元司書による読書備忘録ブログ。思ったことは全部書き、何様気取りの感想だったり平気でネタバレしたりします。
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『4TEEN』  石田 衣良
2007-05-30 Wed 11:10
4TEEN4TEEN
石田 衣良

新潮社 2003-05-22
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 2003年の直木賞受賞作。さすが石田衣良って感じ。サクサクッと読めて、いい感じの余韻が漂う本だった。
 主人公のテツローを含む14歳の少年4人の物語による短編集。それぞれに起こる出来事は非凡で彼らは非力だけど、なんかこう「青春」の理想形が詰まってる。IWGPのようなアンダーグラウンドの話じゃなくて、素直に読める。
 でもやっぱ、40歳過ぎたオッサンが書いてるからか理想化しすぎてるよな。中学生日記のような臭いが・・・。いや、石田衣良だから、きっとわざとだろうな。真面目にお馬鹿な14歳の少年達を描いて、こんな青春時代が羨ましいと思わせる小説なんだと思う。本当の14歳が読んでもきっとつまんないかな。大人が読んで、憧憬してしまう話だろう。
 こういう「ちょっといい話」が上手いよね、この人。

 ちなみに私が14歳の時は・・・。ひどいもんだったな。クラスに1~2人は必ず、「ちょっと男子!ちゃんとしなさいよ!」みたいな女子がいるよね?そんなだった。
 そういうキャラの中学生って、結構マンガや小説なんかでウザい存在として多用される。そういうの読む度に、昔の自分のイタさを思い出して激しく自分殴りしたくなる衝動に駆られる。
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『ZOO』  乙一
2007-05-29 Tue 11:57
ZOOZOO
乙一

集英社 2003-06
売り上げランキング : 177645
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 乙一の本は全部実家に置いてきたんで、図書館で借りてみた。この『ZOO』は私の乙一好きの原点だ。
 初めて読んだ時は、何て胸くそ悪い話が詰まってるんだろうと鬱々としながら読んだ。「世にも奇妙な物語」みたいに、暗くて不気味で到達点がわからない話ばっか。でも半分くらい読んだ所でふと、この作者ってこんなに次々と不思議ワールドを生み出すってすごいんじゃないだろうかと思って、それから乙一に夢中になった。
 今回は何度目かの再読。何度も読んだ本だから今さらじっくりは読めないで、かなり読み飛ばしてしまった。でもやっぱ乙一の文章の孤独でクールな感じ私は好きだ。
 この本の中で特に好きなのは、「SEVEN ROOMS」と「神の言葉」だ。って、これって2大グロ話だな。でも、この2話が一番怖くて面白かった。
 他の話ももちろん好きだけど、表題作の「ZOO」はそれほど好きじゃない。奇妙さが物足りないというか、意外性が少ないというか。あとは好き。

 乙一本はこの本が初めてで、もう少しこの作者の作風を知りたくなったんで、次に読んだのは『GOTH』。乙一作品の中でも上位にランクインするほどの代表作。2作続けて当たりを引いた私は、それから乙一が好きになったんだよなぁ。色々思い出して、懐かしさを感じた読書時間となった。
 前に感想を書いたのは4年前だけど、あの時は図書館でこの本を借りていた。で、あの後2回くらい読み返した。図書館に返却してからも時々ふと、この本を読んだ後の余韻が続いて不思議でならなかったんだよね。で、他の作品とか読んで、乙一に魅了されちゃった今に至る。もちろん手に入る本は全部買ってる。あ、最近の『ファウスト』(講談社)は買ってないけど。



2003.08.30
 短編集。
 読み始めてすぐ、気分が悪くなってきた。すごい気持ち悪い話が詰まってる・・・と思いながら読んだ。最初の「カザリとヨーコ」といい、2話目の「血を探せ!」といい、その後の話も、なにこの不思議な世界の冷静な気持ち悪さは。そう思いながら読み進め続けているうちにふと、こんな不思議な世界をこんだけ書けるこの作者はすごいんじゃないかと思い始めた。しかもどの話もラストに捻りが利いている。
 読み終えてからも余韻が続いて、もう一回読んでみた。そしたら作話の細かさに気付いてまた驚いた。面白いかもしれない、これ。短編ってすぐ終わって読み足りないから、私はあんまり好きじゃない。でもこの本に入ってる作品は、どれも短編でしか考えられないくらい短いページにきっちり収まっている。絶妙な展開に絶妙なエンディングで、これ以上長くてもきっと面白くない。
 なんか、うーん・・・。難しいな、この作品の評価は。
別窓 | [あ行の作家]乙一 | コメント:1 | トラックバック:1 |
『SPEED』  金城 一紀
2007-05-25 Fri 11:39
SPEED (The zombies series)SPEED (The zombies series)
金城 一紀

