元司書による読書備忘録ブログ。思ったことは全部書き、何様気取りの感想だったり平気でネタバレしたりします。
2009年1月に読んだ本
2009-01-31 Sat 19:58
『心霊探偵八雲―SECRET FILES絆』  神永 学 (1/29)
『メディエータ2 キスしたら、霊界?』  メグ・キャボット (1/26)
『楽園 上』『楽園 下』  宮部 みゆき (1/25)
『バッテリー 6』  あさの あつこ (1/13)
『心霊探偵八雲6 失意の果てに』  神永 学 (1/7)
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『心霊探偵八雲―SECRET FILES絆』  神永 学
2009-01-29 Thu 00:30
心霊探偵八雲―SECRET FILES絆心霊探偵八雲―SECRET FILES絆
神永 学

文芸社 2007-05
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 八雲の過去を知るために一心を訪ねた晴香は、一心と後藤から八雲の「忘れられない人」の話を聞く。八雲が中3に起こった事件を綴る外伝。
 周囲を拒み、授業もさぼりがちである斉藤八雲。彼を気に掛ける担任の高岸明美は家庭に問題があるのではと考えて家を訪問した。そこで彼女は、高校時代の家庭教師だった斉藤一心と再会する。明美は八雲の生い立ちを聞くと同時に、自分が強姦された時にできた娘がいることを一心に打ち明けた。
 八雲が通う中学校では幽霊が出るという噂があった。日頃八雲を疎ましく思う司は、夜の学校に来るように八雲に言いつける。八雲は行かなかったが、司達と共に集まったメンバーの中の佐和子が異変をきたして翌日から学校を休んだ。佐和子は赤ん坊の幽霊に取り憑かれていた。
 宮川と組んでいた後藤は、無免許で悪質な産婦人科医のタレコミを追っている時に数人から暴行を受けている八雲と出会う。

 明美も目が赤い男に監禁・強姦されて子供を産むことになったという女性だけど、その人が一心と知り合いだったなんて何という偶然だろうか。それとも、赤目男が梓を選んだことと明美を選んだこと、何か意味があるんだろうか。赤目男、十数年経ってからも似たようなことやってやがるんだな。
 明美が一心に打ち明けた時は、赤目については何も話していない。でも八雲は赤ん坊の霊を見て気付いたようだ。そんな異母兄妹って・・・と思うけど、赤ん坊の奈緒をあやす八雲はちょっとかわいい。
 それにしても一心、切ない。明美も切ない。監禁・強姦されて双子を産み、両目が赤かった方の子を思わず落して死なせてしまうとか。一心に再会してプロポーズされ、間もなく幸せになろうとしてた時に殺されるなんて無念だったんじゃないか。でも、明美は八雲に感謝しながら死んでいく。そんな彼女の死亡届を偽装して、明美との婚姻届を出した一心の愛情は深い。
 ところで、明美は行方不明になってその後私生児を生んだってことになる。学校ってそんな人を教師にしてて大丈夫なものなんだろうか。被害者にさえ冷たいのが教育現場なのになぁ。って、あんまりリアリティを追求しちゃいけないんだった。だから死亡届の偽装の方法とかツッこんじゃダメなんだろうな。
 同時収録の「亡霊の叫び」は、公園の池で発見された異常な死体について捜査する後藤の話。鑑識の松村から、霊が映り込んでいる現場検証の写真を見せられた。先日事件で関わりを持った斉藤八雲に協力を依頼するという話。高岸明美と高峰朋美を間違えるとか、後藤さんアホ過ぎ。
 八雲は今よりさらにトゲトゲしいけど、あんまり変わってない。思春期の八雲ならまさにこんな感じだろうなぁという、あんまり捻りのない姿が描かれている。あとがきに「違和感を覚えたかたも多いのではないでしょうか」と書いてあること、逆に驚いた。え?神永さん八雲にギャップ持たせたつもりだったの?みたいな。確かによく喋るようにはなったと思うけど。
 いや、この本はそう深く考えず、一心と明美の結ばれなかった気持ちのことだけを思おう。明美が八雲に話す、一心のプロポーズの様子がかわいい。何かもう、本当に円満に終わって欲しかった。でもこれは外伝で、本編ありきのストーリー。覚悟して読んでたから痛みは少なかったけど、何も知らず何も考えずに読んでたらと思うと・・・。やや呆然とした後、腹が立つだろうな。フィクションに対するやり場のない怒りとか空しいだけなんで、読む時覚悟ができてたことがありがたい。これもウィキのおかげ。
 さて、次は最新刊である7巻目。赤目男の母親が出てくるらしいけど、なかなか惨い死に方をしてる人っぽいからこれも覚悟して読まねば。ていうかもう、このシリーズは読むのが段々精神的につらくなってきた。もういっそ、八雲は早く赤目男の霊をやっつけて晴香ちゃんとラブラブして欲しいわ~。
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『メディエータ2 キスしたら、霊界?』  メグ・キャボット
2009-01-26 Mon 11:31
メディエータ〈2〉キスしたら、霊界?メディエータ〈2〉キスしたら、霊界?
Meg Cabot 代田 亜香子

