元司書による読書備忘録ブログ。思ったことは全部書き、何様気取りの感想だったり平気でネタバレしたりします。
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2008年8月に読んだ本
2008-08-31 Sun 22:27
『とりつくしま』  東 直子 (8/31)
『QED ~ventus~熊野の残照』  高田 崇史 (8/28)
『東京島』  桐野 夏生 (8/26)
『私の男』  桜庭 一樹 (8/25)
『狐火ノ杜―居眠り磐音江戸双紙7』  佐伯 泰英 (8/15)
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『とりつくしま』  東 直子
2008-08-31 Sun 21:21
とりつくしまとりつくしま
東 直子

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 死んだ主人公に「とりつくしま係」が、この世の何かに取り憑くことができると言う。生き物にはなれないけど、物にならなれる。主人公が選んだ物は・・・。という11編の連作短編集。

ほんの少し一緒にいるだけでいいと、息子が野球の試合で使うロージンバッグの中の白い粉になる「ロージン」

夫の愛用するマグカップになり、夫の新しい恋人を目の当たりにする「トリケラトプス」

ばった公園のジャングルジムになる「青いの」

ときどき顔を見るだけでいいと、敬愛する書道家・浜先生へプレゼントした白檀の扇子になって先生と奥さんの会話を聞く「白檀」

図書館でいつも自分のような浮浪者に微笑みかけてくれる小雪さんの名札になる「名札」

アドバイスを送りたいと、母親の補聴器になる「ささやき」

妻が自分に宛てた手紙として書き続けている日記帳になる「日記」

リビングで家族を見守りつつ、家族をマッサージしてあげたいとマッサージ器になる「マッサージ」

好きな先輩の彼女のリップクリームになる「くちびる」

孫がレンズで覗くものを一緒に見たいと、孫に買ってあげたカメラになった「レンズ」

番外編として、病に伏した娘に頼まれて髪の毛をびわの樹の下に埋める話。髪を埋めた辺りから宿り草が生えてびわの樹を枯らしてしまった。びわの樹は、娘が好きだった新右衛門の食べたびわの種を娘が植えたものだった。新右衛門はその木が枯れた日に死んでおり、宿り草からは娘が喜ぶ声がした。

 誰もが読みながら、自分なら何を「とりつくしま」にするだろうと思った事だろう。私は何だろうか。考えたけど思い付かないんだな、これが。やっぱり配偶者を見守りたいとは思うけど、別の人と幸せになって欲しいと思うから長く使う物は困る。ていうか、配偶者が悲しみに暮れるのを見とくだけっていうのも嫌だし、あっさり立ち直ったんなら見守るまでもなく私は昇天したいかなぁって思う。子供がいるんなら変わってくるのかもしれないけど、今のとこは死んだらさっさと地獄にでも行くか。というわけで、私の結論は「とりつかない」。短編なので息抜きを交えながら、こんなことを考えつつ読んだ。
 ひとりひとりが営んできた人生の果てにある、優しいような悲しいような物語。奥付の著者紹介見て知ったけど、歌人さんだとか。どうりで文章のリズム美しくて、すーっと心に入ってくると思った。
 私は「くちびる」が良かったな。池上先輩が好きだけど、彼女の綾香先輩のことも尊敬してる。綾香先輩のリップになって、彼らの様子にドキドキしてる主人公がかわいい。特に最後のキスシーンで、綾香先輩のドキドキと主人公のドキドキがかわいいなと。
 やるせない気分になったのは「ささやき」。我儘な母のために補聴器になったけど、この傲慢な母親の様子が何ともイラつく。「わたし」のことも面倒がってた母親だけど、それでも愛していた主人公。でも「わたし」た取り憑いてる補聴器も捨てられて終わりだなんて、何ともやるせない。最初の「ロージン」で母親としての心配を描いておいて、これなんだもん。
 同じく身内に裏切られる「レンズ」では、自分が死ぬとさっさとカメラを売ってしまった孫に腹は立った。でもこのおばあさんがさっさと切り替えて、中古ショップで自分を買ってくれたおじいさんが撮ろうとする風景を見るのも悪くないと考える。新しくてのどかな幸せの予感がして、いい。
 今後どうなっていくのは気になる話も結構あって、少しモヤッとした物が残ったりするのもあった。思い返すと「ロージン」が一番いい終わり方のような気がする。
 全体的にあまり大きな起伏はないぶん安定して読めた。最近続けてダークでディープな本を読んでちょっと影響を受けて陰鬱とした気分になってたから、非常に心に沁み入ってきたように思う。
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『QED ~ventus~熊野の残照』  高田 崇史
2008-08-28 Thu 23:08
QED ~ventus~ 熊野の残照 (講談社ノベルス)QED ~ventus~ 熊野の残照 (講談社ノベルス)
高田 崇史

