いた話を聞かせると、御名形はタタルに興味を持ったようだった。昼食を兼ねて、和歌山で落ち合った6人。御名形はタタルと同様に、神社や歴史に造詣の深い人間だった。
 タタルと御名形が意味不明のやり取りをする中、熱田病院の竹下事務長死亡の連絡が入る。

 今回の話は三種の神器。日本の神話について語ってあるけど、私の知識はまたしても微妙・・・。全くの無知ではないぶんわからなくもないって程度か。それにしても、日本の神話の登場人物って名前が読めない。最初だけルビが振ってあるけど、途中から誰が誰なんだかわからなくなっていく。
 事件の方は、タタルは話を聞いただけで解決したという感じ。トリックは大した物ではなく、動機もいまいち不明で、いつも通りオマケって感じ。首と右手首を切られた死体の謎は、ただの見立て殺人というだけ。
 それよりも、その先にあった三種の神器を祀る神社の位置関係が面白かった。私はそれほど神社に興味があるわけじゃないけど、結構驚いた。ストーリーがもっと面白ければ言うことないんだけどなぁ。でも何だかんだでこのシリーズは11冊目。文庫版も出ているんだし、それなりに人気なんだろう。歴史好きって多いんだなぁ。私にたっぷり時間があって、タタルが言ってることを理解できる程度に周辺知識を固めつつ読めば相当楽しめるとは思うんだけど。
 「毒草師」の御名形は今後も登場しそうな感じで去って行った。趣味どころか雰囲気までタタルとかぶる男を登場させたことに、何か意味はあるんだろうか。このシリーズがより面白くなる方向で再登場してくれるといいけど。
別窓 | [た行の作家]高田 崇史 | コメント:0 | トラックバック:0 |
『非正規レジスタンス―池袋ウエストゲートパーク8』  石田 衣良
2009-04-26 Sun 17:20
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石田 衣良

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「千川フォールアウト・マザー」
 3歳の息子・カズシを保育園に預けることもできず、昼は育児、夜は労働という生活を送るシングルマザーのユイ。マコトと母親は、彼女に売れ残りの果物をあげていた。そのユイからマコトは、コンサートに行きたいから明日カズシを預かって欲しいと頼まれた。人と会う約束をしていたので断ったが、翌日の新聞にカズシの転落事故が載っていた。
 マスコミに責めたてられて参っていたユイが、ある日突然派手な格好をして訪ねてきた。どうやら新しい男ができたようだ。調べてみると、その男は人妻狙いの風俗スカウトマンだった。

 ユイは一生懸命がんぱってる人だとは思う。でも私は基本的に、離婚によるシングルマザーは本人の責任だと思っている。出来婚して相手が碌な男じゃなかったからシングルマザーって、そんな男を選んで付き合ったのも自分だし、無責任なセックスをしたのも自分なんだし、そんな状況で産む決意をしたのも自分だ。ただ、男女間のことなのに女性が担う負担が大きすぎるというのは同情すべき点ではあるけれども。
 ユイは2年間休みなしで頑張ったのに、わたしが息抜きするのは贅沢なのかと言う。贅沢だと私は思ってしまう。子供はそこに確かに存在するんだから、息抜きしたいけどしてはいけないと私は思う。男と無責任な付き合い方をした代償は相当大きいって、考えればわかるんじゃないだろうか。
 マコトの母親もシングルマザーで、この話の肝心の所は彼女が掴んでいる。でも彼女は寡婦だから、ユイとは違うと思う。
 こう考える私とは全く関係ないところで、マコトの母親はユイとカズシを救いあげた。モノローグでマコトは、母親には熱烈なファンがいると言う。多分読者のことだろう。熱烈ってほどじゃないと思うけど、私も結構彼女のことは好きだ。今回の話でもかっこ良かった。彼女のマコトに対する想いには、じーんときた。

「池袋クリンナップス」
 池袋の街で月曜の夜にゴミ拾いをすることが流行っていた。発起人であるカズフミは桂リライアンスの社長の一人息子。彼はタカシから紹介されたと言ってマコトに話しかけてきた。
 そのカズフミが誘拐されて、3千万円が要求された。警察に知られたくないと警備会社を利用した桂リライアンスだったが、身代金の受け渡しに失敗してマコトのもとにやってきた。身代金は3億円になり、公証人にマコトを指定してきたのだと言う。

