元司書による読書備忘録ブログ。思ったことは全部書き、何様気取りの感想だったり平気でネタバレしたりします。
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2008年2月に読んだ本
2008-02-29 Fri 22:19
『千年、働いてきました―老舗企業大国ニッポン』  野村 進 (2/29)
『人生激場』  三浦 しをん (2/27)
『ベルカ、吠えないのか?』  古川 日出男(2/25)
『バッテリー Ⅳ』  あさの あつこ (2/17)
『竜天ノ門―居眠り磐音江戸双紙5』  佐伯 泰英 (2/13)
『図書館革命』  有川 浩 (2/11)
『メディエーター 呪われた転校生』  ジェニー・キャロル (2/10)
『映画篇』  金城 一紀 (2/9)
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『千年、働いてきました―老舗企業大国ニッポン』  野村 進
2008-02-29 Fri 22:15
千年、働いてきました―老舗企業大国ニッポン (角川oneテーマ21)千年、働いてきました―老舗企業大国ニッポン (角川oneテーマ21)
野村 進

角川書店 2006-11
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 世界で一番古い企業は日本にあり、578年に創業しているそうだ。日本書紀に出てくる神社をそんな話から始まり、日本の老舗の製造業企業を取材しつつ独自の見解を交えた本。そもそも私達は、普通に生活してるだけで「老舗」を掲げる店ってゴロゴロ見かける。でもそれは日本に際立って多いだけらしく、他のアジア諸国では「老舗」と言えるような企業はほとんどないとか。日本では職人を尊敬する文化があるからだと、この著者は指摘する。
 なるほど~。職人を尊敬する文化って、確かにある。何かがズバ抜けて上手いことを「職人技」とか「職人芸」とか言うし、なんでも鑑定団での中島さんの「いい仕事してますね~」って言うのは有名なかつ味わいあるセリフだもんなぁ。
 3桁もの年数の歴史を誇る企業が作ってるのは、携帯電話の部品やらプリンターの部品やら車のバックミラーやらだ。しかもシェアは世界で大きな割合を占めていたりとか。時代の波にさらわれそうになりながらも新しい着眼点や堅実な仕事ぶりで唯一無二を誇っている企業が日本には何と多いことか。
 へぇボタンを押したくなる話の連発だった。何かこう、じわじわと面白い。「売り手よし、買い手よし、世間よし」「良品は声なくして人を呼ぶ」「不義にして富まず」「町人の正義」などなど、やっぱ成功者の言うことは重みが違うわぁと思う。
 企業の中国進出について、良い点も悪い点も書いてあるんだけど両方納得。ただやはり、タダ盗みみたいなことされるのは腹が立つから私は中国進出はあんまりしてほしくないという、普通の意見なんだけど。だけど中国人の特性を知った上で上手く付き合っている社長には感心した。
 インタビューが雑だったり、切り込みが浅かったりするけど、知識が浅い私には適度に読みやすかった。もうちょっと掘り下げてほしい個所もありはしたけれども。19もの企業の事例を挙げつつ、この薄さなら仕方ないかな。これ以上厚くて、この内容だったら平易だったとしても読む気が薄れたかもしれない。
 それにしても、タイトルの割には紹介されてる企業のほとんどが数百年なのはなぜだろう?
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『人生激場』  三浦 しをん
2008-02-27 Wed 22:16
人生激場 (新潮文庫)人生激場 (新潮文庫)
三浦 しをん

新潮社 2006-07
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 雑誌『週刊新潮』に連載されていたエッセイを1冊にまとめたもの。2003年刊の改装改訂版。
 三浦しをんの『まほろ駅多田便利軒』『風が強く吹いている』が面白かったんでもっと読みたいと思ったんだけど、この人の本は図書館でいっつも貸出中。何とかエッセイコーナーで彼女の本を見付けたという、『しをんのしおり』を読んだ時と全く同じ状況で借りた。
 始終妄想してたりとか、胸毛のある男性が好きだとか、友達との駄話とか、くだらないことが面白い。それでいて、さすがに文学作品には造詣が深そうですなぁ。本の話はそうたくさん出てくるわけじゃないけど、渋いとこ押さえてる。私はタイトルと作品のイメージしか知らない本とかで、面白文章の中に違いを見せつけられた気がした。
 良い本を読んでるせいか、文章や言葉選びはきれいだ。だけど書いてることは妄想だらけで、そのギャップで面白さがプラスされる。
 しかし連載されてたのは『週刊新潮』だったんだけど、読者層である中高年男性はどう思いながら読んだんだろうなぁ。
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『ベルカ、吠えないのか?』  古川 日出男
2008-02-25 Mon 12:46
ベルカ、吠えないのか?ベルカ、吠えないのか?
古川 日出男