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 学薬旅行で熊野に行くと知って参加することにした「私」こと神山禮子。人と深く関わることを避けるためだけに、美人で気さくな棚旗奈々さんと共に行動することにした。しかし奈々さんは桑原崇と一緒にいる。結果的に3人で行動することになった「私」は、地元の自分より遥に熊野に詳しい桑原を変人だと思いつつ、次第にその知識の豊富さに圧倒されていく。
 熊野出身であることを隠して旅行に来ているものの、「私」はかつての忌まわしい事件を思い出さずにはいられなかった。そんな私をよそに桑原は日本の神話から、地元人の「私」さえ考えもしなかった説を次々と語る。

 今回は神山禮子さんの一人称で奈々やタタルを語るという、これまでにない試み。それに加えて叙述トリックも加わってるような加わってないような・・・。わかりやすいからミスリードされてるってほどでもないんだけど、このわかりすさが著者の意図したとこなのか試みたけど失敗し得るのかは謎。
 しかしまあ、この新しい試みが面白くない。でもこの作者に限っては、失敗というより「この人ならこんなもんか。メインはそこじゃないんだし」みたいな気分になって批判する気にもならないから不思議だなぁ。
 今回はタタルが熊野に抱いていた疑問を解き明かす。しかし熊野を知らない私にこの話は理解不能すぎ。そもそも日本の神話に出てくる人や神って読み方さえわからない。最初だけルビ振ってあるけど、そこで覚え損ねたらずっとわからない。そういう人物がとにかく大量にいるから、何が謎で何が解明したのかはわからない。
 熊野についてもそうだ。そもそも「熊野ってどこ?」というレベル。熊野古道が世界遺産に登録された時に初めて名前を知ったくらいだし。和歌山県だったんだなぁ。
 ただ、徐福のことは多少は知ってるから、彼が不老不死の薬を求めて日本が来たという説や、神武天皇じゃないかという説は面白いと思った。やっぱQEDを楽しむには題材をどれだけ知ってるかによるなぁ。ていうか私も日本の神話を知らなさすぎなのかもしれない。現代語訳の古事記は読んだけど、その時点で既に読めない名前に翻弄されて意味を把握してない部分が多い。私のような人間は、子供向けの古事記から読み始めるべきなのかもしれない。
 神山さんはずっと気に食わなかった。心の中のツッコミが煩わしい。地の文が不自然なこの著者らしいんだけど、それにしても・・・イラッ。確かに過去は重苦しいけどね。いつか吹っ切ってほしいと思うけどね。でも、猫かぶろうとしてかぶれてない人って何かやだ。かぶるならかぶる、かぶらないならかぶらない!
 それはそうと、小松崎と沙織って絶対デキてるよね。下世話ですが。
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『東京島』  桐野 夏生
2008-08-26 Tue 01:05
東京島東京島
桐野 夏生