「定年ブルドッグ」
 マコトはタカシからの紹介で、元カレからSMプレイの写真をばら撒かれたくなかったら200万円用意しろと言われているハルナの依頼を引き受けた。その帰り道、マコトはハルナを脅迫している池本と間違われて60代の大柄の男から襲われる。彼は警察官であるハルナの父親の部下だった。
 2人は協力して池本をこらしめることにした。

「非正規レジスタンス」
 マコトは店の果物を物欲しそうに見ながら何度も通り過ぎる青年に気付いて声を掛けた。彼は低賃金で働かされるネットカフェ難民で、サトシと名乗った。
 後日、タカシからの紹介で東京フリーターズユニオンのモエがやってきた。サトシが何者かに襲われたらしい。東京フリーターズユニオンは人材派遣会社ベターデイズに対してインフォメーション費のことで訴訟を起こしていた。サトシはその訴訟団のひとりで、メンバーが襲われるのはこれで3人目だと言う。
 マコトはベターデイズに登録して内部を探ることにした。

 シングルマザー同様、ネカフェ難民も自己責任だと思っていた私。この前の冬に派遣切りが問題になってた時も、自己責任だと思っていたくらいだ。ただ、この話に出てくるベターデイズみたいな会社が派遣会社となると、やっぱひどい。現状ってここまでひどいのか。
 ネカフェ難民のドキュメンタリー番組を見たことはあったけど、なぜか石田さんの小説の方に説得力を感じてしまった。やっぱTVだと見てる私だけじゃなくて取材している人もどっか他人事で「こんなにひどいんです」と訴える声が空々しかったからだろう。
 石田さんはどこまでネカフェ難民について本気で考えてるのかはわからない。ただ小説のネタとして使ったのかもしれない。ただ、マコトの語りを通して描かれたネカフェ難民の現状は大きな説得力を持っていた。

 いつも通り軽快なマコトの語りと、私の全く知らないアンダーグラウンドの世界で起こる世界事件達を楽しむことができた。まだ続けるんだこのシリーズ、って思うけど、毎回きちんと面白い。
 特に今回は、1話目と4話目で低賃金労働ゆえに低賃金から抜け出せない弱者を描いてる所がこれまでのIWGPとはちょっと違う感じはした。そのぶん、サルやタカシとの絶妙な関係があまり見られなかったのは残念でもある。タカシはファンサービス程度にちょいちょい出てはきたけど。
 社会の底辺の人々はマコトの目に付いた人だけ救っても、社会構造が変わらないとどうにもならないことだろう。だから、深く考えると楽しめない本でもある。ただマコトのフットワークや悪知恵を楽しむだけにしておかないと、現実を考えると暗くなる。
 このシリーズの特徴のひとつである、物語の冒頭のマコトのモノローグは結構好きだ。最初はちょっとキザ臭いと感じてたけど、本題に入ると納得ができるようなことが書いてある。
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『きみはポラリス』  三浦 しをん
2009-04-25 Sat 14:40
きみはポラリスきみはポラリス
三浦 しをん

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 「恋愛」をテーマに書かれた短編集。

「永遠に完成しない二通の手紙」 (お題「ラブレター」)
 岡田勘太郎のアパートに寺島良介が訪ねてきた。合コンで出会った内村洋子という女性にラブレターを書くのを手伝ってほしいと言う彼を、岡田は文句を言いながらもそれを手伝う。

「裏切らないこと」 (自分お題「禁忌」)
 まだ赤ん坊の息子・勇人をお風呂に入れるためにと急いで帰った「俺」は、妻の恵理花が勇人のペニスを口に含んでいるところを窓から見てしまう。以前から女性が身内の男性に向ける親しさが理解できずにいた「俺」は、その疑問をますます深くしていた。
 その不可解さから、「俺」は子供時代にお世話になった老夫婦のことを思い出す。

「私たちがしたこと」 (自分お題「王道」)
 喫茶店で料理を作っている「私」は、友人の美紀子のウェディングドレス作りを手伝っている。その最中に、美紀子は「私」が恋をしない理由と「あの日」起こったことを聞いてきた。ずっと気に掛けていた様子の美紀子に、「私」は忘れられない彼と「私」との出来事を話すことにした。
 高校時代、付きあっていた俊介の家に行った帰り道に「私」は何者かに河原で犯されそうになった。そこに俊介が駆けつけ、棒のようなもので男を殴り殺した。2人で穴を掘って埋めたが、俊介は後悔してないから警察に言うつもりはないと言う。しかし「私」は犯した罪に怯えるようになっていった。
 
