元司書による読書備忘録ブログ。思ったことは全部書き、何様気取りの感想だったり平気でネタバレしたりします。
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『PISS』  室井 佑月
2007-07-31 Tue 15:38
Piss(ピス)Piss(ピス)
室井 佑月

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 我が家は朝のワイドショーは特ダネ派。彼女のコメントのいい加減さは置いといて、ちょっとくらい読んでみようかと思って借りた。
 クレイジーな性を描いた6話の短編集。

 「Piss(ピス)」:好きな男性のために風俗で働く女性の話。1行目からスカトロで、ちょっと引く。最終的には騙されて捨てられるけど、こういうのって騙す方も騙される方も悪い気がする。
 ところでこういうお店って、1回でいくらで自分の取り分はどれくらいなんだろうな。

 「ぎんの雨」:男に捨てられたホステス嬢が若い浮浪者を拾って一緒に暮らす話。病んでるとしか言いようがない。

 「鼈のスープ」:女癖の悪い男と暮らす、女優志望の女性の話。オーディションの辺りの話は、ありがちなんだろうけどやっぱ汚いと思う。

 「竜神家の女」:二十歳の誕生日に死ぬことが決まっている一族の女性の話。身奇麗にし、友達を呼んで一人ひとりの心にしがみつく様に一言残していくのが気持ち悪い。

 「もう二度と会わないが、いつまでもおれはおまえの味方だよ、木村」:ヒモの男が同棲相手を妊娠させ、ゴタゴタする話。これもまあ、汚い話だった。

 「退屈な話」:人気芸能人の男性が、バーで渡された女性をマンションに連れて帰る。最終的には精神を病んでた話なんだけど、これはちょっと面白かったかな。

 全体的にぐちゃぐちゃした男女の話で、読んでて楽しくも面白くもない。ただ、文章は上手いと思った。こういう風にしか生きられない人間の切なさみたいなのが感じられる。そういうとこが評価されてるんだろうか。まだこの本しか読んでないから、よくわかんないけど。
 でも私はこういうのは苦手かな。
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『キノの旅 3』  時雨沢 恵一
2007-07-30 Mon 11:41
キノの旅〈3〉the Beautiful World (電撃文庫)キノの旅〈3〉the Beautiful World (電撃文庫)
時雨沢 恵一

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 『キノの旅』3巻目。相変わらず、時系列順不同でキノとエルメスの旅が続く。

「愛と平和の国」:巻頭口絵を短編に使った1話目。1巻に登場したシズと陸が、ごく低い柵でしか守られていない国に来た話。そこでは戦争があり得ず、攻めてきた他国の軍勢は歌姫の歌で攻撃を止めるという。最終的にはまあ、もちろんわけありなんだけど。

 「城壁のない国」:遊牧民に歓迎されたキノは、いつも通りそこで3日過ごす。その民族は、大人は全員ある薬草の依存症だった。無理やり一族に加えさせられそうになったキノは当然抵抗。
 うーん、この結末は切ないなー。

 「説得力」:キノが師匠に、一人で生きていく術を教えられている頃の話。1巻の最初の方ではキノを少年と思わせるような書き方をされてたけど、キノは少女だ。今回で師匠も女性だったことが判明。キノはかなり早い段階でわかってたけど、師匠までとは。騙されたなぁ。
 これは、キノは盗賊くらいあっという間にやっつけれるくらい強いという話。

 「同じ顔の国」:この国の人間はすべて一組の男女のクローンから作られている。子供が欲しいなら、まずは親になる資格があるかどうかの調査と試験を受けないといけない。それらに合格したら、クローン技術で子供が試験管で作られる。ただし「子供」は自分と全く同じDNAを持ってるわけなんだが。唯一の欠点は、同じDNAだから病原菌に極端に弱いということらしい。
 この本の中ではこの話が一番好きだったな。「親になる資格」がない人間は子供を持つことは許されないというのは極論だけど、安心。まあ、現実にはタブー視されてるんだけど。

 「機械人形の話」:これは「国」じゃなくて、森で道に迷ったキノが立ち寄った家の話。迷っている時に出会った老婆は、自分は家政婦ロボットだと言う。案内された家は、むしろ彼女が面倒を見る家族の方が奇妙だったという話。
 途中でネタはわかるように書いてあったけど、何か悲しい話だな。2巻目ではまだキノの性格がいまいち掴めなかったけど、これを読んで本当にクールなんだとわかった。

