元司書による読書備忘録ブログ。思ったことは全部書き、何様気取りの感想だったり平気でネタバレしたりします。
2008年3月に読んだ本
2008-03-31 Mon 23:10
『バッテリー5』  あさの あつこ (3/31)
『ぎんのいす―ナルニア国ものがたり4』  C.S.ルイス (3/21)
『出口のない海』  横山 秀夫 (3/17)
『乳と卵』  川上 未映子 (3/15)
『ものいふ髑髏』  夢枕 獏 (3/13)
『鷹姫さま』  諸田 玲子 (3/10)
『八日目の蝉』  角田 光代 (3/8)
『メディエータZERO episode3―復讐のハイウェイ』  メグ・キャボット (3/6)
『晩夏に捧ぐ―成風堂書店事件簿メモ・出張編』  大崎 梢 (3/6)
『犬の十戒』 (3/4)
『いけちゃんとぼく』  西原 理恵子 (3/3)


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『バッテリー 5』  あさの あつこ
2008-03-31 Mon 00:34
バッテリー〈5〉 (教育画劇の創作文学)バッテリー〈5〉 (教育画劇の創作文学)
あさの あつこ

教育画劇 2003-01
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 横手二中との再試合日を伝えに来た元キャプテンの海音寺をバッターボックスに、二ヶ月ぶりにバッテリーを組んだ巧と豪。なかなかストライクゾーンに入らない巧の球だったが、やっと入ったど真ん中ストレートはこれまでのものより威力のある球だった。しかし2人の関係は相変わらずぎくしゃくしたまま。
 巧の球をバッターボックスで見た海音寺は、瑞垣と門脇に会いに行く。天才スラッガーの門脇は巧に執着し続けるが、彼の幼馴染みである瑞垣は彼に対する嫌悪感が露呈し始めた。
 中学生にあるまじき頭脳を持つ瑞垣は、巧と豪のバッテリーを掻き乱すようなことを次々に言う。巧が投げた球によって彼の冷静な仮面はあっさりと剥がれた。

 いいね、瑞垣。こういう笑顔でドス黒い10代は大好きだよ。頭脳派笑顔キャラで門脇のいい友達のフリをし続けて欲しかったけど、とうとうキレちゃったのが残念。
 好きなキャラの話は置いといて。
 シリーズも5巻まで来ると、天才ピッチャーと捕球できるキャッチャーの運命的出会いだけじゃなくなる。これまで孤高を貫いていた巧が、初めて成長し始めた。最初は兆し程度の小さい物だけど、最後のバーガーショップでの「野球以外の話」の件は結構大きい。4巻まで野球しか見ないで下手したら嫌な中坊だった巧が、伊藤さんと豪の仲についてベラベラ話したり、さらにそのことを恥ずかしいと思ったり、怒られたことに納得してビビったり、皆でバーガーショップに行ったり、さらに野球以外の話をしたがったり。発展途上の少年達を描く話なのに、ここまで5巻まできてやっとこれだけ!?って感じがまた面白くもあり、成長そのものは大人の読者として微笑ましいやら何か嬉しいやら。
 豪が4巻で悩んでいたことは、気持ちの整理をつけた。ただ、巧の性格についていけなくなりつつあり、また豪らしさがなくなってきている。そういう心理描写は相変わらず手間隙かけてあって、読んでてメンドクセーって思う。でも、それも成長なのかなぁ。
 5巻は横手二中との再試合の話かと思いきや、それは最終巻である6巻で行われるようだ。野球の話なのにどんだけ野球やらないのか。まあ、スポーツの物語はマンガの専売特許みたいなもんで、特に試合の描写なんかは文章だと面白くない。あさのさんの書き方は試合のシーンを極限まで削ってあって、ある意味賢い方法だと思う。ピッチャーとキャッチャーにスポット当てすぎだけど、タイトルが「バッテリー」なんだから仕方ないか。
 しっかし、このBLテイストの文章はどうにかなりませんか?豪が巧の球を渇望する描写とか、巧が豪にキャッチャーであり続ける理由を聞くシーンとか、もうどうにもBLテイスト。男子が同性にだけは絶対使わないだろう的な言葉の羅列に、ちょっと気持ち悪いと思ってしまった。
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『銀のいす―ナルニア国ものがたり4』 
2008-03-21 Fri 23:24
銀のいす (ナルニア国物語)銀のいす (ナルニア国物語)
ポーリン・ベインズ 瀬田 貞次

岩波書店 2005-09-10
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 「ナルニア国ものがたり」シリーズ4巻目。ジル・ポールはユースチス・スクラブからナルニア国の話を聞いた直後、2人はナルニア国に行くことができた。ジルはナルニア国に着いてすぐにユースチスとはぐれるが、ライオンに出会う。ライオンはジルに行方不明中のリリアン王子を探すように命令し、そのために4つの「しるべ」を与えた。ライオンの力でユースチスと再会したジルは、ナルニア国の沼人・泥足にがえもんと一緒にリリアン王子探しの旅に出る。

