元司書による読書備忘録ブログ。思ったことは全部書き、何様気取りの感想だったり平気でネタバレしたりします。
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『獣の奏者Ⅰ 闘蛇編』  上橋 菜穂子
2007-06-27 Wed 21:01
獣の奏者 I 闘蛇編獣の奏者 I 闘蛇編
上橋 菜穂子

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 前の職場の児童担当者が褒めてた児童ファンタジー。有名な児童ファンタジー作家でもあるし、読んでみた。これがかなり面白い。かなり力強いファンタジーだと思う。
 主人公はエリンという少女。国で大切にされている闘蛇という戦闘用の獣が死に、その世話係だったエリンの母親が処刑されてしまう。母親を助けようとして失敗したエリンは蜂飼いのジョウンに助けられ、彼と一緒に暮らす事になった。ジョウンから学問を吸収し、エリンは王獣の医術師になる決意をする。
 話が面白いのはもちろん、構成に無駄がない。すべてが後に活きるような構成。こういう書き方をする作家さんは好きだ。さらに主人公の感情がとても生き生きと描かれてて、感情移入しやすいし。エリンの強さも弱さもしっかりと描かれてて、いい意味で生々しい。
 2巻はまだ図書館で予約中。そろそろ借りれると思うんだけど、まだ電話が来ない。早く読みたい。「守り人シリーズ」はずっと読んでみたいと思いつつ手を付けてないけど、ますます読みたくなった。
 こういう力作読むと、ラノベファンタジーが本当にマンガとしか思えなくなってくる。
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別窓 | [あ行の作家]あ行その他の作家 | コメント:0 | トラックバック:0 |
映画『きみにしか聞こえない』を観てきました
2007-06-26 Tue 13:07
 『Calling you』の映画化。基本的には原作に沿ったストーリーだったけど、漫画版で追加されたシンヤ難聴の設定が映画にも組み込まれてた。その改変で、シンヤが他人と話せる喜びに共感して感動する反面、孤独感がリョウとは別物になってしまって作品内の2人の共鳴が浅くなってしまった気がする。私は乙一の描く孤独感と、それが柔らかく満たされるのが好きだから、障害を持ち出すとちょっと違う。でもシンヤが普通の人だったら、もっとぼんやりした話になっただろうしなぁ。
 気になったのはそこだけで、あとは視覚化のいいとこが満載だった。最後にリョウが海で叫んで、ドリカムの歌が流れだすとこであちこちからすすり泣きの声が聞こえてきた。私も危なかったけど、一人で泣いてその後のフォローがどうしようもないからグッと我慢。でもあのラストを思い出す度に、目頭どころか目全体が熱くなる。

 乙一の小説の映画化、『ZOO』を電車で2時間近く掛かる政令指定都市まで観に行ったなぁ。今は政令指定都市に住んでるから、休みの日に楽々観に行ける。配偶者に感謝です。
別窓 | [あ行の作家]乙一 | コメント:0 | トラックバック:0 |
『オーデュボンの祈り』  伊坂 幸太郎
2007-06-17 Sun 22:36
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伊坂 幸太郎

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 よく聞くタイトルだったから読んでみたけど、伊坂幸太郎のデビュー作だった。有名な人のデビュー作って好きだ。
 コンビニ強盗に失敗した主人公の伊藤は、逃走途中で意識を失う。気付いた場所は、江戸時代末期の開国以降も外部との交流を断った孤島。そこには人語を話し、未来を見通せるカカシの優午が島民達に崇拝されていた。
 本島とそう変わらないながらも所々に独自の文化を持つ島は、不思議な人がたくさん存在する。島でただ一人だけ外界と行き来する男、反対のことしか言わない画家、断罪人のガンマン、体重数百キロの女性などと、個性豊かで面白い。
 伊藤が来た直後、人々が崇拝していたカカシの優午が何者かに殺される。形としては「壊された」になるんだろうけど、人語を話し未来を読むカカシだから「殺された」になるようだ。未来を読むのになぜ自分が殺されることを予知できなかったのか、予知できたのに防げない理由があったのか、伊藤は事件の真相を探ることになる。
 こういう不思議ワールドはわりと好きだ。妙に直喩が多い文章が気になったけど、それを以上に面白い。前に読んだ『アヒルと鴨のコインロッカー』よりこっちが好きだと思う。
 でも、城山って結局何だったのかなぁ。壊れた人間としてずっと書かれてたわりには過去の話ばっかで伊藤と絡むことなくあっさり最期を迎えるし。いまいちストーリーの中に絡んでないような。とはいえ私は意外とこういうキャラ好きだったりするけど。いや、もうちょっとエグい人でも好き。だからこそ、上手く絡めて読めなかったのが残念。私の読解力不足か?
 この作家さんの本、機会があったらまた他の作品も読んでみたいかな。 
別窓 | [あ行の作家]伊坂 幸太郎 | コメント:0 | トラックバック:0 |
『町長選挙』  奥田 英朗
2007-06-15 Fri 11:50
町長選挙町長選挙
奥田 英朗