角川書店 2005-07-01
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 「ゾンビーズシリーズ」第3弾。事件の時期で言うと、『レヴォリューションNo.3』の最後の方、沖縄旅行の直前に起こった出来事らしい。
 今回はの主人公は女子高生。大好きな家庭教師の先生が飛び降り自殺をしたことに疑問を持って調べようとしたところ、男3人組みに襲われそうになる。そこに居合わせたいつものメンバー、南方、萱野、朴、山下が彼女を助け、飛び降り自殺の真相を調べることになった。
 何だかありきたりなヒロイズムだけど、オーソドックスこそ面白い。特に今回は、シリーズ中一番各々のキャラが立ってて面白かった。まあ多少ワンパターンな気がしなくもないけど、それでもやっぱり最後はスッキリ終わってくれる。エンタメはそういうのが一番だ。
 ところでこの作者、いつも朴君をめちゃめちゃかっこ良く書く。「朴」という苗字通り、在日韓国人の人だ。頭脳の南方、美形情報屋のアギー、不運を背負う可愛い系の山下とかいるけど、どう見ても朴が一番かっこいいんだよね。妙に目立ってるなぁと思ってたけど、そういや作者の苗字って在日が多いんだっけ?なるほど。

 ところで最近、こういうお馬鹿な高校生活もいいなぁと思うようになってきた。私が通ってた高校は進学校なんだけど、元々頭がいい人が通うっていうより、並より上の人達が行って型にはまった教育を施されるようなとこ。勉強と一部のスポーツ以外の出る杭は、教員達が率先して打つ。認められた部活以外のスポーツが上手くても、打たれる。
 私はそこで成績は下の上。お馬鹿なことをする権利なんてあるはずもなく、目立たないように3年間過ごした。今になって、10代の頃にもっとハジけたかったなぁと思う。
 でもまあ、私の場合は大学卒業してからわりと好き勝手やってるから、そこまで激しい後悔はないな・・・。卒業後の仕事もボチボチ程度の物だったし、親元だったから時間の自由も多かったし、結婚もそう早くはなかったし。ただ、それはやっぱ20歳過ぎてのこと。高校生の頃に色々経験してると、今はもっと視野が広かったかなぁと思う。
別窓 | [か行の作家]金城 一紀 | コメント:0 | トラックバック:0 |
『クライマーズ・ハイ』  横山 秀夫
2007-05-23 Wed 15:51
クライマーズ・ハイクライマーズ・ハイ
横山 秀夫

文藝春秋 2003-08-21
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 私が読んだことある横山秀夫さんの作品は刑事物ばっかだったけど、これは新聞記者の話だった。さすがは元ジャーナリスト、臨場感はすごい。
 地方紙の新聞記者である主人公の悠木は、地元で起こった飛行機墜落事故の全権デスクとなる。前代未聞の大事故を記事にするために記者達が尽力し、その中で悠木は上司と部下とに翻弄させされながらも何とか自分を貫こうと努力する。
 刑事物じゃないと知った時はがっかりしたけど、緊張感漂う文章と骨太なストーリーは相変わらず。追い詰めたり追い詰められたりとか、驚きの展開とかはなかったけど、事件を追いつつも組織の嫌な所や上司との軋轢、友人の謎の死、家族との問題などを抱える主人公が、いかにそれらを受け止めるべきか苦しんでいる。
 いつもの横山さんのような、事件を深く追い求める話ではない。でも、やはり最後は安心する結末。いい本だったと思う。
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『淳 それから』  土師 守  本田 信一郎
2007-05-22 Tue 10:45
淳 それから淳 それから
土師 守