 「終わってしまった話」:これもまあ、易い叙述レトリック。この作家、こういう書き方が好きっぽい。
 ある女流作家が昔、盗賊試験でキノと関わった時の話。

 以上6話と、プラス「プロローグ」と「エピローグ」。毎巻「プロローグ」と「エピローグ」があったけど、ここには飛ばして書いてた。
 今のところ3巻とも同じパターンで書いてあるから、一応メモっとこうと思う。3巻ではすでに序章や終章って内容じゃないんだけど。
 「キノの旅」シリーズでは、「プロローグ」と「エピローグ」はつながってて、なおかつ時系列が入れ替わっている。「プロローグ」では意味がわからず、「エピローグ」→「プロローグ」と読んでひとつの話として辻褄が合う。
 1巻ではキノとエルメスが、キノが旅を続ける理由について会話しているシーン。
 2巻では、砂漠の真ん中で行き倒れそうになった時に雨が降る話。
 3巻では知識不足で毒草を食べてしまい、死んでしまった人達をキノが見つける話。
 2巻以降、序章や終章じゃなくて普通にストーリーだな。巻頭口絵まで物語に使ってるところといい、この作者は1冊の本に話を詰め込みたいタイプなんだろうか。
 2巻はあまり面白くなかったけど、3巻はそこそこ面白かった。でも淡々と旅が続くのには何だか飽きてきた気もする。
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映画『暗いところで待ち合わせ』 レンタルしました
2007-07-29 Sun 22:45
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 『きみにしか聞こえない』の映画化がとっても良かったから、『暗いところで待ち合わせ』もレンタルしてみた。
 良かったのは、原作に近くて変な改変がなかった点と、主人公ミチル役の田中麗奈の演技力の素晴らしさ。全盲に近いくらい全く見えてないけど一人暮らしは営めてる、という設定をとても自然に演じている。しかも目を開いて演技してんの。目は開いてるけど見えてないという状況が赤ちゃんみたいな無垢さも醸し出してて、見入ってしまった。もちろん、田中麗奈の容姿の美しさありきだけどね。あと、トシオ役の佐藤浩市がアキヒロをいじめるシーンが、本当に怖くて震え上がった。
 仕方ないけど嫌だった点は、アキヒロを外国人が演じたこと。台湾人らしいんだけど、会社でいじめられているシーンがどうしても人種差別問題提起に見えてしまう。そうすると、乙一の持ち味である「ほんの少し周囲に合わせるのが下手な人」が自分の世界を孤独に生きてる様子が霧散してしまう。でも映像では、きっとその孤独感は出せないよなぁ。
 悪くないんだけど、こんなもんかーってとこ。『きみにしか聞こえない』のラストが悲しくも晴れやかで大感動だったけど、この映画は穏やかに優し~く終わっていくから、映像だとちょっと物足りなかったかなぁ。活字だと優しい気持ちで読み終われたんだけどね。映画とかドラマとか苦手だから、ちょっと揺さぶり弱いと我に返っちゃって駄目だね。
別窓 | [あ行の作家]乙一 | コメント:0 | トラックバック:0 |
『南京事件「証拠写真」を検証する』  東中野 修道  小林 進  福永 慎次郎
2007-07-27 Fri 14:02
南京事件「証拠写真」を検証する南京事件「証拠写真」を検証する
東中野 修道

