元司書による読書備忘録ブログ。思ったことは全部書き、何様気取りの感想だったり平気でネタバレしたりします。
2008年4月に読んだ本
2008-04-30 Wed 22:15
『心霊探偵八雲4 守るべき想い』  神永 学 (4/26)
『重力ピエロ』  伊坂 幸太郎 (4/23)
『草笛の音次郎』  山本 一力 (4/17)
『むかしのはなし』  三浦 しをん (4/8)
『星を継ぐもの』  ジェイムズ・P・ホーガン (4/1)
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『心霊探偵八雲4  守るべき想い』  神永 学
2008-04-26 Sat 01:06
心霊探偵八雲 (4)心霊探偵八雲 (4)
神永 学

文芸社 2005-11
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 教育実習に来た晴香は、担当クラスの中で浮いている大森真人という少年が気になり始めた。彼は、自分は呪われているから触ると死ぬと言う。また、プールに幽霊がいるとも言っていた。隣のクラスの横内先生も、同じ場所で幽霊を見たそうだ。気になった晴香は、八雲に相談を持ちかけた。土曜日の小学校に来た晴香と八雲だったが、左手だけを残して骨まで燃えてしまっている死体を見付けた。
 一方、後藤刑事と石井刑事のコンビ。父親を殺して逮捕されたが、精神科で診療中に逃亡した戸部健吾の捜査に加わることになった。逃亡直前に戸部と揉み合った女医に話を聞きに行く。女医の話から捜査を進めていく途中で、死体を発見した八雲から呼び出された。その後、八雲が発見した死体は、残された左手の指紋から戸部健吾の物だと判明した。

 今回の事件はえらく複雑だった。事件関係者の名前がなかなか覚えられなくて、段々と混乱していった。読み返すより先に進みたい面白さはあるんで、雰囲気のみで強引に読み進む。すると最終的にはそれはそれで理解できるもんだ。理解できた・・・と思う。ついでに今回、そこまで怖くなかった。幽霊が少なかったからかな?前回まではわりと硬直しながら読んでたけど、今回はそうでもない。
 晴香が関わった事件と後藤が調査する事件がリンクする。これはもう、偶然にも程があるっていうくらいパターン化している。こういうわかりやすさ、わりと好きだ。今回は特に事件そのものが複雑だったから、経緯ぐらいはワンパターンで助かった。
 ところで八雲、随分晴香との距離を縮めたな。優しいのか意地が悪いのか微妙なところだけど、今までの八雲からしたら「優しい」の方なんだろう。こっから先はなかなか進まなそうだけど。
 前々からちょろちょろ出てきていた八雲の父親っぽい人は、関係あるのかないのかよくわからないプロローグでちらっと出てきただけ。その代り今回は八雲のお姉さんとやらが出てきた。父親の謎はそのままに、また謎が増えるのか。
 この本はサクッと読めるから油断してたら、いつの間にか7巻まで出ていた。いい加減追いつく努力をしようかと思う。
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『重力ピエロ』  伊坂 幸太郎
2008-04-23 Wed 00:46
重力ピエロ重力ピエロ
伊坂 幸太郎

新潮社 2003-04
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 弟の春から「兄貴の会社が放火に遭うかもしれない」という電話を受けた翌日、実際に会社が放火された。春は、放火現場の共通点に気付いたと言う。
 主人公の「私」と弟の春は2歳違いだけど、血は半分しか繋がっていない。春は、母親は連続婦女暴行犯に襲われた時に出来た子供だった。父親は産み育てることを即決し、我が子として育てている。現在、母親は他界し、父親は癌のために入院。「私」は遺伝子情報を扱う会社に勤めていて、春はグラフィティアートを消すことを仕事にしている。
 春が父の病室で、放火現場の近くには必ず同一人物によって描かれたと思われる英単語のグラフィティアートがあると話した。初めは面白半分に聞いていた父と、何となく聞いていた「私」だったが、2人とも段々と興味を持ち、それぞれ自分なりに調べていく。