 前回の船旅はちょっとたいくつな所もあったけど、今回は厳しい道のりを徒歩で旅する。これまでで一番“冒険”という感じがして面白かった。不吉なことばかり言うけど頼りになるにがえもん、巨人の国、地下の国、リリアン王子の救出、魔女との対決、地下からの脱出など、次々に何かが起こってはらはらドキドキだ。
 考えてみたら1と2は国内紛争だし、最終的にはアスランが解決している。3の船旅は未知への旅でありながらどこかのんびりしている。ルーシィやエドマンドはそれほど苦労してないし、景色の描写が延々と続く辺りでは眠くなったりしてたし。
 今回は主人公達が徒歩で旅をし、トラブルを自分達だけで解決する。それが終始ドキドキの展開を生んでいる。
 今回はペベンジー兄妹は出てこない。彼らのいとこユースチスと、ユースチスのクラスメイト・ジルがナルニアに行く。ナルニアは『朝びらき丸東の海へ』から数十年が経っているようで、カスピアン王は年老いているうえにリリアン王子の行方不明で弱ってしまっていた。
 リリアン王子が戻ってからすぐに他界したけど、アスランのおかげでユースチスと再会できてよかった。ついでにジルとユースチスはアスランの力を借りて、元の世界のいじめっ子達に一本くれてやることが出来てよかった。
 私はこの巻が、これまでで一番面白いと思う。

 1953年刊。アマゾンの画像は新装版。
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戦争物って・・・
2008-03-21 Fri 18:25
 昨日読んだ本『出口のない海』は戦争物だったんだけど、書き上げてから「そういやジャンルは何になるんだろう?」と思った。歴史?現代?少なくともこのどっちかだ。
 学校の授業では日本史で習った気がする。でも歴史物って言ったら江戸時代以前ってイメージなんだよなぁ。どっちだろう?苦し紛れにジャンル不明にするか?でも、太平洋戦争って言ったらそれなりにメジャーなジャンルじゃないか。
 結構悩んだけど、私は司書だ。戦争は210.7で現代史だから、現代小説でいいんじゃないかと思う。いいよね、それで。というわけで、太平洋戦争は今後「その他の現代小説」に分類することに決定した。
 太平洋戦争関連の本を今後もうちょっと読むなら、いちジャンルとして立ててもいいんだけど。・・・まあ、当分ないな。自分から進んで読むジャンルでも、人気あるから読んどくかってジャンルでもない。今回も横山秀夫さんだからミステリーだと思って読み始めたんだし。
 というわけで、当分の方向性は決まった。
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『出口のない海』  横山 秀夫
2008-03-17 Mon 16:28
出口のない海出口のない海
横山 秀夫

講談社 2004-08-06
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 甲子園の優勝投手である並木はA大学に入学後、右ヒジの故障からかつてのような威力ある球を投げることができなくなっていた。リハビリも思うように成果を挙げない中、並木はキャッチャーの剛原に「魔球をつくる」と宣言する。1941年12月8日。日本が真珠湾を攻撃して太平洋戦争が始まった日だった。
 しかし軍国色が高まり野球どころではない時代に突入し、徴兵猶予が停止され学徒出陣が始まる。並木は野球への情熱と美奈子への恋心を抱いたまま、海兵団に入団した。乙種で徴兵された並木が過酷な訓練に絶えた果てにあったのは、人間魚雷の「回天」だった。

 私はこの作家さんが大好きだ。この本ではどんな事件が展開されるのかと楽しみにしていたら、読んでみると戦争物だったんでちょっと驚いた。しかしまあそれはそれで、と展開を楽しみにして読み進む。
 未来ある若者が戦争に行き、厳しい訓練を乗り越え、回天の存在を知ってから死への覚悟と生への執着とで葛藤するんだけど、何かいまいち。シーンごとの描き方はいつも通り上手いんだけどドラマチックすぎたりして、戦争物として薄いというかありきたりというか。上官からの理不尽な暴力は書いてあるけど中途半端だし、訓練の厳しさもあまり伝わってこないし、戦争の悲惨さが伝わってこない。主人公の並木は学生から訓練兵になってそのまま特攻隊員としての特殊訓練という道を辿り、実際に戦地を見たわけじゃないからだろうか。でも考えてみれば、横山さんは戦後生まれだからこの程度に収めるのが無難なのかもしれない。とはいえ人物設定に横山さんの持ち味が出てないのはやっぱり残念だ。
 物語自体はいまいちだと思うけど、このラストは好き。重苦しさの中だけど最後に光があって、いい気分で本を閉じることができるという横山さんテイストは健在だ。首を捻りつつクライマックスまで読んだけど、最後のクールダウンでやっぱ横山さんは上手いよなぁと思った。
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『乳と卵』  川上 未映子
2008-03-15 Sat 22:59
乳と卵乳と卵
川上 未映子

