元司書による読書備忘録ブログ。思ったことは全部書き、何様気取りの感想だったり平気でネタバレしたりします。
スポンサーサイト
-------- -- --:--
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

別窓 | スポンサー広告 |
『かまいたち』  宮部 みゆき
2007-08-31 Fri 01:19
かまいたち (新潮文庫)かまいたち (新潮文庫)
宮部 みゆき

新潮社 1996-09
売り上げランキング : 17487
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

 宮部みゆきの初期の時代小説。表題作+3編の短編集。初期の作品って、やっぱこんなもんか。今の宮部みゆきが凄すぎて、これはちょっと物足りなかった。

「かまいたち」
 医者の娘おようが連続辻斬りを目撃する。番屋に駆け込んだが、同心を連れて現場に行くと死体が無くなっていた。同心達は目撃談を本気にしなかったが、おようはお奉行様の隠密だと言う青年と共に事件を調べようとする話。
 話自体は全体的にオーソドックスで想定内のどんでん返し。そのまますぐ時代劇になりそうなくらいの王道っぷり。大岡越前守忠相が出てきたことが唯一の驚きだったかな。

「師走の客」
 宿を営む夫婦が常連客から金儲けの話を持ちかけられる。しかしそれは、数年がかりの詐欺だった。トリックは微妙だけど、短いからサクッと読めて楽しめた。
 最後のオチが、金が茶色くきらめいて出てくる感じが何とも・・・。いや、ビジュアルはイメージですが。

「迷い鳩」
 岡っ引きの妹のお初が、通りすがりの女性の着物に血が付いてると指摘した。血はお初にしか見えておらず、この件からお初の特殊能力が判明していく。
 この特殊能力で連続殺人事件を解決する話なんだけど、ストーリー自体はそれほど面白くはない。でも、登場人物が楽しかった。南町奉行所の根岸は実在の人物だし、彼が記した「耳袋」も出てきて、その辺の絡みが好き。実在の人物が出てくるフィクションって好きだ。

「騒ぐ刀」
 「迷い鳩」と同シリーズ。お初の兄の六蔵が、夜鳴きする刀を預かる。他の人にはうなり声にしか聞こえなかった声が、お初には言葉として聞こえていた。
 同じ時分、凶器不明の一家惨殺事件が相次いでいた。フィクションの常として、当然ながら二つの事件は繋がっていく。
 「迷い鳩」よりオカルトテイストが強い。ラストの憑依シーンとかいまいちだったのに、読み終わったら何か怖かった。何でだろう。

 全体的に、今の宮部みゆきならもっと面白く書いてくれそうな気がしてならない。何も考えないで読めたら面白いだろうけど、今の宮部みゆきがビッグすぎて変に期待してしまった。ネームバリューの先入観で娯楽を奪われたことが残念。
スポンサーサイト
別窓 | [ま行の作家]宮部 みゆき | コメント:1 | トラックバック:1 |
『QED 竹取伝説』  高田 崇史
2007-08-21 Tue 01:08
QED 竹取伝説 (講談社ノベルス)QED 竹取伝説 (講談社ノベルス)
高田 崇史

講談社 2003-01
売り上げランキング : 267101
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

 いつも通り奈々、崇、小松崎がどんどん酒を飲みながら事件の話をするのがベース。崇が一見関係ない民俗学を話し出し、奈々がひたすら感心する。小松崎が「話がそれてる」と怒りながらも聞くが、最終的には全く無関係ではなかったという展開もいつも通り。
 今回の事件は、奈々が勤める薬局の上司が死体を発見したことから始まった。調べてみると、死体はその村に伝わる不気味な子守唄と同じ状態だったという。『悪魔の手毬歌』のパクリじゃん!とか言ってはいけないようだ。
 崇は『竹取物語』に隠された真実と「かぐや姫」の正体、作者にも迫るところは見所。私は一応国文科出身なんで、ネタの古代文学を多少興味深く読んだ。相変わらずこの著者、勉強熱心というか研究家というか、関連本を読み込んでる。
 崇の話す民俗学に必ず出てくる「鬼」の正体、被差別人種、現代に伝わる習慣の由来などは結構面白い。ただ、崇の話長すぎてダルいけど。
 このシリーズは最初の方と比べて、段々と恋愛カラーが出てきたみたいだ。最初は崇と奈々は先輩後輩という感じだったけど、今回は周囲がちょっとずつ2人をくっつけようとしてる気がする。崇も悪からず思ってるみたいな?ちなみに私の崇のイメージはDEATH NOTEのLだ。はい、どうでもいい。
 前回の『式の密室』で「式神」の正体の推察が書いてあって感動したけど、今回はちょっとつまんなかったかな。事件と民俗学が軽く空中分解起こしてる。民俗学に重点を置きすぎて事件の存在感が希薄。構成としては民俗学は伏線なんだけど、長するんでそっちがメインになってる。狙ってるにしても微妙すぎる絡みだ。嘘アレルギーも微妙。推理小説としては相変わらずB級。

