元司書による読書備忘録ブログ。思ったことは全部書き、何様気取りの感想だったり平気でネタバレしたりします。
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2007年11月に読んだ本
2007-11-30 Fri 23:38
『QED ~ventus~ 鎌倉の闇』  高田 崇史 (11/29)
『風が強く吹いている』  三浦 しをん (11/29)
『蛍の行方―お鳥見女房』  諸田 玲子 (11/23)
『花芒ノ海―居眠り磐根江戸双紙3』  佐伯 泰英 (11/23)
『看守眼』  横山 秀夫 (11/21)
『メディエータ ゴースト、好きになっちゃった』  メグ・キャボット (11/19)
『寒雷ノ坂―居眠り磐根江戸双紙2』  佐伯 泰英 (11/19)
『心霊探偵八雲2 魂をつなぐもの』  神永 学 (11/16)
『犯人に告ぐ』  雫井 脩介 (11/14)
『信長の棺』  加藤 廣 (11/10)
『陽炎ノ辻―居眠り磐根江戸双紙』  佐伯 泰英 (11/10)
『一億円もらったら』  赤川 次郎 (11/6)
『堪忍箱』  宮部 みゆき (11/2)
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『QED ~ventus~鎌倉の闇』  高田 崇史
2007-11-29 Thu 22:19
QED  ~ventus~  鎌倉の闇 (講談社ノベルス)QED ~ventus~ 鎌倉の闇 (講談社ノベルス)
高田 崇史

講談社 2004-08-06
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 奈々の妹・沙織が仕事で鎌倉の街を取材すると言う。新しい目で鎌倉を見ることができないかと考え、タタルを誘った沙織。タタルは奈々が行くのならと承諾し、奈々はタタルが行くのならと、3人で鎌倉に向かった。今回もタタルによって、歴史の闇が明かされる。
 源氏が鎌倉に幕府を開いたことによって始まった鎌倉時代だが、実際はいかに北条氏が牛耳っていたか、源頼朝が鎌倉にしか行き場がなかったこと、銭洗い弁天や鶴岡八幡宮の本来の意味とは、等々知られざる鎌倉満載。って、もはやこれは「教科書に載らない鎌倉の歴史」だな。
 一応推理小説のスタンスは崩さず、無理やり殺人事件を挿入してある。無理やりだ。偶然にジャーナリストの友人・小松崎に会い、彼から事件の話を聞くという程度。それでタタルは事件を説く。いやもうこの無茶っぷりは絶対わざとだと思う。そう思うと、シリーズ通しての「歴史考察」と「殺人事件」のフィット感のなさもありかな。
 歴史の話は面白かった。殺人事件の方は、かなりオマケ的レベル。
別窓 | [た行の作家]高田 崇史 | コメント:0 | トラックバック:0 |
『風が強く吹いている』  三浦 しをん
2007-11-29 Thu 22:12
風が強く吹いている風が強く吹いている
三浦 しをん

新潮社 2006-09-21
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 寛政大学4年生の清瀬灰二は銭湯の帰り道で、美しく疾走する万引き犯の蔵原走(カケル)と出会った。すぐさま追いかけた灰二は彼を、自分が住む竹青荘に誘う。竹青荘は、リーダー格の灰二、双子のジョータとジョージ、ヘビースモーカーのニコチャン、在学中に司法試験に合格したユキ、国費留学生のムサ、クイズ番組大好きのキング、どんな時も紳士的な神童、美系マンガオタクの王子、それに走の10人になったところで、灰二は全員に「みんなで箱根駅伝を目指す」と言い出す。最初は唖然とした一同だが次第に走る事に興味を覚え始め、10人は灰二の指導の元で共に箱根を目指しすことになった。性格、身体能力共に考慮した灰二のコーチぶりに何となく走らされてしまうメンバー。高校時代の出来事で競技としての“走る”ことにわだかまりを持っていた走の気持も段々とほぐされて、走る喜びを思い出していく。
 序盤で灰二が全員を説き伏せるシーンがちょっと不自然だと思ってたけど、すぐにどうでもよくなった。しかも4月から箱根駅伝を目指して出場するとかあり得ないんだけど、それもどうでもよくなった。全員のキャラ設定とか腐女子臭がしたけど、それもどうでもいい。ご都合主義とかも。そういうの全部を遥かに凌駕した面白さっていうか、魅力があった。
 この話のほとんどは走の目線で語られてる。でも最後の箱根駅伝のシーンは各区間、それぞれの走者の目線で語ってあった。10人分の思いの中にそれぞれドラマがあって、半端なく引き込まれていく感覚が心地良い。いい具合の爽快感と高揚感でクライマックスを読み終え、その後のクールダウンの程良さがまたいい。
 真剣に読んでても時折ふっと笑ってしまうシーンとかあって、終始楽しく読めた。来年の箱根駅伝は視聴率がちょっと上がる気がする。
別窓 | [ま行の作家]三浦 しをん | コメント:0 | トラックバック:0 |
『蛍の行方』
2007-11-23 Fri 12:20
蛍の行方―お鳥見女房蛍の行方―お鳥見女房
諸田 玲子