文藝春秋 2008-02-22
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 2007年上半期芥川賞受賞作品。これまでの作品はタイトルが面白いものが多くて、『そら頭はでかいです、世界がすこんと入ります』(随筆)、『わたくし率、イン歯ー、または世界』、『先端で、さすわ さされるわ それええわ』といった具合だ。どれもタイトルからは内容は全く想像つかず、リズミカルな音が妙に印象に残る。これまでの傾向を考えると、今回の『乳と卵』はえらくシンプルだと思う。でも『乳と卵』の「卵」を「らん」と読ませる辺り、リズミカルさは健在かなって思う。どれも読んでないんであんまり偉そうなことは言えないんだけど。
 『乳と卵』は2編収録。まずは表題作「乳と卵」。東京で生活している「わたし」の元に姉の巻子が豊胸手術を受けようと、娘の緑子を連れて大阪から上京してくる。母子家庭であり場末の飲み屋でホステスをしている彼女は、39歳にして胸を大きくすることに固執していた。しかし緑子とは上手くいっていない。緑子は全く口を利かず、伝えたいことはノートに書いていた。

 芥川賞受賞時に話題になったのは、句点なしで長々と続く文章。読んでみるとリズム感があって、すっと入ってくる。言葉自体もわかりやすいために読みにくさはほとんど感じなかった。大阪弁っていうのも面白い。普段の生活で大阪弁はTVでしか聞かないって私からしたら、大阪弁=マシンガントークってイメージがある。偏ったイメージなんだけど、句点なしの長い文章に合ってる。だから身構えていたほどの読みにくさはない。そんな印象で読み始めた。
 姉と姪を無難に傍観する「わたし」の語りとは別に、緑子の内心が日記風に綴られる。初潮を意識する年齢になって、生理への漠然とした恐怖感、生命を生み出す体になることへの嫌悪感を感じる少女。あ~、ここんとこが「卵」なわけね。母親が「乳」でね、なるほど。親子のすれ違いみたいな。葛藤みたいな。れぞれの執着とか。純文学にしてはわかりやすいじゃないか。それとももっと深い意味を私が読み取れなかっただけとか?
 クライマックスでの卵は、純文学を素の感情で読んでしまう私には気味悪い展開だった。卵なしで親子がぶつかり合うんだったら、芥川賞取れなかったかもしれない。ていうか卵なしだったら展開がオーソドックスすぎるんだけど、そのオーソドックスさを卵で奇抜に仕上げてるような気がしてあまり魅力を感じなかった。ただ緑子の発する言葉だけ、ああ、色々もどかしかったんだなぁって思ったけど、それにしても卵は気味悪い。
 読みやすい・わかりやすいの点、起承転結の明快さは好ましかった。でも、豊胸手術の根底に見え隠れする巻子の脆弱さって文学としてはありきたりだし、ラストの卵が気味悪いのと、そもそも純文学は苦手ってので、やっぱ面白いとは言いがたい。いつか純文学を理解できるようになるといいなと思いながら、今回も芥川賞を読むだけ読んだ。

 同時収録の「あなたたちの恋愛は瀕死」は、自分に酔っているような女の語りによる物語。
 知らない男性と出会ってそのまま性交するとはどんなことだろうかと想像し続け、着飾って街に出る。しかしそういう展開になりそうな出会いはないまま、化粧や服で自分を磨き続ける。
 この話もリズミカルな長い文章だけど、「乳と卵」とは違った印象なのは標準語だからだろうか。妙なクレイジーさが見え隠れする。
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『ものいふ髑髏』  夢枕 獏
2008-03-13 Thu 00:37
ものいふ髑髏ものいふ髑髏
夢枕 獏

集英社 2001-08
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 夢枕さんワールド全開の、10編の奇妙な話による短編集。

「夜の訪問者」
 「ぼく」は登山中の事故で目に怪我をし、手術のために一時的に目が見えなくなった。聴覚が鋭くなった「ぼく」は、夜中に同室の老人・河森さんを訪ねてくる女性がいることを知った。彼女は毎晩やって来て、河森さんと親しげに話していた。

「二本肢の猫」
 「ぼく」は“アンビシアン”というバーで一人の女性と知り合った。彼女は飼い猫が自分がいない間によその家に行ってくつろいでいると、静かに泣きながら言う。

「抱きあい心中」
 鮎釣りにはまっている「ぼく」は、鮎で有名な川に向かう電車の中で見知らぬ男から絶好の鮎釣り場と特製の掛け鉤をもらう。それ使おうとしたところ、深みにはまってしまい身動きを取れなくなった。どうしようもなく往生していると、水中で全裸の女性が「ぼく」を引きずりこもうとした。

「闇の中の小指」
 どうしても童貞を捨てたいと思った「ぼく」に、飲み屋で知り合った男が無料で女を抱かせてやると言った。若くて美人の女性だけど、灯りを点けないこと、一言も話してはいけないことを約束させられた。
 それから二十年後、取材で来た小さな街で、偶然その男と女らしき二人が営む飲み屋に入った。