新潮社 2008-05
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 ヨットでの旅行中に遭難した隆と清子夫婦。与那国島での過酷な労働から抜け出したものの遭難した若い男性達、銃を突き付けられながら島に降ろされた中国人達。彼らは周囲を激しい潮流で囲まれた南海の無人島で、脱出もできず救出もないでいた。
 島は若者達によって「トウキョウ島」と呼ばれ、「シブヤ」「ジュク」「コウキョマエ」などの地名が付けられた。どことなく弱々しいトウキョウ人達と、ヤンをリーダーに高いサバイバル能力を持つ「ホンコン」と呼ばれる中国人達はテリトリーを別にして暮らしている。
 清子が漂着してから5年。32人中で中年とはいえたった一人の女性である清子は男性からもてはやされていたが、次第にその権力を失いつつあった。夫の隆が死に、島で結婚したカスカベも死に、清子の結婚相手は2年ごとにくじ引きで決めることになる。ノボルとの結婚生活を終えて2回目のくじ引きの日から物語は始まる。
 くじによって記憶喪失のGMと結婚した清子だったが、ホンコンが不法投棄されているドラム缶から船を作ったことを知った。ヤンに取り入って船に乗せてもらうも、船は嵐を抜けたと思ったらトウキョウ島に戻っていた。GMは記憶を取り戻してリーダーになっており、清子がホンコン達と逃げたことをワタナベが吹聴したことでますます除者にされていく。しかし彼女が妊娠したことで、再び注目されるようになった。父親はGMこと森軍司かヤンなのかは時期的に微妙であるが、清子は森軍司の子だと言い張る。
 再びトウキョウ島に戻ってからは隠れるように生活していたホンコン達だったが、彼らは船を持つ別の漂着者達と一緒にいた。それを見付けた清子は、子供の父親はヤンだと言い張って何とか船に乗せてもらおうとする。船は修理中だったが8人乗りである。選出は船の持ち主であるフィリピン人歌手のマリアに委ねられていた。

 桐野さんワールド全開のすごい話だった。いや、読んだのまだ4作目くらいだけど。グロい気持ち悪さを放ってるのに先を読みたくなる。
 彼女の手にかかると無人島生活も何かどす黒いんだけど、『ロビンソン・クルーソー』や『十五少年漂流記』よりも現代味を感じる。普通に考えて、今の日本人ががロビンソンのように逞しく生きることは不可能なわけで、追い詰められたらこうなっちゃうだろうなって思う。
 彼女が描くのは人間が持つ欲望なんていう純粋なもんじゃなくて、年齢を重ねるほどに培われるどす黒い物のように思う。しかしまあ相変わらず、女性なのによくもここまで女性を醜く描けるもんだ。本当に女なのかと疑うこともあるくらい。この作品では清子は女であることを唯一最大の武器にするけど、傲慢であり身勝手であり、それを自己正当化して考えている姿に女性らしさは微塵とも感じない。妊娠した時に、女性ホルモンがあったことに驚いたくらいだ。
 清子だけじゃなくて、ワタナベや森軍司なんかもそう。人間のマイナス面が汚く描かれてるけど、衣食に関わる欲求以上の物が上手いこと描かれてる。極限状態で獣化するんじゃなくて、宗教を持とうとしたり、文化を築こうとしたりと、遭難物を一歩超えた創造性を持つ物語になっている。しかもそれが微妙に上手くいかないのがまた、桐野さんらしくもありリアル。
 清子がフィリピン女性の船に乗せてもらいたくて、産まれた男女の双子をダシにしてる辺りで残りのページが少ないことに気付いた。どうやってこの短いページ数で終わるの!?と心配していたら、スパッと切り捨てるように潔い終わりを迎えて驚く。度肝を抜かれた最後の数ページだった。
 これまで大人数の男と中年女性1人だったけど、中年女性がいなくなって若い数人の女性が数人現れたらこういう小集落のようになっていくのが人間の性質なんだろうな。
 『残虐記』では「新潟少女監禁事件」を、『グロテスク』では「東電OL殺人事件」を彷彿とさせる・・・ていうかモデルにしてるっぽいけど、この話もどっかで似たような事件を聞いたことある。調べてみると、「アナタハン島事件」というやつだった。設定がちょこちょこ被ってるんで、元ネタと思って間違いないだろう。この事件で唯一の女性は若かったけど、敢えて中年女性で年齢の澱のような醜さを描き切っている桐野さんが恐ろしくもある。
 