文藝春秋 2005-04-22
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 第二次世界大戦中、日本軍の撤収でキスカ島に取り残された4頭の軍用犬がいた。彼らはアメリカ兵に拾われてアメリカで番い、子孫曾孫玄孫がそれぞれ人間の運命に弄ばれて数奇な生涯を送る。4頭の犬から始まった、第二次世界大戦以降、冷戦、朝鮮戦争、ベトナム戦争、アフガン戦争、ソ連崩壊に関わらされていくの犬の戦争史。
 それとは別の物語が同時進行する。ロシアンマフィアとチェチェンマフィアの抗争が起こり、日本人ヤクザの娘が巻き込まれて誘拐される。終始毒づいているヤクザの娘は、軟禁先でたくさんの犬が訓練されているのを見る。彼女はまだ訓練前の子犬に話し掛け、中でも47番を特別にかわいがるようになる。

 1~2年前に本屋大賞で何位かを獲ってるんで読んでみた。タイトルからして、犬の愛くるしい話かかわいそうな話だと思ってた私が馬鹿でした。本当に大馬鹿でした。何この壮大さと斬新さは。無機質さは。そして理解のできなさは。
 まず「ベルカ」が全く出てこない。もしかして犬の名前じゃないのか?ってくらい出てこない。やっと出てきたと思ったら、やっぱメインは犬全体とヤクザの娘だったりとかして理解不能。最終的に「吠えないのか?」の意味も理解できなかった。セリフとして1回出てきたけど、何で吠えないのかと聞いたのかがわからない。
 そもそも書き方がすごく淡々としている。感情が入り込む余地が全くなくて、文の流れも荒々しい。で、私自身が読み込めなかった結果が理解不能なんだと思う。多くの人が良い本だと褒めそやしてるのに、理解できない自分が不甲斐ない。
 で、ベルカとストレルカと大主教の目的すらも理解できなかったんだから、この本が楽しめたはずがない。誰かに解説してほしい気分。
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『バッテリー 4』  あさの あつこ
2008-02-17 Sun 21:06
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あさの あつこ

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 強豪・横手二中との練習試合を実現した新田中で、巧は横手二中の天才バッター門田を一回で完全に抑えた。しかしその直後、豪は横手二中の5番・瑞垣が言った「おまえじゃ、キャッチャー、むりやな」という言葉に翻弄されるようになる。巧は今まで経験したことないほど打ち込まれ、試合途中で降板させられた。試合自体も、学校に内緒で生徒だけで実施したことがばれて中途で中止に。それ以来豪は、巧が成長してもっと早い球を投げるようになった時に自分は捕れるのかという自問自答に縛られて巧を避けるようになってしまう。向かい合うことができなくなったバッテリーに、監督のオトムライは吉貞をキャッチャーにする方向を示す。

 元々心理描写に手間暇かけた本は好きじゃないんで、この巻はちょっと苦手だなぁ。グダグダうじうじ悩んでて、うっとおしいったら。1冊丸ごとかけて豪が悩んでて、巧も何となく戸惑ってるけど何もしない。横手二中の瑞垣や巧の同級生の吉貞が愉快に絡んでくるけど、やっぱ暗い空気は払拭されない。
 ていうか、中一の豪が巧の球を「美しい」とか表現できるもんかね?巧の性格は最悪なのに、友達とか普通にできるのは球が速いから?それだけで皆に受け入れられるもんなの?中三の瑞垣に、あの大人っぽさは行きすぎだろ。というような批判も加わって、面白く感じられなかった。中学時代なんて私はずっと昔に通り過ぎてるから、彼らの気持ちを理解できないだけなのかもしれない。
 私はこのシリーズ、気が向いた時に借りる程度の読み方しかしてない。3巻読んだのは去年の12月だし、2巻は9月。図書館で借りてて、他の本との兼ね合いもあってこういう読み方してるけど、一気に借りて一気に読めば山あり谷ありの巧と豪の成長とかもっと楽しめたかな?
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『龍天ノ門―居眠り磐音江戸双紙5』  佐伯 泰英
2008-02-13 Wed 22:51
龍天ノ門―居眠り磐音江戸双紙 (双葉文庫)龍天ノ門―居眠り磐音江戸双紙 (双葉文庫)
佐伯 泰英

