元司書による読書備忘録ブログ。思ったことは全部書き、何様気取りの感想だったり平気でネタバレしたりします。
スポンサーサイト
-------- -- --:--
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

別窓 | スポンサー広告 |
個人的にかなり好きな本
2008-01-25 Fri 00:46
『GOTH』  乙一
『半落ち』  横山 秀夫
スポンサーサイト
別窓 | [その他のこと] | コメント:0 | トラックバック:0 |
『葉桜の季節に君を想うということ』  歌野 晶午
2008-01-20 Sun 18:48
葉桜の季節に君を想うということ (本格ミステリ・マスターズ)葉桜の季節に君を想うということ (本格ミステリ・マスターズ)
歌野 晶午

文藝春秋 2003-03
売り上げランキング : 78118
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

 2004年第57回日本推理作家協会賞と、第4回本格ミステリ大賞を受賞作。あと、2004年の「このミステリーがすごい!」の第1位も獲得している本。
 成瀬将虎は探偵会社に勤めていた過去を持つことから、フィットネスクラブ仲間の久高愛子と彼女に惚れている芹澤清に探偵業を依頼された。「表向きは事故ということになっていますが、実はおじいさんは轢き逃げされたのです」と話す愛子。彼女の話によると、久高隆一郎は悪徳商法を営む蓬莱倶楽部に五千万もつぎ込んだ挙句に保険をかけられて殺された疑いがあるそうだ。ただし由緒正しい家系である久高家としては、証拠もないのに騒ぎ立てて家名が傷つくようなことはしたくないと言う。
 将虎は蓬莱倶楽部についての調査に奔走する一方、偶然出会った麻宮さくらという女性とデートを重ねていた。借金を苦に自殺を図ろうとした彼女を助けた縁だったが、将虎は少しずつさくらに惹かれていった。
 蓬莱倶楽部の調査、麻宮さくらとの恋愛、将虎が探偵をしていた20歳の頃に関わった殺人事件の3つが並行して、ハードボイルドテイストな主人公の一人称で語られていく。

 経緯がすごく面白いというわけではないけど、スピード感ある文章でぐんぐん読んでしまった。過去が断片的に描かれる構成に何度か混乱したけど、それはそれで面白い。過去も現在もどっちも気になってしまっていた。
 そして最後に、将虎がさくらに真実を話すシーン。え?まじで!?ってやっぱなるよなぁ、この種明かしには。将虎はさくらを騙し、さくらは将虎を騙してたんだけど、その両方の意味で作者は読者を騙してる。しかも、先入観を逆手に取った騙し方がこれまた面白い。
 実は、この本の評価はある程度知ってて読んだ。叙述トリックを使ってあり、最後には「やられた!」と思わされる本だとか、そういう評価。そういうの知ってて読むと面白さが半減するという人もいるけど、私は叙述トリックは大好きなんで“どう騙してくれるのか”とワクワクしながら読んだ。で、見事に騙された。一体どこに騙しテクが入る余地があるのかと思ってたけど、私も見事に先入観やられてしまった。まさかそんな手でくるとは。
 でもね、言い訳するわけじゃないんだけど、いや言い訳になってしまうんだけど、1点だけ、あれ?って思った記述はあったんだよね。将虎がケータイを2台持ってて、「F6なんとかとかN50なんとかなんとかといった機種名を憶えるのが面倒」と書いてあった。私は一時期ケータイについて妙に詳しかった時期があったんでちょっと引っかかった。ん?「F6なんとか」って・・・それ、らくらくホンじゃん!って。でもその後は全くその事に触れてないから、作者のケータイ機種例が適当すぎるのかという程度にしか思わないで流したんだよなぁ。悔しい。他にも伏線があったことに気付いたのは、2回読んでからなんだけど。
 まあでも明らかに作者はミスリードしてる点は卑怯だよな。久高愛子が家族の事を話す時のあの呼び方。良家のお嬢様にしては品のない話し方だなと思ったんだけど、今思い返すとあれは騙そうとしている作者の意図が感じられる。
 最後の「葉桜」についての所は良かったなぁ。いいなあ、こういう考え。とはいえ葉桜について話す2人の図を想像するとちょっと萎えるのは、私が葉桜の良さをまだ理解できてないからなんだろう。でも、理解できる日は嫌でも来るんだろうな。
別窓 | [あ行の作家]あ行その他の作家 | コメント:2 | トラックバック:0 |
『そのときは彼によろしく』  市川 拓司
2008-01-17 Thu 20:28
そのときは彼によろしくそのときは彼によろしく
市川 拓司