理論社 2005-06
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 スーズは夏休みに、強制除霊されそうになったジェシーを助けるために足を踏み入れた「あの場所」の悪夢でうなされる毎日を送っていた。ところが夏休みが終わって高校3年に進級した初日、ジェシーを強制除霊しようとしたポール・スレーターが転校してきていた。あっという間に女子生徒からの人気を集めたポールは、彼を嫌悪するスーズに付きまとう。自分達の力について真実を教えると言ってきたポールに、スーズも話を聞かざるを得なくなる。
 一方ジェシーは、前回の事件でのキス以来スーズを避けているようだ。やっと自分の気持ちを打ち明けられると思っていたスーズはがっかりし、ポールのことを打ち明けられなくなる。

 これの前の巻に当たる「ゴースト、好きになっちゃった」を知らずに一番最初に読んで、シリーズ本だったことに気付いて最初から読んできた。やっと前に進めると思ってたのに、1年以上前に読んだ「ゴースト、好きになっちゃった」の内容がうろ覚えだなんて残念すぎる記憶力。メグ・キャボットさんが要所要所で前作を掘り返しながら書いてくれてるから意味がわからないってことはなかったけど、そーいやそんな事もあった気がすると思いながら読むんじゃ気持ちも中途半端。とはいえ、私の中で物語が進んだのは喜ばしいこと。
 ポールは、スーズは現世と来世を行き来できる「シフター」であって「メディエータ」ではないとい言う。さらに、スーズは幽霊のジェシーとは付き合えないと言いつつスーズに迫る。いくらポールがかっこいいとはいえ、やっぱスーズはジェシーが好きなんだなぁ。ジェシーが幽霊でも。
 今回、メディエータの仕事は物語のオマケみたいなもんだった。ジェイクの友人、ニールが連れてきた幽霊のクレイグは「魂の転移」の話をスムーズにするために出てきたんじゃないかってくらいオマケっぽかった。一応ちょっと暴れはしたものの、最後は不自然なくらいあっさり納得してしまうし。何だろうな。
 これまでスーズが抱いている複雑な気持ちが描かれていた新しい家族についても、ちょっと手を抜いてるように見える。それでも義父・アンディってやっぱいい人だなぁ。家庭的ってだけじゃなくて、急にできた娘に戸惑ったりしないで向い合い、ちゃんとスーズの父親になろうとしてくれてる気がする。スーズの母親はどうなんだろうな。スーズ目線すぎるから、スーズの母親が3人の新しい息子にどういう態度で接してるのかはわからない。
 ジェシーとの関係は着実に進んでる。スーズを、スペイン語で“大切な人”という意味を持つ「ケリーダ」と言う言葉で呼ぶとか、何かぎくしゃくするけど毎日必ずスーズの部屋に現れるとか。最後にはポールの安い挑発に乗って殴りかかるとか、既に駆け引きも必要ない段階だろうと思ってしまうのは私がいい歳した大人だからだろうか。
 でもスーズは、ジェシーは自分を何とも思ってないと思ってる。アメリカの話だからって、その辺は日本の鈍い女の子と変わらないもんなんだな。最後にはまたキスして終わりとか、ラブストーリーの王道も日米の差はないらしい。ただ、恋愛の話が出るほど終わり方が気になる。このシリーズは次の巻で完結していて、サブタイトルは「サヨナラ、愛しい幽霊」。サヨナラて・・・。読むのはちょっと怖いけど、アマゾンの評価はなかなか。基本、ティーンズが対象になってるから、変に寂しい終わり方はしてないと信じたい。
 自分の能力をずっと隠し通してきたスーズだけど、状況は少しずつ変わってきてる。義兄のブラッドはジェシーの声が聞こえていたようだし、シーシーは「ジェシーって、幽霊なんでしょ?」と言ってくる。これらのことは最終巻に作用してくるんだろうか。
別窓 | [海外の作家]メグ・キャボット | コメント:0 | トラックバック:0 |
『楽園 上』『楽園 下』  宮部 みゆき
2009-01-25 Sun 20:27
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宮部 みゆき