新潮社 2003-01
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 将軍の鷹狩の下準備をする「お鳥見役」を代々務める矢島家。その家族模様を描く「お鳥見女房」シリーズ2巻目。密命を帯びた主・伴之助の行方不明になり、次男の久之助と居候の源太夫が探しに行ってから1年が経とうとしている。彼らを心配しながらも笑みを絶やさず家を守る珠世と、相変わらず賑やかな家族達を描く短編集。
 この巻では子供達に多少の成長も見られ、剣術を学び始めたり、多津の教育で礼儀作法を覚え始めている。まだまだぎこちないけど、そこがまた微笑ましい。そんな日常の中に、お鳥見役の裏の仕事の厳しさが絡む。
 珠世の温かさと芯の強さは、読んでいて穏やかな気分になれる。やんちゃ盛りの子供達5人、隠居の身でお鳥見役の全てを知る久右衛門の憂さ、姑の目が気になる長女の幸江、兄の友人に思いを寄せる次女の君江など、全てをどんと来いと受け止めている。そして今後は誰よりも伴之助が珠世の温かさを必要とするんじゃないかな。
 私は殺伐とした話が好きだけど、たまにはこんな風にじんわり温かな話もいいな。書き方が上手いからただの温かな話じゃなくてちょっとスパイスが利いてる所が結構好きだ。「ちまき泥棒」「蛍の行方」「捨案山子」「緑の白菊」「大凧、揚がれ」「雛の微笑」「裸嫁」「風が来た道」を収録。
別窓 | [ま行の作家]諸田 玲子 | コメント:0 | トラックバック:0 |
『花芒ノ海―居眠り磐音江戸双紙』  佐伯 泰英
2007-11-23 Fri 12:19
花芒ノ海―居眠り磐音江戸双紙 (双葉文庫)花芒ノ海―居眠り磐音江戸双紙 (双葉文庫)
佐伯 泰英

双葉社 2002-10
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 磐音が江戸に来て一年。親友3人が斬り合う事になった事件は仕組まれた物だったと知った磐音だけど、相変わらずの貧乏暮らしは変わらず。その人柄と剣術の腕で、やくざの勢力争いに力を貸したり、今津屋の老分・由蔵の用心棒をしたり、幸吉の頼みで吉原に行ったりと、何かと仕事はあった。
 そうした暮らしの中にありつつ、伊織の許嫁・野衣を通して早足の仁助や御目付役の中居半蔵と手を組む。共に豊後関前藩の腐った藩政を牛耳る宍戸文六に立ち向かうため、磐音は江戸を離れて故郷に戻る決意をした。

 このシリーズ、展開はやっ!2巻を読み終えた時は、今後磐音は江戸で貧乏暮らしをしながら陰で宍戸文三と駆け引きをしていくんだと思ってた。それがいきなりここまで展開するとは驚いた。
 そして磐音がずっと気に掛けていた許嫁の奈緒。磐音達が宍戸を叩き潰すのが一足遅く、奈緒は女衒に身を売っていた。小林家がお取り潰しになった事件そのものが仕組まれた物だったんだから、4巻は奈緒を助けるのかな?磐音と奈緒は今後どうなっていくんだろう?中老嫡男という立場ってやっぱカタイから、そっちの方は早く片を付けてあの江戸っ子に囲まれた生活に戻ってほしいな。浪人生活だけど。
別窓 | [さ行の作家]佐伯 泰英 | コメント:0 | トラックバック:0 |
『看守眼』  横山 秀夫
2007-11-21 Wed 12:50
看守眼看守眼
横山 秀夫