小学館 2004-03-31
売り上げランキング : 212423
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

 「ぼく」こと智史は13歳の時に佑司と花梨に出会い、3人は親友になった。3人と犬のトラッシュは当たり前のように一緒にいたのに、「ぼく」の転校で突然離ればなれになってしまう。それから16年経ってアクアリウムショップを営む29歳の「ぼく」は、最近知り合った美咲さんといい関係を築きつつあった。
 ある夜、森川鈴音という美しい女性がアルバイトに応募してきた。「ぼく」は気付かなかったが、彼女は有名なモデル兼女優だそうだ。ここから物語がゆっくりと始まる。

 友情、親子愛、恋愛が重苦しくなく盛り込まれて・・・と書くと簡単すぎて陳腐だけど、それぞれが抱いてる感情がこの作者の表現力によってじんじん響いてくる。特に「ぼく」のお父さん。このお父さんに憧れずにはいられない。ちょっと茶目っ気があるけど息子に深い愛情を抱き、大きな大きな包容力があって、その愛情はさらっとしてるけどとても奥深い。
 この作家を読むのは『いま、会いにゆきます』に次いで2作目。やばい。私、この作家好きかもしれない。好きな作家が少ない私だけど、久々にそう思った。会話文にも地の文にも彼の表現力が過剰過ぎない程度にポロポロ落ちていて、それが心地いい。このラブシーン、なんて品のある表現なんだろうかと感嘆した。
 登場人物に造形っぽさが付きまとうし、ちょっと冗長な所もあるし、途中でファンタジー要素を持ち出したのには正直がっかりしたけど、それでもここに書かれている人を想う気持ちの表現力にマイナス作用はなかった。ストーリー展開を重視し過ぎるとつまらない作品になってしまいそうな本なんで、感情移入して読めて良かった。「そのときは彼によろしく」の意味を知った時の感動が一番大きい。大きすぎて硬直してしまった。
 そうそう。犬のトラッシュって、ムク犬で「ヒューウィック?」って鳴く。これってもしかして『いま、会いにゆきます』で行方不明になった、主人公一家のご近所さんの飼い犬?あれ読んだ時はどこに行ったのか気になったけど、こんな所にいたのか。
別窓 | [あ行の作家]あ行その他の作家 | コメント:0 | トラックバック:0 |
『月の裏側』  恩田 陸
2008-01-14 Mon 10:14
月の裏側月の裏側
恩田 陸

幻冬舎 2000-03
売り上げランキング : 280456
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

 知り合いの元大学教授・三隅協一郎に招待されて九州にある水郷の街の箭納倉(やなくら)を訪れた青年・多聞は、最近連続して起こった老女連続行方不明事件について聞かされた。彼女達はいつの間にかいなくなり、しばらくしてひょっこり帰って来る。しかし行方不明中の事については何も覚えていないらしい。かつて協一郎の弟夫婦も同じように行方不明になったことがあったそうだが、協一郎によると彼らは限りなく似ている別の「何か」になっているようだと言う。
 帰還した老女達のインタビューテープに入っていた謎の音は?飼い猫・白雨が頻繁に拾ってくる、精巧に作られた人間のパーツとは?図書館に侵入してきた、水の膜のような物体は?ジャーナリストの高安、協一郎の娘で多聞の後輩でもある藍子も交えた4人は、行方不明になった人間が「何か」になって帰ってくるという「盗まれる」現象を確信し始めた。

 私の読書はランダム過ぎて有名所をあまり抑えてないんで、もうちょい有名所読むか。適当に恩田陸でもって感じで手に取っただけというこの作品。ホラーだった。くそっ!何の心構えもなしに読んでしまったじゃないか。急にぐっと迫り上がって来た恐怖に対応できず、あわわわわ・・・。
 でも全部読むと結構拍子抜け。不発の恐怖にがっかりした。別にモヤッと謎が残る終わり方は嫌いじゃないんだけど、これは読み終えてから「で?」って思う。で?皆「盗まれ」て帰って来たけど、「盗まれる」のは別にどうってことないですよで終わり?みたいな。主人公だけ「盗まれ」てないけど、終わったんで帰るとか。
 謎の生命体の発する音が鳩笛と同じ音だったっていうのも、ただ最後に恋慕の情を盛り上げるためだけのアイテム?って感じだし。藍子がいつも写真を撮ってるって設定も特に役には立ってなくて、「盗まれ」て帰ってくる時にあれ?ないなで終わり。わりと浮き彫りに表現されてたアイテムだと思ったのは、私の深読みに過ぎなかったようだ。どう活かすのか楽しみにしていてすいません。
 この作者のホラーは『六番目の小夜子』しか読んでないけど、あれも読んだ後に「で?」って感じの肩透かしを感じた。私はこの人のホラーは苦手なのかもしれない。
 でも、面白いと思った思想があった。生命は多様化することで長く繁栄してきたけど、人間は個体として多様化し過ぎたのではないか。だからひとつになりたいという願望がどこかにあるのでは?という説を話すシーンがあったけど、だから人間はコミュニティーを作りたがるんだろうか?宗教に添いたがるんだろうか?社会に属してない人を嫌な目で見るんだろうか?何この説得力。納得してしまったではないか。

