元司書による読書備忘録ブログ。思ったことは全部書き、何様気取りの感想だったり平気でネタバレしたりします。
『王国 その3 ひみつの花園』  よしもと ばなな
2006-03-13 Mon 00:20
王国〈その3〉ひみつの花園王国〈その3〉ひみつの花園
よしもと ばなな

新潮社 2005-11
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 雫石と真一郎くんが一緒に暮らすために、前向きに動き始める。ところが、真一郎くんの初恋の人、親友の義母との再会で雫石の気持ちが大きく揺れる。結局別れてしまう二人だけど、そんな雫石を見守る楓や片岡さんやおばあさんが暖かかった。
 3巻に来て急に話が展開しだした。いっそ2巻はいらなかったんじゃないだろうか。2巻の、ストーリーがないのに言葉が連なるあの退屈感はつらかった。作者のメッセージを雫石が代弁してるのか、ストーリーが崩壊しちゃってたもんなぁ。え?読者に説教してんの?みたいな。よしもとばななって観念的すぎるのかもしれない。ふんわりと抽象的で、ストレートに決め付けるものがない。そこなのか?そこがいいのか、よしもとばなな!?白黒はっきりした話が好きな私にはわからない・・・。
 でもこの作品は、雫石がしっかりしなきゃ!的な目覚め方を始めてわかりやすかった。よしもとばなな特有の「渡る世間に鬼はなし」から飛び出して、雫石の嫉妬や親友の義母の打算なんかも描かれていて、いつになく人間臭い話になってたように思う。
 本の紹介には「長篇最大のクライマックスへ」と書いてあったけど、これで終わりじゃないよね?ものすごく中途半端なところで終わってるけど・・・。どうなんだろうか。
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『容疑者Xの献身』  東野 圭吾
2006-03-12 Sun 00:28
容疑者Xの献身容疑者Xの献身
東野 圭吾

文藝春秋 2005-08-25
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 やっとここまでたどり着きいた。この本を読むために『探偵ガリレオ』と『予知夢』を読んだ。その2冊を読んで、正直微妙だと思ってたこのシリーズ。『容疑者X~』でガツーンとやられてしまった。前2作はプロローグに過ぎなかったと思う。これでこそ東野圭吾。
 衝動的に殺人を犯してしまった母娘を、隣の部屋に住む天才数学者が完全犯罪に仕立てようとする話。全部読んで初めて、計画の緻密さがわかるという代物だった。「献身」の意味もやっとわかった。
 最後に湯川さんが取った行動は正しかったんだろうか。石神さんが何をしてでも守ろうとした母娘なのに、話さずにいられなかったのは善なんだろうか。湯川さんとの友情を壊してでも逮捕すると言い切った草薙さんの人間性は?でも、そうせずにはいられないのが2人それぞれの「正義」で、人間臭さを捨てきろうとしている姿がいい。
 石神さんはただ母娘の幸せを願って、別の男と幸せな結婚をすることまで望んだのに、すべてが破綻した。この東野圭吾の厳しさ、重量感、嫌いじゃない。でも立て続けに読むと自分の心が破綻しそうだわ。
 ちなみに今回、ちゃんと草薙さんを頭いい人として描写してあった。今までがひどすぎたんだよね・・・。マヌケなとこだけ際立たせてた。警視庁捜査一課の刑事があんな抜け作なはずないのに、そういとこばっか書いてたんだもんなぁ。
 それから、警察の捜査のいい加減さは相変わらずかな。日本の警察はもうちょい優秀だと思うよ。なんで検死解剖してないの?指紋照合だけで被害者を決め付けていいの?草薙さん、単独行動多すぎでいいの?こんなツッコミしてたらこの小説は楽しめないの?このシリーズの中の警察は無能だという設定を前2作で学んでた。着眼しちゃいけないところは深く考えなかったから楽しめたんだろうな。いきなりこれから入ってたら、そこら辺が気になって集中できなかっただろう。
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『予知夢』  東野 圭吾
2006-03-06 Mon 21:35
予知夢予知夢
東野 圭吾

文藝春秋 2000-06
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 『探偵ガリレオ』の続編。続編って言っても話は一話完結の短編集。草薙刑事が不思議な事件に遭遇するたびに物理学者の湯川助教授に相談し、というパターンは前回と同じだった。前回よりも事件の不思議さが増したかな?というかオカルト的。それを科学的に解明するところが面白い。
 今回は、
16歳の少女を17年前から知っていたと言う男がストーカーする「夢想る(ゆめみる)」。
殺された女性が殺害時刻に、別の場所にいた恋人に姿を見せた「霊視る(みえる)」。
主婦が失踪した夫を探しすうちに、毎日同じ時間に振動する家にたどり着いた「騒霊ぐ(さわぐ)」。
父親が殺害される前夜、父親の側で火の玉を見た「絞殺る(しめる)」。
自殺した女性の向かいのマンションに住み、前日に自殺した姿を見たと言う「予知る(しる)」
の5編。
 相変わらず湯川さんはさくっと解決し、そのぶんさらっと読める。面白いんだけど、東野圭吾さんの作品だと思うとイマイチだなぁ。彼ならもっと、ぐいぐい読ませる作品を書いてくれそうなイメージがあるんだけど。事件のトリックは面白いんだけど、そっちに力を注ぎすぎたような感じがする本だった。
 ずっとそう重いながら読み進めたけど、5話目の「予知る(しる)」の最後のシーンが良かった。結局どうなったんだろうなーっと。
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