新潮社 2004-01-16
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 普通なら脇役になるような人達にスポットを当てた短編集。

「看守眼」
 県警機関誌の事務職員である悦子は、退職職員の回想手記が一人分足りないことに気付いた。提出していないのは、長年留置場の看守を務めた近藤。催促のために近藤を訪ねると、彼はかつて起こった事件の真相を1人で追っていた。
 私がイメージする横山秀夫さんらしい話運びだった。つまり期待を裏切らないでいてくれる。緊張感がぐっと盛り上がった後にほどける感じ。最後の近藤の言葉とか、書いた手記の内容とか、なんか暖かい感じがして良かった。

「自伝」
 売れないライター仲間三人で作った自伝代筆の会社に報酬300万円の大仕事が舞い込んだ。自伝を代筆し、報酬を受けることができるの一人だけ。権利を得た只野が取材を始めると、依頼者の兵藤は自らが犯した殺人について語り始めた。話を聞くうちに、只野はその殺人と自分の母親の失踪との関わりと確信し始める。
 
「口癖」
 家裁の調停委員であるゆき江は、離婚調停に来た女性が娘の同級生だったことに気付く。今ではもう結婚しているが、娘は高校時代に彼女にいじめられて不登校になっていた。
 登場人物が濃すぎて、読んでて鬱になりそうだった。夫はうつ病、女性蔑視気味の調停委員仲間、娘のかつての同級生は浅はかな大人に成長してる。結末で、この人もか・・・って気分になった。短編にこれだけの人達を詰め込んであるこの話、ちょっと重い。でも最後には女性って強いなぁと思わされた。

「午前五時の侵入者」
 県警のホームページがクラッカーから侵入され、書き換えられた。ホームページ担当の立原はアクセス履歴から犯人を捜しつつ、セキュリティ不備であったことを隠蔽しようとする。
 犯人の動機に、ちょっと寂しいような気分になった。

「静かな家」
 地方新聞整理部の高梨は、割付終了後に急遽バレエ発表会記事の挿入を命じられる。そのゴタゴタで、別のイベント記事の日付に間違いがあったことに気付かずに掲載してしまった。その事がきっかけで殺人事件に巻き込まれる。
 
「秘書課の男」
 県知事秘書の倉内は、最近知事が自分に冷たいことに気付いた。その代りハーバード大学出身の若者ばかり呼びつけ、遂には倉内のことを無視するような素振りさえ見せるようになる。
 男の嫉妬を主観で書いた話なんだけど、一体何が原因なのか一生懸命考える倉内が滑稽だ。でもやっぱ、横山さんは上手い。途中までは主人公がグダグダでも、最後には読んで良かったって思わせてくれる。

 どれも主人公の役柄は地味で社会の中でも目立たないような人達。全く主役っぽくない人達にスポットを当ててあり、それでいて話も捻りが利いていて面白かった。
別窓 | [や行の作家]横山 秀夫 | コメント:0 | トラックバック:1 |
『メディエータ ゴースト、好きになっちゃった』  メグ・キャボット
2007-11-19 Mon 12:23
ゴースト、好きになっちゃったゴースト、好きになっちゃった
メグ・キャボット

理論社 2005-04
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 小さい頃から霊が見れて触れるスーズは、死んだ人の心残りを全うしてあげる「メディエータ」という役割りを担っていた。母親の再婚でカリフォルニアに来たものの、彼女の部屋にはジェシーという150年前に殺された青年が取り憑いている。「メディエータ」として、ジェシーの抱える物を解決しないといけない。しかしスーズは、そのジェシーを好きになっていた。
 そんなある日、義父が庭から奇妙な箱を掘り起す。その日の晩、ジェシーの元婚約者マリアの幽霊が脅しに来た。ジェシーはなぜ殺されたのか、どうして成仏できないのかという謎を抱えたまま、スーズはマリアと戦う決意をする。
 「好きになっちゃった」というタイトルのような女々しさは少なくて、スーズが普通の女の子の感性そのままに事件を乗り越えていくのが非常にかっこいい。好きな人のことで悩んだり妄想で舞い上がったりしつつ、ジェシーの前では気のない素振りで意地を張ったり。悪霊と戦う時はファッションにも気を配る。それでいて、戦闘は拳やら蹴りやら目潰しやらと、意外と肉弾戦だったりとか。スーズがこんなだから、話そのものが軽快に進んで面白かった。
 読んでて何度も思ったんだけど、これって何かの続編のような気がする。以前の出来事の書かれ方とか、前に少なくとも1冊は別の話がありそう。読んでる途中でざっと調べた時にはわからなかったけど、改めて調べるとやっぱこれ続編だった。なんと、著者名が「ジェニー・キャロル」と違ううえに装丁がこれ。