 ちなみにこの舞台、箭納倉は福岡の柳川だと思う。「水郷の都市」「鰻」「有明海」のキーワードと情景から、多分そうだ。柳川の町を描く表現力は、さすが大物作家だと思った。
別窓 | [あ行の作家]あ行その他の作家 | コメント:0 | トラックバック:0 |
『慟哭―小説・林郁夫裁判』  佐木 隆三
2008-01-12 Sat 19:03
慟哭―小説・林郁夫裁判慟哭―小説・林郁夫裁判
佐木 隆三

講談社 2004-02
売り上げランキング : 379251
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

 地下鉄サリン事件の実行犯の1人・林郁夫に焦点を当て、彼の供述や裁判記録を元にノンフィクション小説。医者という立場にありながらなぜオウム真理教に入団し、最終的には無差別殺人に加担したのか?彼が関わる事件を整理し、わかりやすく小説仕立てにした本。
 これを読む限りじゃ林郁夫って本当に真面目で、医者の限界に押しつぶされそうになるほど責任感が強い人なんだと思う。人を救うために解脱したいと出家し、取り返しがつかない所まで来てようやく気付き、自ら極刑を覚悟するという壮絶な人生を、私はこの本を読んで初めて知った。これまでは、ただの狂人としか認識してなかったような気がする。
 今思い返しても、オウムが起こした事件の数々はどれも悪質だ。その中でも地下鉄サリン事件は、今流行りの無差別テロと全く変わらない。こんな教団が改名して残ってるんだから、日本も甘い国だと思う。
別窓 | [さ行の作家]さ行その他の作家 | コメント:0 | トラックバック:0 |
『心霊探偵八雲3 闇の先にある光』  神永 学
2008-01-04 Fri 22:04
心霊探偵八雲 (3)心霊探偵八雲 (3)
神永 学

文芸社 2005-06
売り上げランキング : 9623
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

 八雲の所にちょこちょこ遊びに行くようになった晴香は、彼の所に除霊の依頼に来た女性と居合わせた。マンションで飛び降り自殺を繰り返す女性の幽霊がいるので助けてほしいと言う。現場に行った2人はそこで、霊媒師の神山と名乗る男と会った。またその幽霊は、後藤刑事が過去に関わった事件の被害者だった。
 一方、前作で悪霊に取り付かれた警察署長の娘・真琴も心霊事件に巻き込まれていた。大学時代の同級生・麻美と、麻美の知り合いの男性2人とバーで飲んでる時に鏡に浮かんだ女性の幽霊を見た。マスターも入れて5人がその女性を見たが、麻美はその女性に取り付かれてしまったらしい。その後麻美は、血痕を残して部屋から失踪。失踪直前に電話を受けた真琴と一緒にいた石井刑事のせいで、後藤刑事もこの事件に巻き込まれる形になった。
 同じ時期に別の場所で起こった心霊事件がつながり、八雲がその真相を暴くという話。

 あとがきで作者が書いてたけど、シリーズ中でキャラクターに変化を持たせて行きたいそうだ。晴香は八雲の助手という立場を確立し、八雲は神山の言葉に心情を揺す振られる。後藤刑事は組織内での軋轢がますます浮き彫りにされてきている。石井刑事は少しずつ八雲に慣れてきた。
 今回は事件そのものが小説のネタとしては私が大嫌いなネタであり、読んでてムカムカしてきた。強姦した女性をビデオに収めてネットで公開するという極悪非道な事件なんだけど、実際ありそうな事件だけになおさらむかつく。
 違和感ある文章&どっかで読んだようなストーリーだけど何か面白いシリーズって位置付けが、今回ばっかりはチラチラ変わる場面展開すら気分を重くさせられた。
別窓 | [か行の作家]神永 学 | コメント:0 | トラックバック:0 |
| よむよむ記 |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。