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 前作『雪華ノ里』では、身を売った許嫁の奈緒を追って西日本をほぼ一周してきた磐音。奈緒はあちこちに転売される度に値が上がり、最終的には千両で江戸の吉原に売られることになっていた。
 今回は磐音が江戸に戻って正月を迎えたところから始まる。磐音には千両の金を用意することはできない。かといって真っ当でない方法で金を用意して奈緒を身請けしても、奈緒は決して喜ばないことを知っている。磐音は奈緒を見守るという苦渋の決断をし、その代り「生涯、妻を娶らないこと」で奈緒と添い遂げるという決意をした。しかし奈緒はまだ波乱に巻き込まれそうになる。最後に奈緒を売った京の妓楼は江戸の吉原だけでなく尾張の宮宿にも奈緒を見せており、奈緒を買うつもりでいた尾張の怒りを買っていた。そんな中、奈緒を改め白鶴の花魁道中が始まる。磐音は奈緒を守るために、陰ながら剣を振るった。
 また、正月早々江戸では漆工芸商が押し込み強盗に皆殺しにされていた。被害を受けた漆工芸商が今津屋と知り合いだったため磐音と由蔵が現場に駆け付けると、南町の切れ者、年番与力の笹塚孫一がいた。
 一方、豊後関前藩。分家の福坂利高が江戸家老に着任した。世間知らずではあるが、話せばわかる人物のようだ。また磐音は父親から、参勤交代の費用二千五百両を今津屋に借りる口利きをしてほしいと頼まれる。無茶な借金の申し入れだったが、磐音が間に入ったことや豊後関前藩は全てを曝け出したこと、何にも代え難い担保で借りることが可能になった。
 それから竹村武左衛門が持ってきた仕事。仕事が重なった武左衛門は、一晩三百文という安さのおとくのばば様の用心棒を磐音に押し付けた。武左衛門は狙われていると言うのは妄想だと思っていたが、どうやら本当らしい。孫一に頼んで調べてもらうと、おとくは数年前に江戸を荒らした霜夜の鯛蔵の娘であり、鯛蔵は手下に裏切られて獄門になったことが判明した。
 おとくの件を解決させると、割の悪い仕事を磐音に押し付けた武左衛門が行方不明になっている。知らせに来た品川柳次郎と共に雇い先の不知火現伯という医師の家に行くと、武左衛門は現伯と共に匂引にあっていた。町方に知らせると現伯の命がないと考え、磐音は孫一に相談した。
 その件も無事解決し、磐音は久し振りに佐々木玲圓道場に行く。そこへ道場破りが現れたため、磐音が退ける。家に戻ると、中居半蔵が来ていた。江戸家老となった利高が吉原に行き、自分の藩から出た白鶴に会おうとしていた。利高から同情の眼差しでも向けられたら白鶴こと奈緒は自害するだろうと、2人は利高を止める作戦を立てる。

 ・・・ああ、盛りだくさん。今回はどのエピソードも面白かったから極力書いてみたけど、こんだけの量になってしまった。この著者の上手いところは、エピソードが単体で起こらないこと。ごちゃごちゃするからエピソードごとにまとめて書いたけど、この本の中ではあっちの事件が起こってる最中にこっちでトラブルが・・・となる。磐音が次々に事件を抱え込む様子が読み取れて楽しい。
 『雪華ノ里』で散々引っ張った奈緒の件は、悲しい結末を迎えていた。まあ同じ江戸にいるんだから、何かの運命の巡りあわせで会える日も来るかもしれない。今津屋が手を貸す意思を伝えても、磐音なりの理由でやんわりと断るのが真っ直ぐすぎる。
 ところで、磐音ってどんだけ負け知らずなんだろうか。1巻で幼馴染と斬り合っての怪我と今津屋の用心棒業で負った怪我があったけど、2巻以降は全勝してるのでは?最初は強いけどまだ発展途上ってくらいだったのが、今や無敵だ。修羅場を潜って強くなっていったみたいな、少年マンガのような設定なんだろうか。
 幸吉とおたねを浅草に連れて行く所は和やかで好きだったんだけど、2人を送って行く途中で撃退した道場破りに勝負を申し込まれた。磐音は穏やかな人なのに、本当にどこまでも血生臭い。そういうマンガも小説も嫌いじゃなけど、時代小説で剣術となるといまいち戦闘シーンを思い描けないんだよなぁ。おじいちゃんっ子だったから時代劇は良く見てたけど、あの戦い方は作られた緊張感や迫力ない剣技でしかないし。
 ひとまず豊後関前藩は着々と建て直しに向けて進んでるようだけど、次はどうなるのかな。金兵衛長屋に新しく引っ越してきたお兼が何かやらかすんだろうか。どうなんだろうか。冬のシーンが続いてるから、そろそろ春になってもいいと思うんだけど。
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『図書館革命』 有川 浩
2008-02-11 Mon 22:03
図書館革命図書館革命
有川 浩