メディエーター―霊能者の祈り (集英社文庫)     メディエーター 呪われた転校生 (集英社文庫)

 あー、これ検索するたびに引っかかってたわ~。訳者も出版社も違うって、これじゃわからんわなぁ。雰囲気違いすぎ。話はわからなくはなかったけど、何かしっくりこなかったんだよなぁ。というわけで、読み進めないで後退しないといけない。対象はティーンズだけど面白かったんで、ぜひ前にも進みたい。
 この2冊の後に

メディエータZERO episode3 (3)

が来て、この『ゴースト、好きになっちゃった』は4巻目にあたるようだ。
 つまり集英社は1~2巻を出してそれっきり。3巻は置いといて、理論社は4巻から出した。理論社はそのまま5巻・6巻と出して完結してから、改めて1~3巻を「メディエータZERO」として出したようだ。
 ややこし・・・。
別窓 | [海外の作家]メグ・キャボット | コメント:0 | トラックバック:0 |
『寒雷ノ坂―居眠り磐音江戸双紙』  佐伯 泰英
2007-11-19 Mon 11:24
寒雷ノ坂―居眠り磐音江戸双紙 (双葉文庫)寒雷ノ坂―居眠り磐音江戸双紙 (双葉文庫)
佐伯 泰英

双葉社 2002-07
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 1巻で仲良くなった柳次郎と共に、あちこちで用心棒業をして生計を立てる磐音。内藤新宿で縄張り争いに巻き込まれたり、金持ちの妾の浮気調査をしたり、楊弓場で賭矢を挑む5人組をあしらったり、今津屋の取立てに同行したりと、様々な仕事をこなす。そんな生活の中、同郷でありかつて共に江戸で勉強した仲間でもあった上野伊織と再会する。伊織は、3人の親友同士が殺しあうことになったあの事件には裏があったのではないかと言う。

 1巻を読んだ時には一話完結型のシリーズになるかと思いきや、こういう形で続いていくとは思わなかった。てっきり、用心棒業で人情溢れる江戸の人達の人間模様でも描いていくんだと・・・。この本の最後では、磐音は黒幕と思しき連中に宣戦布告をする形で終わる。これはちょっと、続きが読みたくなっちゃうなぁ。
 普段は穏やかでのんびりした磐音が、いざという時は頭が切れてしかも強い。でも今はしがない貧乏浪人でしかない。彼が今後、黒幕とどう戦うのか楽しみだ。
 それにしてもこの話、結構人がグサグサ殺される。こちらも事情ありとはいえ、グサグサ殺す。武士の話ってこうも血生臭いもんだろうか。
別窓 | [さ行の作家]佐伯 泰英 | コメント:0 | トラックバック:0 |
『心霊探偵八雲2 魂をつなぐもの』  神永 学
2007-11-16 Fri 23:46
心霊探偵八雲〈2〉魂をつなぐもの心霊探偵八雲〈2〉魂をつなぐもの
神永 学