新潮社 2005-10-15
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 事件から8年が経ち、少年Aが社会復帰した2005年に出版された本。8年間、土師さんは弁護士と共に少年法の壁と戦い続けたようで、彼の努力で遺族に対する制度が変わりつつあるようだ。
 その課程で山口県光市の強姦殺人で奥さんを亡くした本村さんとも出会い、被害者の会を発足して今日もがんばっているとか。
 前の『淳』を読んで思ったんだけど、土師さんはかなり頭がいい人だと思う。理路整然とした書き方を読んでいてそう思った。その分『少年A-この子を生んで』を書いた加害者両親の物書きの下手さがまた痛い。
 今年は神戸の事件から10年でドキュメンタリーなんかで蒸し返され、光市の事件も最近裁判の差し戻しがあったとニュースでやっていて、なんか昔の事件という感じがあまりしないな。もちろん被害者達にとっては時間の感覚なんて全くないんだろうけど。
 先日は神戸の少年Aを越えると思う事件が会津若松で起こったし、リンチして小指を切断後カレーに入れる事件があったり、最近ちょっと激しすぎる。部外者だけど、少年法はよ変われと思う。
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『図書館内乱』  有川 浩
2007-05-20 Sun 07:25
図書館内乱図書館内乱
有川 浩

メディアワークス 2006-09-11
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 この日本が出版検閲を義務化された世界になってしまったが、図書館は独立した機関として国家と戦うという『図書館戦争』の第2弾。いくら法律で独立した機関として守られているとはいえ、全図書館が民営化でもしてない限りありえない世界だという現実は置いといて読むと面白い。
 この本は前作の続きから始まる。図書館が危険な職場になってしまったこの世界で、両親から司書の仕事を反対されている主人公の郁。戦闘部隊にいることは秘密にしていたが、その両親が仕事の様子を見に来る事になったところから始まる。
 その他5章から成り、今回はそれぞれの登場人物にしっかりスポットが当ててあるし、「メディア良家法」と「図書館」という対立がしっかりと織り込まれていて物語としては面白さを増していた。
 書き方はライトで読みやすいけど、図書館のことをある程度勉強して書かれてるようで専門的なことも砕いて書いてあってわかりやすいと思う。
 でも今回は恋愛要素をかなり盛り込んであり、恋愛物が苦手な私はちょっとうんざり。登場人物が美形だらけというラノベ張りに不自然な設定がさらに苦手。この業界にはそんなに出会いはゴロゴロ転がってません。
 でも、面白かったと思う。

 以下余談だけど。
 郁の動機の手塚君とやら、この本で日本図書館協会の会長の息子であることが判明した。物語とは無関係だけど、私は現実の日本図書館協会の会長の常世田さんの講演会に4回くらい行った事がある。浦安図書館の元館長で、とても頭が良くて、話が上手で、堅いお役所仕事の連中を説得できるという素晴らしい人だ。読んでると、手塚君がその人の息子に思えて仕方なかった。

 あと、前作の時にも書いたツッコミというか揚げ足取りだけど。
 主人公が父親から探して欲しい本のジャンルを言われて書架に行くシーンがある。主人公が書架に行くと、その分野の本がごっそりなかった。上司に聞くとそのジャンルは今、展示コーナーでテーマとして扱ってるからそちらに置いてあるとのこと。そういえば、ミーティングでそんな事言ってたと思い出す主人公。
 ここのシーンは、図書館としてどうかと思う。表示しろ、表示。本を動かしたり特別に別置したら、自分達の仕事のためじゃなく利用者のために表示を作るべき。常連の利用者は、他の場所なんか見ないで自分が見たい本のジャンルに直行する人が多い。そして、どんなに人気がないジャンルでも利用している人はいると考えて図書館運営すべきだ。
 「このジャンルの本は展示コーナーに置いています」とプリントした簡易な物でもいいから、本を動かしたら利用者に対して断りをしないといけない。
 あと、少年犯罪者の実名報道をした雑誌の利用規制をするかどうかというミーティングについて。勝手に「閲覧不可」と決めた新しい上司(副館長だっけ?)がワンマンすぎるし、誰も彼を説得できないのは不自然。これまでの歴史を無視するのは、公的機関としてどうよ?図書館は「知る権利」を保障しているし、既刊された物を制限するのはそれこそ越権行為。税金を払ってる市民の同意なしに閲覧できないようにするのは、図書館本来の役割を履き違えてる。上司を誰も説得できなかったのは、図書館の理念を理解した司書が少ない図書館だと思う。
 それから、図書館のリンクに個人の書籍評価HPを貼るのも明らかにこの上司の越権行為。ダメな理由は主人公が言った通りだし、それを理解できない司書は勉強し直せ。私だってわかる理論を、この世界の優秀であるべき司書が理解してないのはおかしい。
 専門分野じゃなかったら(読んだ時はまだ私は現職だった)普通に物語そのものを楽しめただろうに、生来の性格のせいもあって粗が気になってしまった。
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『アヒルと鴨のコインロッカー』  伊坂 幸太郎
2007-05-18 Fri 11:11
アヒルと鴨のコインロッカー (ミステリ・フロンティア)アヒルと鴨のコインロッカー (ミステリ・フロンティア)
伊坂 幸太郎