 春はとても魅力的な外見をしていたけど、その出生から性的な物をとても嫌悪している。「私」は春を大切な家族だと思う気持ちと、母親を暴行した男を憎む気持ちの間を彷徨っている。その男を憎むと春の存在を否定することになるという矛盾が時々「私」の中に生まれていた。
 序盤で読み始めたことを後悔したくなるようなすごく重い設定と、どうにも微笑ましく仲のいい家族とその思い出。このアンバランスと言うかナイスバランスと言うか、どっちにも偏ってない按配がとてもいい。放火事件の話であり、遺伝子の話であり、家族の話であり、最強の話だった。
 わかりやすい伏線が多かったから、かなり最初の方で物語の全体が何となく想像ついた。伊坂さんも伏線隠してなかったし。犯人も最終目標も思った通りの結末だったんだけど、でも全然がっかり感がない。結末に至るまでの「私」、春、父親、母親の関係が微笑ましいし羨ましい。両親が春を産むという決意は誰にでもできることではない。兄と分け隔てなく育てるなんてなおさらだ。だから「私」と春の関係はとても良好で、読んでいて幸せな気分になれる。だけど春は暴行犯の子供で、この幸せな気分は暴行事件の結果で・・・と私までこの矛盾の中に放り込まれた。
 だけど最後は、多少すっきりした。矛盾は解決しないけど、私は春の行動を讃えたい。ていうか、面倒な手順なんか踏まずにジョーダンバットでも良かったんだけど。でも、春の性格だったらそれはなかったんだろうな。だから伊坂さんは春の性格をこういうふうに作ったんだろうし、春の性格がこうだったら、やっぱりこの結末で良かった。春も「私」も、少しでも気持が楽になっただろうか。
 伊坂さんは相変わらず会話シーンがいまいちで、会話文も地の文も微妙になるんだな。でも今回は話がすごく面白かったから、あんまり気にならなかった。『オーデュボンの祈り』の伊藤さんがちらりと出てきて、「私」とほんのちょっと関わっていったのも良かった。こういう風に他の作品のキャラが出るのって、わりと好き。
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『草笛の音次郎』  山本 一力
2008-04-17 Thu 20:51
草笛の音次郎草笛の音次郎
山本 一力

文藝春秋 2003-10-28
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 恵比須の貸元・芳三郎のところに、佐原の好之助から香取神宮の祭りを見に来いとの手紙が来た。体調が優れない芳三郎は、代貸の源七と相談して名代を出すことにする。三年後に源七が組を継ぐ予定だが、その後に代貸に据えたい人間を名代に出すこととなった。源七は、見たところ優男の音次郎を推薦した。見かけと違って肚が座っていると言う。
 音次郎は話し方も渡世人らしくなく、仁義の切り方も知らない。芳三郎の名代として旅立つことは認められたものの、世間知らずで旅の序盤は失敗ばかりだった。しかし失敗から多くのことを学びとり、どんどん成長していく。また、源七も認める肚の座りっぷりや仁義の厚さに、行く先々で渡世人だけでなく役人にも彼を認める人が出てくる。

 これはもう、さすが山本一力と言わざるを得ない。若者が旅をする中で成長していくという、一見ありきたりなストーリー。しかしそこに、渡世人を持ってくるところが何とも心憎い。私は山本一力さんのこと、江戸の町人を描く作家さんだと認識していた。私が今まで読んだことあるのは『だいこん』と『あかね空』で、どちらも商売人。今度は何の仕事だろうと思ってたら、渡世人だ。やられたなぁ。そして、江戸時代のやくざな世界がかっこいいんだ、これがまた。渡世人言葉もいい。かなりいい。仁義を切る所とか、もうツボだ。
 音次郎は草笛が得意だから、「草笛の音次郎」という二つ名をもらう。彼は世間知らずだっただけで、旅をしながらどんどん大きく成長していく。度量を惚れられて、2人の舎弟も持つこととなった。その一方でうなぎを食べるとどうにも欲情する所なんかはやけに人間くさくて、そのギャップも面白い。
 他の登場人物も、やっぱ描き方が上手い。音次郎以外にスポットが当たることはそう多くないんだけど、何か厚みを感じるんだよなぁ。不思議。あくまで脇役なんだけど、みんないい味出してる。
 江戸時代の渡世人の礼儀なんかも書かれてるんだけど、説明がさらっとさり気ないから物語の妨げになることなく読めたのも良かった。時代劇で「おひかえなすって」とやってたことの意味がようやくわかった。道場破りみたいな感じだと思ってたんだけど、全然違ったのね・・・。
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『むかしのはなし』  三浦 しをん
2008-04-08 Tue 00:33
むかしのはなしむかしのはなし
三浦 しをん