文芸社 2005-02
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 生まれ持った赤い左眼で霊を見ることができる斉藤八雲のシリーズ2巻目。友達の友達から心霊相談を受けた晴香だけど、以前八雲と別れる際に「今度来る時はトラブルは持ち込まない」と宣言していた。そのため相談することをためらい、まずは自分で調べることにする。一方、女子中学生連続殺人事件の捜査班から外された後藤は、署長の娘に取り付いた悪霊を除霊するよう命令される。後藤のファンだという石井を部下に付けられ、八雲を訪ねた。
 1巻は短編集だったけど、今回はまるっと一冊使った長編になった。それでもマンガっぽいというかラノベっぽいところは変わらず。ホラーミステリーで怨念とか未練とかが絡むわりには重苦しさも少なくて、こういう軽い本って私は結構好きだ。今回の事件の顛末は物悲しくはあったけど、そう濃厚すぎることもなくていい。
 さて、1巻でちらっと存在だけ出てきて、2巻ではもうちょっと色濃く出てきた八雲の父親。一体何者なんだろうかと、ちょっと気になってる。彼が今後どれくらい非人間っぷりを発揮してくれるかが楽しみだ。八雲と晴香の関係は、大体セオリー通りで間違いないと思うからどうでもいい。今回のラストとか、まさに。
 ところで八雲って今流行りのツンデレってやつか。いや、ツンデレって言葉を最近覚えたんで使ってみたかっただけなんだけど。
別窓 | [か行の作家]神永 学 | コメント:0 | トラックバック:0 |
『犯人に告ぐ』  雫井 脩介
2007-11-14 Wed 00:14
犯人に告ぐ犯人に告ぐ
雫井 脩介

双葉社 2004-07
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 神奈川県警の警視・巻島が手掛けた誘拐事件は、犯人を逃がした挙句に被害者の子供が殺害されるという最悪の終結を迎えた。さらにマスコミの前でキレて暴言を吐いてしまい、閑職に回される。
 その6年後に起こった幼児連続殺人事件が難航し、マスコミを利用して犯人を誘き出そうという「劇場型捜査」が考えられた。呼び出された巻島は、その中心に据えられる。テレビを通して犯人に呼びかける巻島は犯人から手紙を受け取ることに成功しつつも、陰では上司の植草が外部に情報を漏らしていた。
 捜査が難航すると、視聴者、他局のニュース番組、警察内部、被害者の家族など様々な方面からの軋轢を受ける。しかしここぞという時には思い切った行動が取れる巻島と、ごく僅かな味方達。この強さが、すごく魅力的。特に巻島の支えとなる津田長が印象的だ。
 リアルな警察組織の描写ができるのって横山秀夫さんが頂点だと思ってた。でもこの雫井脩介さんもなかなか凄い。もちろん一般人の私には真実かどうかはわからないんだけど、リアルだなぁと思わされる。
 でも最後に犯人を追いつめるシーンはいまいちだったかな。テレビに向かって「犯人に告ぐ」と言うんじゃなくて、犯人の通称で呼びかけたのにはがっかり。そこはタイトル通りで言ってほしかった。しかも「ベージュかカーキか」とか、大々的な捜査のわりにパンチの弱い手掛かりしかないとか。犯人確定のシーンもさらっとしすぎ。最後まで読み手は犯人像を掴ませてもらえず、巻島中心の話で終始したのが残念だった。
別窓 | [さ行の作家]さ行その他の作家 | コメント:0 | トラックバック:0 |
『信長の棺』  加藤 廣
2007-11-10 Sat 08:21
信長の棺信長の棺
加藤 廣

日本経済新聞社 2005-05-25
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 織田信長の祐筆だった太田牛一の目線で、本能寺の変の黒幕は誰なのか、信長の死体はどこに行ったのかという日本史最大の謎に迫る歴史小説。戦国時代を描く小説は初めて読んだけど、やっぱカタイなぁ。漢字が多い。読めないことはないんだけど普段は使わない字面がごろごろで、慣れてないから読むのが遅い。でも太田牛一は庶民っぽい人だったから、構えていたほどの読みづらさはなかった。いや、信長の祐筆が庶民なわけないんだけど、そういう書かれ方をされていた。