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 シリーズ4巻目、最終巻。敦賀原子力発電所がテロリストにより襲撃を受けた。そのニュースが流れた日、郁はカミツレに思い入れのある堂上をハーブティが飲めるお店に連れて行くという初デートが実現する。ドキドキ初デートも束の間、2人は基地に呼び戻された。
 今回起こったテロの手口が『原発危機』という小説に酷似してた。メディア良化委員会はその作品を危険書みなして、作者である当麻蔵人の身柄を拘束しようとしているらしい。いち早くその情報を入手した折口は、当麻を連れて図書館基地内に連れてきていた。
 これを前例に今後作家狩りが始まることを恐れた図書館隊は、当麻蔵人を匿いながらメディア良化委員会と戦うことになる。その作戦の一端として柴崎は手塚の兄・慧と交渉し、図書館隊は「未来企画」と一時的に手を結ぶことになった。また折口の協力によってテレビで大々的に取り扱わせ、国民の目を向けさせようという試みは成功しつつある。
 当麻を原告にメディア良化委員会を訴える裁判に持ち込んだが、最高裁でも敗退。かねてから敗退した場合は大使館に逃げ込んで、当麻の国外亡命により他国から日本の言論弾圧に注目してもらおうとした図書館隊。しかし情報が漏れたらしく、亡命先候補の大使館ではメディア良化委員会が待ち受けていた。

 さて、最終巻。これはちょっと、私には無理。恋愛モード全開すぎてキツイ。上司の堂上に恋してる郁は、一生懸命なのに空回りして失敗してばかり。その度に堂上がさりげなく慰めてくれる。頭を撫でてくれる。ここぞという時には手を握って励ましてくれる。さらに実現した初デートでは特別視する発言が多々。そしてそれに舞い上がる郁。しかもモロに顔に出る性格の郁。わかっててやってるだろう、堂上。もういいから適当なとこで押し倒して、恋愛部分ははちゃちゃっと片付けてくれ。うざいったらありゃしない。ってこの本はいわゆる「ベタ甘」が売りで、それがこのシリーズの人気にも一躍買ってるんだろう。だから恋愛モノ嫌いの私は、お前は読むなと言われて然るべきなんだろうな。この本の「ベタ甘」な点に関しては少女マンガレベルで、主要人物全員が平均値よりずいぶん高いビジュアルを持ち、誰もが誰かとイチャこきイチャこきともうめんどくさいったら。
 このシリーズ、1巻目、2巻目くらいまでは面白かった。特に1巻が出た時は内容が斬新でもあり、取り扱うテーマの重さと若者言葉を多用した会話文のギャップが楽しかった。3巻目でそろそろ浅さが目立ち始め、4巻に至ってはツッコミどころ満載。今作は司書としての仕事は皆無だったんで、私も司書としてのツッコミはできない。それにしてもツッコミどころ満載。いつも通り、お前何様かと言われるようなツッコミを書こう。

 ずっと気になってたし前も書いたけど、国民の無関心さ。今回は玄田の作戦で国民が興味を持ち始めた。それまで国民は自分に関係ないから無関心だったとか、日本人馬鹿にしてんのかと。野党馬鹿にしてんのかと。それとも法案可決当時、巨大連立政権でもあったんだろうか?

 それから柴崎の「切れ者」という設定に伴うエピソードがぬるい。手塚慧との会話とか聞いてても特異なまでに頭がいいようには思えないのに、他の登場人物に「頭がいい」と言わせてる(思わせてる)ことで頭の良さを表現するってのがちょっと。普通に先読みの勘がいいってレベルじゃね?
 手塚慧の方も同じだ。彼は誰がどうやってこの法案を通したのかは掴んでるらしいけど、それを発表すると世の中がめちゃくちゃになるそうだ。で、その後それは秘密のまま物語は終了。これは世の中がめちゃくちゃになるフラグだと思って楽しみにしてたんだけど・・・。伏線じゃなかったんすね。うーん、ぬるい。まあ、単行本の形を取ってるけどこの本はラノベなんだと思うとこんなもんかと思えてきた。そうすると無駄の多い構成も納得。会話文にわざわざ普通は日常では使わない言葉(日和る、奇貨、etc.)を挟んでくるのも納得。ちなみに私の中で「頭がいい」登場人物を作れる人のベストは冨樫義弘で、中でも『レベルE』がベスト。「富樫かよ!」と言われたけど、彼は本当に頭いい。小説家では東野圭吾とかだろうか。