東京創元社 2003-11-20
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 現代の「椎名」と、2年前を語る「琴美」の視点が交互に描かれている。
 大学入学のために一人暮らしを始めた椎名は、アパート入居したその日に同じアパートに住む河崎という男から書店強盗を持ちかけられる。優柔不断な椎名は断れず、言われるがままに見張り役をする羽目になった。
 琴美の方は街で続発するペット誘拐虐殺事件の犯人達が楽しそうに話してるのを聞いてしてしまい、逃げる際に定期券を落としたためにどんどん危険な状況に追い込まれていく。
 この小説が目指してるところがなかなか明かされないけど、2つの話がクロスした途端に色んな符号が合った。理解してからは一気に読み、随所にあった伏線をどんどん思い出す。時空を越えたエンディングを迎えた瞬間に、もう一度最初から読みたくなった。もう一度読むと、ああこれがあれねって感じで納得しながら読めてまた楽しい。
 読んでてイライラしたのが琴美の行動力のなさ。犯人達に何度も襲われそうになってるのに、なかなか警察に行かない。勧められても警察に行かない理由が上手く読み取れなかったけど、「なんとなく」だと解釈していいんだろうか?だとしたら動物好きを名乗る資格はないし、動物虐待して遊んだ人達の次に最低だと思う。動物虐待の罪は軽いから報復を恐れたんだろうか?そうだとしても、我が身かわいさを優先させてることになる。
 琴美が好きになれなくて、私はこの物語の魅力を充分に堪能することはできなかったかもしれない。
別窓 | [あ行の作家]伊坂 幸太郎 | コメント:0 | トラックバック:0 |
『「少年A」この子を生んで・・・一悔恨の手記』  「少年A」の父母
2007-05-17 Thu 14:16
「少年A」この子を生んで…―悔恨の手記「少年A」この子を生んで…―悔恨の手記
「少年A」の父母