「夜にあふれるもの」 「自分お題「信仰」)
 ミッション系の高校に通っていた時の友人・真理子は人間を超越した存在を体感し、ミサの最中に感極まってて失神するような子だった。
 その真理子の夫・木村芳夫から電話を受け、彼と会って話すことになった「私」ことエルザ。夫によると、真理子は妊娠してから「家に悪霊がいる」と言うなどおかしな言動が目立つようになってきたらしい。その日の夜、真理子が夫と共に「私」のアパートにやってきた。行きたい所があるから付き合ってほしいと言う。「私」と恋人の有坂は、青森のキリストの墓まで連れて行かれる。

「骨片」 (お題「あのころの宝物」)
 「私」こと蒔田朱鷺子は、大学卒業後は実家のあんこ屋を手伝ったり寝たきりの祖母の世話をしたりしている。ある日「私」のもとに、敬愛する恩師が亡くなったという連絡が入った。火葬場で「私」は、恩師の骨片をこっそり持ち帰る。

「ペーパークラフト」 (自分お題「三角関係」)
 夫・始と共に二歳の息子・太郎を連れて行った水族館で、夫の高校時代の友人・熊谷勇人と知り合った里子。ペーパークラフト作家をしているという彼は、時々家に来るようになった。
 ある日始の出張中にやってきた熊谷は、始が女性と写っている写真を見せた。始との再会は、彼の素行調査をするためだったようだ。

「森を歩く」 (お題「結婚して私は貧乏になった」)
 捨松と同棲し、未提出とはいえ婚姻届に判を押している「私」ことうはねは、彼が何の仕事をしているのか知らない。時々長期間いなくなり、年に1~2度50万か100万のお金を渡されるだけだった。捨松と暮らすようになって充足感を覚えてはいるが、「私」は彼の仕事を知るために後をつけることにした。 

「優雅な生活」 (自分お題「共同作業」)
 自分以外の女子事務員達が実践しているロハス生活に興味を持ち、手始めに玄米を買って帰った。貧乏で結婚もできないから2人で何か共同作業をしたかったと言うさよりの言葉で、最初は大反対していた俊明もロハスに拘るようになっていく。

「春太の毎日」 (お題「最後の恋」)
 麻子に拾われた「俺」こと春太は麻子が大好きだけど、麻子は「俺」がいてもしょっちゅう米倉健吾を家に上げていちゃついている。しかし麻子にとって「俺」が一番だとわかっているから、黙認していた。

「冬の一等星」 (自分お題「年齢差」)
 「私」こと映子は文蔵と過ごした時のことを思い出して時々車の後部座席で寝る。
 「私」が八歳の冬のことだった。母親の車の後部座席に忍び込んで寝ていたら、いつの間にか知らない男の人が運転をしていた。文蔵と名乗るその男は、「私」がいることを知らずに車を盗んだようだった。

「永遠につづく手紙の最後の一文」 (自分お題「初恋」)
 岡田勘太郎と寺島良介は体育倉庫に閉じ込められた。閉じ込められた状態でも馬鹿な寺島に、岡田はこれまでの付き合いを思い返す。

 巻末に書いてあったんだけど、三浦さんは恋愛をテーマにした短編を依頼されることが多いそうだ。依頼者から指示されたテーマを「お題」、自分勝手に設定したテーマを「自分お題」として載せてあったんで、各タイトルに括弧書きして付けた。
 大して厚くもない本に11編も入っているから、1話がとても短い。それなのに妙に深みがある。でもその深さは尋常じゃない感じで、フィクションとして扱わないと私の常識を大きく逸脱しすぎて嫌悪しそうになる物もあるくらいだ。
 例えば1話目と11話目は時間軸は違うけど同じ登場人物で、最後に同性愛だったことが明確になる。三浦さんが好きらしいホモネタは、私は基本的に大嫌いだ。友情に紛れ込ませたホモネタとか、特に嫌い。
 それからやたらと出てくるダメ男。「ペーパークラフト」の始、「森を歩く」の捨松、「優雅な生活」の俊明なんかがそうで、普通に見たら付き合ってる主人公達は不幸だ。彼女達はそのダメ男らと別れるつもりは全くなさそうという点も普通に考えたら理解できないけど、主題はそこではなくて別のところにあって別のことを伝えようとしてくる。
 どうしても受け入れがたかったのは、「裏切らないこと」の恵理花。これはちょっと、私の中の常識をシャットダウンしても受け入れ難い。先日の日記に書いたように、私は今妊娠中だ。腹の子は女の子らしいから、この行動を公平に受け取ることもできない。でも逆の立場で考えて、配偶者が娘の股間にそんなことしてたら殺人もんだと思う。老夫婦の話は良かったんだけど、どうも冒頭がね・・・。
 全体的に精度の高い作品だとは思うけど、好きか嫌いかというとやっぱ嫌いかなぁ。きれいすぎて昼ドラみたいとも感じるし、きれいだけどこんな恋愛は経験しなくて結構だとも思うし、あんま共感もできないし。
 あと、とても個人的なことだけど最近適当に借りる本が短編集ってことが多い。短編集は嫌いじゃないけど長編の方が好きだし、短編ばっか読んでると飽きてくる。久々に、ハラハラドキドキの長編小説を読みたいなぁ。
別窓 | [ま行の作家]三浦 しをん | コメント:0 | トラックバック:0 |
『双生児』  江戸川 乱歩
2009-04-20 Mon 23:30
双生児 (角川ホラー文庫)双生児 (角川ホラー文庫)
江戸川 乱歩