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『私の男』  桜庭 一樹
2008-08-25 Mon 00:54
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桜庭 一樹

文藝春秋 2007-10-30
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 腐野花(くさりのはな)は震災で家族を亡くして、9歳の時から15歳年上の腐野淳悟に育てられている。24歳で尾崎美郎と結婚を迎えるが、花にとって「私の男」である養父・淳悟とは見えない鎖で繋がったまま逃れられないでいる。
 結婚前日に花、美郎、淳悟で食事をし、結婚式を済ませてハネムーンに出かけ、戻ると淳悟はいなくなっていた。古い知り合いである小町さんが来て、淳悟は死んだと言う。それが嘘であることをすぐに見破った花。物語はそこから、視点を変えつつ花を中心に過去へと遡っていく。
 2章は21歳の花と出会い、淳悟とも知り合ってその不思議な親子関係を見せつけられる美郎。仕事も付き合いも要領よくこなし、複数の女性と付き合いつつも花が気になり始める。
 次の3章は、東京で16歳の花を貪りつつ見守る淳悟の視点。バイク便の仕事をしながら花を養っている最中、故郷である「北」で知り合った田岡が訪ねてきた。田岡は半年前に「北」で起こった殺人事件の犯人を花と確信しており、全てを悟られていると知った淳悟は田岡を殺害した。
 4章の半年前で紋別市にいた頃の花の視点。身も心が淳悟を求めて止まず、海上保安部に所属する彼が巡視船で出かけて留守にする度に海の方を見ながら過ごす。しかし2人の関係が地元の人々から「親父さん」と慕われる大塩に知られてしまい、花は淳悟と離れて暮らすよう説得する大塩を流氷に乗せて蹴りつけ殴り、流れゆく流氷に置き去りにした。
 5章は淳悟の恋人・大塩小町が12歳の花を好きになれずに警戒している。本家の祖父や紋別警察署の田岡は震災孤児の花をかわいがるが、小町から見ると花は得体が知れなくて何となく怖かった。淳悟と花の奇妙な親しさの親子関係に、小町は花が淳悟から何かを奪っていったのではなくて淳悟が花から何か大切なものを奪い続けていることに気付く。
 そして最後の9章は9歳の花の視点。地震による津波で両親と兄と妹を失って避難所にいた花のもとに、淳悟が来て紋別に連れ帰った。淳悟は花が暮らしていける準備をサクサクと整え、若い独身男性に子育てができるはずがないと反対する連中を説得して、花を正式に養女にする。淳悟の母親の墓参りに行った日、夜中に淳悟は「ものすごく、さびしい」と言う。花が抱きしめていると、淳悟は花の服を脱がせて全身を舐めまわした。