文藝春秋 1999-04
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 11年前の神戸の事件関連の本、読むの後回しにし続けてたけど、ようやく読んでる。今さら感漂わせながら読んでたけど、福島の戦国猛者のような事件で再びコイツの名前をちらほら聞く。「少年犯罪」「首切り」という繋がりだから出て当然だ。
 稀に見る凶悪少年犯罪者の両親が出した手記ということで、軽く注目されてたこの本。父親の日記と母親の手記が書かれている。
 少年逮捕後から書き始めた父親の日記は、息子がこんな事件を起こして警察行ったりバッシングされたり変なハガキが来たり住む所追われたりして、とにかく現状の大変さが書かれている。大変だとは思うけど、何か認識が違うような気がする。どこか他人事めいてるのは、呆然としてるからか?日記ならそれは仕方ないけど、事件から1年経って出してるんだから日記載せて済ませてる時点でおかしい。「あの時は大変だったなぁ」で済ませてる印象を受ける。
 母親の手記も、少年Aは自分の前ではいかに普通の子供だったかを書き連ねている。母親としてかなり偏った書き方をしてるっぽいのに、読み手にはやっぱり異常な部分がちらほら見える。手に腕時計を巻きつけて同級生を殴り続けるとか、ヤンキーの喧嘩じゃあるまいし。
 両親共、少年Aが隠し切れなかった異常な部分を薄々気付きながらも、どうしようもなかったように見えるんだけどなぁ。もちろん、そういう異常って親にはどうすることもできない事もあるとは思う。事件後の大変さも並じゃないだろうし。でもその程度の内容を、わざわざ手記という形で出版する必要があったんだろうか。
 この本の出版において、被害者側は抗議文書を出した。でも出版した。何がしたいんだろうか?お金が欲しかったんだろうか?世間に、自分達はどうしようもなかったんだと言い訳したいんだろうか?どんな理由にしろ、やはり人と違うところがある家族のようだ。
 ちなみに被害者の両親が起こした裁判で、この加害者両親は賠償金は払えないと言い、本の印税はAの弟達の大学進学に使うと言ったそうだ。裁判官に叱られて月々2万の分割にさせてくれと言ったという噂がある。本当だろうか?賠償金はいくらか知らないけど仮に1億だとする。月々2万って、数百年掛かるんだけど。『心にナイフを忍ばせて』のサレジオ事件といい、加害者の意識って本当、こんなもんなんだなと思い知らされた。
 Aの母親のたまごっちの件や、淳君の葬式での暴言はどう言い訳するのかと思ってたら、そこには触れてない。謝罪の言葉は少なく、言い訳ばかり。どの辺りが「悔恨の手記」なのか、大いに疑問が残る本だった。
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『ツチケンモモコラーゲン』  さくら ももこ  土屋 賢二
2007-05-16 Wed 12:45
ツチケンモモコラーゲンツチケンモモコラーゲン
さくら ももこ

集英社 2001-10
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 さくらももこは有名なマンガ家であり、エッセイスト。土屋賢二はお茶の水大学の哲学の教授で、この人もエッセイを書いてたと思う。読んだことないけど。
 この本はさくらももこと土屋賢二が対談したり、同じテーマでエッセイを書いたりしている。二人とも物の捕らえ方は面白いし、文章も上手いから面白いんだけど、何か内輪話で勝手に盛り上がってるだけみたいに見えなくもない。両者とも、一人でエッセイ書いた方が確実に面白いと思う。
別窓 | [さ行の作家]さくら ももこ | コメント:0 | トラックバック:0 |
『第三の時効』  横山 秀夫
2007-05-14 Mon 21:31
第三の時効第三の時効
横山 秀夫

集英社 2003-02
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 横山秀夫は好きな作家の一人。今のところ期待を裏切られたことはなくて、読んだすべてが気に入ってる。好きなわりには、そうたくさんは読んでないんだけど。
 この本はF県警捜査第一課を描いた短編集。決して笑う事のない朽木が率いる一班、公安上がりの冷血漢楠見が率いる二班、鋭い野生の勘で事件の本質を掴む村瀬率いる三班が、手持ちの事件を解決した順に次の事件を担当していくという仕組みで、お互いの班を敵視している。
 視点はそれぞれの班のいち刑事で描かれている事がほとんど。事件を追いかける刑事達は殺伐としているけど、それぞれの班長の個性が男気溢れていてかっこいい。刑事自身の弱さも強さも描かれていて面白い。
 二転三転のまどろっこしい展開は抑えて事件の本質にガッと迫る感じなのに、濃厚な内容だと思う。


沈黙のアリバイ
第三の時効
囚人のジレンマ
密室の抜け穴
パルソナの微笑
モノクロームの反転


の6作品で、私は「囚人のジレンマ」が一番良かったかな。定年を迎える刑事に事件を解決させるため、それぞれがそっとパスを渡すのが良かった。お互いの面子を保ちつつ、上の者が手柄をかっさらう形にならないように情報を送る。主人公の目に殺伐と映っていた世界観が一転するところが、この作者は相変わらず見事。
 やっぱ警察小説のリアルさでこの作者に敵う人はいないと思うし、締めの美しさは本当に素晴らしい作家さんだ。
別窓 | [や行の作家]横山 秀夫 | コメント:0 | トラックバック:0 |
『淳』  土師 守
2007-05-13 Sun 02:04
淳
土師 守

