元司書による読書備忘録ブログ。思ったことは全部書き、何様気取りの感想だったり平気でネタバレしたりします。
2009年3月に読んだ本
2009-03-31 Tue 23:31
『波のうえの魔術師』  石田 衣良 (3/7)
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『波のうえの魔術師』  石田 衣良
2009-03-07 Sat 00:52
波のうえの魔術師波のうえの魔術師
石田 衣良

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 「おれ」こと白石則道はパチンコ屋で見かけただけの老人・小塚泰造から呼び出されて、彼の秘書として働くことになった。研修期間は泰造の屋敷で朝刊の隅々まで目を通すこと、株式欄から銀行の前日の終値をノートに書き写すこと、1日1つ質問をすること。これだけで給料は月30万円だと言う。
 小塚の教えで感覚を磨きながらマーケットの面白さに目覚めてゆく「おれ」は、まつば銀行相手の「秋のビッグディール」に加担していく。

 大学を卒業しても仕送りとパチンコで生計を立てるような男が他人事として眺めるケンカ騒動。その書き方がIWGP調だったんで、これも東京のちょい悪若者系なのかと思ったら大間違い。毎日チェックする終値から物語が紡ぎだされるなんて、考えもしなかった。
 「おれ」のキャラに合った軽い説明で株式市場の知識が盛り込んである。わかりやすいというほどでもないけど、株の知識なんて皆無の私にも物語の流れが楽しめる程度の程良さがいい。石田衣良ってこういうのにも詳しいんだなぁ。
 小塚の狙いは銀行への復讐。銀行は何かしら悪いことしてお金を貯め込んでるっていうのはイメージとして昔からあった。具体的には全然知らなかったけど、これはひどい。作中でまつば銀行がやってることは、きっと実話だろう。どこかの銀行、もしくはあちこちの銀行がやってることじゃないだろうか。
 小塚が用意周到に計画を立てて一気に攻めるところが、地味なのにかなりワクワクしてくる。あくどいまつば銀行の被害者たちだけでなく、銀行で働く人間、ヤクザ、ホームレスまで登場し、小塚の計画に埋め込まれていく。
 「秋のビッグディール」の後に「おれ」が逮捕されたのには驚いた。ライブドア事件がなかったら意味わからないところだった。ライブドア事件のおかげで、そうかこれは株価操作みたいな感じで罪になるんだとザックリと理解できた。
 石田さんの、いつもとはちょっと違った分野の小説を楽しめた。
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