 あと、公には使用を自粛させられる、差別用語として制定されてる言葉について。「片手落ち」は語源そのものは「片」=「仕事」+「手落ち」=「終わってない」で、仕事を残してしまっている状態のこと。「片方の仕事を残している」の意味が転じて「片方に対する配慮が欠けている、不公平」という意味になる。現在では身体障害者を連想させられると、公には使用を自粛させられている言葉だ。
 これを身体障害者に対する差別用語とすることを、この本は馬鹿げているように書いている。それを差別用語だと指摘する人を蔑みつつ「善意の人々」と言ってるように感じた。「盲撃ち」「盲船」「按摩」「乞食」なども、物語や時代背景も考えずに指摘することを蔑んでいる。
 私は6年間の図書館司書時代にも障害者の利用者とたくさん出会ってきたし、今は障害者施設の司書をしてる。だから実体験として言える。障害者の人達って、やっぱそういう言葉は嫌がるもんだ。それはそういう言葉で彼らを差別したり傷つけたりしてきた歴史があって、今でも彼らは健常者から奇異の眼差しで見られたり気味悪がられたりすることに暗い感情を抱いてる。でも本書は、そういうのは無視。「片手落ち」の語源は上記の通り。でも、何らかの事情で片手がない人がそういう表現を見たら傷つくのではないかと思うことの何が悪いのか。
 彼らは健常者と違うことを多少なりとも気にしている。それが気にならないような福祉の充実、例えばドイツは障害者が障害者であることを忘れてしまうほど福祉が充実してるらしい。そういう社会になり、障害者が健常者と対等に生活できるようになれば差別用語なんて自然になくなるものでは?現在の日本で、差別用語を障害者の被害妄想のように言うってどーよ。
 この本で主要人物である作家の当麻は、物語の状況や時代背景で使うんだからとか言う。一部の人を傷つけてでも書きたい小説があるなら書けばいい。そういう言葉を使っても売れると、出版社を思わせる本を書けばいいじゃないか。差別用語だと指摘する投書を跳ね返すくらいの強さを持てばいいじゃないか。屈した奴が何を言うか。差別的表現があるくらいで物語観に損ないを感じずに読める人の方が圧倒的に多いんだし。
 出版社がNG出すなら自費出版でもしたらいい。買い手がある作家なら尚のこと。そしてそれを売ってみせて、ほれみろと言えばいいじゃないか。売れれば出版社の方が頭下げるだろ。それをしないで差別用語を指摘する人を陰で蔑む、その姿勢が気にくわない。
 時事ネタになるけど、倖田來未の羊水発言をバッシングすることは言論弾圧だと言う人もいるらしい。じゃあ羊水発言で傷ついた人のことは無視か?確かに35歳過ぎると出産は体に負担が掛るらしい。障害児が生まれる確率もわずかだけど上がるそうだ。でも実際には、子供欲しいけど35歳までに子供を産めずにいる人はたくさんいる。そしてそういう人達に「早く産んだ方がいいよ」という人は、もっとたくさんいる。私はあと5ヶ月で30歳になるけど、ガンガン言われてる。でもってそれは、とても不快だ。私は子供欲しいと思ってないし、配偶者はあと2年はいらないと言っている。そんな私が不快なんだから、産みたいと思ってるのに産めない人は本当につらいだろうと思う。これは25歳過ぎて「結婚は早い方がいいよ」と周囲から言われるようになることと似てるけど、それ以上に不快だ。だからバッシングしてんのに言論弾圧だとか、不快を不快と言えなくなることこそ言論弾圧なんじゃないのか? このシリーズでは、身体に何らかの障害を持ってる人が2人出てくる。片足がない人と、難聴者。せっかくそういう人達が登場するのに、主人公達の説に都合いいようにしかその障害がアピールされない辺りが残念だ。そして、物語全体の浅さを加味する。
 この『図書館革命』を読んで、差別用語について言いたいことはわかるし神経質すぎるっていうのもわかる。ただ、表現の自由ってそこまで偉いの?と思う。表現の自由は基本的人権の尊重を凌駕するのか?これは現時点ではまだまだ課題であり、改善の段階には来てないと思うんだけどなぁ。

 というわけで、ツッコミ終わり。自分でも頭悪いくせに何様かとか、自分はこんな小説書けるのか?書けないくせに、とか思う。他人が読んだら、自分が自分宛てに思ってる何百倍も言いたくなるだろうな・・・。
 こういうこと考えながら読んでたから、この巻は楽しめなかった。このツッコミどころに加えて恋愛モノ苦手体質で、楽しめるわけがない。現段階では、アマゾンでは見事に★5つですなぁ。私も客観的に見て評価は高いと思うよ。好き嫌いはともかく、3.5~4は付けたい。でも、このストーリーに込められたメッセージ性みたいなのがどうも一方的すぎる気がする。
 これが日本の近未来的パラレルワールドじゃなくて架空の世界の物語だったらほとんどのツッコミが成り立たないんだけど、日本なんだからなぁ。文明が進んでるようには見えないから、現代とほぼ同時代と思っていいだろう。そうするとちょっと腹が立ってくる。
 でも、これまで執筆活動してる人達の間だけにあった「差別用語」という壁を悪い物として、なおかつ物語仕立てで問いかけたその勇気は評価したい。
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『メディエーター 呪われた転校生』  ジェニー・キャロル
2008-02-10 Sun 21:25
メディエーター 呪われた転校生 (集英社文庫)メディエーター 呪われた転校生 (集英社文庫)
Jenny Carroll 布施 由紀子