「びくいしとい」
 愛していた女性を殺し、その死体に愛おしそうに話しかける男の話。

「もののけ街」
 親父狩りにあった「私」は、連中に殴られて仰向けになったままいじめられていた中学時代を思い出す。何とか立ち上がって歩きだしたところで、”縁綺堂”という店を見付けた。そこには、かつて大事にしていたがいつの間にか失くした物ばかりが売ってある店だった。そこで「私」は、自分をいじめる連中を刺すつもりだったナイフを手に入れる。

「真言士(ンガクバ)」
 チベットに、悪神が起こす霰と戦う真言士という呪法師がいる。知りあいのNが、TV番組でその真言士を呼ぶので会ってみないかと言う。興味をそそられて行ってみると、収録の日に台風が来た。本来は霰と戦う真言士だけど、嵐も止めることができると言う。

「ミサちゃんの生霊の話」
 「ぼく」のミサちゃんという4歳年上の友人が死んだ。乱暴な口調ながら人が集まる女性で、「ぼく」らは彼女の店を溜まり場に昼間から酒盛りをしていた。

「ものいふ髑髏」
 摂津国の金貸し・喜久五郎が“頼母子講(たのもしこう)”に出掛ける途中、裾に髑髏が噛み付いてきた。髑髏は彼に恩があったために引きとめるために慌てて着物の裾を咥えただけだと言い、自分を使った賭け事を持ちかける。

「安義橋(あきのはし)の鬼、人を噉らふ語」
 近江国の藤原信頼の屋敷での宴会で、安義橋に出没する鬼の話になった。源貞盛がこの話を創り話と言い出したことで、彼はその橋に一人で行ってみることになった。彼が出掛けた後、もし何事もなく戻ってきたら鼻高だかでうるさくなると、菅原道忠が先回りして脅かす役を買って出た。
 安義橋に着いた貞盛は噂どおり鬼に会い命からがら逃げたが、その後鬼は道忠だったことを知る。


 「夜の訪問者」「抱きあい心中」「ミサちゃんの生霊の話」では、著者自身の体験?と思わせる設定が面白い。夢枕さんの趣味である登山や釣りに語り手がのめり込んでたり、「ミサちゃんの~」では「キマイラ」シリーズのことが出てくる。
 「びくいしとい」のトリックは、恥ずかしながらあとがきを読んで初めて知った。凄いな夢枕獏。何の感慨もなく読んだけど、とんでもなかった。こういう文章を作れることがすごい。
 最後2編はいかにも夢枕獏って感じの平安譚。清明がこの話を博雅から聞いて「ゆこう」「ゆこう」と続かないのが不思議なくらいだ。そのために、何か物足りない。ラストに物足りない話が来てたから、読み終えてちょっと残念な気分になった。
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『鷹姫さま』  諸田 玲子
2008-03-10 Mon 09:45
鷹姫さま お鳥見女房鷹姫さま お鳥見女房
諸田 玲子

新潮社 2004-09-18
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 密命を帯びて沼津へ行っていた伴之助が戻ってきて一安心だったが、伴之助の心の傷はなかなか癒えないようだった。球世は気がかりも心配事もその笑顔で包み込む。石塚源太夫と多津は無事結婚し、5人の子供達も次第に礼儀作法を身に付けつつある。しかし源太夫の仕官先はなかなか見付からずに浪人のままだ。
 年頃になった球世自身の子供達のことも気がかりではある。長男・久太郎に縁談が持ち込まれるし、家督を継げない次男の久之助は沼津から帰って以来随分と大人びてきたものの、身の振り方はまだ決まっていない。長女の幸江は男の子を産み姑と上手くやっていけるようになったようだが、次女の君江の嫁ぎ先のことも考えないといけない。久之助の友人と密かに逢っているようだけど・・・。
 という具合に、この巻は矢島家自身の問題が大きい。

「雪夜の客」
 筋向いに、古谷という近所付き合いの悪い中年夫婦が引っ越してきた。ある雪の日、球世と久之助はその家に訪ねて行った白装束の女が追い出される所を見た。放ってもおけず矢島家に一晩泊めたが、女は翌朝にはいなくなっていた。後になり、古谷が手を出した餌差しの娘だと知る。

「鷹姫さま」
 久太郎に水野忠邦の鷹匠・和知正太夫の三女・恵以との縁談話が来た。相手方の方が身分が高いが、長男だから婿入りするわけにはいかない。嫁に来てもよいと言われたが、伴之助は水野忠邦の命で沼津へ行って心身ともに傷を負って帰って来た。自分がが水野家に縁のある嫁をもらえば、家庭内が気まずくなると久太郎は思い悩む。
 また、球世の幼馴染の松井次衛門が恵以に仕えているということで訪ねて来た。彼女は見目麗しく聡明だが、手のつけられないわがまま娘。女だてらに鷹匠の真似事をし、鷹姫さまと呼ばれているという。
 久太郎は悩んだ末、自分は婿に行くわけにも行かず、碌が少ないために和知家の姫を迎えることができない。水野の口利きで出世できるという話も、婚家のつてを頼った身の程をわきまえない出世はしたくないと断った。