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 アホ精神科医・伊良部教授シリーズ3冊目。シリーズ物も3冊も出ると内容がワンパターンになってきてるんじゃないかと思いつつ読んだけど、新しい趣向がしてあって面白かった。
 短編4話中3話が、実在の有名人をモデルにしている。モデルって言うかパロディかな。名前や会社名なんかを実にわざとらしく変えて、行動・言動はそのまんま。ただ、その人物が精神を患って伊良部のいる病院に行くという点がこの小説の中の“フィクション”だ。

 1話目は「オーナ」。「大日本新聞」の会長にして球団「東京グレート・パワーズ」のオーナ田辺満雄の話。あだ名は「ナベマン」だ。歯に絹着せぬ言い方でマスコミの餌食にされつつ強気発言の姿勢は崩さないが、実は特定の要因でパニックになるという症状を抱えて伊良部の心療内科を訪れる。
 固有名詞とパニック障害以前があまりにもそのまますぎて、渡辺恒雄(読売オーナー「ナベツネ」ね)って結構苦労してたんだなぁと本気で思ってしまった。
 この話、最後の生前葬が面白かった。泉田首相(小泉首相がモデル)のスピーチもだけど、最後の若手記者とのやり取りも良かった。実物もこれくらい面白味ある人達だったら良かったのに。

 2話目は「アンポンマン」。IT会社の社長で、次々と派手な買収に手を出して注目を浴びる安保貴明が主人公。「アンポンマン」のニックネームで親しまれるという設定だけど、よく作ってあると笑える。言わずもがなだけど、堀江貴文だ。もちろん、捕まる前の小説。
 ひらがなや簡単な挨拶文を忘れてしまうという症状に見舞われ、有能な秘書に勧められて伊良部心療内科へ行く。主人公をちょっと馬鹿っぽく書いてあって、ちょっと伊良部とかぶっててそれが面白くもあった。

 3話目は「カリスマ稼業」。40歳過ぎて一児の母となっても美貌を維持する白木カオルが主人公。自然体を売りにしているために、隠れて行う「老い」との闘いには半狂乱だった。自分でも度が過ぎると自覚し、伊良部がいる病院に精神安定剤をもらいに行くという話。
 1話と2話の人物が話題の人達だったのに急に芸能人の話になったから最初はピンと来なかったけど、黒木瞳のことね。ライバルとして川嶋なお美が「川村こと美」として出てくるのがまたブラック。
 これはまあ笑えないかな。多分リアルにすごい努力をしてる人だと思うし。病気も解決してないし。ていうか、なぜ渡辺恒雄・堀江貴文のようなむさ苦しい2人と黒木瞳を並べたんだろうか。よっぽど嫌いな理由でもあるんだろうか。パロディも3つも続くと何だかおなかいっぱいだし。

 4話目は、表題作の「町長選挙」。ある孤島で行われる町長選挙で、町は真っ二つ。主人公の若手町役場職員は両方の派閥から引っ張られて、両方に返事ができずに困っている。公職選挙法なんてまるっきり無視した町長選だけど、そこに伊良部が訪れることになってさらにゴタゴタするという話。
 この話だけ普通にまるっきりフィクションだけど、やっぱりこれが一番面白かったな。一番盛り上がった所で話が終わってて、やられたって感じだけど読後感が爽快だった。
 このシリーズ、まだ続き出るのかなぁ。出るとしたら、普通のフィクションがいいな。4話目読んで、特にそう思った。
別窓 | [あ行の作家]奥田 英朗 | コメント:0 | トラックバック:0 |
『女王様と私』  歌野 晶午
2007-06-14 Thu 11:06
女王様と私女王様と私
歌野 晶午

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 主人公の真藤数馬は44歳で親に寄生するニートであり、小学生の少女しか愛せないロリコンであり、金髪の人形「絵夢」と会話する電波系。そんな彼が「女王様」な小学生の少女に出会い、高価な場所で食事を奢る事を何度か強要される。押しの強さに断れずにいるうちに殺人事件に巻き込まれ、犯人と思われても仕方ない状況に追い込まれていく。
 一部文化圏の言葉使いを用いた会話文が多く、女の子が「ぁたしゎ」「だぉ」「でそ」とか「ヴォケ・デヴ」とか言う言葉使いは少々読みづらい。でもこの本の世界には馴染んでる。全部読み終わると、その馴染みっぷりがよくわかる。
 この世界は最近の少数派の濃い文化をふんだんに盛り込んでいる。ニート、ロリコン、電波系は前述通り。他にも援助交際、リスカマニア、ペドフィリア、ホモなど。これだけの物を盛り込んでるんだから、相当読者を選ぶだろうな。一定年齢以上は絵夢の言葉使いで既に読めないだろうし、正統派を愛する人は邪道に映るだろう。
 どう解決するのかと先へ先へと読み進め、最後にはぎゃふん。まさかそうきたかと。ミステリージャンルだとは思うけど、もの凄い構成というか、私の中の常識を超えた結末だった。章題の「妄想」「現実」に、大いに納得。私はいい意味で裏切られたと思った。
 それにしても、主人公は終始キモ男だったな。
別窓 | [あ行の作家]あ行その他の作家 | コメント:0 | トラックバック:0 |
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