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 メグ・キャボットがジェニー・キャロルのペンネームで出した本。幽霊がこの世に残した未練を全うし、時には力づくであの世に送るという役割を担ったスーズことスーザンの心霊騒動「メディエーター」シリーズ第2弾。
 スーズの部屋に突然現れた女性の霊が、「レッドに“あなたが私を殺したわけじゃない”と伝えてほしい」とだけ言って消えた。調べてみるとレッドとはカリフォルニアで不動産業に成功した男で、スーズは彼の息子のタッドとプールパーティで出会っていた。幽霊の伝言を伝えるべく訪ねて行くと、レッドの様子がおかしい。同じメディエーターである校長に話すと、彼は吸血鬼ではないかと言い出した。一方ではタッドとの仲が急速に進展していく。

 アメリカのティーンズノベルにも関わらず、相変わらずダサい表紙してるなぁ。1巻以上に変な表紙。
 この巻でスーズは、引っ越したばかりの自分の部屋に取り憑いているかっこいい男性幽霊・ジェシーへの恋心に気付く。けどジェシーは幽霊なんだからと必死に気持ちを抑えてるところがかわいいじゃないか。それでいて相変わらずスーズのストロングっぷりが面白い。スーズは賢いし、抜群の行動力だし、何より強い。前回と違って生身の人間と戦うシーンがあるけど、女子高生にあるまじき強さだ。それでいて乙女心特有の勘違いとか妄想とかが上手く絡んでいる。その辺のバランスとか本当に絶妙で、恋愛物が苦手な私が読んでて楽しいと思えるほどだ。
 義父や義兄弟達との生活は相変わらず面倒そうだけど、幸せそうにしている母親のために我慢しているところは健気でもある。スーズは突然できた家族と距離を置いてるみたいだけど、めちゃめちゃいい人達っぽいと思うけどなぁ。特に父親のアンディとか。それでも母親の再婚を割り切ることはできない16歳の女の子の気持を上手く描いてくれちゃってる。
 そして最後に、ちょっとほろりもあり。

 さて、これでやっと理論社の「メディエータ」シリーズにつながるわけか。理論社から出てる分は、まず絵がかわいくなる。この『メディエータ 呪われた転校生』はこうなる。

メディエータ0 (episode2)メディエータ0 (episode2)
メグ・キャボット

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 集英社版は禍々しすぎる・・・。サブタイトルも、理論社は「吸血鬼の息子」にしてるし。そして訳者も変わる。私は知らずにシリーズの4巻目にあたる本を既に読んでしまってるけど、気にするほどの違和感はなかったかな。理論社の訳の方が砕けてる気がしないでもない。集英社の方は忠実すぎるのかもしれない。ていうか4巻を読んだのが結構前だから、あんまり覚えてないっていうのもある。まあ多少雰囲気変わっても気にならないし、ノリは変わらないからいいんだけど。
 次の巻は『メディエータZERO episode3』になるけど、理論社がめちゃくちゃな出版順で出しやがったから何か変な気持ち。
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『映画篇』  金城 一紀
2008-02-09 Sat 19:19
映画篇映画篇
金城 一紀

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 不朽の名作『ローマの休日』の上映会を軸に少しずつリンクしている連鎖短編集。

「太陽がいっぱい」
 民族学校で友達のいなかった「僕」と活発でいつもクラスの中心にいた龍一は映画を間に仲良くなり、2人でたくさんの映画を見るようになった。しかし龍一の家庭の事情、「ボク」の進路なんかで、中学の卒業式の後『太陽がいっぱい』を見て以来離ればなれになってしまう。
 高校・大学を出て製薬会社に勤めていた「僕」に、ある日突然龍一から電話がかかってきた。区民会館で行われる『ローマの休日』へ行かないかという誘いだったが、「僕」はそれを断ってしまった。電話の後、『太陽がいっぱい』の原作を読み終えてから小説を書き始める。
 一話目にふさわしい、金城ワールド炸裂な話だった。こういう言い方はあんまり良くないんだろうけど、私は在日の人ってあまり好きじゃない。犯罪者が多かったり、帰化する気はないのに選挙権を欲して運動してたりというイメージがどうしてもある。けど、この人の本を読んでたら、そういう一部の人が目立ってるだけで大抵の在日の人は一生懸命生きてるんだろうなぁって思えてくる。この話といい「ゾンビーズ」シリーズといい、在日擁護でもなく日本贔屓でもなく、そこにある摩擦をあって当然のものかのように自然に書いているからだろう。
 多分いつも通り、時間が経ったらまた元のような考え方になるかもしれない。その時までにまた金城さんの新しい小説を読めたらいいな。まあ、被差別意識が強すぎる方々はどうあっても受け入れ難いけど。
 閑話休題。この話の最後の部分が「僕」の創作だって気付いたのは、感想をこれを書こうとしてる時。無茶だけどいい終わり方だなぁって思ってたのに、この発見は衝撃。