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 9年前の連続女性誘拐殺人事件のショックから立ち直りつつある前畑滋子を訪ねて、萩谷敏子という中年の女性が訪ねて来た。敏子は、12歳で死んだ息子・等にはサイコメトラーの力があったのではないか、その真偽を調べて欲しいと滋子に頼む。
 16年前に両親に殺されて埋められた少女が発見されるという事件を、等は遺体発見より前に絵に描いていたという。何かの偶然ではないかと思いつつ見せられたノートを捲っていた滋子は、描かれた“山荘”の絵を見てこの件を引き受ける決意をする。それは“山荘”事件から目を背けてきた自分自身との闘いでもあった。
 等はただ単に印象に残った風景を描いただけなのではないかと考えた滋子は、その説を裏付けるための調査をする。そのうちに16年前の事件が起こった家で唯一無関係だった次女・誠子と出会い、彼女から事件の真相を調べて欲しいと依頼された。滋子は既に時効となった殺人事件に足を踏み入れることになっていく。

 『模倣犯』を読んだのは何年前だったろうか。不良司書の私は宮部みゆき初読で(今でもあんまり読んでないけど)、何て凄い物書く人なんだ!と感動したものだ。そう書き込んでないのに説得力ある人物描写とか、関係ない事件の被害者が絡んでるのに不自然じゃない流れがあったりとか、場面も時間も飛ぶのに混乱させられることなく読めた文章とか。どう持ってくるのかと思った結末にも驚いた。
 その事件で最後に大活躍した前畑滋子が登場する小説。『模倣犯』と共通している人物はのは夫の昭二と、秋津刑事くらい。網川浩一の現状は一審の死刑判決を上告したという程度しか書かれておらず、真一君や有馬さんにはノータッチだった。彼らがどうしてるか知りたかった気もするけど、書かれて興ざめするよりはいいかと納得する。
 さて『楽園』。普通にリアルな話だと思って読み始めたら、等の能力が認めざるを得ないことになった展開に驚いた。それと、なんてたくさんの不幸が転がってるんだろうと思う。両親に殺されて埋められた少女・土井崎茜、低学年にいたずらをする小学校教師、妻子ある人と職場恋愛で苦しむ美術教師など。それらが意味もわからず見えてしまうことが不憫だ。また、祖母に縛られた人生を送った挙句に子供を孕んだと同時に放り出されて、それでも誰も恨まず懸命に生き続ける敏子の人生も重苦しい。
 途中から等の能力よりも長女殺しの方に重点が移っていったのにはちょっと肩透かしを食らった感じがした。前半であれだけ等の能力や敏子の愚直さを描いていたのに、それを「ちょっと置いといて」みたいになってしまっている。
 しかも土井崎家について調べていく滋子の閃きは的中しまくりで、大した驚きもないまま茜の元彼が犯した事件によって幕を閉じる。面白くないことはないんだけど、衝撃の『模倣犯』の世界の続きと思うと物足りない。
 それでも土井崎向子の語る真相には考えさせられた。普通に育てたつもりの子供が反抗的なだけでなく、夜遊びを繰り返して遂には人を殺したことを何とも思わない人間に育ってしまう。『模倣犯』の栗橋浩美や網川浩一には複雑な過去があったけど、この作品に出てくるモンスターな若者達にはそれがない。それは最近のニュースで見る若者にも通じるものがあって、無関係面していられない気がする。もし自分の子供が・・・とか、考えると恐ろしい。
 誰しも多かれ少なかれ重い物を抱えた人生が描かれているけど、ラストに救いがあって良かった。茜が求めた「楽園」の先には両親からの絞殺があった。呆れるほどに真っ直ぐ生きた敏子には、考えもしなかった「楽園」が待っていた。何か示唆的だと感じるのは深読みしすぎかもしれないけど。
 一人ひとりの人物描写が丁寧なんだけど不幸な人ばかりスポットが当たるから暗欝としてたけど、このエンディングで心が晴れた。
 ただ、滋子が主人公なぶん、どうしても比べてしまう。ギリギリまで引っ張って最後にパッと見事に畳み込んだ『模倣犯』と比べると、やっぱちょっと物足りないかなぁ。あの衝撃はなかなか忘れられないから、残念だ。
別窓 | [ま行の作家]宮部 みゆき | コメント:0 | トラックバック:0 |
『バッテリー 6』  あさの あつこ
2009-01-13 Tue 12:42
バッテリー〈6〉    教育画劇の創作文学 (教育画劇の創作文学)バッテリー〈6〉 教育画劇の創作文学 (教育画劇の創作文学)
佐藤 真紀子