幻冬舎 2005-02-25
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 昔話からイメージを膨らませて綴られた7編の短編集。少しずつ繋がりがある話もあり、4話目以降は地球に隕石がぶつかるという話に絡めた話となっている。

「ラブレス」(かぐや姫)
 話全体が「お前」宛に送るメールの文章になっている。
 「俺」の父親も祖父も27歳で死んでいた。母親に「27歳の一年間はあまりで歩くな」的なことを言われて育たが、問題なく27歳の誕生日を迎える。人気ホストの「俺」は色んな女からプレゼントを貰うが、神保という女性は子どもをプレゼントすることにしたと言う。
 そんな「俺」は今、城之崎組に追われていた。晴海埠頭の倉庫に潜み、「お前」になぜ追われることになったのかを全て語る長いメールを送る。

「ロケットの思い出」(かぐや姫)
 「俺」が弁護士だか取調官だかへの語りは、子どもの頃に飼っていた犬の話から始まる。ロケットと名付けられたその犬の散歩を毎日欠かさずしていた「俺」は、散歩中によそ様の家を観察するようになった。そうするうちに家を見るという特技を身に付け、空き巣を生業にするようになる。
 「俺」はたまたま空き巣に入ったマンションは高校時代の同級生・犬山のもので、運悪く早く帰ってきた犬山に見付かってしまう。彼は警察に通報しない代わりに、元カノの家に空き巣に入ってほしいと言い出した。交際中に自分がプレゼントした物を全て取り返したいためだそうだ。こうして「俺」と犬山は一緒に空き巣をすることになった。

「ディスタンス」(天女の羽衣)
 「あたし」がカウンセリングの一環でで自分の内を書いている。実の叔父と愛し合い、14歳で肉体関係を持った「あたし」だが、両親にそのことがバレてしまった。「あたし」は鉄八だけを想って生きてきたのに、誰からの理解も得られない。当然、鉄八は「あたし」の家を出入り禁止になるが、「あたし」の方から鉄八に会いに行く。しかし最近、勉強が忙しいと言って鉄八と会えなくなってきた。
 思い返せば、鉄八は中学を卒業する頃から「あたし」の写真を撮らなくなっていた。それでも鉄八を信じ続ける痛切な想いを語っている。
 どう見てもロリに引っかかった女の子が成長と共に飽きられてるんだけど、それでも信じ続けてる。鉄八が吐き気がするほど卑怯な男で、「あたし」がかわいそうで、でも「あたし」から見たらそんな大人の意見なんて関係なさそうな強い想いが痛々しくて、悲しい読後感だった。

「入江は緑」(浦島太郎)
 海が大好きで、毎日舟屋で寝起きしている「ぼく」は日記をつけ始めることにした。今回は、物語全体が「ぼく」の日記になっている。
 久し振りに帰ってきた幼馴染の修ちゃんが、きれいな女性を連れて来ていた。日本政府から国民に向けて重大な発表がある日、「ぼく」はその女性・カメちゃんと修ちゃんを船に乗せて入り江に出た。重大発表の内容はカメちゃんが知っていて、教えてくれた。三ヶ月後に、地球は大きな隕石と衝突する予定らしい。脱出用のロケットは一千万人しか乗れず、科学者であるカメちゃんとその伴侶になる予定の修ちゃんは乗れることが決定しているそうだ。
 政治家や科学者が乗った後の残りの枠は一般公募で抽選になるから、「ぼく」も応募すべきだと修ちゃんは言う。

「たどりつくまで」(鉢かつぎ)
 地球滅亡が近付き閑散としていく街でタクシードライバーを続ける「私」は、タクシードライバーをしている「私」は、観葉植物に読み聞かせるために覚え書きをつけている。その日「私」は銀座で、大きな帽子を目深にかぶり、長いコートを着て、顔に包帯を巻いた女性を乗せた。「私」とその女性は雑談をする。彼女は死を目の前にして整形をしている最中だと言う。また、彼女は「私」を女として扱ったが、「私」の乗務員証の名前が男のものであることには何も触れなかった。
 なんでもない雑談なのに、何だかしっとりとした雰囲気で読まされてしまう。不思議な話だった。