「ドラゴン怒りの鉄拳」
 連れ合いが薬害事件に巻き込まれた末に自殺し、「わたし」は五ヶ月間家に引きこもった。連れ合いが借りっぱなしにしていたレンタルビデオの返却のために五ヶ月ぶりに外出すると、店員の鳴海から『フライングハイ』というビデオを「サービスです」と渡される。その日から毎日レンタルショップで鳴海からお勧め映画を借りるようになり、連れ合いの死で壊れかけていた「わたし」は鳴海と映画によって救われていく。
 前の編とは雰囲気ががらっと変わった。主人公が女性になったということで、一気に描写が細かくなって文章が女っぽくなる。そういうとこさすがだなぁと思うけど、私は恋愛物が苦手。段々冷めていったけど、鳴海の創作映画のシーンがまたつまらない。この映画、果たして本当に面白いんだろうか?私はつまらないと思う。
 まあそんなこんなで、「わたし」は鳴海と区民会館に『ローマの休日』を見に行く。

「恋のためらい/フランキーとジョニーもしくは トゥルー・ロマンス」
 隣の席に座る石岡に好きな映画を聞かれ、『フランキーとジョニー』と答えて内容を教えた「僕」。それだけの仲だった石岡から誘われるまま、夏休み最後の日に区民会館で上映される『ローマの休日』を見に行った。その翌日彼女は「僕」に、弁護士をしている彼女の父親から被告人の保釈金を奪うという計画を聞かされる。
 両親に愛されない石岡と、父親が犯した事件のせいで壊れたことがある「僕」。今いる場所から逃げ出したいと思っている2人の友情のような恋のような話だと思ってたけど、結局恋だったんだな。赤木君の告白の言葉はかっこいいけど、高校を中退して、親から奪った金で逃走・・・。この2人の明るい未来が描けないのは私だけか?

「ペイルライダー」
 両親の離婚話を聞いてしまったユウ。夏休みの自由研究を「映画ランキングベスト50」を共同で作ろうと友人から言われ、レンタルショップの帰りにクラスのいじめっこに捕まってしまった。そこに全身黒ずくめのライダーが来て、いじめっこ追い払ってくれる。黒いライダーがヘルメットを取ると、パンチパーマのおばちゃんだった。ユウはその日おばちゃんと一緒に過ごし、最後に区民会館で行われた『ローマの休日』を見る。
 おばちゃんの過去は、物語に関係ない男子高生の目線で語られる。ヤクザの幹島が製薬会社の人体実験から逃げ出した母子を殺害する現場を目撃した一家。警察に通報したが、後日乗ろうとした車が爆発した。生き残ったのは主婦一人だけ。10年後、その男子高生は事件に関わったヤクザの家の車庫で黒いライダーが幹島の手下、幹島と次々に殺して行く所を目撃した。
 両親の離婚、自由研究をユウに押し付けるカメちゃん、つまらない理由でインネン付けてくるクラスメイトと、最初は嫌なことだらけな小学生ライフのユウだったけど、おばちゃんと会ってからはとても爽やかだった。けど後半のダークさは並みじゃない。その変化が面白い。
 
「愛の泉」
 おじいちゃんの死から段々と弱っていくおばあちゃん。一周忌に集まったいとこ達4人は、おじいちゃんとおばあちゃんが初デートで見た『ローマの休日』を上映しておばあちゃんを元気付けようとする。全ての手配を任された「僕」は、フィルム探し、会場決めに奔走することになった。前の4編に出てきた『ローマの休日』の上映会はこうやって企画された、という話。
 ベタながら、私はこの話が一番好きだ。大学生の「僕」のちょっとふざけた語りのトーンも好きだし、登場人物もいい。孫達から頼られて愛されているおばあちゃん、美人で頭が良くてハンパない度胸と落ち着きがある22歳の律子ねえちゃん、やんちゃで“アホの子”の14歳ケン坊、その姉でケン坊とは正反対に控えめで大人しい17歳のリカ、主人公と同じ20歳で繊細であり「僕」とはちょっと仲が悪いニートなかおる。みんながおばあちゃんを愛してる。
 「僕」の語りに時々笑わされ、上映会の当日には何だかぱたぱた涙が出てきた。上映会が滞りなく開催できたこともだけど、龍一は一人でこの映画を見に来ていたし、「わたし」と鳴海はこの直前に薬害事件と戦う決意をしていたし、赤木と石岡はこの翌日に三千万円強奪計画を話し合うし、おばちゃんはこの後復讐を遂げる。この上映会は確実に色んな人に囲まれてるんだと思えた。
 他の話と違って真っ直ぐで笑えて、感動して。やっぱ私はこういうのが一番好き。最後のオチでは、思わず吹き出してしまった。で、何の映画だったんだろうか。