「合歓の花」
 隼人と相思相愛である君江を、彼の元に嫁がせることができるよう球世と伴之助は取り計らいを決めていた。そんな矢先、君江は隼人に組頭の娘との縁談が持ち上がっていると知る。ショックで家に帰る気にもなれずにいると、偶然出会った汚い老婆に家まで送って欲しいと頼まれる。
 一方、久之助は妹のために隼人に勝負を申し込んだ。ところが隼人は、君江を嫁にしたい、組頭の娘との縁談は断ったと言う。

「草雲雀」
 球世は、父・久右衛門の遺族を探しているという娘に会った。しかし父はまだかくしゃくとしている。不審に思いつつその事を告げると、彼女は何も言わずに去って行った。
 その後久之助は、矢島家を塀の節穴から覗こうとしている女と会った。綾と名乗るその女性は、母と自分は久右衛門が現役時代に甲府に滞在していた折、一緒に暮らしていたと言う。久右衛門は死んだものだと思い、母は生涯久右衛門の後生を弔っていたそうだ。
 一方球世はその話を、久右衛門から聞き出した源太夫から知らされた。お上の命令で友人を斬らなければならず、その折に妻子を頼むと言われたそうだ。罪滅ぼしのつもりがあってか、彼の妻子と共に暮らすうちに情が移った。できれば全てを捨てて、彼女達との暮らしていきたいと思ったと言う。
 しかし久右衛門は仕事で的に追われて深手を負う。母娘に危険が降りかかるのを防ぐため、死んだものとして江戸へ戻った。
 娘が久右衛門の形見として持ってきた小袖は、源太夫が預かることとなった。

「嵐の置き土産」
 嵐がやってきた。矢島家に避難してきた源太夫一家だったが、源太夫は自分達一家に納屋を貸してくれている庄兵衛も避難させてほしいと言う。頑として家を離れないと言う庄兵衛を、源太夫と久之助が迎えに行った。
 庄兵衛には庄吉という勘当した息子がいたが、彼が訪ねて来るのではないかと家を空けないようにしているようだ。渋々やってきた庄兵衛だったが、その日球世は勝手口から不審な男が入ってきてそのまま立ち去った所を見た。もしや庄吉ではないかと思ったが、翌日その男は死体となって発見された。
 また、縁談を断った恵以から見舞いの品が届いていた。恵以とは以前鷹狩の場で会って勝負を挑まれた久太郎だったが、見舞いの品は「敵に塩を送る」という意味を込めて贈ったようだ。

「鷹盗人」
 久太郎が仕官する御鷹屋敷では、最近立て続けに飼育している鷹が消えていた。三羽のうち二羽は見付かったが、その直後の鷹狩の場で将軍家のお鷹さまに矢を射た者があった。一早く狼藉者の姿を目にした久太郎と先輩の石川は後を追ったが、追いついてみると久太郎の父・伴之助が気を失った少年を担いでいた。
 少年の父はお鳥見役で伴之助とは昔馴染みだった。伴之助と同じように命令により遠出し、その地で命を落としたと言う。少年はそのことを恨みに思い、その恨みが鷹に向かった。もし伴之助も沼津で死んでいたら、家族にこんなつらい思いをさせていたのかと思うと放っておけなかった。
 看病には少年の母親だけでなく球世も加わったが、再婚した夫に負い目もあるようだ。夜は帰らせて、球世・伴之助夫婦が看病することになった。

「しゃぼん玉」
 以前、矢島家に来たことがある藤助と再会した。その再会の場で、源太夫が用心棒を務める家で物頭の息子・左金次を呼びつけ、話の次第では叩き斬るとまで言う者があった。直参だと威張る彼らを源太夫が追い払ったが、源太夫は物頭から息子の性根を叩き直してほしいと言われる。
 左金次は根っからの甘やかされっ子で根性がなく、石塚家も矢島家も困り果てていた。彼を鍛えることができないまま申し込まれた手合わせを受けた左金次だったが、当日は手ぶらでやってきた。

「一輪草」
 君江の縁談がまとまり、嫁ぐ日が近付いて来た折、球世のいとこの登美が来てあれこれと仕切り始めた。何から何まで口を出す登美の存在はありがたくも疎ましくもある。
 君江が嫁ぐ前日の散策で、久右衛門は久太郎に嫁を取らせ、久之助に養子先を見付けることを考えていた。その散策中、久之助が武家の娘らしき女性と歩いているのを目にした。喜びも束の間、その娘がかつて甲府で共に暮らした女性の娘だと気付いて蒼白になる。
 翌朝、君江の花嫁仕度が進む中、登美の姿が見えないことに気付いた。探しに行った球世と源太夫は、足を挫いてうずくまる登美を見付けた。縁起のいい日に忌み事は禁物だと自分を連れて行かないように言う登美を説得して、源太夫が登美を担いで矢島家へと急ぐ。 