 信長を一番近いところで見てきて敬愛して、止まない太田。信長の生涯を後世に残したいと思い、『信長公記』の執筆を決意する。その執筆活動に多くのページが割かれてちょっと退屈だったけど、彼の記憶の中にちらほら出てくる信長はやっぱでっかい。
 しかし忍びの女性との恋の部分はキモイな。70過ぎの老人が若い女性に惚れられてガツガツと・・・。中高年男性の願望としか思えない。しかも最後に女性は身ごもるとか、何だその生涯現役っぷりは。そのことを90歳過ぎた彼女の祖父に報告して言われた言葉が「でかした!」とか、オイオイオイオイ。でも、こういうとこも中高年にウケた一因なんだろうな。小泉元首相が愛読し、色んな人に勧めたってのは有名な話。確かに面白いんだけど、この老人エロスの部分は女が読んで面白いもんではない。 
 そこを超えて出会った人物が本能寺の変の真相を知る人。突然出てきて真相をペラペラ話すというサスペンスドラマのような種明かし法は残念だけど、この小説での黒幕には驚いた。でも同時に、あれだけ偉大な人を陥れるんならやっぱこの人しかいないと思わされてしまった。この著者の思う壺。
 しかしこれはあくまでフィクション。信長の死体、一体どこに行ったんだろうなぁと改めて思う。私がもう少し戦国時代に詳しかったら、この本を何倍も楽しめたと思うと残念だ。

 続編として『秀吉の枷』『明智左馬助の恋』が出てるみたいだけど、続き読むのだるいな。機会があって気が向いたら読もう。
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「居眠り磐音」シリーズ  佐伯 泰英
2007-11-10 Sat 00:53
『朔風ノ岸―居眠り磐音江戸双紙8』
『狐火ノ杜―居眠り磐音江戸双紙7』
『雨降ノ山―居眠り磐音江戸双紙6』
『龍天ノ門―居眠り磐音江戸双紙5』
『雪華ノ里―居眠り磐音江戸双紙4』
『花芒ノ海―居眠り磐音江戸双紙3』
『寒雷ノ坂―居眠り磐音江戸双紙2』
『陽炎ノ辻―居眠り磐音江戸双紙1』
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『陽炎ノ辻-居眠り磐音江戸双紙』  佐伯 泰英
2007-11-10 Sat 00:51
陽炎ノ辻―居眠り磐音 江戸双紙 (双葉文庫)陽炎ノ辻―居眠り磐音 江戸双紙 (双葉文庫)
佐伯 泰英

双葉社 2002-04
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 坂崎磐音、小林琴平、河出慎之輔の3人は江戸での勤務を終えて、故郷の豊後藩関前に帰る。老中の嫡男である磐音は、琴平、慎之輔と共に江戸で学んだことを活かして藩の財政を立て直そうとしていた。しかし帰るなり耳にした噂話が元で3人は互いに剣を交えることになる。生き残った磐音は藩を出て再び江戸に行った。
 濃い始まり方をするこの話だけど、この本のメインは磐音の江戸での生活。浪人になった磐音は長屋暮らしの貧乏生活をしていたけど、差配さんの紹介で両替商・今津屋の用心棒の職に就いた。そこで幕府の政策を揺るがす陰謀に巻き込まれる。


 うーん、面白い。時代小説ってそれほど好きじゃないんだけど、これは浅すぎず深すぎずちょうどいい加減。冒頭で結構な修羅場に巻き込まれて心に傷を負いつつも、穏やかな磐音の性格がいい。それでいて剣術が強いというのがまたいい。陽だまりで居眠りする猫のようにつかみどろこがなく、どんな豪剣も真綿にくるむように受け流すという独特な剣術。これで用心棒としての信頼を得、人間的にも信頼されて、騒動の中にどんどん放り込まれて行く。
 磐音の周りの人達も多彩で、読んでいて楽しい。差配の金兵衛、その娘で今津屋で女中やってるおこん、鰻取りで家計を助けている少年・幸吉、今津屋の主人・幸左衛門、老分番頭の由蔵、用心棒業で知り合った御家人の品川柳次郎、鰻屋の鉄五郎など。これ読んでたら、江戸っ子ってやっぱ魅力あるなぁと思ってしまう。
 陰謀を打ち破るところなんかは読んでて楽しかったし、事件が一件落着した時の由蔵のシビアさが意外とうけた。何かこの著者の喜怒哀楽を持っていかれた感じ。

 
 2巻以降、どう続くんだろうか。22巻まで出てるのは把握してるけど、この調子でずっと続くとダルいな。佐伯さんを信じて、もうちょっと読んでみよう。
別窓 | [さ行の作家]佐伯 泰英 | コメント:0 | トラックバック:0 |
『一億円もらったら』  赤川 次郎
2007-11-06 Tue 00:14
一億円もらったら (新潮文庫)一億円もらったら (新潮文庫)
赤川 次郎

