元司書による読書備忘録ブログ。思ったことは全部書き、何様気取りの感想だったり平気でネタバレしたりします。
『赤の謎』  長坂 秀佳 他
2007-04-19 Thu 16:19
乱歩賞作家 赤の謎乱歩賞作家 赤の謎
長坂 秀佳

講談社 2004-04
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 長坂秀佳、真保裕一、川田弥一郎、新野剛志、高野和明という、過去に江戸川乱歩賞を受賞した大物作家さん達の中篇小説集。この豪華作家さん達だけに、ずっと読みたいと思ってた。


 1編目は長坂秀佳「『密室』つくります」。
 ある推理小説作家の憧れの人「喪服婦人」という謎の女性は、断片的な予知能力がある。その彼女から殺人事件を示唆した予知があったというメールを受け取るところから物語が始まる。
 その作家の家に押しかけ助手でやってきた「ピノコ」という少女のこととか、なじみの居酒屋のこととか、喪服夫人も交えてその居酒屋で行う推理問答ごっことかの説明がダラダラ続いて、やっと起こった殺人事件。でもそれはあっさり解決して、この話は終了。
 この話のメインは推理問答ゴッコにあるのか!?結局色々、何だったろうなと。


 2編目は真保裕一「黒部の羆」。
 冬山を舞台に、ライバル心を燃やしながら登る登山部学生2人と遭難した彼らを救いに行く男性を描く。
 たくさん出てくる登山用語の説明がほとんどないため、意味がわからないで眠くなった。学生の登山シーンでは一方がもう一方に嫉妬しているという設定なんだけど、意味がわからない上にちょっと暗い心理描写ばっかりで本当に嫌になる。
 最後は意外なレトリックだったけど(叙述レトリック?)、そこに意外性を持ってきてもどうでもいいし、ついていけなかった。


 3編目は川田弥一郎「ライフ・サポート」。これはわりと面白かった。
 主人公は短期の仕事を繰り返す医者。新しい仕事は、末期癌金持ち女性の娘探しにプライベートドクターとして同行してほしいという仕事。
 小説としては普通の失踪事件。失踪の謎、殺人事件などがあって、最後にはオーソドックスな結末。
 前の2編に面白さを感じ取れてなかったため、このオーソドックスさを面白いと思った。でもまあ、オーソドックスだと「江戸川乱歩」に当てはまらないよね・・・。


 4編目は新野剛志「家路」。
 突然見ず知らずの男性に刺された主人公は被害者だったはずだけど、自殺した加害者の遺書からは娘の仇を討つというような事が書かれていたために事件は一変する。
 加害者は数年前に娘を殺され、事件そのものは未解決。その犯人が主人公だったのでは?と世間で騒がれる。そのうちに実は同郷出身だったことが判明し、友達と一緒に調べに行った。
 調べに行くまでが長い!ダルいほど長い!主人公のウダウダはもうちょっと簡潔にまとめて欲しい。途中で飽きてしまった。
 父親とのいさかいを変に絡ませてあって、最終的にはいさかいその物も事件と関係していたんだけど、その関係っぷりも不自然だし。何か釈然としない。


 5編目は高野和明「二つの銃口」。
 唯一読んだことある作家さん。その唯一読んだ『13階段』があまりにも暗いし、誰もが不幸さを抱えて終わったあの読後感が嫌でそれっきり読んでないんだけど・・・。
 閉め切った校舎の中に大量殺戮者が逃げ込んできた。その校舎のワックス業者として1人でいた主人公はラジオでその事を知った直後、その殺戮者を追ってきたという男性に出会う。
 外からしか鍵が開けられない建物で(学校の校舎にそんなとこあったっけ?)その男と殺戮者と3人になってしまって助けを待つ主人公だけど、段々その男が殺戮者なんじゃないかと疑い始める。
 ところでその大量殺戮の方法、銃の乱射。余談だけど、なかなかタイムリーなネタだから雑念が入って仕方なかった。
 小説としての臨場感はこれが一番良かった。でもやっぱ、読後感悪いなぁ。モヤモヤしたものが残る。短編小説だとこのモヤモヤも好きだけど、中・長編だと主人公に感情移入しちゃってるから嫌になる。私はミステリーに向かないのかもしれない。


 ・・・うーん、微妙。やっぱ短編か長編の方が面白いなぁ。中篇って中途半端にグダグダでなおかつ説明不足な読後感が漂う。
 しかも全体的にいまいち苦手な作りが多くて、期待してただけにがっかり。この本の帯は「ゼッタイ面白い!」だけど、過剰広告だろ。それとも、江戸川乱歩を明智探偵シリーズしか読まなかった私はこの受賞者達を理解する事はできなかったんだろうか。
 アンソロジーは短編しか読んだことなかったけど、短編でも1話ずつ作風・文体が変わると疲れる。これが中篇になると、かなり苦労した。結果、そう面白いと感じられなかったけど普通のつまらない小説読了後以上の疲労感が・・・。
 次の『白の謎』は挑戦するかどうか悩むところ。
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『ももこの21世紀日記 N’01』  さくら ももこ
2007-04-19 Thu 15:29
ももこの21世紀日記 (N’01)ももこの21世紀日記 (N’01)
さくら ももこ

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 サクッと読める面白系を読みたいと思って借りてみた。さくらももこのエッセイは笑えて、わりと好きなのでこのチョイス。でも、軽く失敗。あんまり面白くない。
 さくらももこがiモードで公開してた日記を再編したものらしいけど、エッセイと日記ってやっぱ違うもんなんだと実感した。1つのネタが短くて、あっさり終わりすぎる。
 また、エッセイは素朴だけど面白いって感じだったけど、日記となるとやっぱそれなりに大物なんだと実感されてしまう。仕事であちこち海外行ったりとか、仕事内容とか。 もちろんエッセイストとして不動の地位を獲得してる人ではあるけど、ここまではっきりと自覚させられるとちょっと興ざめ。「まる子」のイメージはちょっと横に置いて読まないといけなかった。
 でもこのシリーズ、人気なんだよね。2巻以降もちょっと読んでみようかなぁ。読むのに1時間も掛からない本だし。
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