「花」(猿婿入り)
 ほとんど詐欺的方法で元カレの友達「サル」と結婚させられた「私」。観賞用の花を開発する仕事をしていたサルは科学者として脱出用ロケットに乗る権利を得たけど、「私」はただサルに押し切られただけ。「私」は、もしサルが「私」を愛することを止めたら・・・と不安になる。
 地球に隕石が衝突し、宇宙のどこかに作られたドームで不安に駆られ続ける「私」がカウンセリングロボットに語る。
 読んでから、すごく寂しい気分になった。この話の時には、もう脱出用のロケットは地球を出発している。「私」が「地球はどうなったかしらね」と言っているから、たぶん隕石は衝突したんだろう。それが寂しい。そして、直径五キロのドームで暮らすいち女性の空虚も寂しい。寂しさが上手く重なって、読んだだけなのに喪失感さえ感じさせられた。

「懐かしき川べりの街の物語をせよ」(ももたろう)
 モモちゃんこと神保百助にはたくさんの伝説があり、高校では恐れられた存在だった。モモちゃんと仲がいいのは、唯一の友人らしき有馬真白、彼女の宇田鳥子だけ。モモちゃんに密かに憧れている「僕」は夏休みにひょんなことからモモちゃん達とつるむようになり、宇田さんの母親の形見とも言えるダイヤを父親の愛人の元から盗む計画に加担する。
 無事ダイヤを盗み出したある日、宇田さんの父親であり、モモちゃんの父親かもしれない男が「僕」に地球脱出のチケットを渡した。モモちゃんに渡してほしいが、「僕」が使っても構わないと言う。「僕」はチケットのことを切り出せないまま、日本政府からの重大発表後も何となく学校に通うモモちゃんとつるみ続ける。そして「僕」は今、季節のない場所でこの話を宇宙空間に送り出すためのディスクに保存している。
 うわー、何だろう、この話。際立った取り柄のない「僕」だけど、何となくモモちゃんにチケットを渡せないでいたことを責める気分にはなれない。モモちゃんは強くてめちゃめちゃな人で何だか底知れない魅力があるけど、でも運命には逆らえなかった。それだけなんだろうか。「僕」が卑怯だったんだろうか。生きることへの本能に従った「僕」の行動が当たり前だっただけだろうか。どれも正解のようで、それだけじゃないような不思議な話だった。

 短編集だけど、物語同士が少しずつリンクしている。例えば「たどりつくまで」の「私」の幼い頃の思い出として、飼えなかった子犬を川に流すシーンがある。「ロケットの思い出」の「ロケット」のことじゃないだろうか。また乗客の女が「あの子はなににもならなかった。おとなになりたくなかったのよ」と話す昔の友人「あの子」は「ディスタンス」の女の子を彷彿とさせる。その女性を降ろした後にタクシーに乗ってきた男は季節はずれの桜を持っていた。この男は「花」の「サル」のことだと思う。それから「懐かしき~」のモモちゃんこと神保百助って最初の「ラブレス」でホストの「俺」が妊娠させた女性のことで、その「俺」を追っていたヤクザが「懐かしき~」で「僕」にチケットを渡した男だ。モモちゃんの短命の運命ってそういうことみたいだ。
 ひとつひとつの物語も面白いんだけど、この運命のようなリンクがまた素敵だった。この作家さんは読めば読むほど面白い作家さんだなぁ。主人公ひとつ取っても、引出しの多さに驚く。そしてさらに物語のバリエーション。長編もいいけど、短編もかなり面白いじゃないか。短編小説ってこれ以上長くても短くても魅力が損なわれるだろうギリギリのところで完成してるところが好きなんだけど、もう完璧っすよ。
 最後まで読んで、『むかしのはなし』というタイトルの意味するところがただ昔話をアレンジしたってだけじゃないことがわかって、終わってしまっている悲しさが襲ってくる。
 三ヶ月後、地球に隕石がぶつかるとわかったらどうするだろう?全く想像つかない。焦燥感を抱きつつも、半信半疑で普通の生活を続けるかもしれない。でもやっぱ、最後の日は配偶者と一緒にいたいと思うだろうな。
別窓 | [ま行の作家]三浦 しをん | コメント:0 | トラックバック:0 |
いよいよ本屋大賞発表
2008-04-07 Mon 22:18
 私の配偶者はニュースをインターネットでチェックする派だ。特に2ちゃんねるで一般的な意見をささっとチェックするやり方は、結婚してすぐは驚いたけど実際やるとなかなか参考になる。TVや新聞より情報が早いことも多々あり、上手に見ればかなり役に立つとは思う。
 その配偶者は、本や作家に関するニュースがあると私に教えてくれる。作家の訃報が多いんだけど、今日教えてくれたニュースは