 若い男が9歳の主人公を引き取って肉体関係を結びつつ、主人公は大人になる。主人公は彼が実の父親だと知っていた・・・という前知識を、同じ職場の人から教わっていた。彼女はこの本が気持ち悪くてたまらなかったらしい。図書館に予約しててまだ読んでない私にいかに気持ち悪いか話してくれたけど、深く語ると泣くんじゃないかって思うくらいに時々言葉が震えていた。47歳で、娘が冒頭の花くらいの年齢だから読むのが苦しかったのかもしれない。
 タイトルで既に女の業のようなものを感じていた私は、その話を聞いて万全の警戒心で手に取った。直木賞受賞してなかったら確実に避けるところだけど、職業上そうもいかないんで心をフル装備にして読み始める。
 半分くらいまでは確かに気持ち悪かった。でも、時系列が段々と遡るにつれて2人の心の闇を理解させられていく。父親が死ぬと同時に、母親が父親のように厳しくなってしまった淳悟。自分だけ父親が違うことは知らないで育ったものの、家族の中で浮いているために出来るだけぼんやりと過ごしてきた花。耐えられない寂しさの満たし方を知らない淳悟から、愛情という物を初めて向けられた花が受け止める・・・と書くと月並みだろうか。
 私事だけど、うちの両親は家を支えるために一生懸命働くあまり、子供への愛情の示し方が手間とお金だけという人達だ。精神的に支えてもらったことがない。小さい頃くらいはあるのかもしれないけど、記憶を小学生くらいまで遡らせても思い当たらない。でもい両親から愛情をいっぱい受けて育った配偶者から向けられる物には、男女間の愛情と共に別の物を感じていた。考え抜いて、これが家族愛ってやつかなぁと思い始めてる今日この頃。例えば今、彼の愛情は変わってないのに問題があるから一緒にいてはいけないと言われたとして、私は大丈夫だろうか。
 読後に何となく寂しい気分になって身を寄せると、「その本に何か寂しい事が書いてあったの?」と言ってきた私の配偶者。いきなりズバリと当てられて仰天すると同時に、理解してもらえてる安心感から離れることができるか自問自答。難しさを改めて実感した。
 書評サイトで叩かれてるのを読んでて想ったんだけど、成長過程で両親の愛情に疑問を感じなかった人には理解し難い作品かもしれない。理解できる人が不幸な家庭ってわけじゃないだろうけど、理解できない人達は幸せな人達なんだろうなと思う。
 私だってどう見ても普通の家庭の部類で、こんな深いとこまで行きつくことはできないだろう。でも深い所に来てしまっているこのフィクションを全力で否定することはできない。6章の出会って間もない頃、若い男らしい乾いた愛情を娘に注ぐ淳悟と、その愛情を受けて離れられなくなった花。まだ健全な頃のやりとりが可愛らしくて、次第に不健全になっていく過程を読むために章ごとに逆に読んでいくと切なくなる。
 面白い小説というわけじゃないけど、私の内面をグサグサほじくり返して潜り込んでくるような作品だった。独特のひらがな使い、読点使いにも魅せられて、どうにもこの作品が頭から抜けない。淳悟、どこ行ったんだろうなぁ。花は幸せになってほしいなぁ。淳悟と花の母親はどうやって関係を持ったのかなぁ。
 それにしても、これが直木賞?わかりやすめの芥川賞じゃなくて?これのどの辺が大衆文学なんだろうか。少なくともR指定は必要なんじゃなかろうか。多感な年齢の子にはとても読ませられない。
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『狐火ノ杜―居眠り磐音江戸双紙7』 
2008-08-19 Tue 00:46
狐火ノ杜―居眠り磐音江戸双紙 (双葉文庫)狐火ノ杜―居眠り磐音江戸双紙 (双葉文庫)
佐伯 泰英