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「双生児(ある死刑囚が教誨師にうちあけた話)」
 強盗殺人の罪で死刑が確定している男が、過去に犯した別の罪を教誨師に告白する、その独白。
 その男には双子の兄がいたが、親の財産のほとんどを兄が継いだことを妬んでいた。男は兄と瓜二つであることを利用して、兄を殺して自分が兄に成り変わることを思い付く。企みは成功し、兄嫁にも知れることなく彼は兄として生活していた。
 ある日男は、兄の日記帳の中に自分のものとは微妙に異なる指紋を見付けた。兄の指紋だと確信した男は、その指紋を使って新たな犯罪を計画した。

「一人二役」
 語り部「僕」の知人、Tが退屈凌ぎに妻にいたずらを仕掛ける話。変装したTは、夜ふけに帰宅して床に入った。付け髭に一瞬だけ触れさせて妻を不審がらせた後は狸寝入りをし、妻が気のせいかと寝入った後に自分とは違うイニシャルが入ったシガレットケースを残して出掛ける。その後Tとして帰宅しても知らないふりをした。このいたずらを何度か繰り返すうちに、どうやら妻は夫がいない夜に夫とは別の男が通っていると確信し始めた様子で、さらにその謎の男に心を寄せるようになっていっているようだった。
 やがてTは、自分自身が化けた男に嫉妬するようになる。

「ぺてん師と空気男」
 「わたし」は電車の中で、何も書いてない本を読み、口に紐を加えた奇妙な男を見掛けて思わず声を掛けた後に彼の後を尾行した。尾行はあっさりと看破されて、伊東と名乗るその男の家に招待される。彼はプラクティカル・ジョークの名人で、「わたし」と伊東は親しく往き来をするようになった。
 伊東の家で開かれる同好会にも出席するようになった「わたし」は、次第に伊東の妻に心惹かれるようになっていった。どうやら妻も自分を憎からず想っていると確信した「わたし」は、伊東がいない日に一線を越えてしまった。

「百面相役者」
 知り合いのRを訪ねた「僕」は、彼に連れられて芝居を観に行く。その芝居に登場した百面相の役者にすっかり感心した「僕」だったが、Rの家でかつての新聞記事を見せられた。墓を掘り起こして死体の首を盗んで行く犯人が未だに捕まらないという記事だったが、盗まれた死体の顔の一人が百面相役者の変装の中の一人にそっくりだったことに驚く。
 Rはその百面相役者が、死体から盗んだ首を使って面を作っているのではないかと言う。

「一寸法師」
 酔って公園を歩く小林紋三は、一寸法師(たぶん小人症の人のこと)を見かけた。何となく気になってこっそり観察していると、その一寸法師が人間の腕を捨てている所を目撃した。そのまま小さな寺に入っていくところまで見届けた紋三は翌日その寺を訪ねると、そのような人間はいないと言われた。
 不思議に思いつつ乗った電車の中で、彼は山野夫人と出会った。山野夫人は彼に、知り合いの明智探偵を紹介してほしいと頼んできた。娘の三千子が行方不明になっており、その相談に行きたいのだと言う。
 山野夫人を連れて明智小五郎を訪れた紋三は、共に話を聞き、3人で山野宅へ行くことになった。