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 卒業式の日に巧は海音寺から、本気で巧だけに向かってくる門脇に、彼を怖がってない巧や豪は勝てないと言われる。また、横手中との試合に向けた練習では豪が海音寺から、巧はキャッチャーが豪じゃなくても投げられるか、豪は巧がピッチャーじゃなくても本気で捕れるかと言われた。巧も豪もその意味を考え、それぞれの結論を出す。
 門脇は巧の球を打つためだけに調整している。傍らで見ている瑞垣には、万全な状態で試合に臨めること見てとれていた。瑞垣は門脇の「天才」っぷりと真っ直ぐさに苛立ちながらも幼馴染で良き親友という仮面をかぶり続けていたが、それを海音寺に見破られていることにさらに苛立ちを募らせる。
 そうして、試合当日を迎えた。

 巧と門脇が出会った時からこういう終わり方しそうな気はしてた。新田東と横手の両方の書かれ方とか、あさのさんは野球にあんまり詳しくなさとことかで、そう思ってた。予想が当たったがっかり感が・・・。
 やっと読み終わったこの「バッテリー」シリーズだけど、私は他の司書仲間が言うほど面白く感じることができなかった。1~2巻目で運命的な出会いをした巧と豪を読むのは面白かったんだけど、豪が色々考えるようになってしまってからはどんどん面白くなくなっていった。6巻が一番つまんない。
 あさのさんは、描きたい事や伝えたいことが物凄く多かったんだと思う。だからと言って登場人物の心情を細かくつぶさに書かれると、読んでて興醒め。私は読者の共感を上手く誘導してくれる作家さんが好きなんで、こんな風にがんじがらめな感じでくどくど書かれると疲れる。話進まなすぎ!とか思ってしまう。
 でも対象年齢を考えると仕方ないのかな?どう見てもローティーン対象の小説だから、その年代の理解力に合わせるとこうなっちゃうんだろうか。登場人物の心理をさり気なく書くに留めて説明するのではなくて感じさせる作家さんは、下手したら「何が言いたいのかよくわからない」と評価されるっぽいし。
 ふと疑問に思っていくつかの書評サイトを巡ったけど、やっぱ全体的に評価高いなぁ。大体のところベタ褒めだ。やっぱ面白くないって感じたのは、単純に私の好みの問題なのかもしれない。
 キャラの書き分けも微妙で、ふざけてる時の吉貞と瑞垣が丸かぶりだったり、すっかりクールになっちゃった豪と元々クールな巧が似過ぎてたり、瑞垣に対する海音寺と門脇の態度が見分けづらかったりして、モノローグの長さで集中力を欠いていた私には読みづらかった。
 そもそも誰も彼も、真面目に考え事をする度に男らしさが欠落していくのはなぜか。そのために段々ボーイズラブっぽくなっていくのはなぜか。いや、ボーイズラブ云々は置いといて、うだうだ考え込む割に彼らの成長を感じられないから、考え損の伸び止まりじゃないか。拾った犬が死ぬところも、巧にも青波にもどう影響したのか不明のままだったな。
 児童文学だから活字は大きい。でも6巻も読んだんだから、もう少し達成感とか感じたかったなぁ。後日譚らしき『ラストイニング』でも読むか。そういや『バッテリー』の文庫版には単行本に載ってない話が収録されているらしい。読み始めた以上はそっちも読んでおくか。評価ほど面白く感じないまま終わってしまったから、読む前のあの期待感をどっかで取り戻せるといいな。
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『心霊探偵探偵八雲6 失意の果てに』  神永 学
2009-01-07 Wed 00:30
心霊探偵八雲 (6)心霊探偵八雲 (6)
神永 学