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 南京大虐殺が捏造だという説も結構有力だって知ってる人はどれくらいいるんだろうか。私が知ったのは数年前で、その時は少数派の意見だと思ってた。でも結構有名な説だったみたい。ちなみに、前の職場の人達はこの本を見計らいで見て「え?何言ってんの?」みたいな感じだったから、女性が普通に生きてて耳にする説ではないっぽいんだけど。
 この本では写真に着目し、証拠写真3万枚の中から百何十枚かの合成やらヤラセを検証している。ひたすら淡々と、写真の不自然な箇所を指摘していく本。
 普通の写真のみで事実かどうかを論じる“史料”にはならないらしいけど、一般人の目にまず入ってくるのは写真。センセーショナルな写真も多い南京大虐殺だから決定的な物ではないけど、一般人に訴えるにはわかりやすい。
 ただ、有名な捏造写真も結構な数で載せていて、それをまるで自分らが検証して発見したかのような書き方をするのはどうかと思う。
 結局この本が示してるのは、こういう嘘写真もあるよって程度。嘘が証明できない写真は取り上げていない。また、「○○とは考えにくい」というような論拠に乏しい表現も多い。
 全体として、言いたいことはわかるけど説得力に欠ける本だと思う。でも、有名な捏造写真を全く知らないで読んでたら驚いたのかもしれない。
 この本ではさらっとしか取り上げてなかったけど、私が知ってる捏造説の根拠はそれなりに説得力はあると思う。30万人虐殺されたと言うわりには事件前後の人口がとか、滞在していた諸外国の記者がどーのとか、プロパガンダがこーのとか、何とかかんとか色々な根拠が挙げられている。だからってなかったと断言もできないし、まあどちらかというとどっちでもいい。ただ、チベットに凄まじい民族浄化活動やってる中国が色々言うなというのが私の認識。
 アマゾンで見たら、結構高評価なのに驚いた。こういう本って叩かれるのがセオリーだと思ってたんだけど。もちろん、被害者がいるのに捏造だとは何事だ!みたいなのもあったけど。

 この手の説ではよく、GHQの洗脳のせいで日本の戦争教育が自虐的過ぎるとか言われてる。そこで、私自身の戦争教育を思い出してみた。
 私の出身は長崎で、最近知ったんだけど戦争教育が他県より力はいってるようだ。南京大虐殺と聞いて思い出すのは高校時代。日本史の先生がサドだったんで、「受け持ってる全クラスに南京大虐殺のビデオを見せる。時間は全クラス、4時間目(昼食の前の授業)に見せる」と言っていた。私は当時からホラーは苦手なのにグロは平気だったから、普通に見てた。でも思わず俯いた女子が先生に怒られたりしてたし、多くの女子がハンカチを口に当ててたなぁ。
 中学の時の社会の先生は、わりと偏りなく教えてくれたと思う。日本がどう他の先進国から追い詰められたかとか、占領か戦争かの風潮とか。この下地があったから、高校での戦争教育は平気だったのかも。
 小学校の時は、手記を読まされた。被害者側の男性の物と女性の物。男性の方はまさに虐待。女性の方は暴行。今思うと、男性側はあそこまでされてよく殺されなかったなと思うし、女性の手記はまるでポルノ小説。小学校高学年に読ませるには問題がある手記だったんじゃないだろうか。
 教育ってやっぱ、先生の好みなんだな。
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「沙門空海唐の国にて鬼と宴す」全4巻  夢枕 獏
2007-07-23 Mon 23:46
『沙門空海唐の国にて鬼と宴す 巻ノ二』
『沙門空海唐の国にて鬼と宴す 巻ノ三』
『沙門空海唐の国にて鬼と宴す 巻ノ四』


『沙門空海唐の国にて鬼と宴す 巻ノ一』
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『沙門空海唐の国にて鬼と宴す 巻ノ2』『〃 巻ノ3』『〃 巻ノ4』 夢枕 獏
2007-07-23 Mon 13:47
沙門空海唐の国にて鬼と宴す 巻ノ2沙門空海唐の国にて鬼と宴す 巻ノ2
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沙門空海唐の国にて鬼と宴す 巻之三沙門空海唐の国にて鬼と宴す 巻之三
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沙門空海唐の国にて鬼と宴す 巻之四沙門空海唐の国にて鬼と宴す 巻之四
夢枕 獏