「本屋大賞って知ってる?それが決まったってよ」

 発表は明日なんですけどー。どこの関係者が漏らしたんだオイ。実行委員会関係者か?マスコミか?公式HPではまだ未発表状態なんですけどー。

    キラキラ  キラキラ  キラキラ  キラキラ  キラキラ  キラキラ  キラキラ  キラキラ  キラキラ  キラキラ  キラキラ 
  キラキラ   『ゴールデンスランバー』  キラキラ
 キラキラ     伊坂 幸太郎     
 キラキラ
    キラキラ  キラキラ  キラキラ  キラキラ  キラキラ  キラキラ  キラキラ  キラキラ  キラキラ  キラキラ  キラキラ

らしいっすよ、はい。

 ところで、私が一番信用している文学賞は本屋大賞だ。一番納得できる決め方をしてくれている。数か月前からノミネート作品をチェックしまくってたし、4月8日の発表を心待ちにしていた。予想外に前日の夜に知ることになったけど、とりあえず結果が出たことは嬉しい。まだ読んでないやつが大賞とはちょっと凹むけど、最寄りの市立図書館の利用者数が異常なんで仕方ない。
 文学賞と言えば芥川賞・直木賞がメジャーだけど、数人の有識者が話し合って決める賞なんて馬鹿馬鹿しいと思う。絵画とかもそうだけど、芸術に関することを数人で話し合って決めるって無茶な話だ。人それぞれ趣味も感性も違うのに、「話し合う」って発想がおかしい。だから後になって選考委員の評価を読んだら、受賞作品でもけなされてたりとかして“こいつらは一体何がしたいんだ?”と思う。そもそも新人しかノミネートされないんだから、どうしても不作の年ってあるだろうし。
 本屋大賞は投票制だし、本屋が選ぶ=確実に売れている&ケータイ小説みたいな粗悪品は必然的に除外してくれているためにランキングがわかりやすい。実際読んでみて、ハズレがないことも実証済だ。
 本をあまり買わない私が言うのもなんだけど、本屋さんには頑張って欲しいしね~。
 図書館も負けてないで、図書館司書大賞とかやってくれたらいいのに。どういう結果が出るのかはわからないけどさ。
 とはいえ、市立図書館に6年勤め、市立の障害者向け図書館に8ヶ月勤めた私の実感としては、司書=本好きが多いけど、司書=本に精通しているではないんだよね。「=本好き」じゃなくて「=本好きが多い」なのは、とりあえず自分がそれほど本好きじゃないから。まあ好きだけどそこそこレベルって感じ。その分本に詳しくあれるよう努力はしていたけど。
 司書はもちろん調べ物に関してはプロだ。でも「○○系の面白い小説を紹介してください」(恋愛系とかミステリー系とかいい話系とかホラー系とか捕物系とか)って言われると弱い人が多い。好きな本しか読んでないから、好きなジャンル以外を聞かれると硬直する人をたくさん知ってる。本好き利用者に「○○系の面白い小説を紹介してください」と自分の好きなジャンル以外の系統を聞かれて、知識のみでそのジャンルの有名作者の本を持っていったりすると「それもう読みました」って返されることも多い。
 挙句の果てには「あの利用者苦手」「自分で選べって」と言い出したりする始末とか。司書って仕事もなかなか疑問が多いよなぁ。
 ちなみに私は自慢じゃないけど、かつて市立図書館に勤めてる時にその手の質問の時にはよく駆り出されてた。そういう時に困らないように努力していた。自慢じゃないとか書いたけど、かつては自慢でもあったんだよなぁ。しかしやっぱり結婚してからは自由時間は当然減った。また夫婦2人暮らしの狭いアパートのため、配偶者がTV見ると本を読むための集中力を捻り出すのは私には難しい。
 なんかもうちょっと、司書全般が本の紹介をスムーズに行えるような情報交換の体系を作れるといいんだけどな。
 結婚して引っ越した先にある市立図書館はかなりでかくて利用者の数が物凄く多い。職員さんの忙しさを見てると、理解できる面も多いために「○○系の面白い本紹介してください」って、かわいそうで聞けない。分館は利用者は少ないけど、嫌な利用者ブラックリストに載りかねないってことも知ってるんで何か嫌。そういうのやってくれる人、求む。
 話はそれて来たけど、考えてみたら「司書大賞」はやっぱ難しいかな。それに図書館はあくまで「貸本」。1冊の本を1人が借りてると残るその本を読みたい人達は触ることすらできない。副本があったとしても多くてもマックス数十冊だろう。司書が先んじて読むと、利用者が読めないか。
 司書大賞の妄想は考えれば考えるほど砕け散る。
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『星を継ぐもの』  ジェイムズ・P・ホーガン
2008-04-01 Tue 00:25
星を継ぐもの (創元SF文庫)星を継ぐもの (創元SF文庫)
ジェイムズ・P・ホーガン