これまで読んだQEDシリーズは
「百人一首の呪」
「六歌仙の暗号」
「ベイカー街の問題」
「東照宮の怨」
「式の密室」
「竹取伝説」

だけど、個々の面白さのレベルが全く違うのがある意味すごい。
 次は「龍馬暗殺」だ。

 ところで、崇はオカルト部部長で「崇」という字が「祟る」に似てるからあだ名が「タタル」、小松崎は空手部で熊みたいに体格がいいからあだ名が「熊つ崎」。どんだけ趣味悪いんだろうか。
別窓 | [た行の作家]高田 崇史 | コメント:0 | トラックバック:0 |
『さいはての島へ-ゲド戦記3』  アーシュラ・K.ル・グウィン
2007-08-07 Tue 20:20
さいはての島へ―ゲド戦記 3さいはての島へ―ゲド戦記 3
アーシュラ・K. ル・グウィン

岩波書店 1977-01
売り上げランキング : 213476
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

 またまた主人公が変わる。父親である国王の命令で大賢人ゲドに、世界のあちこちで魔法の力が弱まっていくとい報告をしに来た少年アレンが主人公。ゲドは魔法使いの頂点、大賢人として登場する。
 ゲドとアレンは世の中でどんどん魔法が廃れていく様子を目の当たりにしながら、西の果てで生と死の境の扉を閉めるための旅を続ける。
 1巻では若者が自分と戦うことを、2巻では自由の苦しさと喜びを描いてきたけど、3巻は人間の欲とか快楽の追求というところかな。
 アレンの感情は、旅を続けるにつれて揺れていく。ゲドへの憧憬が不信に変わったり、物騒な輩からゲドを守ろうという決意が絶望を目の当たりにして諦めに変わったり。やっぱり最近の「仲間を信じて!」というファンタジーとは一味違うなぁ。人間の感情の奥深さがしっかりと描かれているものは、ファンタジーではあまり見ない。だから、ご都合主義とか言ってファンタジー嫌いの人多いのかもな。
 『ゲド戦記』は40年近く前から少しずつ出版されているシリーズ。だけど人間の根底まで掘り下げ、そこから汲み上がった物がうまく絡まった物語だと思う。暗いけど。
別窓 | [海外の作家]海外 その他の作家 | コメント:0 | トラックバック:0 |
『バッテリー』  あさの あつこ
2007-08-05 Sun 19:09
 
バッテリー (教育画劇の創作文学)バッテリー (教育画劇の創作文学)
あさの あつこ

教育画劇 1996-12
売り上げランキング : 107766
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

 数年前にベストセラーになった児童向け野球小説。噂には聞いていたけど、なにこれ、すごく面白い。
 主人公の巧は少年野球で脚光を浴びた速球ピッチャー。中学に上がる直前に母親の故郷に引っ越した巧は、力強いキャッチャー豪と出会う。
 また、虚弱な体質ながら鋭い感性を持っている巧の弟の青波が意外な強さを見せ始め、今後どう成長していくのかが楽しみ。
 この著者は、嫌な大人の描き方も上手い。虚弱な青波ばかり構い、巧はどうしても二の次になっている母親。仕事ばかりの父親。子供をポケベルで管理する江藤の母親。豪に野球を止めさせてくれと巧に頼む豪の母親。こういう野球とは関係ない所からの圧力で息苦しさを感じる巧。
 これらの設定を「ありきたり」に感じさせない力強さと繊細さが、この本にはあった。
 しかし改めて人物像を考えてみると、つい先日まで小学生だったとは思えない連中だよなぁ。巧の孤高さとか、豪の懐の広さとか。これくらいの歳の男の子ってもっとアホ全開だと思うんだけど。
 この本、6巻まである。噂では、先輩や先生なんかとの軋轢もあるとか。そういう話って苦手なんだよなぁ。集団に埋没させられそうになったりとか、型にはめられそうになったりとか。でも児童文学だから、借りられさえすればサクサク読めてエンディングまで行けるだろう。頑張って最後まで読みたい。
別窓 | [あ行の作家]あさの あつこ | コメント:0 | トラックバック:0 |
| よむよむ記 |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。