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 八雲は一心から、知り合いの病院で出る幽霊について調査依頼を受けた。晴香にせっつかれて病院に行きはしたものの、いつも通り面倒そうに一通り見ただけで帰ってしまう。
 一方後藤と石井は、拘置所にいる七瀬美雪から「拘置所にいながらにして斉藤一心を殺す」と話した。2人が一心にその事を伝えた矢先、お堂で一心が何者かに刺される。犯行現場には美雪の指紋が付いた凶器が落ちていたが、彼女は間違いなく拘置所にいたはずだった。

 ミステリーとしてはいまいちで、美雪の指紋を付けたナイフで第三者が一心を刺したのは当然のことのはず。しかも美雪の性格からして明らかに彼女の指示で事は動いたはずなのに、なぜ身元洗い出しという基本でありつつ地味な作業ばかりピックアップしてるんだろうか。
 まあでも今回の話はミステリー部分はおまけみたいなもんだと思う。八雲の父親が実は死んでいて実態を持たない存在だったこと、奈緒を預かった後藤が得た妻との充足感、晴香によって精神的に助けられる八雲、何だか接近しつつある若い2人などなど、このシリーズを読んできたからこそ楽しめるシーンが満載だった。1巻目から八雲と晴香がいい仲になっていくだろうことは当然の流れだとは思ってたけど、何かもう進展がスローすぎて笑っちゃう。もちろんいい笑いだ。八雲の指が晴香の首筋に触れただの、ベンチシーンで手を重ねるだの、「晴香」と呼び捨てだの、いい年してニヤニヤしてしまった。そっかー、晴香は八雲を「八雲君」って呼ぶけど、八雲は呼び捨てなんだ~、ニヤニヤ・・・みたいな。
 ニヤニヤの一方で、一命を取り留めた一心に脳死の疑いがあるという。ドナー登録している一心は、八雲の同意で臓器が提供されることになる。というわけで今回の事件は結果的に臓器提供が動機となっていて、犯人はなかなか影の薄い人だったんで序盤に「トリックがわかりやすすぎる」と思ってたにも関わらず驚いたんだが。なかなかとって付けたような真犯人だった。美雪が得意の“他人の殺意を誘導して殺させる”を使ったんだろうけど、そういやちょろちょろ登場してたなってくらいにしか印象がない。
 ただ、八雲は最終的には一心が望んだとおりに臓器提供に同意する。その瞬間が苦しい。適合は?とかいうツッコミを心の隅に追いやってしまうには十分だった。読む前から一心の死は知ってたけど、何か一心らしい死に方だったなぁ。八雲が一心の霊を見送るシーンは切ない。
 美雪の護送車が炎上したという新聞記事で物語は終わってるけど、次の巻は外伝らしい。融通が利かない性格なもんで、7巻が気になりつつも出た順で読むことを自分に課しております。
 各巻の出版間隔を見ると、8巻がわりと長いこと出てないことになる。頑張れば追いつけるかもしれない・・・。
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