 1話1話はそれなり程度しか楽しめないんだけど、全部が合わさると凄く力ある作品だと思う。特に最後の話が今まで全体的に漂っていた寂しい雰囲気を一掃し、楽しい気分にさせてくれる。彼の努力で何人もの人が同じ場所、同じ時間に同じ映画を見て、感動する。皆にちょっとずつ関わってる感じがいい。
 この短編集は『ローマの休日』以外にもあちこちリンクしている部分がある。上映会の夜の雷とか、レンタルショップ「ヒルツ」とか、散歩しているブルテリアとか、つまらないフランス映画とか。そういう部分を見つけて微笑ましい気分になれるのも、この本の特徴だと思う。
 金城さんは本当に映画が好きで、たくさん見てるんだろうなぁ。残念ながら映画に疎い私は、この本に出てくる映画をほとんど知らない。有名なのはタイトルと簡単なストーリーくらいは知ってるけど、実は全部見たことないやつだった。あ、いや唯一『ベスト・キッド』は見た覚えがあるんだけど、記憶が古すぎて大まかなストーリーしか思い出せない。でも、「ミスター・ミヤジ」の「ジ」にわざわざ毎回傍点があるのにはちょっと笑える程度には覚えている。
 これ読んで、確実に『ローマの休日』は見たくなるよね。これはもう洗脳だ。今度借りてこよう。
別窓 | [か行の作家]金城 一紀 | コメント:0 | トラックバック:0 |
2008年1月に読んだ本
2008-02-07 Thu 21:58
『葉桜の季節に君を想うということ』  歌野 晶午 (1/20)
『そのときは彼によろしく』  市川 拓司 (1/17)
『月の裏側』  恩田 陸 (1/14)
『慟哭―小説・林郁夫裁判』  佐木 隆三 (1/12)
『心霊探偵八雲3 闇の先にある光』  神永 学 (1/4)


別窓 | [シリーズもの] | コメント:0 | トラックバック:0 |
『ライオンハート』  恩田 陸
2008-02-03 Sun 00:32
ライオンハートライオンハート
恩田 陸

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 何度もお互いを夢見て、ほんの一瞬の邂逅をひたすら待ち続ける。時空を超えて、何度生まれ変わっても必ず巡り合うエドワードとエリザベスを描くファンタジー的な恋愛物語。時代が過去へ未来へとぽんぽん変わる。主人公は必ずエドワードだけどどれも違うエドワードみたいだし、エリザベスも同じく。しかし彼らは必ず惹かれあう。
 恩田陸でも読もうかと『月の裏側』と一緒に適当に手に取った本だけど、恋愛モノ引いちゃったか・・・。2冊とも、私にとっては心構えが必要なジャンルの本だったとは驚き。って、そもそも恩田陸ってどんな作家なのかよくわかってないまま、ネームバリューで選んだからなぁ。
 この本は、全体的にきれいな話ではある。情景描写もきれいだし、夢でしか会ったことないはずのエリザベスに惹かれ続けるエドワードの切なさも純粋で美しい。でも恋愛モノが苦手な私に、覚悟なしでこれを読むのはつらかった。ダルかった。
 始まりは、歴史に翻弄されて誰も信じられなくなったエリザベス女王。ここからエドワードとの運命が始まるんだけど、少し読んでいい加減冷めてきてた私はうんざり。エリザベス女王という大きな存在なのに、その役割が活きることなくラストのストーリーに移る。
 オチは嫌いじゃなかったけど、ここまでの経緯が私にはどうも合わない。時代やシチュエイションが違うだけで、主人公が考えてることってずっと一緒なんだもん。会いたい会いたいって、もーだるー。
 かったるい小説だったけど、でもやっぱ恩田陸の文章はいいと思う。ナチュラルにきれいだ。乙一は「切なさの達人」という二つ名があるけど、恩田陸の二つ名は「ノスタルジアの魔術師」らしい。誰が考えたのかは知らないけど、まあ確かに。ストーリーは置いといて、彼女の表現を見るつもりで読めばわりと感嘆してしまう。
 ところで結局、「ライオンハート」の意味は?作中でも何度か出て来たけど、意味は汲み取れなかった。あとがきによると好きな洋楽バンドのアルバムのタイトルらしく、いつか作品のタイトルで使いたかったんだとか。SMAPの「らいおんハート」ではないようだ。イギリスの王様でそういう呼ばれ方してる人がいたと思って調べてみたら、リチャード1世(1157~1199年)という人。この本の中で、この運命の始まりとされてるエリザベス女王とは時代が違う。うーん。ありきたりに解釈すると、「あきれるほどに そうさ そばにいてあげる」ってやつか?
別窓 | [あ行の作家]あ行その他の作家 | コメント:0 | トラックバック:0 |
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