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 密教を学ぶために遣唐使として唐に渡った空海が、ちょうど唐で起こっている呪術事件に巻き込まれる話。全4巻。
 濃かった・・・。すんごい濃い内容だった・・・。わりと面白かったんで1冊あたり5センチほどの厚さにもめげずに読んだけど、人間関係は複雑な上に国籍がバラバラ。読み進めれば進めるほど色んな人が出てきて、途中から人間関係を理解できないなんて気にしないことにした。実際あの時代の唐は人種の坩堝だったんだから、こういう複雑さもリアルといえばリアル。
 ある唐人の家に不思議な猫が住み着く所から始まったこの話。夢枕獏が得意とする「呪」(「しゅ」と読むらしい。多分呪術とかそういう意味)の事件が織り込まれ、ちょっとしたオカルトテイスト。
 空海はその天才ぶりから唐でも有名になり、その事件の核心に徐々に近付いていく。空海が遣唐した年の60年前に起こった安史の乱の関係者も絡み、人間関係がさらに複雑化。色々詰め込みすぎてる気はするけど、分裂することなくまとまってるのはさすがだった。
 でもこの作者の作るキャラ、主人公以外に魅力を感じないんだけど。主人公の空海と準主人公の橘逸勢は、安倍晴明と源博雅そのまんま。最終的には博雅よりマヌケだったくらいで、段々かわいそうになってくるくらいだった。遣唐使なんて並みの天才じゃ行けないだろうに、こういう形でしか主人公を引き立たせないと表現できないのはちょっと興醒めかな。
 でも、安史の乱やその後楊貴妃が阿倍仲麻呂に連れられて日本に渡ったという伝説、空海が不空三蔵の生まれ変わりと言われるほどの天才ぶり、白居易や白楽天という有名詩人と彼らが作った詩などというフィクションだけじゃない部分が絡んでいて、やっぱ面白い。

 余談だけど、昔は白文だけである程度読めていた漢詩を全く読めなくなっていた事に軽いショックを覚えた。それどころか、書き下し文さえ理解できない始末。どんどんアホに磨きがかかるなぁ。
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『キノの旅 2』  時雨沢 恵一
2007-07-22 Sun 02:03
キノの旅〈2〉the Beautiful World (電撃文庫)キノの旅〈2〉the Beautiful World (電撃文庫)
時雨沢 恵一

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 『キノの旅』2巻目。キノという10代の子がひとつの国に3日滞在すると決めて色んな国を巡る旅をする短編集。今回は1巻目ほど斬新さを感じることはできず、ちょっと劣ったような印象。

 「狙撃兵の話」:巻頭のカラーページを短編小説に使ってあって、なかなか自由度が高い。女性に銃を突きつけられた狙撃兵が命乞いをする話。
 まとめると1~2ページくらいの短い話で、意味不明なまま終わった。先の巻に利いてくるらしいけど。

 「人を喰った話」:キノが大雪の中で遭難した男3人は、実は奴隷のバイヤーだったという話。
 
 「過保護」:子供を志願兵にしようとしている両親が、見解の相違で口論していた。通りすがりのキノが意見を求められ、「子供の意見は?」と聞く。
 何だったのか、この話は。親のエゴとか、そういう感じ?
 
 「魔法使いの国」:その国の1人の女性が飛行機を発明した。理論的には飛べるはずだけど、他の国民は誰も信じない。キノが協力して、飛行機を飛ばす実験をすることになった。

 「自由報道の国」:モトラドを触ろうとした男が、その持ち主である旅人に撃たれた。その事件が各メディアで論議を呼ぶ。

 「絵の話」:ある画家が描く戦車の絵が大人気になっている国。人々はその絵から反戦のメッセージを受け取り、感動していたが・・・。

 「帰郷」:国を飛び出したある男が5年振りに帰郷し、水浴びをしていた幼馴染にいたずらを仕掛けようとする話。

 「本の国」:たくさんの図書館と本屋がある国。国民すべてが熱心な読書家で、図書館はその国に滞在している旅人にも本を貸してくれる。
 佐賀市立図書館って確か旅行者にも本貸してたような・・・。ちゃんと返って来てるんだろうか?そんな雑念と共に読んだ。

 「優しい国」:旅人達から評判の悪い国に立ち寄ったキノ。しかし評判とは逆に、その国の人々はとても親切だった。
 かつて旅人に冷たかった国がなぜこれほど優しい国になったのかは、最後にわかる。「愛国心」って言うには土地に執着しすぎてる気がするし、このこだわりは何だったんだろうか。

 「続・絵の話」:「絵の話」の後日談。戦車の絵にあれほどお金を掛けていた国民が、ふと我に返る。たかが絵に大枚を叩いていたことに腹を立て、その絵をどんどん燃やしていく話。