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 磐音は品川柳次郎、中川淳庵、おこん、幸吉、おそめの6人で紅葉狩りに行くことになった。お艶のことで磐音とおこんに礼をしようとするも断られた今津屋・吉右衛門からの心遣いだ。船で海晏寺に行き、紅葉を楽しみ、今津屋のコネで流行りの店で食事をする。それだけなのに、相変わらず磐音は揉め事に巻き込まれる。店から金を取ろうと直参旗本の愚息共が料理にあたったと騒いでおり、診察を申し出た淳庵を威嚇する。深川育ちのおこん、貧乏御家人の柳次郎の啖呵で逆上した輩達に磐音が灸を据えるも、帰り道でも襲われた。さらに彼らは今津屋にまで乗り込んで来たが、いつも通り磐音が切り捨てる。
 冬になり、竹村武左衛門が石垣工事の仕事中に怪我をしたと聞いて見舞いに行った磐音と柳次郎。しかし武左衛門は給料のことでもめていた。当初の予定の日数を働いていないために日当を下げられた武左衛門だったが、危険な工事にも関わらず酒を飲んでいたことが判明する。武左衛門の妻・勢津と子供達に同情した柳次郎は、残りの日数は自分が働くと言い出した。工事現場の親分はなぜか磐音も一緒に働くことを条件に、武左衛門の給料の件を承知する。
 寒い場所で水に浸かりながらの作業もあり、仕事はつらかった。そんな折、磐音は奈緒を追って旅をしていた時に世話になった鶴吉と再会する。用件を言わないまま宿に戻った鶴吉が気になって地蔵の竹蔵に調べてもらったところによると、鶴吉は江戸の三味線職人の次男で、長男の富太郎を凌ぐ腕の良さが評判の職人だった。兄弟は2人共お銀という娘に惚れていたが、彼女はどうやら鶴吉の方を憎からず思っていたらしい。父親の芳造が跡継ぎに悩む際、富太郎が後継ぎは鶴吉に譲るからお銀を娶りたいと言い出した。まずは本人の気持ちが大切と、芳造の友人の息子・長太郎という青年が確かめに行く。しかし実は長太郎もお銀に惚れていた。鶴吉の名前で呼びだしてお銀に乱暴をしようとしたところに鶴吉が駆けつけて刃傷沙汰になり、彼は江戸を出ていたそうだ。
 富太郎はお銀を娶り、父親の跡を継いだ。しかし夫婦は上手くいかず、お銀は長太郎の愛人になった。芳造が長太郎の所へ話をつけに行ったが、死体になって発見されたという。鶴吉はそれを知って江戸に戻って来ていた。
 磐音は鶴吉に、事情を調べたことを正直に話してから手を貸すことを約束した。長太郎は船を賭博場に改造しているため、笹塚に訳を話してから2人は賭博船に乗り込む。結果、富太郎、お銀、長太郎が命を落とし、笹塚の配慮で鶴吉は旅に出ることにした。この件で奉行所から褒賞として200両をもらった磐音だったが、鶴吉が江戸に戻った時にすぐに職人として働けるようにと全額今津屋に預けて由蔵に呆れられる。
 褒賞金を受け取った際に笹塚から、中川淳庵と共に「ターヘル・アナトミア」を訳した前野良沢が襲われたと聞いた磐音。淳庵を心配して訪ねると彼は無事であり、前野良沢も命に別条はないらしい。カピタンが出府するという噂に、血覚上人を頭とした一派の活動が再び活発になっているようだ。隠居した上役元用人・岩村籐右衛門の痛風を診に行きたいが外出ができないと愚痴る淳庵に、磐音が同行を申し出る。
 磐音には因縁がある血覚上人一派が岩村宅を襲って火を点けるも、賊は磐音が倒し、火も消し止められた。さらに今回の件では、血覚上人の裏に「鐘ヶ淵のお屋形様」と呼ばれる人物が存在することがわかった。
 江戸に戻った磐音は、今度は今津屋の老分・由蔵から能登湯という湯屋の用心棒の仕事を紹介される。能登湯2階の休憩所で度々会合を開いている浪人達がいるが湯屋が面倒に巻き込まれては困ると、主の加兵衛からの依頼だった。
 会合を近くで聞いていた磐音は、聞こえてきた情報から野々村仁斎という男に行き着く。彼は佳代という御家人の妻の愛人であり、佳代は品川柳次郎と古い知り合いであった。佳代は夫の通夜の席で、家を守るために義弟と結婚してはどうかと親戚から言われる。しかし病気の夫に代わって家を支えるために体を売っていたことで非難されて、結局は家を出ていた。
 能登湯での会合は磐音の説得で場所を変えてもらったが、柳次郎は姉のように思って佳代が気になる。義弟が佳代を慕っていたと彼女の体を買いに来ていたが、そこに踏み込んだ野々村仁斎に斬られ、佳代も彼に殺された。柳次郎が何とか仇を討とうとした時に磐音が駆け付け、「代わろう」と声を掛ける。
 この一件を聞いて、由蔵は能登湯に必要経費を請求せずに赤字になった磐音に腹を立てる。のんびりした磐音に代わって請求してくれた由蔵は、近年になく早い時期から狐火がよくでると評判の王子稲荷参りの付き添いを依頼した。途中の茶店で代金を強請ろうとしていた浪人を成敗した磐音。その後狐火を見物していると、おこんがいなくなっていた。
 茶店で追い払った連中に違いないと捜し回るが見つからない。狐火の探索に来ていた同心木下一郎太と偶然出会い、農家が貸している小屋に女を連れ込んだという浪人達がいるという情報を入手した。小屋の外で様子を伺うと、嫌がる女に手をかけたという話が漏れ聞こえる。耳を塞ぎたくなるのを堪えて踏み込むも、女はおこんではなかった。
 一旦番屋に戻ると、稲荷社へ向かう山道に侍の黒焦げ死体があるとの知らせが入る。死体は茶店で磐音が追い払った浪人であり、雷に打たれて死んでいた。さらに首筋には奇妙な歯形がある。おこんは稲荷社の中で発見されたが、童女のように歌いながらぼんやりしていた。磐音が振るった入魂の一閃がおこんの脳天直前でぴたりと止まると、光が抜け出ておこんは正気に戻った。
 その後江戸では、金兵衛とおこんが稲荷様を信仰していると面白おかしく取り上げられていた。