新潮社 2000-01
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 大富豪の宮島とその秘書・田ノ倉は持て余す金を見ず知らずの人に進呈し、相手の人生がどうなるのかを観察していた。彼の観察対象になった人々を描く5編の短編集。


「一億円もらったら」
 サラリーマンの武井は、毎朝挨拶を交わす女性からお金を貸して欲しいと頼まれる。八田というその女性は、父親が会社の金を横領したために社長から愛人関係を要求されているらしい。何もできないまま彼女と別れたが、そんな武井に突然一億円をやるという男が現れた。
 武井は彼女のためにお金を使おうとするが、混乱した彼女は受け取りを拒否する。武井はそのまま家族のためにお金を使うことにし、彼女の方は愛人を決意したものの父親が自殺未遂をする。
 これって一億円はあんまり関係ない話なんじゃないか?それにしても、赤川次郎らしいオチだったな。1話目にしては面白くなかった。


「故郷は遠くにありて」
 田ノ倉の前に、食事代を払ってくれたら自分を好きにしていいという女性が現れた。訳ありに見えたため、田ノ倉は彼女を1億円進呈者に選ぶ。その女性は1億円で、復讐のためにある町の大きな屋敷を買って町の人達をパーティに招待する。
 この復讐の動機、またかって感じ。赤川次郎はこのネタ使いすぎで、いい加減飽きた。復讐も中途半端で私の方がすっきりしない。この女性はよくこの程度で許したなと思う。


「一、二の三、そして死」
 朝の満員電車で痴漢の罪を着せられた北河は、会社からクビになる寸前、妻とは離婚寸前というところで宮島から一億円を受け取った。翌日北河は、昨日の女性が別の人を痴漢呼ばわりしている所に遭遇した。
 これも結局一億円ってそう関係ないように思える。「一億円もらったら」がテーマなのに、一億円なくても成り立つんじゃないかな。読後、何か物足りない。


「仰げば尊し」
 高校3年生の早苗は、学校の登下校時だけ自分のオリジナル制服を着て楽しんでいた。ある時、その制服をとても気に入ったという妙子と出会う。病気で高校に通えない妙子は早苗と仲良くなって体調が良くなった。制服に憧れを抱き、その制服を着て一緒に卒業式に出たいと言うようにまでなる。しかし妙子が憧れている制服は早苗のオリジナル。今さらネタバレもできず、一人で悩む早苗が今回のターゲット。
 これはまあ、高校生の友情の話だから爽やかだった。こうなるだろうなって思う方向に話が流れ、安心して読めた。


「ミスター・真知子の奮闘」
 キャリアウーマンの妻を持つ平凡な会社員の前沢は、内助の功として妻を支えている。その妻がある有名な経営学者の講演会を企画していたが、仲介者によって企画を別の人物に売られてしまう。
 この話で一億円を受け取るのは夫の前沢なんだけど、やられたことにやり返す力がないはずの人が一億円を使っての反撃。この話のお金の使い道が一番面白かった。


 赤川次郎の本を読むのは本当に久し振り。小中時代はこの人ばっか読んでたのにな・・・。
 この小説の「一億円もらったら、人はどう行動するか」というテーマは面白い。でも、どの話も小さくまとまっていまいちだった。もっと波乱多い話かと思ったんだけど、受け取り手がみんな理性的過ぎてつまらん。
 やっぱ赤川次郎は20年くらい前のピーク以来、惰性で作家やってるだけな気がする。それなのに売れてるという、すごい人でもあるんだけど。
 でもこの本読んで、つい「もし私が一億円・・・」と無駄に考えてしまうのが空しい。
別窓 | [あ行の作家]赤川 次郎 | コメント:0 | トラックバック:0 |
『堪忍箱』  宮部 みゆき
2007-11-02 Fri 00:52
堪忍箱堪忍箱
宮部 みゆき

新人物往来社 1996-10
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 町人を描く時代劇短編集。


「堪忍箱」
 火事で祖父が死に、母が意識不明となった。残されたお駒は決して中身を見てはいけない“堪忍箱”の存在を教えられる。彼女は、2年前に死んだお駒の父親や火事以来ずっと目が覚めない母親はもしかして箱を開けてしまったのではないかと疑うようになった。
 これは何だか物足りなかったな。あやふやなまま終わっていった気がする。