 1巻目から球世はずっと変わらないけど、周りはどんどん変わっていく。源太夫と多津が結婚し、源太夫の連れ子達も成長しつつある。夫の伴之助は心の傷がようやく癒え始め、久太郎・久之助・君江にはそれぞれ想い人がいて、今回は君江が嫁ぐ。
 私は結婚と親に関することにあまりいい思い出がない。両親にあれこれ命令調で口を出され、反論すると罵られ、私自身が最低限譲れない部分を守ることに精一杯で疲れ果てた思い出が大半を占める。だから、こうやって両親が娘の結婚を心から喜んでくれる親の話はかなりじーんと来る。
 また今回は、久右衛門の過去が明らかになった。鷹姫さまこと恵以さまと久太郎の関係、久之助と綾の関係も、今後進展していくんだろう。特に久之助と綾の関係が進展すれば、久右衛門も穏やかではないはずだ。
 この本は、悪い人がほとんど出てこない。そういう良い人だらけの本って私は嫌いなんだけど、この本はわりと楽しく読めてる。お鳥見役の務めの意外な厳しさが、いい人だらけで主人公がちょっと成長して終わるだけの本とは一味違ってていい。私はそういうの、結構好きだ。それから、シリーズを重ねても球世の包容力ってやっぱいいね。
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『八日目の蝉』  角田 光代
2008-03-08 Sat 21:15
八日目の蝉八日目の蝉
角田 光代

中央公論新社 2007-03
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 不倫相手の赤ちゃんを誘拐した「私」こと野々宮希和子は、その子を自分の子供として育てるためだけに逃げ続けた。不倫相手に頼まれて堕胎した子供と錯覚しそうになりながらも、「私」はその子に「薫」という名前を付けて母親としての愛情を注ぐ。友人宅、素性の知れない女の家、女性ばかりで集団生活を営むエンジェルホーム、瀬戸内の小豆島と、薫との生活だけを考えながら逃亡し続ける。
 後半は十数年後。4歳まで誘拐犯に育てられた薫は元の恵理菜という名前に戻り、成長して20歳になっている。好奇の目にさらされ続けた半生を送り、実の両親との関係は修繕できず、血のつながりはないのに野々宮希和子と同じように妻子ある人と不倫関係を続けている。そんな彼女の元に、かつてエンジェルホームで一緒に過ごしていたという千草という女性が訪ねてきた。

 そう好きなジャンルの話でもないのに、とても引き込まれた。この逃亡生活はいつかは終わるということをわかってて読みながら、なぜか野々宮希和子が逃げ切ることを願ってしまう。
 母性って言うと月並みになってしまうけど、野々宮希和子の行動は壮絶な母性だと思う。堕胎した直後に見たかわいい赤ちゃんを、つい抱いた。抱いたら庇護したくなったという、母性だろう。そういう女性の本能は説明されてはないんだけど、物語の中で表現されている。その巧みさに、犯罪者であるはずの野々宮希和子を応援してしまっていた。だからこそ、薫だった恵理菜が成長して辿った道が悲しい。
 七日間しか生きられない蝉の話を考え続けて、千草がたどり着いた「八日目まで生きた蝉」の話。何となくピンボケに感じるけど、なんだか生きることの重さが迫って来るような話だ。
 物語最後のニアミスが生む切なさが印象に残った。


 今これを書いてて何となく「八千草薫」が頭から離れなくなったんだけど、どうしてくれよう。
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『メディエータZERO episode3―復讐のハイウェイ』  メグ・キャボット
2008-03-06 Thu 23:57
メディエータZERO episode3 (3)メディエータZERO episode3 (3)
代田 亜香子

理論社 2008-01
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 一番最新刊でありながら、シリーズ3巻目に当たるという複雑な出版をしている「メディエータ」シリーズ。この本を読んで、やっと『ゴースト、恋しちゃった』を底から理解できた気がした。
 2冊だけながら集英社の方に慣れてしまって、改めて理論社から出てる方の表紙を見るとちょっと不思議な気分。スザンナ、アジアンガールにしか見えないよ!だからといって集英社の方のイラストもどうかと思うけれども。
 
 さて、内容と感想。
 ニューヨークから遊びに来ている親友・ジーナと海に遊びに行ったスザンヌは、そこで4人の幽霊を見た。前日に起こった車の正面衝突事故で命を落とした高校生達。人気者かつ将来有望な高校生達だった彼らは、死の原因となった対向車を恨んでいた。その相手は、スザンヌのクラスメイトのマイケル。妹がプールで溺れて昏睡状態でもあるらしく、不幸が続いている少年だった。
 スザンヌはいじめられっ子でもあったマイケルを助けた縁から、彼に勘違いされてつきまとわれるようになる。メディエータとして必死にマイケルを守っていたスザンヌだったが、ジェシーの協力によってメディエータ仲間の校長と共に幽霊達と話し合う機会を得た。彼らは、車の衝突は事故ではない言う。