 
 高校の時にエドガー・アラン・ポーの小説を塾の先生から借りて読んで感銘を受け、地元の図書館でポーの他の小説を借りようとした。司書さんに「エドガー・アラン・ポーの小説はどこですか?」と聞くと、江戸川乱歩の書架に案内されたというしょっぱい思い出がある。その司書さんはさっさとカウンターに戻って行ったし、当時知らない人に物を尋ねるのが苦手だったんで、結局何も借りないで帰ったんだが。
 そんな思い出があって、長いこと江戸川乱歩は読んでなかった。子供向けの少年探偵を数冊読んだってくらい。この本は、何か1冊くらい大人向けを・・・と思って適当に選んだ本。
 語りのシーンがポーに似てると思うのは気のせいだろうか。ポーも長いこと読んでないし、和訳しか読んでないから気のせいかもしれないけど。
 短編集ながらどの話も最後のトリックで驚かされたけど、「一寸法師」はあまり面白く感じられなかった。昔の小説だからだと思うけど、情景を上手く思い浮かべることができないまま話が進んでいって読みにくい。小人症の人を“一寸法師”だの“かたわ”だの堂々と書いてある所に時代を感じるなぁ。
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『東京DOLL』  石田 衣良
2009-04-19 Sun 23:15
東京DOLL東京DOLL
石田 衣良

講談社 2005-07-29
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 MGと呼ばれる天才ゲームクリエイターの相良一登は深夜のコンビニでバイトをしていたヨリという少女を、ゲームキャラクターのモデルとしてスカウトする。ヨリの彼氏・ヨシトシからはモデルにするのはいいが手は出すなと釘を刺され、MG自身にも結婚の約束をした裕香がいたが、MGとヨリはお互いなくてはならない存在になっていった。
 その一方でMGが元同僚と設立したゲーム制作会社デジタルアーミーは、大手ゲーム会社のエッジ・エンターテイメントから手を組みたいという話を持ちかけられていた。5人の社員は、賛成派と慎重派で意見が分かれる。

 主人公をMGという記号にしたのは良くない気がする。記号にしたのに半端に人間くさく、変にか弱い人間がクールぶってるように感じられた。最初は何だかかっこよさげだったんだけどな。
 背中に翼の刺青がある魅力的な女の子が主人公と惹かれ合うのはセオリーだけど、そこまでの過程とかベッドシーンとか、何でこんなにチープなんだろう。IWGPの時にはドライなのにもっと血の通った濡れ場を描いてると思うんだけど、この作品では男の憧れか?っていうくらい現実味がなかった。
 裕香もヨシトシも設定としては魅力ある人達に思えるのに、作品の中でコンパクトに収められてて微妙な立ち位置のままラストシーン突入しちゃうし。
 仕事の話もいまいち。クリエイティブな仕事をしていて主人公が創作の苦しみに耐えてるっぽいのに、その苦しみは読んでてもいまいち伝わって来ない。仕事仲間が腫れ物に触るかのように接してるだけで、主人公のMGからは苦しみを読み取れなかった。ゲーム制作に詳しい人が読んだらもっとわかるんだろうか。私はゲームがどうやってできていくのか全く知らないから、わからなかったのかもしれない。
 エッジの社長・廣永が明らかに吸収しようとしてるのに、何だか能天気に「俺らの実力」を過信している社員達も平和ボケだし。ヨリが不思議な力で廣永の企みを暴くんだけど、え?気付いてなかったの?という程度の企み。もっとドロドロした巨大な陰謀でもあるのかと思ってたのに、底浅さにがっくり。
 石田さんらしい文章で読みやすくて、この先に何か面白い事件とか出来事とかあるはずと思いながらスイスイ読んだら大したことないまま終わった。講談社に無理やり書かされたのか?
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当分超スローペース更新になります
2009-04-05 Sun 02:13
 5月に出産予定で、去年度いっぱいで司書の仕事を辞めた。辞める日が近づくにつれて段々と頑張って本を読んでいく気力が薄れていって、とうとうプータローになってしまった今は全く読んでない。
 出産してまた再就職する時は司書の仕事をしたいと思ってるんで、今後ともちゃんと本の情報は収集していかないといけないだろう。でも子育てと両立は難しそうだなぁ。初めての出産&育児が待ち受ける中でどんだけできるか未知数すぎるんだけど、無理せず気が向いた時に更新していきたいと思う。
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