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 月面で真紅の宇宙服を着た死体が発見された。身元不明の死体は仮にチャーリーと名付けられる。綿密な調査の結果、チャーリーは死後五万年以上経ているにも関わらずあらゆる点で地球の人間と同じ特徴を持っていた。この謎を解明すべく、原子物理学者のハントはUNSA(国連宇宙軍)から招待を受ける。同時に生物学者や言語学者など、様々な分野の学者が呼ばれて調査に当たることになった。
 しばらくして、木星の衛星ガニメデで宇宙船の残骸が発見される。年代測定の結果、その宇宙船は二千五百万年前のものと判明した。しかもその宇宙船の中からは、地球上の生物とは全く異なった生物が発見される。また、古代地球で生息していた様々な動植物も積載されていた。
 一方、言語学者のグループでは月で発見されたチャーリーが携帯していた手帳の解読が進む。手帳はチャーリーが記した日記であり、その内容に研究チームは騒然となる。

 本格SFを読むのは、多分人生で2回目。『タイタンの妖女』以来2年ちょっとぶりだ。SFってジャンルはそもそもあまり人気ないジャンルだと思う。人気の本や作家を適当に読んでるだけの私は、避けるつもりはなくても自然と手に取ることはなかった。創作物語があまり好きではない配偶者が珍しく読みたいと言った本だから、ついでに私も目を通しとくかって感じで読んだだけだ。
 最初はかなり小難しかった。スラスラ読むことができず、ゆっくりゆっくり理解しながら読まないといけない。横になって読んでたんだけど、本が落ちた状態で目が覚めるということも何度かあった。これが半分くらい読んだところで、急に面白くなってきた。
 結論から言うと、かなり面白かった。「謎が謎を呼ぶ」という言い方がこんなにしっくりくる本も珍しい。新しい発見はどれもセンセーショナルかつ謎に満ちていて、ひとつの謎が解決したら新しい疑問がいくつも持ち上がる。
 諸説が挙げられた挙句、生物学者のダンチェッカーが挙げた説に一応の説得力が見られたものの、最後の最後にハントがこれ以上にない結論を導き出した。人類進化のミッシングリングは地球古代史の謎のひとつだけど、作中でのハントの説はそれも矛盾なく解説されていて、「おぉぉぉぉ!!!」となった。
 しかしそれだけじゃ終わらないのがこの本がすごいとこ。ダンチェッカーがハントの説の続きを考察したんだけど、それがまた「うおぉぉぉ!!!」という納得ぶり。読み終わってから、物語と現実の区別が付かなくなってしまってて危なかった。「そうか、私達の祖先は・・・」とか考えかけて、「いやいや、この本はドキュメンタリーじゃなくてフィクションなんだった」みたいな。
 それにしても、この本が書かれたのは30年前なのに全然古臭くない。多少時代を感じさせるアイテムがあったりもするけど、微々たるものだ。物語は一貫して、新しさすら感じさせられる。これだけの物語が今日まで映像化されていないというのが非常に残念だ。
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