「かどわかし」
 畳屋の箕吉は、料亭の息子・小一郎から自分をかどわかしてくれと頼まれる。断って家まで送っていった箕吉だが、後日小太郎がかどわかされた時に真っ先に疑われてしまった。
 箕吉、小太郎、小太郎の母親のおすえ、3人とも思うところがあり、一生懸命生きてる感じが良かった。


「敵持ち」
 居酒屋の亭主が死に、板前の加助が板場を任せられた。しかし未亡人のお鈴に岡惚れした勇吉という客がお鈴と加助の仲を疑って、加助を脅すようになった。困った加助は同じ長屋に住む浪人の小坂井に用心棒を頼む。依頼初日、小坂井と共に仕事場から帰る途中に二人は人殺しに出くわした。
 事件そのものがあっさり解決したのは良かったけど、小坂井のその後が気になる。小坂井の裏の顔を半端に見せられて終わってった。


「十六夜髑髏」
 火事で家族をなくしたふきは、15歳で米屋に奉公にあがった。その米屋には、十六夜月の光が一筋でも店に差し込んだら旦那が死ぬという祟りがあるという。
 これも何か中途半端だったなぁ。どの怪奇現象もあいまいだし、外に出た旦那がどうなったのかも不明。案外平気で、そのまま笑い話になってたりとかするんだろうか。どうなんだろうか。


「お墓の下まで」
 藤太郎、ゆきの兄妹は、捨て子として市兵衛に引き取られた。15年後に彼らを引き取りにきた母親に、2人は大きく戸惑う。実は2人は捨て子ではなく、母親に「いつか迎えに行くから、それまで捨て子のふりをしていてくれ」と頼まれていた。しかし数年後「やっぱり迎えに来れない」と言われた2人は、自分達は市兵衛の子と思って生きていた。
 ゆきは同じく市兵衛に引き取られた姉のおのぶにだけ真実を話すと、実はおのぶも訳有りの捨て子だったと打ち明けた。
 一方父親の市兵衛も、子供達には言えない秘密があった。今は亡き妻のお滝が赤ん坊を攫い、隠して育てようとした挙句に死なせてしまっていた。
 藤次郎とゆきの実母をきっかけに、家族4人が眠れない一晩を過ごす。
 これは面白かった。最初に出てきた藤次郎とゆきの秘密がどんどん大した事ないように思えてくる。でも、4人は家族なんだよなぁ。4人全員の秘密は読者にしか知らなくて、おのぶと市兵衛はそれこそ墓の中まで持っていくんだろうね。


「謀りごと」
 丸源長屋の差配・黒兵衛が、長屋の浪人・香山の部屋で死んでいた。誰が殺したのかわからないまま住人が集まって話をするが、黒兵衛には色んな面があったことを知ることになる。
 人一人死んで穏やかじゃない話も出てるのに、何となく平和な話だった。


「てんびんばかり」
 幼馴染のお美代が大黒屋に後添いに入った。何となく面白くない物を抱えたままのお吉は、お美代が大黒屋の旦那以外の子供を身篭っていると知る。2人で不幸を切り抜けてきてずっと一緒にいようと約束したのに、さっさと嫁いだお美代。告げ口すれば仕返しになると思いつつ、お吉その考え自体に苦しんでいた。
 お吉の気持ち、何かわかる。お吉はお美代を守ってきたのに、彼女は自分のことだけを考えて嫁いだ。憎いのとは違うけど、どっか引っ掛かりを覚えるんだろうな。でも、お吉も幸せになりそうで良かった。で、お美代のお腹の子は誰の子なんだろう?


「砂村新田」
 父親が目を患って以来不幸が続き、母親が働いても暮らしが厳しいためにお春は通い奉公に出ることになった。ある日、母親のことを知ってそうな口ぶりの男に会う。
 この話が一番好きだな。短い間にお春の成長が見られ、父親も治りそうな気配。家族が支えあって窮地を乗り切ろうとしている感じで、良かった。
別窓 | [ま行の作家]宮部 みゆき | コメント:0 | トラックバック:0 |
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