 今回は比較的のどかな話の中に揉め事が盛り込まれている。あちこちで諍いフラグを立てまくる磐音がかわいそうになってきた。だらしなさ全開の武左衛門も、ちょっとイラッとする。要するに、すこ~し飽きてきたなと思ってきた。ワンパターンの中にも楽しいことや悲しいことが盛り込まれてるんだけど、今回の話はすべて“あーなってこーなって解決するんだろうな”と容易に想像つくものばかりだ。私はスタンダードやワンパターンはある程度歓迎するけど、ここまでくるとなぁ。
 しかしそんな中で一番の見せ場はおこんの告白。「居眠り磐音さん、もし刀を捨てて町人になるというのなら、おこんが嫁に行ってあげるわ」と、別れ際にさらりと言う。今までは所々で磐音を想ってるような素振りを見せていたけど、磐音の心には奈緒しかいないこともちゃんと理解して出しゃばらなかったおこん。しかも磐音は豊後関前藩のため、武士の身分を捨てることはないってこともわかってるはず。その上での逆プロポーズに、おおおおお!!!となる。
 私は恋愛モノが嫌いな理由は、しょうもない事でうだうだ悩んでる話が嫌いだから。何事も結論を急ぐのは、数ある私の短所のひとつだ。でもこんなふうに、自分の気持ちを整理して理解し、相手のことも理解し、どうあるのがベストか最善の状況をわかった上で、それでも好きだから想ってるっていう現状維持は健気でいい。とてもいい。しかしまあ、その後は何事もなかったように接してる2人なんだが。
 それでいて、同じように相思相愛の人を諦めざるを得なかった鶴吉と語り合うシーンでは磐音の気持ちもわからされて、しんみりとくる。奈緒と再び会えることはあるのかなぁ。まだ7巻までしか読んでないけど、先日26巻が出てたなぁ。佐伯さん、筆早すぎ。
 豊後関前藩でより良い海産物を作らなければいけないが、領民から思いのほか反発を受けているという中居からの手紙も気になる。
 ワンパターンと書いておきながら、やっぱり登場人物は皆好きなんでどうなっていくのか見て行きたい。
別窓 | [さ行の作家]佐伯 泰英 | コメント:2 | トラックバック:0 |
読書生活が滞りがち
2008-08-15 Fri 22:34
 たまに活字離れしたくなる時があり、たまにネット離れしたくなる時がある。最近それが同時に起こってしまって、ここんとこずっと更新してないまま気付いたら半月以上経ってた。本がたまりまくり。まだ読んでないのに図書館に返しちゃったりとか、大好きな作家の本をやっと買ったのにまだ読んでなかったりとか。
 このブログは誰かに向けて発信してるもんじゃなくて、自分が仕事をスムーズに行うための記録ブログ。だから、

ブログの更新がない
    ↓
仕事のための情報収集が進んでない
    ↓
社会人としてダメ人間

とか勝手に思い込んでしまって一人落ち込む。
 とりあえず、ボチボチ読んだり書いたりしていこうかと思ってるっていうか、していきたいなと希望的観測で他人事のように思ってる感じ。
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