新潮社 1998-09
売り上げランキング : 588173
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 先日『心にナイフをしのばせて』を読んで、こっちも読んでみることにした。1997年の酒鬼薔薇事件の被害者・土師淳君の父親が事件後1年経って書いた手記。今気付いたけど、あの事件から今年で10年経つんだな。
 事件そのものにはあまり触れてない。淳君が行方不明になって3日間必死に探した事、警察から事件を知らされた時の事、マスコミからの遠慮ないプライバシー侵害などが生々しい。
 ほとんどの人を実名で書いてる中、一際目立つ「Aさん」という言葉はやっぱり異質だった。「Aさん」とは、少年Aの母親のこと。ご近所として淳君の捜索にも協力してたそうだ。連絡があった時のための留守番係として土師さんの家で待機している時、たまごっちを数個取り出して飼育を始めたとか。その後は息子の自慢話を始めるとか。遺体がどういう状態で見付かったか知ってるのに葬式の席で「最後だから顔くらい見てやれ」と淳君の母親に言うとか。かなりイタイ人だったようだ。
 私は酒鬼薔薇の本名は知ってるから、どうしてもAさんと読めずに○○さんと読んでしまった。そういう悪意ある読み方になっちゃうよな、この辺の話は。
 事件直後からは、押し寄せるマスコミからのプライバシーの侵害に悩まされる。マスコミの厚顔無恥ぶりは凄い。報道の自由を履き違えてるなぁ。読者はそこまで知る権利を振りかざすつもりはないと思うけど。
 それから少年法について、何度もその理不尽さを書いてあった。公表しなくても、せめて遺族にくらい事件の真相を知らせてほしいと何度も言葉を重ねている。
 少年犯罪が凶悪化した上に増えてるから、最近は改正の声が少しずつ大きくなってるっぽい。有名な少年凶悪犯罪に長崎は2件も名を連ねててることもあってか、少年犯罪がそう遠い存在には感じない。やっぱ改正してほしいなぁ。
 サレジオ事件の少年は、少年法によって前科は付いていない。弁護士になっていて、とても事件を反省してるとは思えない生活をしている。酒鬼薔薇の○○君は去年出所したけど、特別扱いのようなプログラムでどう「更正」したんだろうか。それすら遺族は知る事ができない。本当、報われない。


 余談だけど、アマゾンで評価してる人全員が5つ星っていう本は初めて見た。
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『あらすじで読む日本の名著-近代日本文学の古典が2時間でわかる!』  小川 義男
2007-05-09 Wed 14:02
あらすじで読む日本の名著―近代日本文学の古典が2時間でわかる! (楽書ブックス)あらすじで読む日本の名著―近代日本文学の古典が2時間でわかる! (楽書ブックス)
小川 義男

中経出版(発行 樂書舘) 2003-07
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 日本の近代文学を、要点だけ絞って紹介したもの。近代文学は退屈なんで読む気がしないけど、1回くらいは読んでおいた方がいいかなぁとは思ってる。でもやっぱなかなか手が出なかったんで、これを読んでみた。
 当然だけど近代文学も色々で、面白かった物もあれば面白くない物もある。とはいえかい摘んだ話だけじゃ、わびさびめいたものは極小。面白かったと思ったやつだけでも、いつかは読みたいな。
 取り上げてあった作品は

「浮雲」「金色夜叉」「五重塔」「たけくらべ」「高野聖」「不如帰」「高瀬舟」「彼岸過迄」「蒲団」「野菊の墓」「土」「友情」「暗夜行路」「恩讐の彼方に」「奉教人の死」「女の一生」「蟹工船」「機械」「雪国」「春琴抄」「黒い雨」「風立ちぬ」「李陵」「斜陽」「放浪記」「金閣寺」「野火」

 読んだ事あるのは、1つだけとか・・・。
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『阿修羅ガール』  舞城 王太郎
2007-05-09 Wed 13:27
阿修羅ガール阿修羅ガール
舞城 王太郎