 これまでニューヨークの親友として名前しか出てなかったジーナだけど、これがまたかっこよかった。ジーナは長身にオレンジのドレッドヘアという日本人高校生にはあり得ない出で立ちで登場するけど、スーズの高校についてきて授業でバシッと自分の意見を言うし、モテモテで(死語か?)ジェイクやブラッドは彼女に取り入ろうとするし、何よりスーズの能力に気付いていた。それをさり気なく切り出し、さらにスザンヌに協力してくれる。これまでずっと一人で戦っていて、カリフォルニアに来てようやく同類を見付けたスザンヌ。母親に隠してることを“仕方ない”みたいに割り切った様子を見せながらも、どこか寂しそうに描かれていた。こういうとこ、メグ・キャボットはめちゃ上手いんだけど。だからジーナが、メディエータについて気付いてることをズバッと持ち掛けた時も、読んでて素直に「スザンヌはいい友達を持ったなぁ」と思える。それでもスザンヌはジェシーのことは話せないんだけど。
 この巻でスザンヌは、念じることで幽霊を自分の元に呼び寄せることができる能力を持つことを確信した。今後その能力は役立って行くのかな?『ゴースト、恋しちゃった』では出てこなかったような気がするけど。
 それから結局ジェイクといい関係になったっぽいジーナ。こっちも『ゴースト~』にはその後については書かれてなかったと思う。どうなるんだろうか?ただのひと夏の恋ってだけなんだろうか?アメリカのフリーダムな恋愛スタイル見てると、その線もなかなか・・・。
 今後の展開も気になるけど、とりあえずもう一回『ゴースト~』を読んでから先に進もうかな。
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『晩夏に捧ぐ―成風堂書店事件簿メモ・出張編』  大崎 梢  
2008-03-06 Thu 22:16
晩夏に捧ぐ<成風堂書店事件メモ・出張編> (ミステリ・フロンティア)晩夏に捧ぐ<成風堂書店事件メモ・出張編> (ミステリ・フロンティア)
大崎 梢

東京創元社 2006-09-30
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 『配達あかずきん』に次ぐ、成風堂書店のしっかり者店員・杏子と勘のいいアルバイト・多絵とのコンビが本が絡む事件を解く「成風堂書店」シリーズ第2段。
 舞台は信州の老舗書店「まるう堂」。杏子の元同僚・美保が働くまるう堂では幽霊騒動が起こっており、彼女からの手紙で杏子と多絵は信州まで呼び出された。そこで2人が聞かされたのは、27年前に起こった作家殺しの事件。また、幽霊事件と前後して事件関係者の家でボヤ騒ぎや空き巣被害を受けていた。杏子と多絵は、美保の段取りで当時の関係者達の話を聞いていく。
 前回の「本屋の謎は本屋が解かなきゃ!」っていうのは楽しかったんだけど、今回はてメッタ刺し殺人事件に何も話さないまま獄中で病死した犯人と、何か著者の力量を超えた設定のような気がしてならない。
 27年前の殺人事件の犯人として逮捕された小松の人物像が色濃く描かれて大きな存在感を漂わせていたのに、反比例して主人公達のキャラがいまいちだった。多絵ちゃんは探偵としてメイン踏んでるからいいんだけど、杏子は「どうせ無理だよ」オーラを放ちすぎて文句ばっかだし、美保の強引さもちょっと鼻に突く。私個人の時間がなくて2度読みができなかったせいもあり、多絵ちゃんと小松以外が朧けにしか思い出せないんだが。
 長編だったことで中だるみもできちゃったりして、前作の面白さからの期待が失墜した。真相をつかんだっぽい多絵がなかなか話さないのも、引っ張りすぎてる。言えない明確な理由を述べよ!と思いつつ読み進めて、やっと始まったお約束の「関係者全員集合」。そこでの犯人を追いこむ証拠もうさんくさかったけど、真相解明も「犯人はあたなですね」「そーなんですよ、ペラペラペラ」という安っぽさ。最後に知ることができた小松の過去も、引っ張ったわりにはインパクトに欠ける。
 『配達あかずきん』を読んでなかったら、大して面白くない本で終わらせてただろう。『配達あかずきん』でこの作者の得意分野が明確になってる分、残念な気がしてならない。「書店ミステリー」という枠を、悪い意味で超えてるんじゃないかな。
 でも、あちこちにちらほら出てくる本屋への熱い視線と想いは健在だった。やっぱ書店店員って司書とは違ってるもんなんだね。スーパーと食堂程度には違うと思う。って、例えが微妙な気がしなくもない。書店は買い手との兼ね合いで仕入れやらディスプレイやら考えるけど、図書館は情報提供を目的としている。だから利用数に応じてあらゆる分野を網羅しつつ、企画展示と新刊本以外はほぼ平等に並べる。違って当たり前か。
 誰か「図書館ミステリー」書いてくれないかな。図書館司書経験者による、リアルで等身大な司書の話とか。ミステリーじゃなくてもいいからさ。私に作話能力があれば、私が書くのに!読んだ本について色々批判するくせに、作家としての能力は無に等しいからなぁ・・・。いつか、杏子並みに完成度が高い司書キャラを作れる作家が現れるのを願ってます。
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「成風堂書店」シリーズ
2008-03-06 Thu 20:19
『サイン会はいかが?―成風堂書店事件メモ』
『晩夏に捧ぐ―成風堂書店事件メモ・出張編』
『配達あかずきん』
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『犬の十戒』
2008-03-04 Tue 21:24
犬の十戒犬の十戒