 以上、10話。これだけを1冊の文庫本にまとめてるんだから、1話がどうしても薄い。短い話すべてを深く作れるのって、やっぱ星新一レベルじゃないと厳しいんだろうか。
 1巻はまだ面白いと思える話があったんだけど、2巻はすべてがシビアでラノベらしくない。かといって味わい深い短編集ってほどじゃなくて、どう楽しめばいいのかいまいち掴めなかった。私はこの巻はあまり好きじゃない。
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『対話篇』  金城 一紀
2007-07-19 Thu 21:08
対話篇
対話篇金城 一紀

おすすめ平均
stars読書が苦手な人にもオススメできる本

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 「対話」を通して過去の恋愛を振り返る3つの話。


 「恋愛小説」:それほど親しくない大学の知り合いが語る、恋愛とその末路の末路。彼は仲良くなった人が必ず事故や病気で他界するため、他人と関わることを極端に避けて生きていた。西尾維新の「戯言使い」シリーズ、いーちゃんみたいな人だな・・・。
 「永遠の円環」:病気のために余命短い主人公が、自分が恋していた先輩を自殺に追い込んだ教授に復讐をしたいと願う。暗殺計画をある人物に依頼する話。最後の方が突飛で、これはあんまり好きじゃなかった。
 「花」:手術の成功率が低い病気に冒された主人公が、知り合いを通してある老弁護士から九州までのドライブ同行を依頼される。その老弁護士は別れた妻の遺品を取りに行かなければならないが、彼女の顔を全く思い出せないと言う。


 「花」が一番完成度高い話で、面白かった。主人公との会話で徐々に妻の顔を思い出していき、最後には主人公に「この世界は素晴らしい」と自然に言わせることができる。いい話だと思う。
 全話、誰かに自分の過去の恋愛を話すことが基本スタイル。全体的に穏やかできれいな話だけど、やっぱ私はもっとドロドロした話が好きだな。
 少し前に読んだ「ゾンビーズ」シリーズ3巻目の『SPEED』とつながった話らしいんで読んでみた本。元気が出る「ゾンビーズ」シリーズと全く違い、しっとりした話を集めてある。この著者こんなのも書けるんだね。著者知らないで読んだら、同じ作家とは思えない。
 『SPEED』とはつながってると言うか、同名の登場人物が出てるという程度。話の雰囲気が全く違うから、別物と思いたい。ていうかこんな小細工ない方が楽しめると思うんだけど、何で著者はこういう方法取ったんだろうか。
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『キノの旅-The beautiful world』  時雨沢 恵一
2007-07-12 Thu 00:08
キノの旅―The beautiful world (電撃文庫 (0461))キノの旅―The beautiful world (電撃文庫 (0461))
時雨沢 恵一

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 ラノベにしては斬新な書き方だと思う。キノという10代の子がひとつの国に3日いると決めて色んな国を巡る旅をする短編集。普通のファンタジーみたいに主人公が変な能力持ってたり不思議現象に巻き込まれたりとかはないんだけど、それぞれの国が独自の価値観や文化を持っている。