新潮社 2003-01
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 乙一や西尾維新とポジションが似てるってんで、読んでみた。
 好奇心で同じクラスの佐野とホテルに行った主人公のアイコは、終わった後に彼の顔面に蹴りを入れて帰った。次の日クラスの女子数人からトイレでシメられそうになった所を返り討ちにし、そこで佐野が誘拐されて家に足の指が送られてきたという事件を聞かされる。
 冒頭の内容だけだとミステリーっぽいけど、どんどん色んな物が絡んできて全く別方向へ向かうストーリー。結局何だったんだろうか。誘拐、リンチ、アルマゲドン、臨死体験、黒童話、バラバラ殺人に恋愛を散りばめて、ストーリーとしてまとまるかまとまらないかの危うい感じだけど、何でこんなにまとまってるんだろうか。すごい。
 この文章も、かなり好き嫌い分かれるだろうなぁ。1章はアイコ、2章はシャスティンというスウェーデン人の少女、3章はぐるぐる魔人というニート殺人鬼の語り口調で、特に1章と3章は混沌としてる。私はこういうの嫌いじゃないけど、やっぱ読みづらいから嫌いという人も多いみたいだ。
 各章つながってるはずなのに、テーマに一貫性はない。でも唯一一貫してたのは、アイコが友人の陽治をすごく好きだということ。それ以外はもう、何がなんだか・・・。
 私はアイコのテンポいい語り口調が好きだったけど、内容的には自信持って人に勧めれる本ではないことは確か。
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『心にナイフをしのばせて』  奥野 修司
2007-05-07 Mon 23:31
心にナイフをしのばせて心にナイフをしのばせて
奥野 修司

文藝春秋 2006-08
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 神戸の「酒鬼薔薇事件」の28年前に起こった「サルジオ事件」という少年犯罪の被害者を追ったルポルタージュ。「酒鬼薔薇事件」で神戸家裁の調査官が参考にしたというほど、「酒鬼薔薇事件」に似た事件だったらしい。
 ある男子高校生が同級生をナイフで滅多刺しにしたうえ、首を切り落としたという事件があったそうだ。その事件で遺族となった母親と妹に数年間に及ぶ取材を行ったのがこの本。父親は数年前に癌で他界したそうだ。
 幸い私は身近で殺人事件なんて起こった事ない。当然ながら想像を絶する世界だった。母親の人格障害や記憶障害、悲しみに耐えて妻を支えようとする父親、両親への反抗やリストカットで精神のバランスを取ろうとする妹。
 ルポルタージュなんで、文学と違ってやや読みづらい感がある。被害者家族の話も、冗長に書かれている。でも、被害者家族の事件後を知った著者の衝撃が表れた書き方だと思った。
 一番の驚きは、この何とも無残な結末。加害者側からは謝罪の言葉はなく、700万の賠償金も少しだけ払って行方不明。被害者遺族は「あんな事件を起こしたからまともな職にも就けなくて、謝罪に来れないに違いない」と思っていた。
 しかし著者・奥野さんも手伝って現在の居所を突き止めると、加害者だった少年は国家から人権を保障され、教育を受け、弁護士になっていた。しかも、事務所を経営するほどの成功。被害者が連絡を取ると、被害者の生活困窮につけ込んで「賠償金は払うつもりはない。50万なら貸してやる」だそうだ。
 やっぱ少年法って腐ってるよね。まあ私がここで少年法について語ってもどうしようもないし、過激なことしか言わない自信もあるけど。
 ただこの本が出た事でこの事件が再び有名になり、某有名掲示板で個人が特定されて実名が晒され、イタイ人から事務所に電話かかってきたりしたのは、まあちょっとは社会制裁かもしれない。些細だけど。


 私はこの本、ずっと小説だと思って読んでた。だから最後まで、何かしらの進展があって終わると思って読み続けて、救いのない結末に驚いた。読み終わってからルポルタージュだと気付いたけど、現実って本当に苦しいなぁ。
 きっと似たような犯罪者がもっと存在するんだろうな。賠償金を平気で踏み倒したり、口先だけの反省で減罪されたり、いわゆる“更正”を語って税金でその後の人生方向が保証されたり。数年前に釈放された神戸の「酒鬼薔薇事件」の少年も、あの頃14歳で良かったとか思ってそうで怖い。
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