ジュリアン出版 2004-08
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 私は実家で家族と共に、犬を4匹飼ったことがある。5匹目を飼ったのは私が結婚する直前で、ほとんど携わってないからカウントしない。あと、インコと文鳥とイグアナを飼ったことがある。常に動物と暮らしてないと気が済まないんだよね。今はうさぎを飼ってる。
 『犬と私の10の約束』の紹介文で、その約束事が書かれているのを読んで衝撃を受けた。書いてあることは、ペットを飼ったことがある人ならだれでも頭ではわかってることだろう。ただ、しっかりと明確に文字にしたことで力強い説得力を持った。
 10の約束は、色んな動物に応用が利く。10の約束を読んだとき、これは二度と忘れることがないように本を手に入れようと思ってた。『いけちゃんとぼく』と一緒に買った本だけど、別に心が乾いてるからこういうのが読みたくなったとかいうわけじゃない。『いけちゃんとぼく』とは別の意味で欲しくなっただけだ。
 最初はベストセラーにもなってるコレ

犬と私の10の約束犬と私の10の約束
川口 晴

文藝春秋 2007-07-28
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を買おうと思ってたけど、本屋で見たらこれは物語みたい。動物を使った物語は、読み手に媚びてるのがめちゃ多いから好きじゃない。ざっと読んだ感じ、犬と使ってお涙ちょうだい系の話を作りましたよみたいな意図を感じたんで買わないことにした。
 だけどその立ち読みで『犬と私の10~』はネット上に公開された作者不明の英詩「犬の十戒」を元ネタに作った話だと知り、隣にあったのがこの『犬の戒』。もちろん、この本を買った。
 ネットで「犬の十戒」の和訳ページを見付けたんで、リンクを貼っておく。

 犬の十戒

 読んでから、ものすごく納得がいった。前飼ってた犬が死んだ時は家族全員で看取ったけど、安らかに眠ってくれたかな?病気に気付くのが遅くてごめんね。って、前飼ってた犬のことばっかり考えてた。病気で死なせた後悔が今でも残ってる。
 今飼ってるうさぎは、飼う前も飼ってからも私なりに勉強している。十戒を忘れないように、これからも小雪(飼いうさぎ)を大切にしていこうと決心した。
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『いけちゃんとぼく』  西原 理恵子
2008-03-03 Mon 09:53
いけちゃんとぼくいけちゃんとぼく
西原 理恵子

角川書店 2006-09-01
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 本はスペース取るから基本的には買わない派(注:乙一は別。絶対買う)の私が、久々に本を買いました。結構前になんだけどフジテレビの「ザ・ベストハウス123」で紹介されてからちょっと気になってた本。大まかなストーリーとオチは知ってたけど、さらっと紹介されただけでもズンと響いてくるものがある気がして買ってみた。

 「いけちゃん」はいつも「ぼく」の側にいてくれる不思議な生き物。「いけちゃん」が何なのか、説明もないし「ぼく」が気にしてる様子もない。ただ、お母さんみたいに包み込んでくれたり、兄ちゃんみたいに面白いこと教えてくれたり、友達みたいに一緒に楽しんだり、たまに甘えん坊だったりとかする。
 何者なのか?性別は?存在意義は?という疑問を無視してストーリーは進んでいくけど、「いけちゃん」が何者なのかは終盤に突然わかる。二度三度と読むと「いけちゃん」の言葉や態度に溢れる温かさを理解できた。荘大すぎるよ、西原さん。
 主人公の「ぼく」は西原さんなんだろうか?「ひゃくうみでもだいじょうぶ」の時、そう思った。両親の離婚の話かと思ったけど、「お父さんにさいごのおわかれをして たくさんの人の前であいさつをした」という分からして父親との死別の話なんだろうと思った。全部読み終わったらまた、西原さんの人生を思い出した。
 一度離婚した人と、最終的には籍を入れないで事実婚という形を取って同居していた彼女。その相手が亡くなったのは、いつのことだったっけ?ネットで調べてみると、去年の3月だ。この本の出版年月を考えると、肝臓癌に侵された彼にこの本を見せることはできたんだろうか?
 作品の背景に作者の人生の存在を考えるのはどうかと思いつつ、考えずにはいられなかった。
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