 「人の痛みがわかる国」:人の心が読める薬を開発して全員が飲んでしまったために、全員が極度の人間嫌いになってしまった国。

 「多数決の国」:独裁者に懲りた国民は、すべてを多数決で決めることにして、反勢力をどんどん死刑にした結果、国民はたった一人になった国。

 「レールの上の三人の男」:旅の途中、列車のレールの上で会った男達の話。

 「コロシアム」:評判がいい国と聞いて訪れると、強制的にトーナメントバトルに参加させられる国。

 「大人の国」:12歳になると大人になる手術を受けさせられる国。

 「平和な国」:戦争が絶えなかった二国間で、制限時間内に別の国の人々をどれだけ多く殺せるかで勝敗を決めることにし、自国からの犠牲者をゼロにした二つの国。

 これだけ収録。なかなかブラックな国もあるけど、主人公はどこに行っても客観的で淡々としていて余計な口出しはしない。そのせいかラノベにしては盛り上がりを抑えてあり、一般書にしてはもう少し深みが欲しいという微妙な感じ。そこが売りなんだろうか。
 このシリーズは結構人気で、既に10巻まで出てる。私も絶賛するほどではないけどそれなりに面白かったと思ってる。でも今後ずっとこの調子の短編が続くんなら、そのうち飽きそうだな。
 面白かったと書きつつどうしても馴染めなかった設定が、物語内で勝手に用語を作ってること。バイクは「バイク」ではなく「モトラド」と呼ぶ。銃も「銃」じゃなくて「パースエイダー」らしい。そして注釈を付ける。「モトラド(注:二輪車。空を飛ばないものだけを指す)」と「パースエイダー(注・パースエイダーは銃器。この場合は拳銃。)」といちいち各話、その用語が最初に出た時に必ずこの括弧書きが入るのがうざい。わざわざ名前を変える意図がわからない。
 とりあえず、2巻以降も読んでみようかとは思ってる。
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『薔薇の鬼ごっこ』  末永 直海
2007-07-10 Tue 00:58
薔薇の鬼ごっこ薔薇の鬼ごっこ
末永 直海

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 この作家のデビュー作であり、自分の体験を描いたノンフィクション。キャバ嬢時代の人気至上主義主義の中で、体の関係を持たないままでいかにお客に何度も通わせるかを、「届きそうと思わせて届かせてはいけない鬼ごっこ」に例えて描く。第三回蓮如賞を受賞。
 この人、小林よしのりのかつての秘書。『ゴーマニズム宣言』で「ピャーポ」として登場してくる女性だ。私は「新」の方から読み始めてて、「新」では秘書変わってるからこの人はあんまり知らないんだけど。
 この小説の宣伝っぽいのが『新・ゴーマニズム宣言』の中で何度も出てから、図書館で見かけてサクッと読んでみた。全く期待してなかったけど、結構良かったと思う。内容は薄いのに、妙に表現力があって読んでしまう。フィクション小説の方も読んでみようかなって気にさせられた。
 あとがきが小林よしのりだったことにちょっとビビる。彼は人間そのものが異色だから、何も知らないで読んだ人は引くんじゃないかな。気にしすぎかな?でも、さすがに上手い書き方してあった。
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『沙門空海唐の国にて鬼と宴す 巻ノ一』  夢枕 獏
2007-07-07 Sat 12:38
沙門空海唐の国にて鬼と宴す 巻ノ1沙門空海唐の国にて鬼と宴す 巻ノ1
夢枕 獏

徳間書店 2004-07-21
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 空海が密教を学ぶために唐に行った時の話に不思議事件を絡めてフィクションにしたもの。空海が遣唐使として行った唐では、呪詛が絡んだ不思議な事件が起こっていた。空海は着いて早々に天才っぷりを発揮していたが、次第に一連の事件に巻き込まれていく。
 空海にくっついて歩いていたのは、一緒に遣唐した橘逸勢。「空海、空海」とついて回るけど、天才の空海に比べると橘逸勢は秀才レベル。空海と橘逸勢の関係があの「陰陽師」シリーズと全く同じで、一方をちょっとマヌケに書くことでもう一方の天才っぷりを際立たせるこの手法にはちょっとうんざり。
 キャラはつまらなかったけど、話自体は面白かった。歴史上の人物がボコボコ出てきて楽しい。空海・橘逸勢はもちろん、玄宗皇帝とか楊貴妃とか、李白とか阿倍仲麻呂とか白居易とか。
 ただ中国人は本名とは別に字があって、これがまた覚えにくい。李白と白居易を何度間違えたことか。また、当時の唐の事情から、色んな国の人が出てきてややこしい。人間関係も結構複雑だし、誰が誰だかわからなくなってきて途中からフィーリングで読んでた。
 「陰陽師」シリーズは一話完結の短編集だったんでこの本もそうだと思ってたんだけど、これは1冊が500ページ(厚さ5cmくらい)近くあるのに続き物。全4巻だったと思うけど、ちとダルいな。
 空海が遣唐した年の60年前に起こった安史の乱が絡んでくるっぽくて、面白そうだとは思うから続きは読みたい。楊貴妃はあまり好きじゃないけど、案史の乱の裏話みたいなストーリー展開になりそうで楽しみにしてる。
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